今回は燃え尽きました、しばらくかけねぇ……
あ、仮面ライダーツルギの外見は頭部に三日月があって、それが特徴です。戦国武者の兜のイメージ。
だめだーー!《》を新しく歌の歌詞を表す記号にしてたんですが、それがミスでした。応急処置はしましたが、また考えなければ……
「私から、ディソナンスが⁉︎」
「そうだ、体に異常はないようだが……新たに現れたディソナンス、厄介だな……」
特務対策局の訓練室。その近くに設置された休憩室で、乙音と真司は話していた。
真司から戦いの事を聞いて驚愕する乙音。しかし、自身から生まれた白と黒のディソナンスの事を聞いて、何やら考え込んでいるようだ。
(ディソナンス……でも、あの感覚は……)
「……どうした?」
「いえ、なんでも……って、香織さん?」
そこに現れたのは香織だ。乙音に話があるようで、2人きりで話させてほしいと言って、真司を休憩室から追い出す。
「それで……話って、なんですか?」
「……あなたから発せられるハートウェーブに、ディソナンスのものと酷似したパターンのものがあったわ、おそらく、あの白と黒のディソナンス……『ゼブラ』を生み出した影響によるものね」
「ディソナンスと……⁉︎それって、大丈夫なんですか⁉︎」
「さっき訓練室で戦ってもらったけど、乙音ちゃんは何か違和感はあった?」
「いえ、大きな違和感はありませんでした。でも……」
「でも?」
「なんだか……あの上級ディソナンス……バラクの事が、怖くなくなったんです。さっきの訓練でもいつもより攻勢に出れましたし……」
「……そう。心配はいらないわよ、乙音ちゃん。体にも異常はないし、万が一にでもあなたが怪物になってしまったりとか、そういう深刻な変化はないから。むしろ、話を聞いた限りだと体調が良くなっているみたいだし」
「そ、そうですか!良かった〜」
その後、香織と別れた乙音は、しばらく休憩室で考え事をしながら過ごしていたが、そこに猛からの連絡が入る。白と黒のディソナンス…ゼブラに対しての作戦会議だ。
会議では泣きながら逃亡したゼブラに対して、同情的な意見もあったが
「演技だろう」
「奴らには情けなど不要だ」
と、真司と刀奈が主張し、他の職員からもゼブラに対して否定的な意見が目立つ。
そんな中、会議はゼブラを生んだ張本人である乙音の判断をまずは尊重するという事になったが……
「私が……決着をつけます」
そう乙音が言い放った瞬間、会議室にゼブラ補足の報が入る。場所は近く、ライダー達にすぐさま出動の命が下される。
「乙音君」
「?……はい?」
「君の心が正しいと思う事を、したまえ」
「……はい!」
現場へと急ぐ3人。いっぽう、ボイスもまた、ゼブラを補足し、自前のバイク『クレッシェンダー』で現場へと急行していた。
『……ちっ、あの白黒ヤローはどこに……ん?』
『む、無我夢中で逃げ回ってたけど……ここどこ〜?』
『……いたか!』
『ぴっ!あ、あの怖い人だーー!』
『待て!……くそっ、なんだよあの逃げ足の速さわよぉ!あれじゃまるで馬だな!』
ボイスから逃亡するゼブラ。しかし、森の中に入ったところで力尽きたのか、その場に転がる。
『も、もう、動け……』
そこに現れたのは、仮面ライダー……ソング。乙音だ。
『……ひっ……』
乙音の姿を認めたゼブラは逃げようとするが、先ほどの走りで体力を使い切ってしまったためか、それとも恐怖のためか立つことができず、ただ迫り来る乙音の姿を呆然と見つめるだけだ。
「……………………………………」
『こ、こないで……』
ゼブラに向かって歩み続ける乙音。そこに真司と刀奈も駆けつける。
「ここにいたか……!」
「後輩!加勢を……!」
ゼブラに向かって駆け出そうとする2人。しかし、乙音は2人を手で制止し……そして、変身を解除する。
「⁉︎」
「後輩!何を⁉︎」
