仮面ライダーソング   作:天地優介

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戦闘ほぼなしってウソだろお前!
その代わり次回は場合によっちゃ前後編だぁぁぁ!


シンフォニー・アタック

「天城音成……やはり、最後まで立ちはだかるのはヤツか」

「はい。……もう大丈夫なんですか?」

「へっ、それをお前に言われたくはねーよ。……安心しろ。無茶してない」

 

  先ほどの戦いの後……三日後、回復した真司達にさっそくデューマンの正体を伝えたい乙音は、現在ワシントンの研究所でライダーで集まって会議をしていた。

 

  会議といってもそうかしこまったものではなく、ただ単純にお互いの近況について話し合ったり、お互いの様子を確認しあっている程度だ。もちろん、音成の襲撃がいつあるかもわからない現状、攻めて来た場合どう迎撃するかという作戦会議は行なってはいたが、それ以外にすることもなくーーー決戦前の僅かな時間でライダー達が選んだことは、最期に後悔しないようにすることだった。

 

「先輩って好きな人、いるんですか?」

「んなっ!? な、なにを……ま、まあいるには……「誰ですか!?」うおぅ!」

「それは……気になるな」

「か、刀奈まで……」

「そうだそうだ。たく、なんでこんな朴念仁ばかり……俺の方がイイ男だろうに……」

「……そういうとこじゃない?」

 

  ーー例えば、下らない恋愛話だとか。

 

「刀奈。この戦いが終わったらショッピングに行かない? ーーあんたの服装センス、どうにかしないと……」

「!? わ、私はいいだろう! それよりもボイスの方が……」

「いや、オレとお前を一緒にするな。……ゼブラに服選んでやったりもしてたからな? オレ」

「なん、だと……!?」

「ーーはあ。とにかく、決定ね」

 

  ーー例えば、この戦いに『生き残った後』の話だとか。

 

「みんな、ご飯作ってきたわよ〜。今回は私達特務対策局特設料理班が腕によりをかけて作ったーー和食よ!」

「和食か……味が薄くて俺は「わー! 私、和食好きなんです!」好きだぜ! アメリカ料理の味の濃さに飽きてきてまして!」

『いいなあ……私達も食べてみたいわね』

『……出来ればの話だがな』

『ーーま、そうだな』

 

  ーー例えば、とりとめもない……本当に着地点もない会話を楽しんだりだとか。

 

  ……これまで、乙音達は僅かな時間を精一杯生きようとした。

  戦ってきてばかりの彼女達ではあったが……乙音は3年前まで、普通の女子高校生だった。

  今は特務対策局に属し、ドキとも交流のある湊美希との友情も、『仮面ライダー』としてではなく、素の『木村乙音』という少女の繋がりから生まれたものだ。

 

  ……だが、真司とは、刀奈とは、桜とは、シキとは、ボイスとはーーーそして、ゼブラとは……いや、香織や勝に猛といった特務対策局の人達とも、そしてショット博士やロイドのようなアメリカの研究者達とも……心の中にいる、キキカイにバラク、ドキ達との奇妙な縁もーーその全ては、『仮面ライダー』として戦わなければ……仮面ライダーになっていなければ、手に入れることの出来なかった、ものだ。

 

「……卑怯、だよね」

 

  ーーその夜、乙音は独りだった。

 

  キキカイ達は、いない。彼女達が自分に黙って何かの準備を進めているらしいのに、乙音は感づいていた。なんたって既に自分の一部なのだ。一部が全体を把握出来なくても、乙音という全体はキキカイ達という一部の全てを知る事が出来る。もっとも、彼女達が何を考えているかまでは、『他人の心』の領域だ。……乙音に推し量ることは出来ない。

 

「………………」

 

  乙音の悪いクセとして、独りになると考え過ぎてしまう、というものがある。……ゼブラもそうだったし、いつか出会った未来の乙音だってそうだった。要は、1人で抱え込んでしまうのだ。

 

  乙音にとって、いや世界にとって、天城音成とは憎むべき敵だ。……だが、彼の作ったライダーシステムと、彼の実験によって偶発的に、あるいは意図的に生まれたディソナンスという脅威がいなければーー乙音は今の乙音にはなれなかった。

