俺の前世がうちはマダラなのは間違っていて欲しい   作:首ったけ

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ありがとうございます。


こんなグダグダな作品にこんなお気に入りがつくとは、感謝の極みでございます。


第9話

 

 

 

 

 

教室での事から場面は変わって屋外。時間は放課後。俺はユリスと紗夜と共に学園内を歩いていた。

どうやら紗夜も自信はないようでユリスが先頭で学園内を案内していく。

 

「ここはクラブ棟。まぁ報道系に文句を言う時に足を運ぶこともあろう」

 

なるほどな、まぁ今後目立つ行動はしないつもりだしようはないだろう。

 

「ふむふむ」

 

紗夜も頷く、あれ?気のせいかな?

 

 

また場面は変わりクラブ棟よりも少し大きな施設、なんか学園でこういう施設は統一されている気がする。さすが最新って感じだ。

 

「ここは委員会センター、福利厚生に関する事はここを通す必要がある」

 

なるほど福利厚生ね...あれ?福利厚生ってどういう意味だっけ?

 

「なるほど...」

 

紗夜は変わらず頷いている。やっぱ気のせいじゃないな、まさかこれは俺を案内するふりをして紗夜が案内されているようだ。

今の所は様子を見よう、なんか突っ込んだら負けな気がする。

 

 

またまた場面は変わり今度は屋内、食事をしている生徒を見かけるため食事処ということがわかる。

 

「学園内には7つの食事処があるが、ここの地下の食事処は比較的空いているので活用するといい」

 

ここは覚えておいたほうがいいな、流石ユリス、同じくボッチにとってはこういう場所こそがセーフゾーンだ。いい場所を知ってるじゃないか。

 

「おぉ。それは初耳」

 

どうやら紗夜も初めて知ったようだ。

 

 

場面はさらに変わって大きな噴水があるもの静かな公園、人影は見当たらない。俺としてはここも絶好の読書スポットだ。まぁ外に出たくないのは変わらないんだけど。

 

「沙々宮、私は別にお前を案内しているわけではないんだが」

 

どうやらユリスも確信を持ったようで少し苛立ちながらそう言った。

 

「私、方向音痴だから」

 

紗夜は抑揚のない声でそう答える。実際紗夜の方向音痴は尋常じゃない、俺は今まで紗夜が1人で予定通りにお使いなどを成功させたのを見た事がない。一度お父さんに紗夜専用のナビゲーションを作ってほしいぐらいだ。

 

「それでよく自分が案内するなどと言えたものだ」

 

「えへん」

 

「褒めてないぞ!」

 

なんかコントみたいになってるし、この2人本当は仲いいんじゃないか?

だがこの雰囲気はまずいと思う、少なくともよくはない。このままだとまた俺がなんかのとばっちりをくらいこんがりと焼かれてしまう、それだけは防がなければ。俺は覚悟を決め決死の行動を開始する。

 

「そ、そろそろ休憩にしませんか?ちょうどここ公園でちょうどいいし。俺なんか飲み物買ってきますよ」

 

これぞ俺が長年の学生生活で編み出した技。パシリをすると見せかけて修羅場などから脱出する、我ながら完璧な出来だ。

そう俺は心の中喜びながらガッツポーズをしその場を離れる。今回のこの行動に関しては珍しく正解だった。まぁ普通誰も思わないよね、休憩中の公園で襲撃に遭うなんて。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「リースフェルト、1つ聞きたい」

 

八幡がいなくなり噴水の水の音だけが響く公園、紗夜はユリスとあった時から疑問に思ったことを口にする。

 

「なんだ」

 

「どうして八幡を案内することになった。」

 

紗夜が知る限り八幡は昔と変わらずあまり積極的に人と関わらないタイプの人間だ、それがユリスのような人物ならなおさら。そんな八幡が今はユリスに案内をさせている。そこが今の紗夜にはわからなかった。

 

「あいつに借りがあってな。それだけにすぎん」

 

「借りとは?」

 

紗夜が無関心のような声ながら明らかに関心を持った様子にユリスも正直に答える。

 

「決闘の後にな、ちょっとな」

 

やはりあの時のことを恥じる気持ちがあるのかユリスは少し声を小さくして言った。だが紗夜が気になったのはただ1つだけだった。

 

「決闘?リースフェルトは八幡と決闘したのか?」

 

それは紗夜にとって今最も理解できないことだ。

 

「そうだ。知らなかったのか?」

 

「結果は」

 

紗夜が急かすように言う。

 

「私の勝ちだ、だが「それはおかしい」

 

ユリスの答えに紗夜が遮るように言葉を重ねた。

 

「な、なにがだ?」

 

突然のことに少し驚きながらユリスは答える。そんなユリストは対照的に紗夜は自信を持って言う。

 

「八幡と戦ってリースフェルトが無事なわけがない」

 

変わらずの言葉だがその言葉には先程感じられなかった自信が湧き出ていた。だからユリスはその発言に反感を覚えざるおえなかった。

 

