ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか? 作:パトラッシュS
竹を組み合わせて作る巨大そうめん流し。
ブリテンを股にかけるそれは、この島の食料問題にピリオドを打つ象徴。
さて、そのそうめん流しだが、もうその長さはカタッシュ村を離れ、ブリテン城下町へと達していた。
全長は最早、想像し難いほど長い竹の道、ここを通ってそうめんがキャメロット城の城下町へと送られてくることに…。
「…いやー、なかなかね、しんどかったよ、こいつをここまで伸ばすのは」
「竹とこれだけ格闘したの俺達くらいだよな」
自信を持ってそう言える。
このそうめん流し作りにはなかなか苦労をさせられた。川を越え、丘を越え、そして、辿り着いたこの街。
全てはお腹を空かせた街のみなさんにそうめんを届けるために…。
さぁ、後はこれを城の中に引いていけば良いが…。
「問題はキャメロット城にどうやってそうめん通そうか」
「だよなぁ、やっぱり城ってなると距離感あるし、城の中にそうめん流しを通すとなるとなぁ」
彼らの目の前に聳え立つキャメロット城。この国の王であるアーサーペンドラゴンの居城。
この場所にそうめんを届けるには、そうめん流しを繋げるしかないが流石にそれだといろんな意味で問題になりそうだと彼らとしても考えるところであった。
そこで、カルナは考える、つまり、城内にそうめん流しを繋げなければ良いのだ。
「そうめん飛ばすしかない」
「なるほど」
つまり、そうめんを飛ばし城内に入れてしまえば、キャメロット城の中にまでそうめん流しを繋げる必要は無い!
そうめんを飛ばし、城内にあらかじめ作っておいたそうめん流しに落としてしまう。こうすれば何の問題も起きないはず。
見事な発想、これにはベディも関心するように声をあげた。
「落っことして下で拾う」
「そうめん空飛ぶよ」
ーーーー空飛ぶそうめん流し。
空を飛んだそうめんは城門を越え、キャメロット城の城壁の下に設置した待機しているそうめん流しへ…。
この斬新なアイデアなら、きっとアルトリアちゃんをはじめとした円卓の人達も満足にそうめんを食べてくれる筈。
後は飛ばしたそうめんをしっかりとキャッチするような作りと、丘や坂などの箇所を勢いよくそうめんが駆け上がるために高圧洗浄機を設置していく。
こうすれば、水の勢いが増し、そうめんもスムーズに街の中を行き渡るようになってくれる筈。
以前、やった時はそうめんが水圧で吹き飛んだ事もあったが、水の量などを調整しておけば何とでもなる。
「さて、それじゃ後はデカいザル敷いて、カタッシュ村から流すだけだな!」
「伸びそうな気がすんだけどさ…これ」
「大丈夫大丈夫! 伸びてもうまいのよ! 俺たちのそうめんは!」
そう言って、ブリテンの城まで長々と続く巨大なそうめん流しを見つめるモーさんの肩を叩いて満面の笑みを浮かべるディルムッド。
ーーー伸びるのもまたそうめん流しの醍醐味。
大量にあるそうめんをどっさりと用意し、割り箸をトレースオンしたスタッフエミヤからそれを受け取るカタッシュ隊員達。
いよいよ、そうめん流しの試運転、果たして、そうめんは無事にブリテンの城までたどり着く事ができるのか。
そうめん流しの先にはまだかまだかと、麺つゆを構えたアルトリアちゃんと円卓の騎士達が目を輝かせて待機している。
そして、そうめんの他にも手作りで打ち付け作り上げた蕎麦を摘み上げたエミヤはキメ顔でカタッシュ隊員達にこう問いかける。
「別に、蕎麦も飛ばしてしまっても構わんのだろう?」
「いよ! 待ってました!」
「さぁ! そうめん流すでー!」
さぁ、いよいよ発走です。
まずはエミヤから流された蕎麦がそうめん達を先導するようにそうめん流しを流れていく。
そして、それを合間合間にカルナ達やモーさん、婦長、マーリン師匠などが割り箸を突っ込み麺を次々と掬うと麺つゆにそれをつっこんで食べはじめる。
「うお! うめー! これがそうめんか!」
「…私は蕎麦が気に入りました。胃にしみます」
「そうめん流し…何という高等魔法なんだ…」
そう言いながら、味わい深いそうめんと蕎麦を食べるカタッシュ隊員一同。
しかし、蕎麦とそうめんの旅は終わらない、次は川を渡り、高圧洗浄機の力で丘を越えていく。
だが、ここでそうめんが…。
「あー! やべえ! 吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ!」
「リーダー! 早く!」
「ちょ! まっ! あだぁ!」
高圧洗浄機が暴走し、なんと勢いよく吹き上げたそうめんがリーダーの顔面に激しく直撃、クーフーリンは思わず仰け反る。
それを間近で見ていたスカサハ師匠はすかさず、暴発し自身に飛んでくるいくつものそうめんを巧みな割り箸テクニックで捌いて麺つゆの中へ。
そして、それを口に運ぶ。さて、そのお味は…?
