ユラ(テンション高いな⋯てかこの前書きは必要なんですかね⋯)
ソニア「今ここにいるユラちゃんとGLに発展しようとしたのを止められました、以上ですわ」
ユラ「はい、勘違いされるような言い方をしない」
ソニア「うふふ、今は勘違いかもしれないですけど⋯話が進むに従って段々とユラちゃんが私に心を開いて⋯コイニハッテンシテ⋯素敵なことやないですかぁ」
ユラ「ないです」
ソニア「冷たいですわねユラちゃんは⋯」
ユラ「⋯そんなことより作者に言われました。パソコンだと誤字が多いと思うので誤字を指摘してくれたらお礼として10万円送ります、らしいです」
作者「10万なんて言ってねえよ、金ねえよ」
ソニア「お金無いの⋯全く使えないですわね⋯じゃあ10万円分のユラちゃんの愛をあげますわ」
ユラ「そんなものもないです⋯本編始まります」
作者「この前書き毎回投稿となると面倒だから今回だけにしよう⋯」
「まったく⋯服がびしょびしょですわ⋯」
あれから20分後⋯あろうことか海まで吹っ飛んだソニアをなんとか救出して現在に至る。
「まさか少し不意打ちしただけでこんな目にあうとは思ってなかったですわ、罰として次は揉ませてもらいますわ⋯私にはその権利が」
「⋯⋯次は沖まで吹っ飛ばしますよ?」
ゴゴゴゴ⋯と俺はハリセンを構えながら赤いオーラを身に纏った。
「ひっ⋯すいません冗談です⋯それより重要な説明がまだでしたわね⋯」
「重要な説明?」
ふふ、と薄く笑いソニアは椅子に座り直した。立って話をしていた俺もそれに習い再び椅子に座る。
「ええ、貴女が元の世界に帰れる為の、ね」
「それは⋯どうやって⋯!?」
「それはですわね⋯っと、説明が少し長くなるので先に着替えてきますわ」
そう言ってソニアは席を立つと、クローゼットの前まで移動する。そして、特に隠す訳でもなくそのまま服を脱ごうとした。
「ちょ、ちょっと待て!!」
大胆すぎる行為に慌ててストップをかける。
「へっ?どうしたのです?」
きょとんとした顔で俺を見つめるソニア。
「どうしたのです?じゃないですよ!俺仮にも男だって分かってます!?」
「⋯あぁ、着替えの事?」
ぱさり、ソニアの来ていた白いワンピースが床に落ちる。これでソニアは下着だけの状態だ。
「ちょ、ちょっと⋯!」
俺の慌て様にソニアは声を上げて笑った。
「ふふふふ⋯確かに貴女が男なら目前で着替えるなんて挑発しないですわ⋯でも今私の前にいるのは可愛いメイドロリータじゃないですの♪なんの問題もありませんわ⋯うわ、下着まで濡れてますわね⋯よいしょっと⋯」
なんの抵抗もなくパンツに手をかけるソニア。
「ちょっ⋯お、終わったら言ってくださいっ!!」
流石に見ていられず俺は咄嗟に椅子ごと半回転してソニアの「それ」を見るのを回避する。
「まったく⋯心が男ならむしろ見たい筈ですのに」
「そんなことないですよ別に⋯!」
⋯実の所、全くそれを見たくない訳ではなかった。ただ、見てしまえば最悪GLに発展してしまう可能性がある。そうなってしまうと俺の中の何かが壊れる気がして⋯なんとか見ずに済ませた。
「ふう…もう着替え終わりましたわよ」
5分後、後ろからソニアの声が聞こえた。が、俺はまだ振り返らない。
「もしかしたらまだ全裸とか、そんな罠は無いですね⋯?」
「なっ⋯私がそんなはしたない女に見えるのですか!?」
見える。普通に見える。
「警戒心の強い子ですわね⋯でも大丈夫、本当に着替えましたわよ」
その言葉を信じ、俺は恐る恐る後ろを振り返った。
⋯そこには涼し気な水色のワンピースに着替えたソニアの姿があった。ちゃんと服を着てくれていて取り敢えず安堵する。
「待たせてごめんなさいね、では⋯始めますか」
コト⋯。
自分と俺の近くにコーヒーの入ったマグカップを置き、ソニアは席に着いた。
「あ、ありがとうございます⋯」
お礼を言いながらコーヒーに口をつける。
「…甘」
口内を焼き切るような猛烈な甘さに思わず吐き出しそうになるのを慌てて飲み込んだ。…このコーヒーは甘い。災厄級に甘い。全部飲んだりしたら即死しそうなレベルだ。