 

「…………寝よ」

 

  余計な事を考える前に、乙音は眠りについた。

 

 

 

 

 

  翌日。相変わらず音成側から動きはなく、いつも通り警戒しつつも、ゆっくりと時間が過ぎていた頃……

 

 

 ーー星が、揺れた。

 

 

「な、なんだ!?」

「揺れ……!? それも大きい!」

 

  轟という音ともに、激しい揺れが乙音達をーーいや、アメリカはおろか、日本や中国といった世界中を襲った。

 

  すぐさま音成の仕業と感づいた乙音達は部屋から飛び出し、研究所内の一室、衛星からの映像や写真を受け取る部屋へと向かう。

 

  元々は研究に必要なデータを受け取るための部屋だが、アメリカがディソナンス達の占領下にあった時、ディソナンス達の詰める基地などを特定するために使われていたのがこの部屋だ。もっとも、相手側の妨害でほぼ使い物にならなかったが……。

 

「香織さん! やっぱりここでしたか!」

「乙音ちゃん達………まずはこれを見て」

 

  揺れが激しくなる中、香織が乙音達に見せたのは撮影衛星からの写真だった。

 

  その写真には太平洋ーー地球のど真ん中とも言える位置の海に円形の『穴』が開き、その穴の中から巨大な兵器がせり出してくる様子が、連続した写真の中に写っていた。

 

 ドォォォォォ……

 

「うっ! …揺れでどこかの建物が崩壊したわね」

「香織さん、あれは……!?」

「待ちなさい真司君。今、ショット博士達が解析しているよ」

「局長!? ……こちらに来ていたのですか」

 

  部屋の影からのっそりと現れた特務対策局局長、本山猛。彼の背後に控える香織の兄、大地勝は冷静に謎の兵器について考察する。

 

「……あれが恐らく、天城音成の兵器であるというのは全員が予測出来ている事だと思う。………問題は、あれがなにを目指して作られたものなのか、だ」

 

  そう呟く彼の後ろから、ドタドタという音と共に駆け足で部屋に飛び込んできたのはショットとロイドの博士親子だ。彼等が手に持つファイルには何やら難解そうな数式が乱雑に書き込まれているが、それを一瞥もせず息を整える間も無くショットは喋りだす。ロイドはまだ息を整えているようだ。

 

「た、大変じゃ…あ、あの兵器、を……あのままにしておけば………っ、ち、地球が滅びる!」

「な………」

 

「「「「なんだってーー!?!?!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ーーその日の深夜。ワシントン軍基地。

 

「ライダー達の搭乗は?」

「完了しました。ビート部隊は、もしもの時のために都市部で避難所を守っています」

「よし…あと一時間で出発だ! これが最後の戦いになるぞ……」

 

  音成の最終兵器の発動に対して、アメリカと特務対策局の対応は迅速なものだった。

 

  まず世間には音成達の情報は隠し、激しい揺れについては未曾有の大災害と発表。それでも世間は混乱するものだが、これはホープソングに変身した乙音が、少しだけではあるが『揺れ』を止める場面を見せることである程度収まり、その間に対ディソナンス用に作られた『災害』シェルターへと人々を収容した。

 

  そして、ライダー達は研究所から素早く移動すると、すぐに出撃準備を整えた。……急な出撃で、少し数を集めるのが遅れたが。なにせ目標となる兵器にはディソナンスの大群が防衛のため詰め掛けているとい予測されており、少し前に攻撃を仕掛けた戦闘機部隊はあっさりと迎撃されて全滅した。

 

「……全員、準備はいいな?」

『バッチリです! みんな乗り込みましたよ!』

『ああ。…迎撃範囲ギリギリで変身して、()()()()()()()()……そういうプランだったな?』

「ああ。……これが、最後の戦いになるだろう」

 

  ライダー達は乙音から、音成が『もうすぐこの星が滅ぶほどの兵器が完成する』……と捨てゼリフを吐いて撤退していたのを、事前に聞いていた。

 