「リースフェルトは強い、それは知ってる。でも、せいぜい私と同程度、それじゃ八幡の相手どころか準備運動にもならない」

 

「ほう。随分と大きく出たな」

 

ユリスと紗夜はお互い向かい合う。

 

「いいだろう、試してみるか」

 

ユリスがそう言い構えると紗夜も同じく構える。すでにこの公園の先程までの空気は悪化しておりまさに一触即発の状態だ。そんな時

 

 

「「っ!」」

 

 

突如感じだ敵意から2人は同時に左右へ回避行動をとる。2人がいたちょうど真ん中の位置、そこにあるベンチに3本の黄色い矢が命中する。ユリスはその矢に見覚えがあった、決闘の後に自分を狙ってきた矢だということを確認する。

 

(あの矢は、あの時の!)

 

すぐさま発射位置を特定する、噴水の池からこちらにボウガン式の煌式武装を構えるフードの人物を見つける。

 

(またもや不意打ちか)

 

相手の卑劣さに腹を立てながらユリス技を発動させる。

 

「咲き誇れ!鋭槍の白炎花(ロンギフローラム)

 

炎の槍が襲撃者に向かって突き進む。だがそこに突如別のフードの人物が現れ。

 

ガンッ!!

 

大きな音を立てながらも斧とみられる煌式武装で受け止める。

 

「なっ」

 

これにはユリスも驚きを隠せず2発目を構えようとするがそこに。

 

「どーん」

 

相変わらず無気力な声と同時に青く光る玉が襲撃者に向けて放たれる。

 

防ぐ手立てがないのか、またもや何か別の策があるのか襲撃者は抵抗するそぶりを見せずにその一撃が直撃、そのまま吹き飛ばされていく。

 

「な、なんだそれは」

 

あまりの突然のことで唖然とするユリス、ユリスはそのまま紗夜がいつの間にか取り出していた紗夜の何倍もあろう武器を見ながら言った。

 

「38式甲型敵弾銃、ヘルネクラウン」

 

「グルネードランチャーか」

 

ユリスの問いに紗夜は頷き答える。そして続けて言う。

 

「バースト」

 

そう言うと自由の先端にエネルギーが溜まっていき...

 

「ずどーん」

 

掛け声とともにそのエネルギーは襲撃者を噴水ごと吹き飛ばす、あまりの衝撃にユリスも身構える。

 

「見かけによらず過激だな、お前は」

 

「リースフェルト程じゃない。続き、する?」

 

紗夜が銃を構えたままそう聞くと。

 

「ふっ。いや、やめておこう」

 

「ならいい」

 

紗夜はそう言い銃をしまう。すると

 

「うわっ!なんじゃこりゃ!」

 

3つの飲み物を抱えながら今回珍しく難を逃れた八幡がやってくる。

 

「なにがあったんだよ...ってうわっ!」

 

今は亡き噴水跡地を眺めながら2人に近づきとにかく飲み物を渡そうとした八幡だったが突如驚きの声を上げる。

 

「どうしたそんな慌てて」

 

そんな八幡の様子をよそにユリスは不思議そうに近づく。

 

八幡が慌てるのも無理もない、今の2人は突然の戦闘で服がはだけておりそれと同時に壊れた噴水が撒き散らす水でしっとりと濡れてしまっている。つまりユリスは胸元とそれを支える下着が丸見えであり紗夜に至っては下着すら見えない始末だ。

 

「へ?なっ!」

 

ユリスはようやく自分の身になにが起こったのを確信する。すると顔を真っ赤にし自分と隣にいる紗夜を見る。

 

「ちょっ!み、見るな!」

 

急いで両手で胸を隠し八幡に警告する、当の八幡に至っては。

 

「わーすごーい、ふんすいがこわれてるー」

 

遠くの空を見て黄昏ながら必死に現実逃避していた。

 

「こっちを見たらただではすまさん!」

 

そんな八幡の様子もよそにユリスは変わらず警告を飛ばす。

 

「わーいいてんきなのにあめがふってるなーてんきあめかなー」

 

変わらず現実逃避を続ける八幡。

 

「むむっ、すけすけ。これはエロい」

 

紗夜にいたっては自分の状態を確認しながらも平常運転だ、するとユリスは自分のことのようにが焦りながら言う。

 

「さ、沙々宮も少しは隠せ!」

 

そして気づく、紗夜のある事に。

 

「お前下着はどうした!」

 

まるで信じられないものを見たユリスの質問に対して紗夜の答えはどこか悲しげだった。

 

「悲しいかな、私にはまだ必要ない」

 

「そんな場合ではない!さっさと隠さんか」

 

「わーにじがみえるぞー」

 

そして紗夜はそう言い切ると八幡とは別の方向を見て黄昏ていた。

 

そこには破壊されただ水を撒き散らす噴水だった物とその水に濡れながら慌てふためくお姫様とどこか悲しげに遠くを見つめる少女。そして何かをただつぶやきながら現実逃避をする少年がいた。

 








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