東方翠魔録   作:アホジン

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どうもです!
今回は、前回よりも文字数を頑張って増やしてみました
だからといって面白くなるとは限りません…

王子「主の文才など影も形も無かった!」


第1章 異変
第1話 紫のお願い


ブロリーが幻想郷へ連れてこられる直前、博麗の巫女こと博麗霊夢は神社の境内を掃除し終わり、縁側でお茶を飲んで休憩していた。

 

「今日もいい天気ね〜。陽射しが気持ちよくてつい眠ってしまいそう。」

 

そして、雲一つない空を仰ぎながら、今日も平和ねー何も仕事が無いわーなどと思っていたちょうどその時、ブロリーが幻想郷に現れた。

 

「っ!?な、何よこの気配は!!」

 

只者ではないオーラ、異質な気配を霊夢は感じた。いや、もしかしたら幻想郷中にいる強者たちも気づいたかもしれない。

 

(うちの裏の森からね。でも、今は動きはない…様子を見るべきかしら?)

 

霊夢は一瞬動揺したものの、すぐに冷静さを取り戻した。さすがは博麗の巫女といったところだろうか。それから暫くの間、警戒を怠らずに対象の気配を監視していたが特に変な行動を起こす様子はなく、やがて対象はどこかに向かっていった。

 

(今のヤツはなかなか出来るわね。いざ戦うとなったら骨が折れそうね〜。ま、負ける気はしないけど。)

 

霊夢は、ブロリーをみすみす逃がしたことを後悔することになるのだが、この時は知る由もなかった。

 

 

霊夢が監視していた時、ブロリーは八雲紫から幻想郷の説明を受けていた。(八雲紫というのはブロリーを幻想郷に連れてきた本人であり、本人曰く幻想郷の創始者兼管理者で、スキマ妖怪という種族らしい。)

 

「なるほど、だいたい分かった。しかし、あらゆる種族の者達がバランスをとって共存しているとは…不思議なものだな。」

 

「あら、あんまり驚かないのね。(つまんない反応ね〜。)」

 

「まあな。俺は数多の星で数多の種族のヤツらを見てきたからな。ところで、本命の話はいつするんだ?ここの説明はあらかた終わっただろう。」

 

「はいはい、分かったわよ。…貴方にしたいお願いというのはね、この幻想郷を護ってほしいのよ。」

 

「…さっき言っていた"異変"というやつか?」

 

「いいえ、違うわ。そっちは既に人手が足りてるもの。この幻想郷の妖怪や人間には能力を持っているものがいるというのは言ったわよね?」

 

「ああ。」

 

「それで、その中に"運命を操る程度の能力"というのを持っている吸血鬼がいるのよ。そして、そいつが『幻想郷に強大な力を持った侵入者がやって来る』って言ったのよ。貴方にはそいつらの撃退をお願いしたいの。」

 

「(そんな奴もいるのか…。)話は分かったがなぜ俺なんだ?強いやつなら他の世界や次元にいくらでもいるんじゃないのか?」

 

「あなたがその"強いやつ"だからよ。そう、ここではない世界を覗いて強い者を探していたんだけれど、たまたま貴方の世界に繋がった。そして、たまたま貴方の戦いを見たの。それに「待て」……何よ、そんな怖い顔しちゃって。」

 

「俺の戦いを見て、だと?」

 

「ええ、そうよ?」

 

「なら!なぜ俺を選んだ!俺の戦いを見たのなら、尚更俺を選ぶなんかありえないはずだ!!それなのに、なぜっ…!」

 

ブロリーは怒りをあらわにして紫に抗議した。自分の力を見て恐れないはずがない、なにか裏があるに違いない、と。

ブロリーには過去の出来事がいくつも浮かび上がってきていた。自分を恐れて拒む者達、自分の力を利用しようとるヤツら。そして、そいつらの最期は決まって自分の破壊の力による死…。

ブロリーは理性を取り戻してから恐れていた。今までと同じ道を辿ることを。自分の手であらゆるものを壊すことを…。

しかし、紫の答えはブロリーにとって信じ難いものだった。

 

「貴方がとても可哀想だったから、かしら。」

 

「…は?」

 

「私が貴方に話しかけた時、貴方はとても悲しそうな表情をしていたの…。恨みや憎しみも表れていたけれど、悲しみや悔やみが特に強く表れていたわ。それを見て、助けたいって思っちゃったのよ。こんなこと滅多にないんだけどね…」

 

なんでかしらね…、そう言って紫はブロリーに優しく微笑んだ。ブロリーはとても戸惑ったがそれも当然だ。なぜなら、ブロリーは他人に優しくされたことなど今までには無かったのだから。

ブロリーは信じられないものを見るような目で紫を見たが、その優しい微笑みからは一切の悪意が感じられなかった。

 

(嘘をついているとようにも見えない…。まさかこんなやつと出会えるとは思ってもいなかったな。)

 

「?どうしたのよ、そんなに私の顔を見て…あ!もしかして私に惚れちゃった?」キャー!

 

「ふん、そんなんじゃない。紫のことは信じてみてもいいと思っただけだ。」

 

「!…ふふ、嬉しいわ。じゃあ返事を聞かせてもらってもいいかしら?」

 

「ああ、紫のお願い…幻想郷を護ること。この俺が任されよう。」

 

「ありがとう、ブロリー。でも、侵略者が来るのは今日明日とかの話じゃないからそんなに張り切ってくれなくても大丈夫よ。」

 

「そうか。」

 

「あ、あとは無闇に幻想郷を破壊したりしないでちょうだいね?それ以外は貴方の好きに生活してもらって構わないわ。」

 

「分かった。」

 

「ふふ、随分スッキリした表情になったわ。じゃあまたね、ブロリー。」

 

紫は最後にそう言い残して、開いたスキマの中に入っていこうとしたのだが──

 

「待て、紫。」

 

「なに?」

 

「……礼を言うぞ。この恩は必ず返す。」

 

「!…ええ!」

 

そして、今度こそ紫はスキマの中に消えていった。

 

(…さて、どうしようか。まずは紫の言っていた人里とかいう場所に行ってみるとしよう。)

 

ブロリーは二度目の人生の第一歩を人里に向かって踏み出した───

 

 

 

 

 

 

「しまった、紫に人里の場所を聞けばよかった。こんな森の中じゃどっちに行けばいいか分からん。」

 

始まったばかりでこの始末☆

はてさてこの先どうなりますことやら…




次回はブロリーと???が出会います!
観ていただけると嬉しいです!
(*´∇`)ノ ではでは~

※補足
・普段は黒ブロ(制御装置なし)
・ここのブロリーはそこそこ頭がいい
・ブロリーは紫が幻想郷に連れてきた時に服を着せられている
(タンクトップに上着、式によって普通のズボンに見えるいつもの道着&腰布)

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