メタルなスライムがダンジョンに居るのは間違っているだろうか   作:Deena

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番外編第一弾、原作とどういった違いがあるのかをご覧下さい
では( ・p・)つドウゾ


番外編 ベルの帰還、原作との違い

 

 

 ーーチクタクチクタクーー

 

 時計の秒針が回る音が部屋に響く。

 時計を見ると、時間は朝の五時。

 ヘスティアはホームの教会にある隠し部屋で、部屋の中を行ったり来たりを繰り返していた。

 

(いくらなんでも遅すぎる…!)

 

 ヘスティアは顔に焦りを浮かべていた。

 ベルの成長速度にアイズが関わっている事にへそを曲げ、昨夜バイトの飲み会に出掛けたヘスティアが、ホームに帰って来ると、彼女を迎えてくれる筈のベルは居らず、静けさだけがヘスティアを迎えた。

 確かに一人で飯を食べに行けとは言ったものの、出迎えが無かった事に一層不機嫌になったヘスティアは、ベッドに飛び込み、ふて寝を決め込んだのだが…

 何時間も経っても帰ってこないベルに危機感を覚え始めた。

 自分の眷族への不満でずっと目を開けてベッドで横になっていたヘスティアは、毛布をはねのけ立ち上がり、部屋を飛び出して近辺を探しに行っていたのだ。

 

「どこに行ったんだい?君は……!」

 

 収穫はゼロ。

 人混みの中でも目立つ白髪頭の影すら見つけられなかったヘスティアは、ベルが帰って来ている可能性にかけ、先程この部屋に戻って来たが、やはりベルの姿は無かった。

 彼女自身も一睡もせずに、夜の街を探し回った結果、疲れが滲み出る相貌。

 そしてその顔も、緊張の色で上書きされていく。

 

(ボクがあんなことを言わなければ…でも、あの子は人に心配をかける位なら、自分の私情を殺して我慢する様な子だし…これが普段の通りなら、ボクに平謝りに来てもおかしくは無い筈だけど…)

 

 最後に見たとき、捨てられた子兎の様な目をしていたベルの表情を思い出す。

 あの時も感じた様な罪悪感が、再び胸に浮かんだが、ヘスティアは頭を振り、感傷に浸っている場合では無いと、冷静な思考に徹しようとする。

 

(…でもボクが関係して無いのなら、ベル君が帰って来ないのはやっぱりっ…)

 

 何か事件に巻き込まれたのか。

 冷静沈着の思考など嵐に巻き込まれたボロ舟の様に壊れ、直ぐ身体中に嫌な汗が吹き出す。

 居ても立っても居られなくなったヘスティアは、再びベルを捜索しようとドアに駆け寄った。

 

「ーーぶぎゅ!?」

 

 ヘスティアがドアノブに手をかけようとした、その時だった。

 まるで見計らったかの様に四角形の板が開き、彼女に突進して来たのは。

 そしてヘスティアの顔面を強打した。

 顔面を押さえ、うずくまるヘスティアは、声になら無い呻き声をあげる。

 

「か、神様…ごめんなさい…」

 

 まさかの襲撃に悶えていたヘスティアは、頭上から聞こえてきた声を聞き、両手で押さえていた目を見開く。

 そしてその声が、無事を望んでいた人物だと察して、ヘスティアは勢いよく立ち上がった。

 

「ベル君!?」

 

 彼女の予想に違わず、目の前に立っていたのはベルだった。

 ベルの無事に思わず安堵の表情を浮かべたヘスティアだが、ベルの姿に目を向けた。

 ヘスティアに対して申し訳なさそうに眉を落とす顔。

 赤色と褐色にまみれている服は血と土に汚れているらしい。

 上半身の私服は目を覆いたくなるほど損傷している。

 下半身も跳ね上げた泥で変色したパンツは裾がボロボロで、黒く変色した血痕がこびり付いている。

 だが、破けた服から肌を見ても、怪我らしい怪我も無く、ベルの顔色も良好その物だ。

 

「どうしたんだい、その服装は!?ベル君の怪我でそうなった訳じゃ無いだろう!?」

 

「…いえ、これは僕の怪我でこうなりました」

 

「じゃあ、どうしてそんな状態になったんだい!?」

 

「…ダンジョンで見慣れないモンスターと戦ってました」

 

 ぽつりと落とされた言葉にヘスティアは怒ることも忘れ唖然としてしまった。

 しかも見慣れないモンスターと交戦していたと言われ、もしかしたら他の階層から来たかもしれないモンスターと戦っていたベルに激しい心配を覚えた。

 

「ば、馬鹿っ!何を考えてるんだよ!?そんな格好のままでダンジョンに行くなんてっ…しかも一晩中!?もしかしてその不自然な格好も見慣れないモンスターから受けたのかい!?」

 

「…すいません」

 

 今、ベルは防具も何も身に着けていない。

 ダンジョンの中ではこんなもの裸も同然だ。

 今、ベルの血で汚れてはいるが、ベル自身は怪我一つも負ってはいないが、ベルが言うには、自身の血で汚れている、そんな不自然な現象を起こせる様な、正体不明な相手と戦っていたベルは、浅慮、愚行としか言いようがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからベルと幾らか話し合い、互いに眠りにつき、ベルが起きるまで丸一日経った頃。

 

 

 Lv  1

 力  120 H→208 G

 耐久 42 I→203 G

 器用 139 H→314 F

 敏捷 225 G→421 E

 魔力 0 I

 

 《魔法》

 [ ]

 

 《スキル》

 [憧憬一途(リアリス・フレーゼ)]

 ・早熟する

 ・懸想(おもい)が続く限り効果持続

 ・懸想(おもい)の丈により効果向上

 

 

「ぶっ!?」

 

 思わず吹いてしまった。

 ベルが帰って来て、早い時間帯に起きた二人は、取り敢えずということで[ステイタス]の更新を行っている。

 いつものようにベルの背にヘスティアが腰掛け、いつものように神血(イコル)を用いて[神聖文字(ヒエログリフ)]を刻んでいく作業…それがいつもと異なりだしたのは、ベルの背に徐々に浮かび上がっていく[ステイタス]が信じがたい全貌を描き初めてからだった。

 

(上昇トータル500オーバー!?一体何があったんだい!?)

 

 

 

 

 そう、これはベルの主神[ヘスティア]が、自分の眷族がモンスターとダンジョンに潜っていると告げられる前のちょっとしたお話しである。

 

 

 




はっきり言って、違いはベルの状態とステイタス位です
この場面、それ以外は変わっていません

次回作は活動報告をご覧下さい
それではまた!

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