ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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新たな師

 

 

 影の国。

 

 そこは女王スカサハが統治している冥界、魔界とも呼ばれている国だ。もちろん、そこに至るまでには多大な困難が待ち受けている。

 

 道子と共にそんな困難な道のりを越える我らがリーダーことクー・フーリンは途中で道子達を預け、1人でその国を目指した。

 

 立ち塞がる数々の難所、しかし、彼は諦めなかった。全てはYARIOになる為、仲間達と再び再会する為、影の国を目指した。

 

 鍬を担ぎ、金槌を腰に提げ、タオルを頭に巻き、青い農作業着を着た彼は汗を垂らしながらひたすらそんな困難から逃げずに戦った。

 

 

「はぁ…、はぁ…。これは石橋作った時並みにしんどいなぁ…、けど! 頑張らな!」

 

 

 リーダー、クー・フーリンは折れずに立ち向かう。

 

 そこには、再び仲間達と様々なチャレンジをしていきたいという願望があったからだ。YARIOを結成するという大きな使命が彼にはあった。

 

 そして、困難な道の果てに彼の頭には自分を奮い立たせる言葉(テロップ)が蘇ってきた。

 

 ーーーー気持ちは分かる。

 

 嵐が荒れ狂う海であっても彼は自分が作った船である『つれたか丸』で乗り越えて行く、自分の夢を叶える為に。

 

 そして、彼は遂に幾多の苦難を乗り越えて影の国へとやって来た。

 

 困難な道をひたすらに歩み、辿りついた彼を出迎えたのは長い紫髪を靡かせ、身体のラインが綺麗に映るピッチリとしたタイツのような服を着たミステリアスな赤目の美女だった。

 

 

「…ほぅ…、あの苦難の道を越えてくるとは…なかなか見どころがあるなお主」

「…め、めちゃしんどかったです…」

「して、何の為にこの影の国に足を踏み入れた? 力を欲してか?」

 

 

 そう告げる美女は幾多の苦難を乗り越え、力尽き地に倒れるクー・フーリンに問いかける。

 

 しかし、クー・フーリンは満足げな表情を浮かべていた。幾多の困難も苦難も仲間達と会えるのなら安いものだと彼は思っているからだ。

 

 それは、己の夢の為、そして、これまでの苦難も心が折れず乗り越えてこれたのは唯一の望みであるYARIOを結成するという希望をクー・フーリンが持っていたからである。

 

 疲労困憊、だけれど満足感を得た表情を浮かべたクー・フーリンは美女にこう語りはじめる。

 

 

「おっさんにはやっぱりきつい道やね、お姉さんもうちょっと道整備した方がええと思うよ」

「…いや、お前はどう見てもまだおっさんという感じではないだろう」

 

 

 そう告げる美女はため息をつき、その場で胡座をかいて座るクー・フーリンを真っ直ぐ見据える。

 

 なるほどなと、クー・フーリンを見た彼女はすぐさま悟った。その鍛え抜かれた筋肉(農業or建築で)、逞しく力強い眼、確かに彼、クー・フーリンには英雄になれる素質があった。

 

 ならば、ここに来たのも納得できる、力を求めて彼はここにやって来たのだろう、そうだとも、そうに決まっている。

 

 力を求め、私に指導して欲しくて、この影の国までこんなにボロボロになりながらやって来たのだとスカサハはそう思った。

 

 

「よし、今日から私はお主の師匠だ、良いな? お前の名は何という?」

「あ、クー・フーリンって言います! んー、けど、しげちゃんとかリーダーとか呼ばれてるんでしげちゃんでええですよ!」

 

 

 そう言いながら、顔を照れくさそうに擦るクー・フーリン。

 

 そんな彼の言葉を聞いた美女は不思議に思った。クー・フーリンなのにしげちゃん? 全くもって名前に関連性が無い、一体どういうことなのかと彼女は首を傾げたまま彼にこう問いかけはじめる。

 

 

「…しげちゃん?」

「僕の幼名がセタンタ・シゲルなんで、親しい人はしげちゃん呼んでるんです」

「そうか…ならば、私もしげちゃんと呼ばねばなるまいな。私の名はスカサハ、この影の国の女王だ」

 

 

 そう言って、スカサハは倒れていたクー・フーリンの手を握り立ち上がらせる。

 

 英雄になる人材をいつまでも地べたに座らせておくわけにはいかない、そう、これからは自分が鬼のように彼を鍛えて何度も彼は地べたに這う事になるのだから。

 

 スカサハはふと、手を握りしめたクー・フーリンの姿を見ながら期待をかけていた。この男は立派な英雄になると。

 

 だが、クー・フーリンはというと、そんな、スカサハの思惑とは全く違うことを考えていた。

 

 