2人の言葉も無視し、ゼブラに向かって歩み寄る乙音。怯えるゼブラのすぐ前方まで近づくと、しゃがみ、ゼブラを抱きしめる。
『え…?え……?』
「大丈夫だよ、大丈夫だから……」
乙音の行動に戸惑う2人。しかし、ゼブラが何のアクションも起こさず、おとなしく乙音に抱きしめられているのを見て、2人も変身を解除する。
「後輩、これは……」
「……あの時、この子が生まれた時、私の心の中から何かが剥がれていくような感覚がしたんです」
「何……?」
「ディソナンスって、感情を学ぶたびに強くなっていくんですよね?」
「あ、ああ……」
「あの時、私の中から剥がれ落ちたのは、きっと私の中の絶望です。香織さんは、私のハートウェーブの中にディソナンスのものに酷似したのが混ざってるって言ってましたけど……たぶん、絶望っていう感情がなくなってしまったから、だからディソナンスみたいなハートウェーブが私から発せられたんだと思います」
「そんな、事が……?」
「……確かに、俺との訓練の時、お前の攻撃はいつもより激しかったが……だからといって!」
「私も、この考えには半信半疑でした……どうせ、私の勘違いだって。でも、この子を見た瞬間、確信に変わったんです。この子は、私の絶望から生まれたディソナンスなんだって……」
そう言うと、自分が立ち上がると同時、ゼブラの手を引いて立ち上がらせる乙音。
「あなたの名前……ゼブラっていうの、私の……仲間が名づけてくれたんだよ?」
『ゼブラ……ゼブラ……良い、名前です……』
「気に入ってくれた?」
『はい!えっと……お母さん?』
「……さすがに、それはまだ早いかなぁ……よし!私の事は乙音お姉ちゃんと呼んで!」
『……はい!わかりました!乙音お姉ちゃん!』
『……なるほど、ソングの絶望から生まれたから、あんなにオレ達を怖がってたワケだ』
「ボイス……」
『意外すぎる展開だが、まぁいいんじゃねぇの?楽できるんならそうした方が、それに……』
ボイスの視線の先には、ゼブラの質問に答える乙音の姿があった。2人はまるで姉妹のようであり、親子のようでもある。
『あーいうのを見せられちゃあな?』
「確かに、な……真司、彼女の事は」
「……香織さん達への報告が面倒だが、どうやらあのディソナンスは後輩がものを教えるらしい……逃げ足の速さといい、成長すれば戦力となるかもしれん……こんなところか」
『いや、それは却下させてもらうぜ』
そこに現れたのは、バラク。見れば傍らには2体の中級ディソナンスを引き連れている。
『我が名はタカリ、バラク様の従者』
『我が名はトラコ、バラク様の従者』
『今回は俺の従者どもも連れてきた、せいぜい楽しませてくれよ?』
「バラク……!」
「ボイス、手を貸せ!」
変身し、バラクたちに向かって突撃する真司と刀奈。ボイスもそれに続き、一歩遅れて乙音も戦列に加わるが
「ぐっ!こいつ……早い!」
「馬鹿な、私の剣が……通じない⁉︎」
『我々には貴様らの攻撃など通じぬ』
『そら、絶望するがいい!』
タカリがその速さで真司を翻弄し、トラコがその堅牢さで刀奈を封じ込める。ボイスとソングも2人を援護しようとするが、バラクにはばかれ、なすすべがない。
そうこうするうち、ボイス、真司、刀奈の動きが鈍ってくる。タカリの能力で徐々に精神的な負担が増え、体の動きも鈍ってきているのだ、そして、その隙をトラコに突かれ、吹き飛ばされる3人。3人とは離れた所でバラクと戦闘していたためタカリの能力から逃れていた乙音も、バラクの破壊の前になすすべなく吹き飛ばされる。
「つ、強い……」
「ぐっ……これほどの相手が……」
『く、くそっ……!』
変身解除までは追い込まれていないものの、精神と肉体、双方のダメージによって立ち上がれない3人。乙音はその3人を庇うように前に出るが、ディソナンス3体相手には立ち向かえず、ゼブラの近くにまで吹き飛ばされ、変身も解除される。
