ええ、皆さまスキーをしたことはありますか?
私はあります。中一の時スキー学習で行きました。
ええ、皆さまスノーモービルに突っ込んだことはありますか?
私はあります。大和魂の込もった万歳突撃を敢行しました。
次の日インフルにかかって帰りました。
帰ってしたことと言えば気力を振り絞って自分の部屋へと行きこのすばを見ました。
『今すぐそこから離れるんだ!サーヴァント反応が出た!』
こいつ移動しろとか言っておいてサーヴァント出たとか。まさか誘導してないよな。それとも良くある『上層部が無能』とかいうやつか。
急いで撤退しようとするがいかにも触ってはいけないという雰囲気を醸し出している鎖が俺達の周りを囲んでいた。
刹那、空を裂く音がふと耳に入る。直感的にやばいと感じた俺は全力で右に全力で飛ぶ。
「ぺっ、ぺっ、ばっちい。口の中に砂利が入っちまった」
「残念仕留められると思ったのですが」
声のした方へと頭を向ける。
いかにも死神が持っていそうな鎌を携え黒いローブに全身を隠したロングヘアーの女が俺たちを見下すかのように優雅に佇んでいた。
「今度は新鮮な獲物が四匹。どう調理して差し上げましょうか」
舌で口元を舐め、食材を吟味するかのようにこちらを眺める。
周りには石像。そして見覚えのある長い髪。間違いなくメデューサであろう。だが本来のクラスであるライダーの面影は何一つなく、クラスを識別できるものは鎌らしき何かである。
1番考えられるものとすればランサー辺りが妥当であろうか。
「その石像…いや何の為に人を石に変えた。答えろ、メデューサ!」
俺がここまで激昂しているのにも訳がある。別に何の罪もない人間が石にされて怒っている。などと聖人のような考えは無い。赤の他人など別にどうでもいい。
だが石化された者の内の2人の顔は知っている。なぜ何年も時間がズレているのにも関わらず高校生なのかはどうでもいいが、石となった慎二と一成の姿があった。
そんな信じられない光景に目を見開く。
「何故私の真名を?と尋ねたいところですが、ああ、納得しました。やはり石化でバレましたか。で、何故石に変えたですか。決まっているでしょう。私の
と言い、俺を見てから何か思いついたのか顔が一瞬歪んだ気がした。
「さて、私も小腹が空いて来たことですし間食と行きましょうか」
奴はスタスタと石となった一成と慎二へと向かっていく。そして愛でるように慎二と一成の像を撫でる。
「おい、何をする気だ。辞め…」
『ろ』という俺の声は奴の手によって頭が砕かれた慎二と一成の石像の首から溢れ出る鮮血の飛沫によって掻き消された。
「あら、お知り合いでしたか。まあ別に貴方も、もうすぐ合わせてあげるので気にしなくてもいいんですよ」
奴は俺が顔を歪めたあの一瞬を見逃してなどいなかった。
血管が破裂するのではと言うほど頭に血が上り、自身の血圧が上がっていくのが手に取るようにわかる。
次の瞬間
俺はサバイバルナイフを抜き奴へと駆け走る。
奴は俺を一撃で倒すため態勢を整える。
「『クリエイトウォーター』『フリーズ』」
炎上した街に一瞬で水を凍らせるほどの冷気が走る。
穂先が刻一刻と俺の眉間目掛け迫り来る。
氷が張られた地面に向かってスライディングをし、摩擦のなくなった地面を勢いよく滑った。
穂先は俺の頭上すれすれを通り過ぎていき、鎌は空だけを切り裂いた。その空を切り裂く音に身震いし、不本意ながら奴への殺意が一瞬削がれ頭に上った血が引いていく。
友人が無残な姿にされたというのに、こんな時すら足がすくむ自分に腹が立つ。
自身への怒りにより、また殺意が込み上げてくる。
頭の中にはもう恐怖は無い。俺の全身に犇めく感情は奴を殺すということのみ。
英霊にあるかどうかは疑わしいが大動脈がある太ももの内側をサバイバルナイフで傷つけんとサバイバルナイフを顔まで引き、突きを繰り出す。
だが鮮血の代わりに高々い金属音が鳴り響くだけであった。
「惜しい、惜しい。あともう少しで私に傷一つくらいは付いたかもしれませんのに」
嘘だろ攻撃を終えた直後にサバイバルナイフを防ぐなんて。
俺の滑りは止まることなく奴の股をすり抜ける。
その後何の迷いもなく逃げ出した。だが後ろから俺を追いかけてくる足音がする。
後ろに振り向くな。
そう俺の本能が告げている。
「さあ、野兎のように逃げ惑いなさい。」
逃走スキルを使用し一心不乱に走る。マシュ達の方へと。
「ちょっ、まっ、来ないでください」
そう言いながらマシュは味方である俺に向かって盾を構えた。
地面を蹴り跳躍。その後、マシュの盾を踏み台にしマシュの後ろへと辿り着く。
それと同時に俺の背後から甲高い金属音が鳴り響く。
