仮面ライダーソング   作:天地優介

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いろいろ詰め込み過ぎましたけど、満足……

質問なんですが、設定資料は一つに纏めたほうがいいですかね?設定資料5は次話を投稿した後、今までのソングを振り返る形で書きたいと思ってるので、かなり長くなるんですが、やっぱり部ごとに分けたほうがいいでしょうか……?


決闘/決戦のデュオソング

『そらそらそらそらぁ!どうしたぁ!?俺を楽しませてくれないのかぁ!?』

 

「お前を楽しませてやる義理など…無い!」

 

元・東京タワーが存在していた地点。そこで、ディソナンスと人間の決戦が行われていた。

最初の衝突から有利に戦局を進めていた人間達だったが、上級ディソナンスであるバラクとキキカイの登場に、戦局は一転、ディソナンス優勢に傾いていた。

刀奈と桜が巨大ロボット『ベヒーモス』の攻略に頭を悩ませている時、真司はバラクの用いるドラム型の武器、『サクリファイス』の攻撃に苦戦していた。

 

(あの黒い波動……掠めただけでもかなりのダメージだ…おまけに、弾速が速い上……)

 

『ライダーを仕留めるのはオラだぁ〜!』

 

『いいや!このタカネスがその首を貰い受けるねっ!』

 

(ここにきてディソナンス供の連携…!くそっ、バラクに近づく事すらできん!)

 

『サクリファイス』による波状攻撃に加え、ここにきて連携しだしたディソナンス達による絶え間ない攻撃。すでに真司の体はボロボロになってしまっていた。ボイスもディソナンスの群れの中に吹き飛ばされてから、姿を見せない。

刀奈と桜も、なんとか東京タワーが変形した巨大ロボット、ベヒーモスの攻略法を探そうとしていたが、その圧倒的なパワーに刃が立たないでいた。

 

「こんなのどうするってのよ!」

 

「それでも…やるしかない!」

 

『フフフッ!このベヒーモスの追撃からは、逃れられないわよぉ〜!』

 

ベヒーモスの巨体が、信じられないスピードで動く。その拳が、刀奈と桜に迫る。あまりの異様に、諦めかけるライダー達。

だが、そこに一発の銃声が響く。

 

ドゴォォォォン……

 

大きな音を立てて、突如膝をつくベヒーモス。その体に、次々に光弾が撃ち込まれる。

 

『へっ…どうした、よ……諦めちまう、のか?』

 

その光弾を放ったのは、ディソナンスの群れにボロボロにされつつも諦めず抵抗を続け、群れの中から脱出したボイスだった。

 

「誰が……!少し準備運動をしていただけだ」

 

そう言ってボイスの背後から迫るディソナンスを叩き殺す真司。ボイスと真司は、ディソナンス達に向かって啖呵をきる。

 

『お前らはこれぐらい揃えれば、オレ達を倒せると思ってるみてぇだけどなぁ……オレ達がそれぐらいでやられっかよ!』

 

「そうだ、オレ達は確かに共に戦った時間は短いかもしれない。だが、お前達よりも、遥かに強固な絆で結ばれている!」

 

「そうだ!真司!」

 

ベヒーモスの巨体の向こうから声が響く。刀奈の声だ。

 

「私と桜はまだ出会って一ヶ月程度も経っていない……だが、まるで長年の友のような絆がある!」

 

「友人関係に時間なんて関係ない!頼れる友達がいれば、心は強くなる。そして、私達は心で強くなる!」

 

『っ…なに!?ライダー達のハートウェーブが増幅している…!?』

 

『へっ…楽しませてくれやがる!』

 

真司がその手を振り上げ、号令を放つ。

 

「今こそ…俺達の力を見せる時だ!」

 

「「「応!!!」」」

 

真司達のレコードライバーが光り輝き、その光がディソナンス達を焼いていく。正しき心の音色が、不協和音にその存在を許さない。

刀奈と桜がまずは周囲の機械兵を片付けていく中、真司とボイスは真っ直ぐにバラクを討とうと駆ける。

 

「おおおおおっ!」

 

『でりゃあああ!』

 

『……!』

 