『おいおいおい、これまでかよ?……白けた、おいお前ら、トドメを刺せ』
『了解致しました』
『まずは、そこの。我らの裏切り者から』
タカリとトラコはゼブラに向かって迫る。しかし、それを許す乙音ではない。ゼブラを守るため、2体の前に立ちはだかる。
『どうやら、自分から死にたいらしい』
『ならば、望み通りにしてやるか?』
「……たとえ」
『……?』
「たとえ、失敗し続けたって……諦めるわけにはいかない!」
毅然と言い放った乙音の手の中にあったのは……割れた新型ディスクだ。
「私は、挑戦し続けてやる……!どんな事にだって!」
『ほ〜う?……俺相手でもか?』
そう言って前に出てくるバラク。全身から破壊のエネルギーを溢れさせ、殺意を振りまくバラクだったが、乙音は凛と立ち、返答する。
「もちろん、あんたなんかに……」
ディスクをレコードライバーへと挿入する。
「あんたなんかに絶望するようじゃ、世界は……救えない」
そう言って変身ボタンを押すが……鳴り響くのは無慈悲な『error』という電子音声のみ。
『error』『error』『error』……そう鳴り続けても、乙音は諦めない。
『……もういいいよ、お前。……取り返しのつかない失敗ってやつを、経験させてやろう』
バラクの右腕にエネルギーが収束していく。
『死ね』
放たれたエネルギーは乙音に向かって真っ直ぐ伸びていきーー
爆発
乙音の体が、爆発の煙で見えなくなる。
『……っ!ソングっ!!』
「後、輩……‼︎」
「なんという事だ……っ!」
乙音が爆炎に包まれた事実に、絶望する3人。その3人を見てバラクは……
『さ、これで3対3だなぁ』
そう無慈悲に言い放つと、3人に向かって歩みを進めーー「いいや」
『……何?』
「あと2カウント……足りないよ」
爆炎の中から、声が響く。
『T!』『E!』『T!』『E!』『T!E!T!E!T!E!T!E!』
『try & error‼︎』
爆炎の中から現れたのはーー『2人の』ソング。
『何……⁉︎』
『あの、姿は……!』
「やったんだな!後輩!」
「こっちが私で」 「こっちも私」
爆炎の中から現れた2人のソングは、白と黒のカラーと、頭部のツノで分かれていた。白のソングが右側、黒のソングが左側にツノがある。
「「光と闇……心の共鳴!響かせる!」」
2人のソングがそう言い放った瞬間、歌が流れ出す。
《何を寄る辺に立てばいい?》《何を信じて信念にすれば?》
《 《広がりゆく絶望の中で……》 》
『グ、ググ!舐めるな!』
タカリとトラコが2人のソングに向けて突撃する。タカリは白のソング、トラコは黒のソングだ。
《見えてくるライト & ダークネス》《相反するダブルスタンダード》
《 《2つ渦巻いて心作ってく……》 》
タカリが白のソングに対して手をかざす。精神消耗攻撃を仕掛けるが、様子がおかしい。
『ば、馬鹿な……!人間が抵抗できるはずは……!』
《明るすぎて見えてこない》《見えやしない未来》
《 《でもそれくらいがちょうどいいのさ》 》
《 《未来なんて元々、見えやしないものだろう?》 》
《この手に、光を……》
「ごめんね、この私に精神攻撃はそんなに効かないの、あなたのじゃ、弱すぎだね!」
『ば、馬鹿な…!馬鹿な…!』
動揺して機動力を活かせないタカリに、手に持った手槍で攻撃する白のソング。
『ぐわあっ!』
《 《let's go! try&error! try&error!》 》《絶対!》《絶命!》
《 《そのピンチをチャンスに変えるから……》 》
「さあ、いくよ!」
《 《wearego!try&error!try&error!》 》《ライト&!》《ダークネス!》
《 《2つの想い1つに合わせて……》 》
《 《Go……ahead!》 》
今度はこちらが攻勢に出る時だと言わんばかりの猛攻を仕掛ける白のソング。一方、黒のソングはトラコと対峙していた。
