劣等生の弟は天才(天災)   作:lerum

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全然進みません。
達也たちが生徒会室に呼ばれる日を間違えていたので修正しました。
昼休み→後日



入学編Ⅱ

  零夜が兄の達也の元に来た時、そこには修羅が降臨していた。零夜は、またかっ! と思いながらも仲介に入る。

 

「落ち着けって、姉さん。俺たちの兄さんは、今日初めて会った人とデートする、何ていう非常識な男じゃないだろ? 見たところクラスも同じみたいだし。だから落ち着けって、怖いから」

 

 突如、現れた零夜に暫し硬直していた深雪だが、零夜が深雪をジト目で見ていることに気が付いたのだろう。ハッと我に返ると、静かに一礼と謝罪をした。

 

「申し訳ありません。初めまして、司波深雪です」

 

 零夜の登場と深雪の謎の威圧感に気圧されて、達也の後ろに隠れる形になっていた二人の女子生徒は、顔を見合わせ笑みを浮かべた。

 

「柴田美月です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

「私は千葉エリカ、エリカでいいわ。私も深雪って呼んでいい?」

 

「ええ、どうぞ」

 

 何とか場を収めることに成功した零夜。忘れられることには慣れている様子で、気にしている様子は見られない。もっとも、それは表面上だけの話で、内心では「また・・・また、忘れられてる・・・ははっ・・・」と物凄く落ち込んでいるのだが。そんな中、以外にも零夜に声をかける人物がいた。

 

「また会いましたね? 改めて、七草真由美。この学校の生徒会長を務めています」

 

「いえ、今朝はすみませんでした、七草先輩」

 

「お気になさらず。ところで、今回声をかけたのは、お願いしたいことがあったからです」

 

 零夜の謝罪を受け入れた真由美が、真剣な表情になったのを見て、零夜は姿勢を正した。

 

「お願いですか? 要請などではなく?」

 

「ええ、あくまでお願いです。司波零夜くん、生徒会役員を務めてくれませんか?」

 

「生徒会役員ですか・・・。幾つか質問があります。よろしいでしょうか?」

 

 少し考え込むように顔を俯かせた零夜は真剣な表情で顔をあげた。

 

「ええ、もちろんです。生徒会長の権限で答えられる範囲であれば、ですが」

 

 暗に、十師族としての権限は使わない、と言う真由美。零夜としては、もとよりそんなつもりはない。なので、軽く頷いて口を開いた。

 

「第一に、どうして俺なんですか?」

 

「朝も言ったように、あなたの成績が高かったことが大きな理由として挙げられます」

 

「つまり、俺より成績が良かった姉さんにも声はかけていらっしゃると?」

 

「これから声をかけるつもりです。現在、生徒会役員の枠が二つ空いています。その空いた席にあなたたち姉弟に加わっていただきたいと考えています。とはいえ、深雪さんはお話しの最中ですし、昼休みにお願いすることになると思います」

 

 零夜が一番危惧していたのは、深雪の生徒会入りに関することだ。達也が原作に大きく関わる要因の一つに、深雪を介した生徒会役員との交流がある。零夜は、自分が生徒会役員に選ばれることで、深雪が生徒会役員に選ばれないのではないか、と考えていたのだ。両方ともに声をかけると言う真由美に対し、零夜はこんなところでも原作と乖離しているのか、と心の中で盛大な溜息を吐いた。

 

「第二に、生徒会役員の中でも、どの役職に就くことになるのか、またその活動内容を教えてください」

 

「生徒会の空いている席は書記が二枠となります。なので、その枠を埋めていただくことになります。活動内容に関してですが、主に生徒会が管理する書類の取り扱いなどになります」

 

 ここで断るのは簡単だが・・・、と零夜は考えを巡らす。まずは、メリット。これは単純だ。原作に関与しやすくなる。そして、何よりも深雪や達也の近くにいることが出来る、というのが零夜にとっての最大のメリットだ。

 

 では、逆にデメリットを考えてみよう。まず、挙げられることが行動の制限だ。生徒会に入る以上、生徒会の活動に準じることになる。しかし、深雪や達也が生徒会に関わる以上、これは好都合となる場合が多い。

 

 次に挙げられるのが、巻き込まれるという点であるが、これも自分から首を突っ込むつもりの零夜にとってはデメリット足りえない。つまり、生徒会に所属することによって生じるデメリットはなく、むしろ好都合であるという結論になる。

 ここまで考えた零夜は、とあることを条件にこの話を受けようと決めた。

 

「わかりました。あまりそういった矢面に立つ活動は得意ではないのですが、俺でよければ務めさせていただきます。・・・ただ、わざと手を抜いて入試を受けたことを内密にしていただけると助かります」

 

 最後にボソっと本人にとっては割と死活問題となる提案をする。というのも、実は零夜には婚約者がおり、割と厳しいのだ。零夜が好きすぎて、零夜の評判に関わることに妥協できないというのもあるが・・・。ともかく、零夜としては知られるわけにはいかないのだ。

 

「ふふっ、わかりました。それでは、生徒会に所属していただけるということでよろしいですね?」

 

 零夜の言葉から、広められたくないという割と必死の思いを感じ取ったのだろう。弟の悪戯を見守る姉のような表情を浮かべる真由美。そして、それを見て悔し気に鋭い目を零夜に向けるお供の男。もちろん、零夜は気にしない。

 

「はい、よろしくお願いします。ところで、そろそろいかなければ・・・。兄たちを待たせてしまっているので」

 

 そう言って零夜が視線を向けた先には、確かに会話をしながら零夜を待っている四人組がいた。真由美もそれを理解したのだろう。

 

「では、零夜くん。そして、深雪さん。生徒会の話はまた後日、生徒会室で行います」

 

「わかりました。それでは、その時にまたお伺いさせていただきます」

 

「あ、あのっ。申し訳ございません」

 

 真由美の言葉を聞いて慌てて零夜の元にやってくる深雪。よほど兄との会話に夢中になっていたのだろう。今頃、先程の二人はグロッキーにでもなっていそうだ。と失礼なことを考える零夜。

 

「いえ、兄妹との大切な時間ですから。気にしないでください。それでは、後日、お会いしましょう」

 

 それだけ言うと、お供の男の制止も聞かずにクルリと背中を向けて踵を返した真由美に、零夜は心の中で感謝した。達也と引き離されることによって、深雪の機嫌が悪くなることを避けられたからである。

 

 それにしても、原作が崩壊し始めるのが早すぎやしないか、と考え「俺が存在する時点で今更じゃん」とがっくりと肩を落としたのだった。




ここまで書いて、気が付いたことが一つ。
あれ? 進んでなくね? というわけです。なので、これからは会話を少し、飛ばしていくことになるかと思います。
例えば、都合よく主人公がその場にいない、原作通りに~、などといった具合になるかと思います。

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