  ショット博士達による解析研究の結果、あの巨大兵器は星のコアまで到達した後、何らかの手段を用いて()()を刺激してーー星を爆発させるようなものだということが判明した。

  もう既にあの兵器は深くまで掘り進んでいるようだ。この作戦が失敗すれば……後はないだろう。

 

『おい、作戦名はどうする?』

『作戦名? ……んー…ヘブンズドア作戦とか?』

『適当に言っただろ。……軍じゃあこういう時、気合いを入れるために作戦名をつけるもんだ』

『それこそ適当言ってない?』

『うっせ。……で、どうする? 最後の決戦だ。作戦名ナシ、ってのも味気ねえだろ』

 

  シキからの提案に、真司はそうだな、と返して頭を悩ます。そうは言っても、刀奈も真司もそういうものには慣れていない。さて、どうするかーーそう思った矢先、通信機越しに乙音の声が聞こえた。

 

『……あ、それじゃあ』

『何だ? なんか案浮かんだのか? 乙音』

『……うん。作戦名はーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーこれより、作戦名『シンフォニー・アタック』を開始する!」

 

  太平洋上空。無数の戦闘機が編隊を組む中、全体の指揮を担当する戦艦艦長が、通信機越しにそう号令を飛ばした。

 

「今回の作戦における我等の役目はただ1つ!『仮面ライダーを無事、敵の元まで送り届けること』だ! ーー全員、死ぬ気で行くぞ!」

 

  世界に名だたる軍事国家であるアメリカ選りすぐりの兵士たち。彼等が操る兵器群が、太平洋上で星を侵食しようとする敵巨大兵器へ向けて攻撃を開始した。

 

 キィィィィ……

 

「艦長! 敵巨大兵器より巨大な熱源を感知! ビーム兵器による迎撃です!」

「なんだと!?」

 

  しかし、アメリカ軍の兵器群ですら話にならないとばかりに、稀代の天才が作り上げた巨大兵器は牙を剥く。その全身に備えた対空砲で戦闘機群を撃ち落とし、ビーム砲で戦艦達をことごとく蹴散らしていく。

 

「うっ……す、凄まじい………」

「ディソナンスの迎撃は?」

「ありません。内部で待ち構えているのでしょうか……」

「……いや、ないなら好都合だ」

 

  ライダー達はいま、上空の戦闘機にも、海上の戦艦の中にもいない。ならばどこにいるのか? 上空にも海上にもいないなら、答えはただ一つーー

 

「ーーミサイル、発射されました!」

「よしっ!」

 

  海中の潜水艦から、敵巨大兵器へ向けてミサイルが発射される。しかし敵巨大兵器はそのミサイルに対して()()()姿()()()()()()()。何故ならば、ミサイル程度ならば容易く防いでしまうバリアが張られているからである。本来ならば敵への迎撃機能も不要だが、それは仮面ライダーへの対策と、人的被害を増やし、乙音達ライダーに無力さを覚えさせようという天城音成の浅はかな狙いによるものだった。

 

  『ミサイルにリソースを割くならば、敵の効率的な殲滅を行う』。そうするよう自動迎撃プログラムを組まれた巨大兵器だったが、それこそが仇となった。

 

「……情報通りか!」

 

  アメリカ軍はこの情報を、先の戦闘機部隊による攻撃で、部隊の全滅と引き換えに得ていた。ーーライダー達の力もあるならば、取る策は一つしかない。

 

「ミサイルの外装、パージします!」

 

  潜水艦より発射されたミサイルの数は3本。そのミサイルは天高く打ち上がり、巨大兵器上空まで到達してーーそこで、その真の姿をあらわにする。

 

「武運をーー祈る!」

 

  その願いの言葉とともに、全体の指揮を執っていた艦長の乗る戦艦は爆発した。沈みゆくその残骸を月光が照らし出すその時、彼等の姿も現れる。

 

 

『『『Over the Song!!』』』

 

【カーテンコール!!!】

 

【オーバー ザ ソング!!!】

 

 

『【ライダー! シンフォニーアタァァァァック!!!!!】』

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」

 

 