《広がりゆく絶望の中で》《心に残った微かな希望》
《 《それに縋って進むしかない……》 》
『そ、そんな!俺の攻撃が、通じないなんて!』
《掴むのはライト&ダークネス》《相反するD&S》
《 《使いこなさなきゃ進めない……》 》
「ごめん!この私には、そんなに物理攻撃は効かないんだ。だから、もうちょっと頑張らないと!」
『そ、そんな事を……!』
《暗すぎて見えてこない》《見えやしない過去》
《 《でもそれくらいでちょうどいいのさ》 》
《 《過去なんて元々、忘れてしまうものだろう?》 》
《この手に、闇を……》
ソングの挑発に焦るトラコだったが、そもそも攻撃が大振りになって当てれていない。
《 《let's go!try&error!try&error!》 》《失敗!》《成功!》
《 《そのどれもが、僕を作るから……》 》
「今度はこっちからだ!」
《 《wearego!try&error!try&error!》 》《闇と!》《光!》
《 《2つの心1つに合わせて……》 》
《 《try & Go!》 》
タカリとトラコを追い詰めた2人のソングは、必殺技を放つ。
『voltage MAX!!』
『rider…!double shoot!!!』
「「おりゃあああああああ!!!!!!!」」
2人のソングから投げられた手槍を、空中でキック。手槍は空中で交差すると、それぞれタカリとトラコに直撃する。
『馬鹿な……!馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁぁぁぁっ!』
『そんな……!そんなそんなそんなぁぁぁぁっ!』
2体のディソナンスを撃破した手槍は、そのままバラクへと向かう。しかし、バラクの持つ破壊のエネルギーによって弾かれてしまう。
巨大なエネルギーのぶつかり合いによって爆ぜる大地、捲き上る土砂。
『こんなもので、俺を……!むっ⁉︎』
しかし捲き上る土砂の中から出てくるのは黒と白のカラーのソング!2人のソングが合体した姿だ!
《 《この手に、この手に……》 》
《 《let's go…try&error try&error》 》《希望》《絶望》
《 《希望勝たなきゃ、心無いから……!》 》
「うおおおおおおおおっ!」
バラクへ向かって突撃するソング。手には武器を持たず、パンチとキックだけでバラクを押し込んでいく。
《 《wearego!try&error!try&error!》 》《創造!》《破壊!》
《 《創造勝たなきゃ、この世界無いから……!!》 》
『ぐ、う、うおおおおおおおおっ⁉︎』
怒涛の連続攻撃によって浮き上がるバラクの体。ついに吹き飛ばされたバラクを、乙音は追撃する!
《 《Go ahead!try&error!try&error!》 》《try!》《&Go!》
《 《何も恐れず、挑戦して行こう…!!!》 》
『voltage MAX!!!!!!!』
『rider……maximum shoot!!!!!!!』
「おおおおおおっ!りゃああああああっ!」
《 《try!try!!try!!!》 》
『ぐ、あがああああああああああああああああ!!!!!!!』
必殺技を受けて木々を折りながら吹き飛んで行き、ついには見えなくなるバラク。対する乙音は華麗に着地し、腰のマントを払う。
「……やった!」
「よくやった!後輩!」
『………っ!』
「あれが、新しい……!」
「これが、私の力……!」
その場でじっと両手を見つめる乙音を包むのは、勝利の余韻だ。勝ち取った証だ!
今は、それを味わう乙音であった。
『く、くく……まさか、あそこまでとは……』
『楽しめたか?バラク』
『ああ……次はお前が、行くか?』
『なあ……カナサキ』
ダブルエックスの挿入歌を聴きながら書きました。歌詞も、かなり影響されてますね。
次回より新たなる力編となります。