百合が見たいだけです(切実)   作:オパール

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XD並びにAXZ好評記念
ついでにお気に入り100件突破したので続いてしまいます


でも(百合でなくとも)幸せならOKです

「勘違いされがちだけど俺、性癖的にはノーマルなんで」

「いや、それはわかってる」

 

S.O.N.G.拠点として使われているクッソカッコいい潜水艦の一室、早い話が休憩所的な場所で藤尭さんとボーイズトーク。

何、片方は「ボーイ」なんて年齢じゃない?知ってる。

 

「なんかこう、あるじゃないですか。可愛い女の子や綺麗な女性がこう、同性との友情からほんの一歩だけ進んでる絡み方とか関係性みたいなの。あれ俺としてはメチャクチャ尊いというかクッソ好きなんで出来る限り近くで眺めていたいっていう、何て言うかほら……あるジャン?」

「悪い、そこまで饒舌に語られるとちょっと……」

「いや別に同性同士でいなきゃとか女の子は女の子同士男の人は男の人同士とかそういう決めつけというか押し付けは短絡的バカの思考なんで幸せに仲良くしてくれれば俺としてはオールオッケーなんで」

「落ち着け」

「はい」

 

藤尭さんは手元のノーパソをカタカタしながら疲れた目で俺を見る。

 

「……何で毎度そういう話に俺を付き合わせるかな」

「司令は枯れてますし」

「失礼!」

「緒川さんは声がプレイボーイですし」

「偏見!……他に友達とかは」

「高校を一年目で中退した上に地元離れたバカにそんなのがいるとお思いですか」

 

例のツヴァイウィングライブの後日、街中で警察沙汰レベルの喧嘩起こして退学ですわ!前世じゃそんなヘマ起こさなかったのにネ!

まぁ女の子の涙には勝てないから是非もないよネ!!

 

……やっべ、思い出したら泣けてきた

 

「まぁでもその縁で響ちゃん達と関わることになれたんで結果オーライですかネ」

「ふぅん……」

 

長い目で見るとまったくオーライじゃないけどネ

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

響ちゃんと未来さん(ちゃん付けとか無理)との出逢いは簡潔に話すなら立花家が周囲から謂れの無い誹謗中傷を受けていた頃、立花父が蒸発して少しした頃だった。

学校でも家でも周りから「人殺し」「自分だけ逃げおおせた人でなし」だの何だのと叩かれ、傷つけられ、家族以外には未来さんくらいしか味方のいなかった響ちゃんは、目も当てられないレベルまで憔悴しきっていた。

当時の俺は前世で原作を見ていた関係で、下手に関わるとよく知る原作が壊れてしまうこと、大好きなひびみくの絡みが減ってしまうのではというまさに外道な危惧もあった(まぁ原作云々に関してはこの時点でセレナも奏さんも助けていたので今更感はあったが)

 

……それでもまぁ、「加害者」を押し付けられている「被害者」の女の子が顔を伏せて静かに泣いてる姿を目にして、見て見ぬフリなんて、俺には出来なかったわけで

前世なら放置して我関せずを貫いたかもだが、転生者となった今なら少なくとも何か出来るのでは、という驕りもあったわけで

 

結果

 

『悪い、ちょっと持ってて』

『え、ちょっ』

 

一緒に下校してた当時の友達が狼狽えるのを余所に、その頃まっさらなJC響ちゃんとJC未来さんを囲んでいた集団(見知った女子も何人かいた)一人をとりあえず殴っておいた

 

 

 

『このままいけば原作通りの濃厚なひびみく見られるけど女の子の涙には勝てなかったよエヌマエリシュゥゥゥゥゥゥ(物理)!!!』

 

 

 

そんな感じでLET'S☆大乱闘(スマブラ)

見るからに怯えきってたひびみく庇いつつ逆上してきた連中をちぎっては投げちぎっては投げ、明らかに人じゃないナニかを殴るブツとか持ち出して来たのもいたにはいたけど、今生の父親の教えで鍛えに鍛えたおかげか当時の筋力と耐久はBはあった気もする(錯覚)。

頭に血が上りきってたおかげで自分が何を言ったかあんまり覚えてないケドひびみく曰く

 

『生きるか死ぬかを経験したJC寄って集ってdisるとか善悪も知らない幼稚園児ですかテメーら』

 

とか

 

『生き残りなら俺もそうですけどーなのに俺には何にもして来ないでいたいけな女の子だけ苛めるとか恥ずかしくないんですかテメーら』

 

とか

 

『ひびみくの尊さわからないとかちょっと三日三晩調教もとい教育案件ですかテメーら』

 

とかとか

 

その場の勢いって怖いよネ!自分でも何やらかすかわからないもん!