「…そうか、僕もここでYARIOになれるんか…、みんな待っとれよ、絶対迎えに行くからな!」

「ん? YARIO?」

 

 

 クーフーリンの発した言葉に思わず目を丸くするスカサハ。

 

 何かがおかしい、彼は英雄になる為にこの影の国を目指していたのでは無いのかとスカサハは思わず首を傾げていた。

 

 だが、クー・フーリンはスカサハと同じく首を傾げたまま、彼女にこう問いかける。

 

 

「え? 僕、ここでYARIOを結成できるって聞いて来たんですけど…」

「YARIO? なんだそれは? お前は力を求めて来たのでは無いのか?」

「いや、失われた自分の仲間とYARIOを結成する為に来ました」

「………………」

 

 

 スカサハはキリッとした表情で真っ直ぐに目を見つめて告げてくるクー・フーリンに思わず言葉を失う。

 

 YARIO…。YARIOとはなんだ? 新しい騎士団か何かだろうか? いや、しかし、YARIOなど聞いたことも無い、YARIOとは一体なんなのだ。

 

 スカサハは人を超え、神を殺し、世界の外側に身を置くが故に得た深淵の知恵を持つ。

 

 そんな、スカサハも知り得ないワードが陳列していれば彼女とて混乱もしてしまうだろう。長年、生きて来たがこんな人間に会うのは初めての出来事だった。

 

 

「ちなみに師匠はクレーン車とかの免許とか持ってます?」

「…ク、クレーン車?」

「あ、クレーンじゃ無い方でしたか! シャベルかユンボでしたかね?」

「…………………」

 

 

 そう言いながらキラキラと目を輝かせるクー・フーリン。

 

 しかし、師匠と言い切ったからにはそれらを持っていなければいけないのだろうかとスカサハの思考が一旦停止する。

 

 もちろん、スカサハはそんなものは持っていない、この時代にそんな免許を持っていたとしてもどこで使うというのか。

 

 しかし、自分が師匠だと言い出した手前、弟子の期待を裏切るわけにはいかない。

 

 そうだ、彼を鍛えると言い出したのは自分だ。しかも、彼は満更でも無さそうにこんなに純粋な瞳で自分を見ている。すると、スカサハから弟子にすると言われたクー・フーリンは懐かしそうに昔を思い出しながら彼女にこう語りはじめた。

 

 

「師匠かぁ…、懐かしいなぁ…。村の開拓以来かもしれんなぁ」

「村の開拓以来?」

「あ、僕の前の師匠でね! 実は…」

 

 

 そこから、クー・フーリンは自分の前世での記憶や経緯、仲間達との事やらを含めて新たに師匠となったスカサハに語りはじめる。

 

 失われた自分のメンバーを集める事、そして、YARIOの仲間達を結集し、新たな挑戦に挑みたいという野望があるという事。

 

 そのクー・フーリンの話を聞いたスカサハは頭がだんだん痛くなって来た。まさか、こんなぶっ飛んだ英雄の卵がまさか自分のところを訪れようとは思いもよらなかったからだ。

 

 

「なるほど…お前はそのYARIOとやらを結成する為にこの地を訪れたと」

「そういう事になりますかね?」

「馬鹿かお前は」

 

 

 そう言って、頭痛がする頭を片手で抑えながら告げるスカサハ。

 

 それはそうだろう、どこの世界にアイドルになる為に苦難を乗り越え、さらに、YARIOとやらを結集する為にこの影の国に来る者がいるというのか?

 

 しかし、実際いるのだから怖い事実である。しかも、本人は至って真面目故、尚更たちが悪い。

 

 

「…とりあえず…貴様の仲間達とやらはこの世界ではない何処かにいる可能性が高いな…、私の予想だが」

「えぇ!? ほんまですか! …そんな、あいつらがこの世界におらんなんて…」

「しかし、可能性がないわけではない」

 

 

 そう言って、落ち込むクー・フーリンを見かねたスカサハは彼の肩をポンと叩く。

 

 長年、生きて来たがこんな人間に会うのは初めての出来事、スカサハにとってみれば興味心の方が強かった。

 

 もしかすると、クー・フーリンは自分が思っている以上に面白いものを秘めているかもしれない、そういった期待感が彼女の中にはあった。

 

 クー・フーリンはスカサハのその言葉を聞くと改めて嬉しそうに笑みをこぼした。

 

 

「…はぁ、それはよかったですホッとしました」

「あぁ、魔術を極め、世界を移動できる術を手に入れれば、お前の仲間にも会えるかもしれないな」

「…魔術…、僕がハリー・ポッ◯ーみたいになったらええんですね! なるほど! わかりました!」

「お前は何を言ってるんだ」

 

 

 クー・フーリンの言葉に思わずため息を吐くスカサハ。

 

 ハリー・◯ッターがなんなのか全く理解できないスカサハも遂に彼に突っ込まざる得なかった。

 