…もう一口も口をつける気力が起きない。一方ソニアはというと特に変わった様子もなく普通に飲んでいる。
「ふふ、甘いでしょ?私甘いの好きだし貴女も見た目的に好きそうだから…特別に貴女のコーヒーにも砂糖を20粒程入れておいたのですわ」
「致死量だよこれは!!」
「え…でも私は毎日飲んでいるけどこの通り生きてますわよ」
駄目だ、もう突っ込みが追い付かない。
「それより俺のやるべきことを、元の世界に帰れる方法を教えてくれよ」
俺はマグカップを机の上に置いた。コーヒーとは到底思えない甘ったるい匂いが小屋全体を覆った。さっきソニアをふっ飛ばして空いた穴が丁度空気の通り道になって何とか平常心を保っていられる。もしあれが無かったら俺は冒険を始める前に臭いに殺されていたことだろう。
「そうでしたわね…今から話します。話しますが…条件がありますわ」
ソニアは急に改まった表情になる。
「条件…なんだ?」
「まず…貴女の胸をs」
「性的なことだったらホームランするから」
ハリセンをちらつかせて威嚇する。
「冗談です!えっと、条件は2つです。まず1つ、私に貴女の名前を決めさせてください」
「名前?…俺の名前はユラだが…」
「…そうですよね、でもその名前じゃダメなのですわ」
難しい表情でソニアは言う。
「この世界では異界の人は異界での名前を忘れて名前を変えないといけないというルールがあるのですわ」
どんなルールだよそれは。
「もし変えなかったらどうなる?」
「24時間以内に体中の毛という毛が一気に抜けて絶命しますわ」
「ええ…怖すぎだろそれ…」
ソニアの話に反射的に後ろ髪に触れた。これが全部抜けて死ぬか今だけ名前を捨てるか…どちらがいいなんてもう決まり切っていた。
「分かった。だがあんまり可愛い名前にはするなよ」
「分かってくれましたのね、ええ、勿論中世的な名前を考えますわ」
中性的、そう言いたかったんだろう。面倒なので触れないでおいた。
「では命名の儀式…いざ尋常に参りますわ!」
ソニアは右手を俺の後頭部に押し付けた。しばらくしてソニアの手のひらから徐々に焼けるような感覚が伝わってくる。
「熱い…!」
あまりの熱さにソニアから逃れようとする。しかしソニアはそんな俺をしっかりと押さえつけえた。
「う…ぐっ」
「暴れないでください…!すぐ終わりますから…!さあ…神崎ユラ、今だけ…この世界にいる間だけ名を忘れなさい!そして…新たな名前を受け入れるのです!はあぁっ!!」
「うわっ…!」
重い一撃が後頭部に直撃した。その直後…俺を襲っていた熱さが嘘のようになくなった。
「はあ、はあ…今のは一体…?」
「名前、覚えてますか?」
ソニアは荒い息をしている俺を心配そうに言った。
俺の名前?確か⋯
(あれ⋯なんだっけ?)
確かに俺には名前があって、ついさっきまで覚えていた筈だ。それが今⋯まるで思い出せなくなっていた。
「だめだ⋯分からない」
「やった⋯!まずは成功ですね!後は30秒以内に新しい名前を宣言するだけですわ!貴女の名前は⋯」
成功したのを見て嬉しそうに言ったソニア。⋯本当にあんまり可愛くないので頼むよ、これでも一応心は今までと同じ⋯男なんだから。
⋯って⋯あれ?
もう10秒経過したがソニアからの名前の宣言がされない。
「⋯どうした?」
気になってソニアの方を見た。ソニアは慌てた様子で顎に手を当てている。
「ま、まずいですわ⋯」
「まずいって⋯何がだ?」
「⋯新しい名前事前に考えとくの忘れてました⋯っ!!」
20秒経過。残り猶予時間は10秒。もし猶予までに宣言できなかった場合、ユラは無条件に死んでしまう。
「⋯?」
事前にその説明をされていないユラは何故ソニアが慌てているのか理解出来なかった。
「えっと⋯!なんか⋯なんか⋯はっ!!」
残り4秒。その時、ソニアの視線の先にテーブルが見えた。そこに置かれていたのは後で食べようと取っていたショコラケーキ。そのケーキの上にあるのは大好物のイチゴ⋯。
「イチゴ⋯ベリィ⋯はっ⋯リリィ!!」
「ちょ、おま」
残り1秒。俺の名前が決まった瞬間だった。
この瞬間⋯俺の名前はリリィとなったのだ。