  バッ!とその身を翻してミサイルの中から現れたライダー達の一撃が、巨大兵器を包む次元隔絶障壁ーーバリアにヒットする。

 

  本来ならばあらゆる兵器、あらゆる存在の干渉を許さないはずのその障壁が、ホープソングを中心としてライダー達より広がる虹色のハートウェーブに侵食されていき、ギャギャギャギャギャという音を立て、ついに砕け散る。

 

「おおっ!」

「やった! 作戦の第1段階は成功だ!」

「後は……彼女達に賭けるしかない………」

 

 

「行きましょう! この中に天城音成がいるはずです!」

「よし……!」

 

  ライダー達の中で単独で飛行可能なのはダンスとホープソングのみだが、幸いダンス、そしてソングが射出可能な武器であるファイヤーストームブレイカーとストームブレイカーを用いることによって他ライダー達も飛行が可能となる。

 

  コマのように激しく回転するその上に乗って、ライダー達は上空より敵の弾幕を抜けて巨大兵器内部に突入していく。

 

  その様子を見つめながら、アメリカ軍は徐々に後退していった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「内部は相当深いな……もうかなり潜っているはずだが」

「地球の中心まで届く兵器だって話だろ? そりゃ……相当なもんでしょうね」

 

  内部に突入してから30分が経過したが、未だ迎撃のディソナンスはおろか、底すらもまだまだ見えてこない。

 

  巨大兵器内部は薄暗く、壁には不可思議な紋様が描かれている。古代遺跡のようなその雰囲気が、ライダー達に薄気味悪さを感じさせていた。

 

「ディソナンスが敷き詰められてるもんだと思ってたけど……そうでもないわね」

「油断するなよ。足元から砲撃が来るかもしれん」

 

  真司が警戒を促した矢先、彼の足元から高速で砲撃が飛来し、彼の乗っていたストームブレイカーに直撃する。

 

「うおっ!? うおおああああああああ…………」

「先輩!? うわっ!」

 

  次に狙われたのは乙音で、彼女の乗っていたストームブレイカーが真横からの突然の砲撃によって破壊される。

 

「くっ、でも………おおっ!?」

 

  飛行して落ちるのを避けようとした乙音だったが、上空から落ちて来た何かに捕まえられ、そのままその何かと共に落ちていく。高速で落ちたその物体を捉えられたのは刀奈とボイスだけだった。

 

「あれは……ディスパー!? 天城音成か!」

「なんだってアイツが!」

「……まさか!」

 

  ここで桜はあることを思い出す。それは、以前突入した音成の空中要塞についてのことだ。

 

  あの空中要塞は音成自身の意思によって自在に操作され、その構造すらも変化していた。もし、あの要塞が進化したならばーー

 

「……危ない!」

「へ? おおっ!!?」

 

  桜は咄嗟に、手に持つ武器をシキの頭上に向けて振るう。いきなりの行動に仰け反るシキだが、桜の武器に弾かれたものを見て今度は顔をーー見えないがーー青くした。

 

『ハハッ、やるなあ……』

「! お前は……」

「7大愛の1人、ピューマ!」

 

  桜に弾かれたのは無数のクローンとその飛行能力でライダー達を苦しめてきた7大愛の一体、ピューマだった。頭上からシキを襲った彼だが、奇襲を防がれたことに驚いた様子だった。

 

『成る程………音成様がホープソング以外にも警戒しろと言ったのも頷ける強さだ』

「……まだ手が痺れてる………あんた、これまでのピューマとは違うわね。オリジナル、ってやつ?」

『ハハッ、そうさ……僕自身がこうして戦うのは初めてだけど、僕の兄弟達はお世話になったみたいだね………お礼がしたいってさ!』

 

  ピューマがその翼から白い羽を撒き散らし、ライダー達の視界を塞ぐ。それを武器の一撃で払う彼女達だが、その瞬間、大勢のピューマのクローン達に襲われてしまう。

 

『『『『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!』』』』

 

「うわっ」

「おおおお!? な、なんだこりゃ!」

「ええい! 鬱陶しい!」

「………チッ!」

 