どうやら奴の標的を俺からマシュへと変更することに成功したらしい。
計画通り
「あんた……最低ね」
「なら英霊同士の戦いに割り込んでみろ」
「遠慮しておくわ」
身震いしオルガマリーは一歩下がる。
そう、今英霊同士の戦いが間近で繰り広げられている。2人はその神秘的ともいうべき光景に目を奪われている。
それに気を取られ、俺の存在など2人の頭からは抜けているはずだ。
誰もがその戦いに魅入られている中俺は1人潜伏スキルを使用し狙撃ポイントへ移動。
距離にして約30メートル。
瓦礫の山に身を隠し、三八式歩兵銃を固有結界から取り出す。
身を隠しながら狙撃する為、三八式歩兵銃を瓦礫の山の上に置き固定する必要がある。
瓦礫を少し手で払い銃一つ固定出来る隙間を作り、三八式歩兵銃を固定。
後はマシュを囮にし、奴の動きを止まったと同時に頭を撃ち抜く。
それまではただひたすらに待つ。
誰にも見つからずに。
「何と初々しい。あなたサーヴァントとして戦うのは初めて?なら先輩として教えてあげる!」
一瞬姿が消えたと思いきや、いつの間にかマシュの目の前に現れた。
奴の鎌はマシュの頭目掛けて振り下ろされる。
遥か遠くまで鳴り響く金属音。
突然吹き荒れる突風が俺と所長を襲う。
これが英霊同士の戦い。
先程の突風により舞い上がった土煙のせいで一寸先すら見えはしないが、鳴り止まることのない金属音が戦いの壮絶さを物語っている。
「必死ですね。大変良い。でも気を付けなさい。私の槍は不死殺しの槍。この槍で付けた傷は何をしても治らない。そう肉体を完全に治癒出来る奇跡であろうと。」
あいつ!
あんな事を言われれば誰であろうと恐怖を覚える。恐怖を覚えれば身は竦み、思考は鈍る。
普通自分から能力を教える奴なんていない。だがあの槍は能力を教える事で本領を発揮する。
奴はそれを聞いて怯えきった人間を弄び石化させたのだろう。
あいつはそうやって遊んでいるんだ。きっと盾を構えて怯えた顔をするマシュを見ようとしているのだろう。
そうして少しずつ傷を与えて殺す。
マシュがそんな姿になるのを考えたく無い。
さらに自分がやられる事も自然と脳裏に浮かび上がる。
戦ってもいない。ただ見ているだけですら足が竦む。
マシュはどんな思いで戦っているのだろう。
どう見ても鎌としか見えない槍の穂先をまるで弓を射るかのように体まで引き、放つ。
そうして一撃が繰り出された。
先程までの激闘で崩れた体勢を整え、しっかりと盾で受け止める。
この金属音が鳴り響く限りマシュに傷が付く心配はない。
期待していたのと違ったのか奴は顔を歪める。
「あまり初々しすぎるのも癪に触ります。」
受け切ったまでは良かった。だが尋常では無いほどの火花が飛び散る。
それだけでマシュがどれほど重い一撃を凌いでいるのかが分かる。
いや、分かってしまった。
なのに、それなのに……俺は、マスターである俺はどうする事も出来ない。
何も出来ない、役立たず。そんな言葉が浮かび上がる。
☆
鍔迫り合いにも似たような状況となり2人の動きが停滞する。
今しかない。
そう思い引き金を引く。
「『狙撃』」
三八式歩兵銃から撃ち放たれた弾丸は、奴の頭部目掛けて突き進む。
だがマズルフラッシュを視界の端で捉えた奴は反射的に後ろへと下り弾丸は先程まで奴の居た場所を通り過ぎる。
本来、三八式歩兵銃のマズルフラッシュはあまり出ない。というか全くと言って良い程出ない。
これは流石英霊としか言いようが無い。
弾丸が通り過ぎた後直後にやって来きた本当に小さな音を奴は聞き逃さなかった。
奴は獲物を見つけた肉食動物のような目をし、こちらへと向かってくる。
接近戦は免れない。
三八式歩兵銃を固有結界に入れ、新たに百式機関短銃を出す。
百式機関短銃を手に握った時にはもう既に接近され鎌を振り下ろす寸前だった。
降り掛かる鎌の柄を木製の銃床で受ける。
本来の用途とは異なる使い方をしているため銃床はミシミシと悲鳴をあげる。
「はぁああ!」
体を左にずらし、銃口側を握っている左手を前に押し鎌を地面へと叩きつける。
そこから更に半回転させ左脇に持っていき、脇で固定。
奴に背中を向ける形となり引き金を引く。
全弾発射しきるまで絶対に引き金から指を離してたまるか。
「……グゥッ」
何発もの弾丸が奴の体に穴を開ける。さらに質の悪いことに体を貫通せず体内に残る。
俺にとっては万々歳だけどな。
だが俺は全弾撃ち切ることはなかった。
体が軽いと思ったら宙に浮いており百式機関短銃すら手から離していた。
何が起きたか理解し、頭がクリーンになるとさっきまでは気がつかなかった背中の鈍い痛みに気が付いた。
刺された?