黒い波動を躱し、邪魔なディソナンスを潰し、バラクに向かって走る。それを繰り返すうち、いつしかバラクと真司、そしてボイスの戦いを邪魔するものはいなくなっていた。真司とバラクが取っ組み合い、ボイスが真司を援護する。

 

『こいつは決闘ってとこか……!ライダー!』

 

「お前との因縁……ここで決着をつける!」

 

『あいつら…乙音やゼブラのためにも、負けらんねぇんだよ!』

 

いつしか歌が流れ出す。だがそれは今までのものとは異なる、ボイスと真司のデュエットだ。

決闘のデュオ・ソング…今、過去を背負い、未来を支えようとする二人と、バラクとの最後の戦いが始まろうとしていた。

 

《たとえ喉が焼き切れようと……》

 

『まずはオレが!』

 

《その先に…見たかったモンがあるってんならオレは歌うさ…》

 

まずはボイスがバラクの周囲で浮かぶ『サクリファイス』に攻撃する。一つは破壊できたが、三つは残る。

 

《たとえ腕が千切れ飛ぼうとも……》

 

「喰らえ!」

 

《この背の後ろの…守りたいもののため、俺は戦う…!》

 

ファングの牙がここぞとばかりに襲いかかる。バラクは咄嗟に『サクリファイス』の一つを盾とするが、あっさりと突き破られ、攻撃を受ける。

 

《 《誰もが、戦い、歌い、後悔、抱いて生きる》 》

 

『ちっ!俺が思わず防御しちまうとは、なんて破壊力だ!』

 

《だが俺達には、後悔などないっ!》

 

「まだ驚くには早いぞ!」

 

ファングが空中に飛び上がると、そこにいたのはすでに必殺技の発動準備を終えたボイス。無機質な電子音声と、熱き咆哮と共に渾身の弾丸が放たれる。

 

《そんなものとっくの過去に、置いてきちまった》

 

『食らいやがれぇぇぇ!』

 

《 《それに、未来には持っていけないものだろう》 》

 

『うおおおおおおっ!?』

 

ボイスの一撃をバラクは破壊のエネルギーを纏わせた『サクリファイス』で防ぐ。強大なパワーをもったボイスの一撃も、増幅された純粋な破壊の力を前に、歯が立たない。

 

《 《過去は、戻らない時計の針はただ無情》 》

 

 

『このまま押し返してやる…!』

 

『まだだ、ファング!』

 

《だから歌う》

 

「させるかぁぁぁぁっ!」

 

《だからそう戦う》

 

真司も必殺技を発動し、そのエネルギーをバラクに向かって照射、ボイスの弾丸はますます勢いと力を増し、バラクの破壊のエネルギーを破ろうとしていた。

 

《 《そうさ、楽園、守るために今》 》

 

『負けるかよぉぉぉぉっ!人間!』

 

《この豪腕をーー》

 

「ぐ…おおおおお!」

 

《弾丸と放ちーー》

 

『最後のダメ押しだぁぁぁぁっ!』

 

ボイスが再び必殺技を発動し、即座に放つ。

 

『rider ultimate cannon!』

 

《 《絶望、破壊するーー!》 》

 

『ぐおっ!?』

 

そして、爆発。周囲の雑魚ディソナンスを蹴散らすほどのそれだったが、バラクはまだそこに立っていた。その体には、戦いの楽しさからくるものなのか、感情のエネルギーが満ちており、今にも解き放たれそうだ。

 

『こいよてめぇら…!まだ間奏に入るぐれぇじゃねえか…!』

 

『へっ、途中でへばんなよ?』

 

「いくぞ、バラク……っ!」

 

二番へと入り、ボルテージアップするバラクとの戦い。真司とバラクの拳が激突し、ボイスの弾丸がその隙を突く。

 

《そうさこの歌は未来に生きる者たちを支えるためーー》

 

『どうしたぁ!?さっきまでの威勢は!』

 

《贈る命からの応援歌なのさ……》

 

『こいつ……!なんて力してやがる!オレの弾が弾かれちまう!』

 

《そうさこの歌は過去に死した者背負うためーー》

 

『俺をもっと楽しませてみろよ!』

 

《贈る魂からの、そうさレクイエムッ!》

 

「こいつ……!際限なくパワーが上昇していっているのか!?」

 