  四方から空中戦を得意とするピューマのクローンに襲われてはたまったものではない。シキは真司と同じく落とされ、その最中に姿を消し、刀奈は壁に押し付けられてそのまま中へと消えた。

 

『意外と粘るなあ!』

「こなくそー!」

「………ふっ!」

 

  桜はなんとか姿勢を保てていたが、彼女にはピューマ本人が襲いかかり、ボイスはピューマの群を蹴散らすと、自ら壁の中へと刀奈を追うように飛び込んでいった。

 

「あ!? ちょっと!」

『隙あり!』

「きゃあっ!」

 

  ボイスの方に意識をとられた隙を突かれ、桜はファイヤーストームブレイカーの上から叩き落される。しかし彼女は背から炎の翼を出すと、その翼を振るってピューマのクローン達を焼く。

 

『隠し玉?』

「みんなどっか行っちゃったもの………これぐらいハデにやっても、迷惑はかからないってものよ!」

 

  気合一閃。桜は炎の翼をめいいっぱいに広げると、上に乗る者がいなくなって自由になったファイヤーストームブレイカーを両足に装着する。

 

「さてーー私のライブに付き合ってもらおうかしら!」

『そっちこそ、この僕の輝きに酔いしれるといい………来い! お前達!』

 

  ピューマはクローン達を呼び寄せる。その動きに警戒して何体かを焼く桜だが、その焼かれたクローンも含め、全てのピューマ・クローンが彼の中に取り込まれていく。

 

「あんた……それは……」

『フフフ……強化形態となった君たちを各個撃破するにあたって、音成様は素晴らしい機能を用意してくれてね』

 

 

 

 

 

 

 

 ーー巨大兵器内部、深層

 

「ここは……」

『待ちかねたぞ……ライダー。貴様は……ファングか』

「お前は……!」

 

 

 

 

 ーー巨大兵器内部、上層外周

 

「うぐっ! 壁からここに……???」

『フハハハハハハハ! 私の相手は貴様か!』

「……面倒な相手が来たな!」

 

 

 

 

 ーー巨大兵器内部、下層

 

「くそっ、あいつら……乙音さん達とはぐれちまったな」

『テメェか……ニューヨーク以来じゃねえか!』

「……! 成る程。各個撃破のつもりかよ!」

 

 

 

 

 

 ーー巨大兵器内部、中間地点

 

「ここは……やっぱヘンなとこに出たか」

『ボ、イス……オオオオオオオオオオオオオ!!!』

「……おいおい、正気を失ったか!」

『グオオオオオオオッ!』

「いや……こいつは!」

 

 

 

 

 ーー巨大兵器内部、最下層

 

「ぐっ…どこ? ここ……」

『やあ……待っていたよ』

「! ……お前は」

 

 

 

 

 そしてーー巨大兵器内部、上層

 

()()()()()()()()()()()()()()()……少しばかり自我が薄れるのが欠点だけど、これで僕等は際限なく強くなれる!』

「……イかれた機能ね!」

 

 

  6人のライダー達と対するは、5体の怪人と、1人の狂気。

 

 

「ーーガイン!」

『速さをと力を!手に入れた俺の……俺の一撃を受けてみるがいい! ファング!』

 

 

「エンヴィー! お前の速度では、私は捉えられない!」

『フハハハハハハハ! それはどうかなぁ!?』

 

 

「ゲイル……ここでお前をぶっ倒して、アメリカの人民の恨みを晴らしてやるぜ!」

『やってみやがれええええええっ!』

 

 

「……フィン。テメェ、チューナークラスのディソナンスと一体化しやがったのか……!?」

『ボ、イ、スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!』

 

 

「……………………」

『そう睨まないでくれたないかい? 君の中のディソナンス達も……』

『天城、音成……』

『ライダーとディソナンスにまつわる、全ての……』

『全ての、元凶!』

「……私は、あなたを許さない!」

『……僕がなぜ、君に許しを請わなければならない?』

 

 

「いくよみんな! ……希望の歌、響かせる!」

 

『閉幕の時だ……絶望の音を響かせようか!』

 

 

  今、決戦の時ーー

 

 


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