東方翠魔録   作:アホジン

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前話投稿から二週間も空いてしまいました。
じ、実は季節外れのインフルエンザにかかってしまって(言えない、娯楽に現を抜かして忘れていたなんて言えない)…。
なんか展開があまりにも超展開で進んでいるような気がしてなりません。

何はともあれ第6話です、ではどうぞ…。


第6話 始まりは突然に

紅魔館へ行った日の夜、夕飯も終わりブロリーは借りてきた本を自分の部屋で読んでいた。借りた冊数は5冊といえど、その一冊一冊がそれなりのページ数綴られているため、読み終えるのにはそれなりの時間を要するだろう。

 

「パチュリーに本を借りることが出来たのはいいが……なかなか骨が折れそうだ。」

 

ブロリーが今読んでいるのは、主に幻想郷の妖怪達についての本だ。どうやら外来人向けの内容らしく、ありとあらゆる種族の妖怪達の情報や、もし出会ってしまった時の対処法などがが事細かに記されていた。

 

「知性や理性の無い妖怪達が襲ってくることがあるので、幻想郷(ここ)に来たばかりの人間は真っ先に博麗神社に向かいましょう。でなければ餌食になります…か。そういえば森の中で変なのに襲われたな。」

 

ページをめくり読み進めていくと、有象無象の妖怪達から知性や理性を持った妖怪達の記述に変わった。

 

「ふむ、種族に加え特定の個体についての危険度や性格、特徴について書かれているのか。この本を書いたやつは親切なやつだ。…それにしても細かすぎじゃないか?」

 

その本曰く、知性や理性を持つ妖怪はその殆どが人型らしい。種によっては角や羽などがあり、ひと目でわかるものもいるみたいだ。それでも人間と妖怪を見分けるのは苦労しそうだ、とブロリーは頭を悩ませていたが。

根気強く読んでいたブロリーだったが、今読んでいる妖怪の本の他に、地理、歴史、ルール、異変といった本があるのを見て、続きは明日にしようと思い眠りについた。

 

(……異変というのはなんだろうか?紫が何か言っていた気がするが。)

 

翌日、朝食をとり終えた幽香が出かけるのを見送ったブロリーは再び妖怪について書かれた本を読んでいく。

 

「鬼や天狗、それに吸血鬼なんてのもいるのか。レミリア・スカーレット、紅魔館の主…知らなかったな。今度パチュリーに本を返すついでに会えたりしないか?」

 

どうやら妖精や魔女といった者達も人外であるため、妖怪という括りに入っているらしく、パチュリーも魔女の一人として取り上げられていた。

ページ数も残り少なくなり、ようやく一冊終わりかなどと思っていたブロリーだったが、ある一ページでページをめくる手が止まった。

 

「風見幽香…幽香か、そういえば妖怪だったな。えっと…危険度:最高、彼女と出会ったらすぐに逃げるべし。彼女のヒマワリ畑に手を出せば死あるのみ…か…。そんなに危険なやつじゃないと思うんだがな、力の無い者からするとそうなのか。」

 

幽香のページを見終え、残り数ページもさっさと読み終えたブロリーは次に読むものを選ぶ。異変かルールか迷ったが、決まりを知る方が優先だと結論づけてルールについての本を読み始めた。

 

数日後、本を五冊とも読み終えたブロリーは本を返すためにパチュリーのもとを訪れようとしていた。しかし、空から紅魔館の中に入ろうとしたところを美鈴に引き止められてしまった。

 

「ブロリーさん、なんで空から行くんですか!ちゃんと門番の私を通してくださいよ!じゃないと私が怒られるんです!」

 

「あー、うん。」

 

「それにこの前はやってくれましたね!すっかり騙されました!今日こそは真剣にお手合わせしてもらいますよ!」

 

「落ち着け。今日はパチュリーに本を返しに来た。今は無理だ。」

 

「はぁ…、わかりました。どうぞ。」

 

美鈴が開けた門をくぐり、紅魔館の扉に向かって真っ直ぐ進んでいく。扉まであと数歩というところで、目の前に一人の女が突然現れた。

 

「ようこそ、紅魔館へ。私はここでメイド長を務めてます十六夜咲夜と申します。…それで何の用かしら?嘘つきのブロリーさん?」

 

「お前もか…。今日はパチュリーに借りていた本を返しに来た。それと、ここの主の吸血鬼に会いに来た。」

 

「そう…、お嬢様に確認してくるけど、また貴方を探すのは面倒だからパチュリー様の大図書館にいなさい。くれぐれも変な行動はとらないように。」

 

「ああ、分かった。」

 

一応入館の許可ももらい図書館を目指すブロリーは、図書館に着くやいなや扉を乱暴に開きズカズカと中に入っていく。

 

「ブロリー、貴方もう少し静かに入ってこれないの?まったく…次からはもっと落ち着いて入ってきて。」

 

「気をつけよう。それでだが、この前借りた本を返しに来た。この本のおかげで大分情報を得られた、礼を言う。」

 

「そう、それは良かったわ。で、何か気になったこととかあった?」

 

「そうだな…、ここの主やパチュリー、それに俺が居候している家の家主のことが詳しく書かれていたのは驚いたな。あとは幻想郷の戦闘のルールくらいか?」

 

「あら、貴方はそれなりに力のある誰かに厄介になってるのね。ちなみに誰か聞いてもいいかしら?」

 

「風見幽香だ。幻想郷に来た日から世話になっている。」

 

「…訂正するわ、とんでもないヤツね。というかよく居候なんて出来たわね。あの風見幽香が人間と共に住むなんて考えられないのだけど。」

 

「…まあ、色々あってな。」

 

