メタルなスライムがダンジョンに居るのは間違っているだろうか 作:Deena
今回は長めになります
では投下~
あの衝撃的な日から五日位経った頃。
昨日もベルに会ったのだが、何と今日も会えた。
だが、昨日と違ってリリと…うん、真っ赤な髪の人間、そうとしか言えない様な奴が居た。
「この銀色の雫の様なモンスターは…[メタル]!?何でこんな所に!?」
「ヴェルフさん、メタルは敵意があるモンスターではありませんよ、どっちかって言うと中立です。ただ向かって来る冒険者に容赦が無いだけで」
真っ赤な髪の人間は[ヴェルフ]と言うらしい。
「…もしかしてさっき話していたダンジョンに居る敵対して欲しく無い奴ってコイツか?」
「あ、うんそうです」
「リリもメタルには助けられました」
「ピキィ!(よろしくな!)」
「…コイツは何処まで付いて来るんだ?」
暇だから後ろでベル達に付いていたら、唐突に付いて来るなと遠回しに言われたでござる、解せぬ。
「メタルは基本的に襲っては来ませんよ…暇な時以外は」
酷い言われようである。
そう言えば何処まで行くのだろうか?
言葉で伝えられないのはツラいなぁ。
九層なう。
ミノと合流、ヴェルフ驚く、ベル宥める、ヴェルフようやく落ち着く、ミノ付いて来る、九層のダイジェスト以上。
そして…
「やってきたぜ、十一階層!」
まだ来た事の無い十一階に来たらしい。
「ヴェルフさんの到達階層も十一階層なんでしたっけ?」
「そうだベルすまないなこんな無茶…いや、そっちも無茶言って来たな」
こっちを見て呟かれた、解せぬ。
「あはは、すいません、普通はモンスター、しかも要注意モンスターとミノタウロスは一緒に連れませんよね…」
ベルまで酷い、俺も好きでモンスターやってる訳じゃ…いや、メタルスライムだからモンスターやってるんだった、まあ、他のモンスターだったら人間に会わない様にするからなぁ、メタルスライムで良かった。
「まあ、鍛冶のアビリティを取るのを手伝って貰って居るんだ、多少の無茶は聞くさ」
はて?鍛冶のアビリティ?あれか、良い武器が作れたりするのか、つまり、本気で人間と敵対するなら鍛冶師を徹底的にすっ飛ばす必要があるな。
話を纏めたら、鍛冶師達は仲間同士でパーティを組んでレベルを上げるが、ヴェルフは仲間外れに、ベルがヴェルフの作った武具を使っているのを知って、一緒にパーティを組んでくれないかと頼む、そしてベルは物に釣られて承諾…と。
「つまりベル様は物に釣られてこのお方のレベル上げを承諾したのですね?」
おお、リリも同じ事を考えて居たらしい。
「はあ…リリは悲しいです、買い物に出掛けたと思ったらいつも通り
「ピキィ(そうだそうだ(便乗))」
ベルの心に会心の一撃!ベルは狼狽えた!
「言い過ぎでしょ!?ヴェルフさんは別に悪い事をしようとしてる訳じゃ無いんだし…それは誤解だよ!」
だけどさ、それって良い様に使われてね?だってアビリティを覚えたらポイって出来る訳だし。
「……何処が誤解ですか!『アビリティを獲得するまでの間だけ』何て、良い様にされ過ぎです!それはつまりアビリティを獲得するまでの臨時パーティじゃないですか!この誰とも知らない鍛冶師の方が目的を終えたら、サポーターを連れたソロに逆戻りです!一歩進んでも後退したら意味が無いじゃないですか!これから先どうなるのか心配でたまりませんよ!リリは!」
おおぅ…凄い剣幕だ、ミノが少し怯えてる。
「どうして相談も無しに勝手に決めたんですか…!」
「えっと…駄目だった?」
「駄目ではありません、駄目では…ですが!リリにも話を通して貰わないと困ります!そうでないとリリはヘスティア様に顔向けが出来ません!」
?知らない名前が出て来たな…ヘスティア?
あ、ベルがノックダウンしてる。
「何だ、そんなに俺が邪魔かチビスケ」
おい、あれだけベルが名前で呼んでいただろう…略称だけど、せめて略称でも呼んでやれよ、地雷踏み過ぎだな。
「チビスケじゃありません!リリにはリリルカ・アーデという名前があります!」
ほら、怒った。
あ、ミノが縮こまってる、しっかりしろ!レベル2。
「そうか、よろしくなリリスケ」
「……もういいです!構うだけ無駄ですね!」
「え、えーと…取り敢えずリリ、今更だけど紹介するよ?この人は[ヴェルフ・クロッゾ]さん、[ヘファイストス・ファミリア]の
ヘファイストスとは何ぞ?鍛冶のアビリティを持つ集団かな?
「クロッゾ…?」
リリが弾かれる様にヴェルフの方に顔を向けた。
「呪われた魔剣鍛冶師の家名?あの凋落した鍛冶貴族の?」
…魔剣?ああ、あれか氷の刃みたいなやつだな。
「あ、あの…クロッゾって?」
あ、リリが何とも言えない顔をしてベルを見てる。
「何も知らないんですか、ベル様…?」
「ええっと…その…う、うん」
リリがはあ…と溜め息を吐く。
苦労してんだなぁ…
「クロッゾとは一昔前、とある王家に[魔剣]を献上する事で貴族の地位を得た、名門鍛冶一族の名です。その打つ作品は全てが[魔剣]だったと伝わっており…クロッゾが王家に送った剣の数は幾万にも及んだと言われています」
「えっ…万!?」
へぇそうなのか。
「魔剣作製の第一人者、大御所と言っても過言ではありません、その威力は[海を焼き払った]とまで謳われるほどでした」
海を焼き払う…メラガイアーなら出来そうだ…ん?でした?