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

と、まぁそんな具合でフィーバーしすぎた結果、見事に暴力行為に傷害に器物損壊に知らぬ間に公務執行妨害までやっちゃってたらしく見事に数え役満で警察沙汰。幸か不幸か、母方の実家が玄孫の代まで遊んで暮らせるレベルとかいうちょっとよくわからない資産家なため、それもあって少年院行きは免れたという、リアルじゃ絶対に起こり得ないご都合全開な結末に。

まぁ高校は退学になったし、両親からはメチャクチャ怒られた上にタコ殴りにされたけど。

 

ちなみにこの件に関しては俺がポリス署で拘留されてる間、響ちゃんと未来さん、その家族の皆さんが必死で俺の弁護をしてくれていたらしい。これも後から親に聞いた。

 

釈放され、これからどうするかなー、とか考えていた矢先にひびみくと遭遇。

聞くところによると俺がやらかした一件で病院送りにされた奴の身内が二人と同じ学校にいたらしく、そこから響ちゃんと未来さんに手を出すと今度は自分が、みたいな風潮が広がっていったらしい。結果的に響ちゃんと立花家への風当たりは少し大人しくなったそうな。

 

 

 

「にへー……♪」

「……」

「未来さんそんな目で見んといてくれます?」

 

それ以来二人から、特に響ちゃんにはメチャクチャ懐かれることに。「なまえをよんで(意訳)」と魔砲少女めいた一言で名前で呼びあうようになり、しばらくして二人がリディアンに入学するという話をされたと思ったらふらわーでバイトすることになっていた、何を言って()

 

冗談はさておくとして、実際原作を知る身としては二人が仲睦まじくしている様を割と近くで見られるというので断る理由も無い(勿論この本音は伏せてる)ので、二人の誘いに乗って現在に至る、というわけだ。

 

現在、隣の未来さんはやや暗い視線を俺に、俺の肩にしなだれかかる響ちゃんは特に気付かないようでゴロゴロ喉鳴らしてる。犬っぽいくせして猫か。

未来さんの視線が実際コワイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エヌマエリシュゥゥゥゥゥゥ(物理)!!!』

 

そんな叫びと一緒に現れた人は、私にとって家族と未来以外で初めての味方になってくれた

 

『生きるか死ぬかを味わった女の子囲うとかガキかテメーらァ!!』

 

お父さんがいなくなって、私も家族もみんながボロボロになっていた時、自分が傷付いてでも庇ってくれた人。お世辞にもカッコいいとは言えないけど、そんなことはどうでもよかった

 

『あのライブ会場の生き残りならここにもいるんだけどさぁ……俺に来ないで、被害者でしかない子一人に絞って詰るとか恥ずかしく……思ってないんだろうネ、知ってる!』

 

大勢に囲まれて、大暴れして、殴られて、殴り返して

 

『この二人の仲の良さ見て人殺し呼ばわりしか出来ねーとかちょっと教育だぞゴラァ!!』

 

結局、その人だけが警察に捕まって、後から高校も退学になったって聞いた時、申し訳ない気持ちでいっぱいになって

 

『ごめんなさい!ほんとに、本当にごめんなさい!』

『あーいや、別にそんな謝られると逆に困るんじゃが……』

『でも、私のせいで退学になったって……』

『いやぁ俺がド派手にフィーバーした結果だしなぁ』

『……あのっ、私に出来ることなら、何でもします!助けてもらったのに、何もお返しできないとか、そんなの嫌ですッ!!』

『ん?今何でもするって言ったよね?』

 

けど、その人―――相原ヒロさんは笑って言った

 

『んじゃあ友達……あん時一緒にいた女の子、いるでしょ?』

『え、未来、ですか?……あの、未来を巻き込むのは……』

『違う違う。申し訳ないって本気で思ってるならさ―――あの子と仲良くしててほしいかな』

『―――え?』

『好きなのよネ。女の子同士が一緒に仲良くしてるっていうのが』

『そんな……そんなことで……!』

『俺にとっては大事なことですが文句ある?』

『……無い、ですけどっ……!』

 

……正直、あの時はどんな無茶苦茶なことを言われても従うくらいの気持ちだった

申し訳なさすぎて、一方的に助けられただけで、ヒロさんが送るはずだった高校生活を私が奪ってしまったような気さえして

 

でも―――

 

『それとさ、人が善かれと思ってやったことの結果を「自分のせいだー」とか感じるのって、逆にそっちの方が失礼だからネ?』

『うっ……』

『……だからさ、あの子と仲良くしてるところ、たまにでいいから俺に見せてよ。それだけで俺のやったことは、少なくとも俺にとっては無駄なことじゃなかったって思えるから』

 

『……はいっ!』

 

 

 

それから、未来と一緒に頻繁にヒロさんと会うようになった。ヒロさんは家がお金持ちだというけど、自分で使う分は自分で稼げ、というスタンスらしくバイトを探してあちこち駆け回るヒロさんを手伝ったりもしたりした

 

リディアンに通うことを決めて、未来も一緒に来てくれるって言ってくれて、駄目元で誘ったらヒロさんもリディアンから近いふらわーでバイトすることになって、今でも未来もヒロさんも一緒にいる……いてくれる

 

だから、あの日からヒロさんみたいに誰かを迷わず助けられるような人になりたいと思うようになった。あのライブで見た奏さんや翼さんと同じように、得することなんて無くても、泣いてる誰かのところに駆けつけるヒロさんみたいに

 

 

 

ヒロさんをどう思ってるか、と誰かに訊かれたら、私は迷わずこう答える

 

―――私を助けてくれた、私の憧れの人の一人、と




※このビッキーには思い出補正がかかっています

以下おまけ

響「ねぇ未来」
未来「なに、響?」
響「大好き!」
未来「っ……もう、どうしたの急に?」
響「へへっ、言いたくなってさ。未来は?」
未来「え?」
響「未来は、どう?私のこと」
未来「……私も大好きだよ、響」
響「うへへぇ……」

ヒロ(尊い……)



XD片翼の奏者、自分は戦力不足に付き途中で炭化しましたが敬虔な装者の方々はラストまで走って☆5ツヴァイウィングも揃えられたと信じております

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