それから暫くの間、ブロリーはパチュリーとたわいもない話をしながら咲夜を待っていた。途中でブロリーに気づいた小悪魔もやって来て、結局は3人で話していた。やがて咲夜が『許可が出たわ』と迎えに来たのでブロリーもその後について行こうとしたのだが、パチュリーにどこへ行くのか聞かれた。

 

「ここの主に会いに行く。…そうだ。本に書いてあった"異変"の解決にお前は行っているのか?」

 

「私達が起こしたことはあるけれど、私が解決に行くことはないわね。」

 

「そうか、じゃあまたなパチュリー。」

 

「ええ。」

 

咲夜に付いていくブロリーの後ろ姿を見送ったパチュリーはただなんとなく小悪魔に質問を投げかけた。

 

「ねえ、こぁ。ブロリーはなんであんなこと聞いたのかしら。」

 

「案外ブロリーさんも異変を起こそうとか思ってるのかも知れませんよ?」

 

そう言ってクスクスと笑う小悪魔に、パチュリーも『かも知れないわね』と言って釣られたように笑った。

 

 

 

 

その頃ブロリーは、昨夜に連れられ他の部屋より一回り大きい扉の部屋の前に来ていた。

 

「お嬢様、お連れいたしました。」

 

「入ってちょうだい。あ、咲夜は仕事に戻って大丈夫よ。」

 

「…わかりました。」

 

咲夜は釘を刺すようにブロリーを一睨みし、その場から去っていった。残されたブロリーは、入るぞと一言だけ言って扉を開けて中に入った。しかし、主であるだろう者の姿を見て目を見開いた。

 

「本当にお前がレミリア・スカーレットか?まだ子供の娘にしか見えないのだが…。」

 

「なっ、あんたいきなり失礼ね!私は吸血鬼、人間とは寿命も違ければ成長速度も違うのよ!まあ、それはもういいわ。あなたがブロリーでいいのね?」

 

「ああ、そうだ。本にお前が吸血鬼だと書いてあったから気になって、パチュリーに本を返しに来たついでに会いたくなった。」

 

「ついで…ね。って、それよりもいつの間にパチュリーと仲良くなったのよ。あの子が本を貸すなんて滅多に無いわよ?」

 

「この前ここに来た時だ。」

 

「ああ、あの時大図書館の方に行ってたのね。美鈴の慌てっぷりったら凄かったわ。あっちに行ったりこっちに行ったり…妖精メイドから帰ったって言われるまでずっと探してたわ。」

 

「どうりで怒っていたわけだ。ところでレミリア、お前は異変解決というのには参加しているのか?」

 

「行くのは私じゃないけど、それがどうかs……ああ、そうゆうこと。面白いことになりそうじゃない。」

 

「?どうしたんだ?」

 

一人でニヤニヤしているレミリアを不思議に思うブロリーだったが、何でもないとはぐらかされてしまった。用も済んだので、レミリアに別れを告げ帰るブロリー。それを確認したレミリアは咲夜を呼び寄せた。

 

「咲夜、恐らくもうすぐ異変が起きるわ。万全の状態で備えておきなさい。」

 

「異変…ですか。」

 

「ええ。しかも今回の敵は過去最強よ、気をつけなさい。」

 

「それほどですか。…しかしどこか楽しそうに見えますが。」

 

「フフフ、そうね。アイツら相手に立ち向かい、無事異変を解決できるのか…とても楽しみだわ。それこそ私も行ってみようかしら?」

 

「!…分かりました、全力で解決してみせます。」

 

「ルール上死ぬことは無いでしょうけど気をつけなさい。一筋縄ではいかないわ。」

 

「はい、失礼します。」

 

 

 

 

数日後、博麗神社にて博麗の巫女、博麗霊夢は布団の中で幸せそうに眠っていた。しかし、その幸せな時間は突如として終わりを告げることになった。なぜなら……

 

「霊夢!霊夢〜!いないのか〜!!」

 

魔理沙こと霧雨魔理沙がまだ夜が明けたばかりだというのに霊夢を叩き起しに来たからだ。

 

「なにようるさいわね〜。こんな朝っぱらから大声出して私の眠りを妨げたんだからそれなりの用があるんでしょうね?無かったらただじゃ済まさないわよ。」

 

「当たり前だろ!いいから霊夢も外見てみろって!」

 

「外がどうしたってのよ。一体何が……って、はぁ!?な、何よこれ!?」

 

「久しぶりの異変だぜ!」

 

重い瞼を擦りながら外に出た霊夢が見たものは花。昨日までは何も無かったにも関わらず、当たり一面中に咲く大輪の花。しかし、異常なことはそれだけではない。

 

「な、何なのよあの花は…。そのへんの木よりも大きいじゃない!」

 

そう、花というにはあまりにも巨大。周りの木々より大きく、太い。そして、 その花々を見た霊夢の表情はとても険しくなっていた。

 

「あれはヒマワリ…。魔理沙、咲夜と妖夢を呼んできて。今回はかなり厳しいわよ…。」

 

「がってん承知だぜ!すぐ戻ってくる!」

 

「…まさかアイツが異変を起こすなんてね、一体何を考えてるのかしら。」

 

果たして霊夢達は無事に異変を解決することが出来るのだろうか。あらゆる存在に語り継がれることになる異変。まもなく、その戦いの火蓋が切って落とされる───




いやー、異変の首謀者は誰なんでしょうね(すっとぼけ)
そういえば紅魔組で完全にフランを出し忘れてますね!(震え声)
後々しっかり出します、はい。

次回は霊夢達が異変に挑みますよ〜
ぜひ見てくださいね!

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