ボイスの弾丸も、真司の牙も、どちらもバラクの纏い振るう、圧倒的な『破壊』の前に、歯が立たない。

だが、こんな状況を打ち破ってきたのが、彼ら仮面ライダーであるのだ。

 

《 《誰もが、何かを、支え、何かを、背負っている》 》

 

「あれでいくぞ……!」

 

『わかった!』

 

《後悔のない、人生はないーー》

 

『何かやるつもりか!?やらせるかよ!』

 

短い言葉を交わし、即座にレコードライバーに手を伸ばす二人だったが、バラクの放つ破壊のエネルギーが、ボイスの仮面に直撃する。

 

《だからそうさせめて、歌を歌おうぜ》

 

『ぎ、いいっ!?』

 

「ボイス!?」

 

『よそ見してんじゃねぇ!』

 

思わずボイスの方を見てしまった真司も、顔面にパンチを受け吹き飛ばされる。ボイスの横まで飛ばされた真司は、自身の仮面が半分砕けているのも気にせず、ボイスの安否を確認する。ボイスも立ち上がろうとしていたが、その仮面は、口元が割れていた。

 

「ボイス、お前……!」

 

絶句する真司に、ボイスはニッと笑うと、再びレコードライバーに手をかける。ボイスの真意を読み取った真司も、レコードライバーに手をかけ、共鳴させる。合体技の発動だ!

 

《 《 そうすれば、重荷もせめて軽くなるっ!》 》

 

『なんだ…!?ハートウェーブの増大!?』

 

「「おおおおおおおおおっ!」」

 

焼けた喉で真司と共に咆哮するボイス。その目には、確かな意思が宿る。ここで決着をつけるという意思が。

 

《 《過去は、戻らない!時計の針はただ進むだけ》

 

『『rider rocket Punch!!』』

 

《だから支える》

 

「「喰らええええええっ!」」

 

《だからそう背負う》

 

『来やがれええええっ!』

 

巨大な拳にも、顎門にも見えるものに変形した真司、をエネルギーの本流と共にボイスが打ち出す。エネルギーの余波で周囲の地面が抉れていく中、バラクは全力の破壊で、真正面から対抗する。

 

《 《共に、この世界、生きる楽しさをーー!》 》

 

『ぬうううううおおおおおおおお!』

 

《大声で叫びーー!》

 

「いけえええええっ!」

 

《この牙に込めてーー!》

 

「トドメ…だぁぁぁぁっ!」

 

 

《未来へと、進もうーー!》

 

『ぐおおおおおおおおおあああああああああああああああああっ!』

 

破壊のエネルギーが僅かに陰りを見せたその瞬間を、獣の牙は見すごさない。

咆哮と共にバラクを喰らいつくさんとした力の奔流は、瞬く間にその体躯を飲み込みーー

 

『へ、へへ……楽しかったぜぇぇぇ!お前らとの勝負…!』

 

その言葉を最後に、バラクの肉体は消滅した。

 

「ゲブッ…やっ…ぐっ…やった、のか?」

 

「辛いんだろう?あまり、喋るな……」

 

こうして、真司とボイスの、バラクとの戦いは、二人の勝利に終わった。

だが、戦いはまだ続く。バラク側のディソナンスは、バラクの死に動転し、地下へと逃げ込もうとして真司達にやられていたが、刀奈と桜は、ようやくキキカイの生み出した機械兵を、全て倒し終えたところだった。

 

「桜……」

 

「……ここまで来たら、やるっきゃないわね。歌姫のデュエット、見せてあげましょう」

 

『何やるつもりかしんないけど…まだまだ兵はいるのよぉ〜!』

 

キキカイが再び機械兵達を生み出す。しかし、刀奈と桜は、すでに巨大ロボット、『ベヒーモス』の攻略法見つけていた。後はそれを実践するだけだ。

 

「危険かつ即興、だがやらねばならない!」

 

「ライブ中の急なアクシデントにも対応する、それが真のプロアイドルってものよ。あんた達は、私達のライブパフォーマンスについてこられるかしらね!?」

 

二人のレコードライバーより、音楽が流れだし、彼女達も歌う。そう、この場は彼女達のライブステージ、歌うのは決戦のデュオ・ソング。ならば、彼女達が歌うのは必然的な流れーー!