いやそれでは吹き飛ぶことはない。
考えられるのはただ一つ。
蹴られた。
またかよ。
と思い出に浸る。
それでさっきまで思い出さないようにと堪えていた感情、思いが湧き上がって来る。
胸に熱い何かが染み渡ると同時にどうする事も出来ない虚無感が俺を襲う。
その次の瞬間
地面に打ち付けられ、更に激痛が走り、それすら考える暇がなくなる。
「……はっ、……くっ 」
痛い。
いやそんな表現ではぬるい。
身体中軋み、打ち付けられ擦り剥いた皮膚は肉が露わになり空気が加熱させた針のように肉を突き刺す。
いずれその感覚もなくなる。
きっと脳が理解していないおかげであろう。
「……マ、…ズマ、…じょう…かい!」
視界がまるで曇ったガラスから向こうを見るかのようにぼやけて見える。
耳に何か詰まったかのように声が篭って、聞き取れない所もある。
黒に肌色、青。
立香か。
☆
「カズマ!カズマ!大丈夫かい⁉︎」
目には光が無く、息は段々浅いものとなっていく。
「り……か」
声はまるで生まれたての子犬みたいに弱々しかった。
当然だ。英霊に蹴られたらひとたまりもない。
「カズマ!」
さっきまで怒ったり、笑ったり…理由はどうあれあれほど表情豊かな顔の面影など無かった。
「一蹴り……で…この…ザマか……ははは」
自嘲するかのように乾いた笑いをする。
「イリヤ…クロ…」
『会いたい』その一言だけは言わなかった。本当は言いたいはずだ。だが言ったところで虚しいだけ。
そうだ。カズマは妹達に会うためだけに死地に身を投じ、生身で英霊と戦った。
身体能力だって俺とそこまで変わらない筈なのに。
それなのに俺は…
所長みたいに魔術は使えない。ただのお荷物。
「俺を魔法陣に連れて行け。」
「えっ、」
そんなことしたらカズマの体が。
「いいから早く、引きずってでもいい。やるんだよマシュが凌いでいる内に英霊召喚を!」
確かにマシュが耐えている間に対抗手段が見出さなけれれば『死』のみ。
魔法陣には所長が置いたであろう宝石等が置かれ、後は恐らく血を使うだけであろう。
「俺の腰にサバイバルナイフがあるだろう。それで俺の腕を切って血を出せ!」
「何を言ってるんだ!もうカズマは体力を消耗し過ぎだ!俺がやる。」
俺はカズマの腰にあるサバイバルナイフを抜き襟を捲り腕を切り魔法陣に血を流す。
「バカ…やめろ。それは」
切る際に体から生命力とでもいうべき何かが抜けていく。いや吸われていく感じがする。
「それじゃ俺の後に続いて詠唱してくれ!」
「「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。振り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出て、王国に至る。
三叉路は循環せよ。
繰り返す都度に五度。
ーーーー告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば
応えよ!
誓いを此処に。
我は常世総ての善となる者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
いずれ魔法陣に青白い光が広がっていき眩い光と魔力の重圧が俺達を襲う。
「はぁ、とうとう召喚されちまったか。クラスは……やっぱりか予想はしてたけどな。あーあ働きたくねぇ。ちゃっちゃと終わらせちまおうぜマス……なんだカズマじゃねぇか。」
金髪の英霊からは微塵もやる気を感じず、剰えカズマを知っているかのような言動をしていた。
「だ、ダスト!お前英霊になれるのか?まぁいい。早くあのローブ女をぶっ殺せ!」
「へいへい。あー、働きたくねぇ。報酬として後で酒寄越せよ。」
英霊には何かしら触媒が必要な筈だ。何かしらの縁が。
俺はてっきり鉢巻を触媒に日本軍を呼び出すのかと思っていた。
縁
成る程。理解した。
こいつら同類だ。
戦場之郵便配達というドラマを見てみました。YouTubeで。
コメント見たらなんか三流以下とか演技が下手とか言われてました。
でも硫黄島の人達が物資を届けに来た人達のご飯を隠れて見ていたところが本当にリアルで涙出ましたね。
出来ることなら今日本で捨てられちゃう食べ物をタイムスリップしてたべさせてあげたいですね。