仮面ライダーカイロス 作:しゃけ
仮面ライダークロニクルの普及により精神を患う者が増え、CRのメンバーと活動を共にできない永治。そのころ彼らは――
「……なんだこれは」
ようやくCRと合流できるまでに仕事をこなした永治。彼が現場で見たものとは、
永夢が横たわり、黎斗がすごい体勢でキーボードを打ち、貴利矢が二人を暇そうに見ている……
そんなカオスな光景だった。
ーーーーーー
「リセット?全部最初に戻ったってことか?」
「そういうこと。だから作り直すんだって。ムテキガシャットを」
「静かにしろ!私のクリエイティブのジャマをするな!」
永治がここに来る前、永夢は改心したパラドとともにクロノスを討ち、マスターガシャットを破壊することに成功していた。しかし、正宗の『ハイパームテキさえいなければ』という心が、リセットという力を呼び起こしてしまった。これのせいでマスターガシャットは復元され、仮面ライダークロニクルのゲーム時間がリセットされ、ムテキガシャットも消えてしまったのだ。
「~!」
苦しそうに息を荒くする永夢。彼は今リセットに対抗するゲームのアイデアを考えている。
「大丈夫かよ」
「は、はい、大丈夫です」
「ほら、これでも飲んで」
永治は自分が飲む予定だった飲み物を渡す。
「永夢ゥ!ゲームのアイデアを、もっと強くイメージしろ!ヴゥゥゥ!!」
奇声を上げる黎斗を横目に、永治は『人って変わるもんだなぁ』と感じていた。
彼の場合は最初からかもしれないが。
「永夢ゥゥ!!ブフフフ!!もう少しだ!もう少しで…………ヴッ!」
手を酷使してタイピングが指一本ずつになっていた黎斗だったが、突然体から力がなくなり、
『GAME OVER』
消滅した。
「えっ!?何で……」
「開発作業に命を削りすぎたみたいだなぁ」
「とぅ!」
すると地面から紫の土管が現れ、黎斗がその中から復活。何事もなかったかのように椅子に座る。ちなみに、彼の残りライフは93。
「私にかまわず集中しろ!リセットの影響で私のライフも増えている。開発を続ける!」
「……」
ただ突っ立って黎斗の奇行を見てるだけでは自分が情けなく見えてくるので永治は先ほどから苦しそうな永夢のサポートをすることにした。
ーーーーーー
「ヴゥゥゥゥゥ!!」
「ぅるせぇな!」
すっかり日は落ちてしまったが、この男は騒がしかった。
「……!そうか!」
ガタッ!
黎斗は何かを思いつき勢いよく立ち上がる。すると、
「ヴ……」
『GAME OVER』
「あーあ。急に立つから……」
「……貴利矢、これ見てよく紙飛行機なんて折れるな……」
「慣れって怖いよ~。ほんと」
この後すぐに復活した黎斗。先ほどの死因は長時間同じ姿勢でいたことによる肺塞栓症である。
彼の残りライフは92。
『マイティアクションX!』
『デンジャラスゾンビ!』
復活した黎斗は何故か自身のガシャット二本を起動する。
「おいおいおい!」
「こんなところでそんなの使って何する気だ?!」
「へぇん……身!」
『レベルアップ!
マイティアクショーンX!アガッチャ!デンジャラスゾンビ!』
「フハハハハハハ!!!」
黎斗はゲンムに変身し、自身への身体的ダメージを減らそうと考えている様子。だが、
「「「…………」」」
貴利矢は飛行機以外の折り紙に挑戦し、永治は貴利矢に付き合い、永夢は
ゾンビが奇声あげながらこちらを見てくる
という恐ろしい状況のせいでとても集中できる様子ではなくなっていた。
「どうしたぁ!永夢ゥ!考えろ……考えるんだ!リセットに対抗する力をぉ!!」
「うぅ……」
「頑張ってるあいつ(黎斗)を、応援したい」
「でも、自分の力でやり遂げないと」
「「意味ねーんじゃねーか?」」
「自分の才能、そして……神を信じろぉぉぉ!!」
立ち上がりさけぶ黎斗。ふと貴利矢が彼を見ると、
「あれ、ゲージ減ってね?」
「あ、ほんとだ」
『GAME OVER』
結局、変身しても永夢にストレスを与えるだけだった。
黎斗の残りライフは91。
難航するムテキガシャット再開発+α。
黎斗のライフはもう83まで減っていた。
「ZZZZzzz……」
「ハハハハハハ!!」
「できた?え、できた!?」
「ダメだぁ~!」
「だあーっ! おいもう朝だぞ!リセットに対抗できる力なんて本当にできんのか!?」
「黙れぇぇぇぇ!!!……っ!?」
『GAME OVER』
翌朝まで続いたクリエイティブ。12回命を燃やした黎斗。そんな彼は永夢の足を振り回しながら叫ぶ。
「永夢ゥ!君の才能は、そんなもんじゃないだろー!!」
「ぅさい……うるさい!」
「!……朝か……え?朝?」
永夢の声で目を覚ます永治。
「あなたこそ黙っててください」
「……」
「怒られちゃった」
「ハハハハ……!」
一方こちらは他のCRの面々。上級バグスター最後の一人、グラファイトを倒し、すべてのガシャットロフィーを揃え、ゲムデウスを召喚しようとした時、クロノスはもう一度リセットを発動させようとする。
「ん?……ん?何故、時間が巻き戻らない!?」
しかしそれは失敗に終わり、
『HYPER CRITICAL SPAKING!!!』
『RIDER CRITICAL STRIKE』
さらに二人のライダーによる不意打ちを食らうことになってしまった。
「うう……ハイパームテキ……!」
「クロノス、これまでのゲームはすべて"セーブ"した」
「そう!ハイパームテキにセーブ機能を搭載したのさ!」
クロノスのリセットを防ぎ、ついにラスボス ゲムデウスが姿を表す――