「…ふむ、まだ行けるな、伸び切ってない。全然おいしいぞ!」
「いや、スカサハ師匠、リーダーは伸びちゃってる」
「…む! そうめんにやられるとは鍛え方が足りていないな!! 情けないぞ! しげちゃん!」
「め、面目無い…」
「これでも食って気合いを入れ直せ! ほら!」
顔面にそうめんが直撃したリーダーにスカサハ師匠からのありがたい厳しいお言葉。
しかし、スカサハ師匠、ここでさりげなく麺つゆにつけたそうめんをリーダーに食べさせてあげるさりげない優しさをここで見せつける。
さて、場面はさらに変わり、次はブリテン城下町へと差し掛かる。
高圧洗浄機が暴走するハプニングはあったものの、根気強くそうめんが次から次へと流れてくる。
カタッシュ隊員達が莫大なそうめんの量をトラックを使い何日もかけて運んできた甲斐があったというもの、そうやすやすとはそうめんは無くならない。
ここからは流れてきたそうめんは多岐に渡り街の中を巡り、最終的にはキャメロット城へ行き着くようになっている。
さて、この城下町にはネロちゃまとADフィン、鉢巻を巻いたトラック野郎こと小次郎が麺つゆを片手に待機していた。
さぁ、ここまで流れてくれば流石にそうめんも伸びている頃、さて、その味は果たして?
「…あれ? そうめん伸びてないですね?」
「うむ! …これがSOUMEN!! ツルツルしていて喉越しも良いな! 余は大変気に入ったぞ! ローマでも造らねばな!」
「この蕎麦…なかなかわかってやがる…。いい味だ!」
3人は変わらぬそうめんと蕎麦の味に思わず驚いたような声を上げる。
カタッシュ村からブリテン城下町まで、かなりの距離がある。にもかかわらず、味はさほど落ちていない。
これは一体どういう事なのか? カタッシュ村魔法使いの第一人者マーリン師匠の話によると…。
「そうめん流しの話をしよう。間違いない、これは魔術的なものがかけられたそうめんと蕎麦だ。固定化や何かで品質を保ちつつ流しているようだね」
「実は私がやった」
「僕もやで」
「あんたら揃いも揃ってそうめんに何してんのよ」
そう、言ってスカサハとクーフーリンの2人は仲良くそうめんをズズッと啜りながら、同じくそうめんを啜り解説をするマーリン師匠に告げる。
それを聞いていたカルナはすかさず突っ込みを入れた、そうめんに魔術を施すこの師弟コンビは何を考えているのか…。
しかし、これのおかげでそうめんと蕎麦が伸びなくなったのもまた事実である。
ルーン魔術によるそうめんと蕎麦の品質改良。
これにより、ある程度水に触れてもそうめんと蕎麦が伸びない工夫を施し、皆も安心してそうめんが食べられる。
確かに長い距離をそうめんと蕎麦が水を使い巡るのだから、これくらいの工夫を施さないと美味しいそうめんはブリテン中に届けることができない。
「だって、伸びた麺なんて美味しくないやん、ねぇー?」
「ねぇー、私もそう思う」
「ねぇーってなによ、ねぇーって」
そう言いながらカルナは呆れたように左右に首を振る。
と、何はともあれ、そうめんはこうしてブリテンの街を駆け巡り、街の人々は麺つゆと共に流れてきたそれを美味しく頂いていた。
これが、世界最古、ブリテンそうめんブームの到来である。
「いやー、我が王よ、そうめんとは美味しいものですね」
「確かに、このわさびというものはツーンと鼻にきますが、癖になりそうです」
「ズルルルルルルル、ズルズルズルズル」
「…食べてばっかりではないか」
アグラヴェイン卿の突っ込みが冴え渡る中、キャメロット城でも城壁を飛んでやってきたそうめんがアーサー王と円卓の騎士達の元へと流れてきていた。
一心不乱にズルズルとそうめんを食すアーサー王、その顔は実に幸せそうな表情を浮かべていた。
そうめんに蕎麦、今までアーサー王が食べた事がない食べ物は喉越しも良く食が進む。
「ゴクン、…これがMENTUYUのDASH!」
「いいえ、王よ、これは麺つゆのダシです」
「!? なんですって!DASHではないのですか!」
あらがち間違いではないのだが、麺つゆのダシであるので訂正を加えるランスロット卿。
ーーーーDASHで作りました。
アーサー王、円卓の騎士そして、ブリテンの人々も麺つゆとそうめんの素晴らしさに気づいたに違いない。
その後、円卓会議にて、年間行事にブリテン伝統のそうめん流し祭りが開催される事が決定されることになるのだが、それはまた別の話である。
貧困に苦しむ家庭にも流れてくるそうめんと蕎麦。
このそうめん流しによって、カタッシュ村にまた人が増えてくるようになるだろう。
果たして、この村は今後どのような発展を遂げていくのだろうか?
その続きは…、次回! 鉄腕/fateで!
今日のYARIO。
礼装・ルーン魔術を施したそうめんーNEW!
ブリテンの城壁を飛ぶそうめんーーーNEW!
ザ!麺つゆDASH!!ーーーーーーーNEW!
ブリテンにそうめんブームーーーーーNEW!
空飛ぶ蕎麦ーーーーーーーーーーーーNEW!