「ある日を境に王家の信頼を失ってしまい、今では完全に没落してしまって…」
え?駄目じゃん、どうして失った?
「…まあ、今はそんな事どうでも良いだろ?今はダンジョンに潜って居るんだ、ならする事は一つだ。な?」
「あ…は、はい」
何で今話を逸らしたんだ?知られたく無い事でも合ったのか?
すると俺の耳に何かひびが入る様な音が聞こえた、ダンジョンに住んで居るからわかる、壁からモンスターが出て来る!
「うわっ…!」
「コイツは…でけぇな」
「…[オーク]ですね」
やっぱり前見て思った通りにオークと呼ばれているらしい。
「ビッギ……ォオオオオ…!」
「まだ続くと…ダンジョンはこれがあるから怖ぇよな」
まだまだオークは壁から出て来る、しかもオークだけじゃない、他のモンスターもいる。
「まあ、そこまで悲観することは無いでしょう、幸いこの広場では霧は発生しませんし、面積もあるので、直ぐに囲まれる心配もありません。…メタルとミノタウロスも一応こちら側に居ますし…」
「…なあ?コイツら本当に大丈夫か?不安があるんだが…間違ってこっちを襲って来ねぇよな?」
失敬な!呪文さえ使わ無ければ基本的に巻き添えは無い!…筈だからな!
「ピキィ(ミノ、コイツら蹴散らすぞ)」
「ブモォ(わかった、コイツらだな?)」
「…どうしてピキィとブモォで会話が成立する?」
それはちょっと俺にもわからない。
それからの戦いは圧倒的…いや、蹂躙と言った方が正しかった。
ベルはレベル2になったお陰か、かなり動きが良くなって居た、多分メラの三倍位の威力の魔法も使って居た、いつの間に覚えたんだ?
リリとヴェルフも中々だった。
太刀を持つヴェルフはあっという間にオークを二体片付けて、三体目が突進して来たが、リリがボウガンから矢を放ち自分に標的を向けて、相手の注意力が散漫になった隙を狙いヴェルフが一撃でオークを撃破。
俺とミノ?何か白い猿が居たから、適当にすっ飛ばして居ましたが、何か?
「とんでもなく速かったな!ベル、オークとシルバーバック以外のモンスターを俺らより早く倒していたじゃねえか」
「あ、あはは…僕もちょっと戸惑って居ます…」
うん、ベルの動きは良かった、ステージが一段階上がった感じがしたな。
「…まあ、このメタルとミノタウロスは流石だったな」
「ピキィ!(どうだ見たか!俺の実力!)」
モンスターの大群を倒した俺達は、部屋の隅に倒したモンスターを集めてついでに食事(と言っても俺とミノは無いが)を取って居た。
周りを見てみると、俺とミノを見て逃げ出す冒険者達が居た…当たり前か。
「ピ?(ん?)」
よく見るとベルの右手が光が明滅していた。
「…おいベル、それは何だ?」
「!……えっ?」
気付いたベルが間抜けな声を出した、右手は一定間隔で明滅している…どこかで見た事があるんだよなぁ、あの光り方、確か…
俺が考えに耽っていると、濃密な気配を感じた。
ーーーオオオオオオオッ!!
耳を貫く程の哮り声が空間を埋め尽くした。
「「っ!?」」
俺達は全員同じ方を見た、ソイツは部屋の出入り口に霧を突き破りながら現れた。
4M以上は確実にある、ミノより一回り大きいモンスター…
ドラゴンだった。
…ドラゴンキターーー!!すげぇ!ドラゴンだ!初めて見た!
「[インファント・ドラゴン]!?普段は遭遇何てしない筈だ!どうして今日に限って!?」
ヴェルフがドラゴンの名前を言う、インファント・ドラゴンか…名前もカッケェ!
「ピキ!(良し!ここは俺が殺る!)」
俺は少し前に出て意気込む。
「メタル?」
俺はインファント・ドラゴンに向き合う。
「ーーーーッッ!!」
雄叫びをドラゴンは上げるがそんなの関係無い、少し本気出す。
「ピキィ!(先手必勝!メラミ!)」
俺が呪文を唱えるとドラゴンの立つ地面が赤く発光する。
「え?」「ゴ?」
ベル、ドラゴンが間抜けな声を出す。
その瞬間、10m程の火柱が地面から突き出した、一瞬にて火柱はドラゴンを飲み込み、天井に到達した。
「な、何!?」
火柱が消えた後に残っていた物は無く、欠片も残さずドラゴンは消滅し、地面は焦げ、天井は溶けた雫が落ちて来ている。
「…ピキィ(…やり過ぎた)」
あれからベル達は地上に帰った、何か俺の規格外な能力を見て精神的に疲れたらしい。
俺とミノは五層まで見送った。
インファント・ドラゴンさんは原作通りに出オチです
メラミが初披露されました
後、小説の長さはどんな感じですか?今まで通りにハイペースの短文か今回の3000文字程か、どちらが良いと思います?