 ちなみにアイルランドの隣はイギリスである。イギリスが近いならもしかしたらと思ったが、どうやらクー・フーリンのあては完全に外れたようだ。

 

 時代が違うので当たり前である。

 

 

「師匠、ちなみに魔術はどのレベルからやるんです?」

「そうだなまず基礎として…」

「やっぱりドラクエみたいな感じなんかな、パルプンテ使えるようになるんやろうか」

 

 

 何やらワクワクしている様子でそうスカサハに問いかけるクー・フーリン。

 

 ドラクエ色が強いのは、思い入れが強い仲間の1人がビアンカ派だからかもしれない。

 

 クー・フーリンのその言葉に呆れたようにため息を吐くスカサハは静かに左右に首を振る。持っているものは一級品なのになぜこんな変わり者が来てしまったのかと残念で仕方なかった。

 

 しかし、彼の心は純真でその瞳は混じりっけがなく光り輝いている。これならば、鍛えようによってはとんでもない化け物に化けるかもしれない、スカサハはそう思った。

 

 

「パルプンテはわからんが、まぁ、私が指導する通りにやれば魔術はできるようになるさ」

「流石は師匠!」

 

 

 そう言って、スカサハの言葉に目を輝かせるクー・フーリン。

 

 こうして、クー・フーリンはYARIOの仲間達を集める為に厳しい修行に入る事になった。魔術を極め、世界を移動し、そして、どこかの世界線にいるであろう仲間達と再会する。

 

 師匠となったスカサハの指導の元、クー・フーリンの修行がはじまった。

 

 ちなみに今、ここで、スカサハの指導を受ける事になったクー・フーリンが現在できることをおさらいしておこう。

 

 

 ・農業一般------できる

 ・陶器・磁器・鉄器--作れる(窯含め)

 ・炭---------作れる

 ・料理--------できる(プロ並み)

 ・手芸--------できる

 ・牧羊(ヤギ含む)--できる

 ・養蜂業-------できる

 ・スズメバチ駆除---できる(フルセット着てやれば)

 ・風呂釜-------作れる(処女作は大破)

 ・井戸掘り------できる

 ・ペットの世話----できる(ダメ犬デブ犬教習含む)

 ・子ども-------作れる

 ・鬼ごっこ------できる(対100人まで)

 ・巨大雪だるま実験--できる

 ・自動車-------できる(製作・修理・運転も)

 ・自転車-------できる(坂の上から海まで足をつけずに)

 ・電車--------勝てる(リレー)

 ・飛行機-------作れる(ペットボトルエンジン・一人用背負いタイプ)

 ・家---------作れる(木造家屋)

 ・橋---------できる(クレーンによる建築作業)

 ・漁業一般------できる(素潜りからマグロ釣りまで)

 ・村---------作れる

 ・林業--------できる(伐採)

 ・造船--------できる(修復も)

 ・運送業-------できる(PRも可)

 ・音楽業-------できる(本業)

 ・芝居--------できる(本業)

 ・司会業-------できる

 ・ダンス・アクロ---できる

 ・落語--------できる

 ・接待--------できる

 ・無人島開拓-----できる

 ・レールワーク----できる

 ・魔術--------←NEW!!

 ・色んな槍の使い方--←NEW!!

 

 

 オカン力:A+

 

 男なのに優しいお袋じみた圧倒的包容力がある。仲間達の中心でもあり、さらに、訪れた村の村人達からよく好かれるので知らない間に知名度がだんだん高くなっていく。

 

 土の知識:EX

 

 わからない土の知識などない、だいたいの土なら豊かにすることができ、豊富な農作物を作ることができる。

 

 島の開拓者:EX

 

 山城やつれたか丸など、無人島に数々の物を作り上げた。無人島ならば彼と彼の仲間がいればもう持っていくものは何も必要ないだろう。

 

 井戸作り:B+

 

 いくら汚染されている井戸でも真水にできるほどのスキル。カラスの死体があった腐った井戸さえも飲める水までにした逸話を持つ。

 

 幸運:B+

 

 世にも珍しい深海魚ゴブリンシャークや絶滅寸前の動物などに巡り合うほどの幸運を持つ、本来のクー・フーリンは幸運Eだが、謎の加護を得た事により幸運値が上がった。

 

 騎乗:B+

 

 あらゆる働く乗り物を乗りこなすことができる。運搬トラックからクレーン車、ユンボ、シャベルカーまでなんでもござれ、重機歴13年のベテランは伊達ではない。

 

 

 0円食材の探索:A

 

 毎度お馴染みの『え? これ、捨てちゃうんですか!?』捨てちゃうものをタダで頂くことが出来るスキル。物を無駄に消費したり、捨てちゃったりすると、彼等が全部貰っていってしまう。


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