 

「《 嵐の中で、叫び続ける》」

 

「《誰かの声が、心に響く》」

 

『歌ってるなんとかなるもの!?理解できないわぁ!』

 

桜と刀奈はキキカイが再び生み出した機械兵を、今度は無視して真っ直ぐにベヒーモスへと向かう。キキカイを狙っても、周囲の機械兵に阻まれるだろうと考え、相手の最高戦力を潰しにかかったのだ。

 

「《桜のように、儚き命》」

 

「《心から贈る、歌声を》」

 

『あんた達!ベヒーモスに近づけるんじゃないわよぉ!』

 

機械兵達に加え、バラク側にいたディソナンスも、一部がキキカイの援護に入る。その矛先はすべて、刀奈と桜に向けられているが、彼女達は止まらない。

 

「《運命、それに踊らされ…嘆いた時もある》」

 

『voltage MAX!!』

 

「《だけど、剣をこの手に…そう…道を切り開くーー》」

 

『rider over burst!!!』

 

前方に展開する敵の中心へと専用武器、『ダンシングポール』を使って一気に跳躍し、飛び込んだ桜は必殺技を発動。周囲の敵を一気に吹き飛ばす。

 

「《 《Live&danceこのステージで、踊り狂う先にーー!》 》」

 

「《 《Live&song歌声を響かせ、世界中で戦うーー!》 》」

 

残った敵を刀奈が蹴散らし、ベヒーモスへと近づく。しかし、ベヒーモス自体も決して黙っているわけではなく、予想以上のパワーとスピードで二人を踏みつけんとする。

 

「ぐぅっ……!」

 

《 一筋だけの、光が瞬く》

 

「刀奈!?大丈夫!?」

 

《そびえ立つような、闇夜の中で》

 

「ああ…だが、これは厄介だな…」

 

『ベヒーモス!そのまま潰しなさぁい!』

 

ベヒーモスの踏みつけ攻撃を避ける2人だったが、あまりの激しい攻撃に、歌も歌えない。そのうえ、周囲のディソナンスもベヒーモスの攻撃を意に介さず襲ってくる。

 

「ぐ…これでは、パワーを出せん…!」

 

《その歌声は、どこへと響く》

 

「ああ、もう!しつこいのよ!アイドルのライブを邪魔すんな!」

 

《虚空に虚しくただ響くだけ》

 

必死にディソナンスの攻撃を裁く2人だったが、ついに桜が捕まってしまう。そこに、ベヒーモスの足が振り下ろされーーなかった。

 

《信じあえる仲間がいれば……》

 

「俺たちには、これぐらいしかできんが!」

 

「頼む、ぜ!ディソナンス、どもは、オレ達で相手を、する!」

 

《何も、恐れないよ……》

 

『なっ…!あいつら、あっちで抑えてたんじゃないのぉ!?』

 

『すみません!逃亡する者が多く、ライダーどもを抑えきれませんでした…!』

 

真司とボイスの必殺技によって放たれた必殺技のエネルギーが、振り下ろされようとしたベヒーモスの足に直撃した。破壊まではできなかったが、足をそらし、桜を救出する事に成功したのだ。

 

「桜…!」

 

「ええ…!歌いましょう!私達の歌を!」

 

そして、二人は再び歌を歌い、同時に必殺技を発動する。合体技で、一気に勝負を決めるつもりだ。

 

「《 《世界中にステージ広げて、旋風を巻き起こせーー!》 》」

 

『rider blade storm!!!』

 

刀奈が桜の巻き起こした竜巻に乗り、ベヒーモスよりもさらに高く高くへと飛翔する。そして、その竜巻はディソナンス達を根こそぎ蹴散らしていく。

 

「《 《世界中のステージで、歌声を響かせーー!》 》」

 

そして、刀奈の持つ剣が巨大なエネルギーを纏い、ベヒーモスの巨体を切り裂いて行く。そして、そな真下にいたキキカイですらもーー

 

『そ、そんな……!こんな事、ありえないわぁぁぁぁ!』

 

刀奈が着地し、一瞬の静寂の後、キキカイの爆発と共にベヒーモスも爆発を起こす。

ちを揺るがす大爆破を起こすが、すでに東京タワー周辺は更地となっており、また、ライダー達にも被害は出ていなかった。

「お、お疲れ〜って言いたいけど…!」

 

「あ、ああ…おと、ね…ゼブラ、は…グフッ」

 

「ボイス、喋るなと言っただろう…?……居ないな、瓦礫に巻き込まれてもない……」

 

「ならば、すでに地下か…急ごう」

 

疲れ切った表情のライダー達だったが、乙音とゼブラが地下へと向かったのならば、その援護に向かわねばならない。痛む体をおして、地下へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狙いは、なに?」

 

いっぽう、乙音達のチームは、広大な地下空間をドキの案内でさまよっていた。道が複雑に分かれており、ドキの案内なしではかなり時間をかけてしまったことだろう。

 

『次は、こっちだ……』

 

なぜわざわざ自分たちに利するような行動をするのか、それがわからないゼブラは、ドキの狙いを探ろうとするが、無視される。

この状況にしびれを切らしたのは、意外にも勝だった。彼にとっては、ディソナンスは自身の人生を大きく変えてしまうものだったからだ。

 

『貴様、いいかげんにーー』

 

だが、乙音がそな発言を制止する。何か言いたそうな勝だったが、香織も勝を引き止めたので、仕方なく引き下がる事にした様だ。しかし、その直後すぐにドキが口を開く。

 

『……理由だ』

 

「え?」

 

『私には理由が無くなったのだ、お前達と敵対する理由が』

 

「…それは、なんで?」

 

優しい声音でドキに尋ねる乙音。

 

『あの人間…美希といったか、あの女になぜ人が怒るか尋ねた時だ…』

 

(…なんで怒るかって?それはね、許せないことがあるからよ!)

 

『あの人間は、私にそう言った…怒りとは力だ、だからこそ、私はなぜそれが生まれるか知りたかった……』

 

「……………」

 

『だから、お前に負けた時、次こそは必ずその理由を解き明かしてみせようと思ったのだ、それが私の理由になると、そう思っていた』

 

『だが、それは理由には…ならなかった』

 

「……なぜ?」

 

『私の根底には、常に怒りがあった。この世に生まれた理由がわからないことへの怒りが。だが、その怒りが無くなってしまっていた。あの女と話してからだ』

 

地下空間に足音が響く。誰もが押し黙る中、ドキは話を続ける。

 

『…許せないからこそ怒る。確かに真理なのだろう…そして、私の戦う理由はいつも根底にある怒りだった……だがそれが無くなってしまっていたのだ』

 

『お前達と相対すれば、怒るだろうと思った。だが、私にとってお前達の存在は、許容できるものだったらしい』

 

「……ドキ…」

 

不意にドキが立ち止まり、体を横に引く。ドキの巨体が退いた先には、今までの枝分かれしていた道とは異なり、一本の、真っ直ぐな道があった。

 

『…保管装置とやらはこの先だ、行くがいい……』

 

そう言って立ち去ろうとするドキに、勝がどこ行くのかと尋ねる。その問いにドキは、旅に出るのだと答えた。

 

『人間とは自分探しの旅をするらしいな……私もそうだ』

 

去りゆくドキの背中に、乙音が言葉を投げかける。

 

「ドキ……ありがとう!」

 

その言葉を受け、一瞬立ち止まるドキだったが、すぐにまた歩きだし、地下迷宮の暗闇の中へ消えていった。それを見送った乙音は、目の前に広がる、真っ直ぐな道の先を見つめる。

 

「皆…行きましょう!」

 

その乙音の号令と共に、ついに保管装置への道を歩き出す乙音達。幾人かはここに残り、外部のライダー達に自分達の居場所と、地下空間のマップを伝える。

歩きだしたその先に待ち構えているのは、保管装置とカナサキ。ついに、ディソナンスとの5年間に渡る戦いも、終わりの時が見えようとしていたーー

 

 

 

 

 

 




Q.歌演出いる?

A.いる……けど、セリフありだとテンポに悩むし、セリフなしだと戦闘の展開に困るという逃げ場なしの表現方法。正直戦闘シーンはみかけ以上にクソ苦労してます。戦闘描写自体が苦に感じるわけじゃないんですけどね……。次回はついにクライマックスです。伏線なんて一ミリも張ってない気がしますが、なんとかなると信じたいです。

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