もしもカズマがプリヤの世界に行ったら。   作:こしあんA

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皆さんお待たせいたしました。文章に納得がいかなく改良したり何度も読み直しました。
今回は5000字程度です。本当に何してたんだって話ですよね。
前にも言いましたが自分は受験生です。
いや勉強しろよ。と思いの方もいるでしょう。小説を書いていたお陰で40点しか無かった国語の点数が今では7、80点取れるようになりました。



ドライ
1話 炎上汚染都市


意識が徐々にはっきりとし、瞼を開けると暗闇の世界に眩しい過ぎる程の光が入り込む。そのせいで視界が真っ白になる。

 

 

やっと光に慣れ、視界に映ったのは真っ赤に染まる空であった。

 

周りからは何かが焼ける音が聞こえてくる。

それはどこかで見た事のある光景だった。

確かそれはエミヤの記憶を覗いたときに見たものだ。

 

夢か、そうに決まっている。またあいつの記憶を見ているだけなんだ。

 

そう言えば脳の働きもしっかりとしてない。確認のため頬を引っ張ってみると痛かった。それではっきり分かった。いや分かってしまった。

 

現実だと。

 

俺は現実を受け入れ起き上がろうとしても体が起き上がろうとしてくれない。流石にあれ(憑依経験)はやり過ぎた。

だがイリヤ達と会わなくてはいけない。肘を地面に打ち付けその反動で起き上がろうとするが当然そんな事できるわけがない。体を捻り横向きになろうとする。だが体全身に何とも言えない鈍い痛みが走り、また仰向けの状態に戻ってしまった。

 

体力も魔力も全て使い果たしたらこんな感じなのか。生命力を溜め込んだ石を出そうにも魔力が無く固有結界から取り出すことが不可能。

 

駄目か。

そう思うと体から力が抜け自然と頭が横へと落ちる。そこにはあいつを斬りつけ魔力や生命力を吸った刀が俺の横に置かれていた。

俺は刀を掴みドレインタッチで溜め込まれた魔力と生命力を吸収し、何とか起き上がることが出来た。

 

起き上がった俺の視界に看板が映った。そこには『2004 冬木』と書かれていた。

 

「まじかよ」

 

タイムスリップをしてしまった。いやあの街が過去に大火災にあったなど聞いた事がない。

それで分かった。間違いない。並行世界だ。さらに時間も大幅にずれている。

 

 

俺は今の現状に絶望し、頭を垂れる。

だがその絶望が功を奏した。俺の足元には光るナニカがあった。拾って埃を払うと元の姿へと戻る。

それはイリヤ、クロ、美遊にプレゼントしたものだった。

 

俺はそれをしっかりと握り歩み始めた。

 

 

 

 

 

「イリヤ!クロ!美遊!凛!ルヴィア!バゼット!」

 

もう1時間はみんなを探し回った。だが人影すら見当たらない。

自分の無力さ、この世の理不尽さに腹を立てる。

 

「みんなに会えないんじゃ、こんな物持っていたってどうせ意味なんて無い!…ッ」

 

イリヤ達へプレゼントをしたアクセサリーに八つ当たりし地面に叩きつけようとする。だが出来なかった。

唯一イリヤ達の事を感じられる物だったからだ。

 

視界が霞み頬に暖かい感触を感じた。知らぬ間に俺は大粒の涙を流していたらしい。

 

「なんで、なんで俺を一人にするんだよ。最初は親を置いて先立ってその次はアクア達を置いて日本に戻ってきて、その次は妹達とはぐれて、なんでいつもいつも俺にだけそんな仕打ちをするんだよ。

俺は運が良いんじゃなかったのかよ。どうなんだよ!」

 

何を言っても何か帰って来るわけでもない。

 

ただただ静寂が続く。

 

 

だがそれをかき消したのは足音だった。

振り返るとそれは武装した骸骨達だった。

骸骨達は俺を嘲笑うかのような骨の擦れ合う音をだす。その音は今の俺を現すかのように何もかもが空っぽだった。

 

「うるせえよ。」

 

だが骸骨達はまだ骨を擦り合わせ音を鳴らす。

 

「黙れって言ってるだろ!」

 

俺は一体の骸骨の頭を掴みドレインタッチで魔力を吸い取り頭を地面へと振り下ろし砕く。

だがまだ数体、数十体いる。

刀を抜刀はせず骸骨に近づき足を掛け後ろに倒れたところを鞘の先で打ち砕く。

 

「『スティール』『狙撃』」

骸骨の頭を奪いほかの骸骨の頭へと当てる。

 

 

 

 

気づくと俺の足元にはいくつもの残骸があった。だがそんなものに興味はない。俺はまたイリヤ達を探すためハッキリとしない足取りで歩き出した。

その姿はまるで何かに取り憑かれているようで、虚ろな目をしていた。

 

 

 

 

 

(きひひぃ、こんな所に間抜けな獲物がいるとは)

 

奴は足をふらつかせ重心が整っていなかった。この程度の雑魚なら簡単にひねり潰せる。

だがそれでは面白くもなんともない。どう調理してやろうか。

全身黒く、仮面を被った布一枚の男はナイフを舐め獲物をはっきりと眼に焼き付ける。

『よし、今だ。』とばかりにカズマに飛びかかる。

全身黒い男はカズマの背後からナイフを持ち飛びかかった。

だがその次の瞬間黒い男の胴と腰はさよならしていた。

「はぁ?」

意味が分からなかった。飛んだとは言えど足音一つ出さなかった。それなのに奴に気付かれ切断されていたのだ。

 

 

 

 

 

敵感知に反応があった。

さっきから付けられているが足音がしない。アサシンだろう。だが敵感知がビンビンに反応している。

 

油断しているな。

 

俺は醜悪なまでに顔を歪めどう調理してやろうかと考える。

その次の瞬間敵感知に引っかかった敵に動きがあった。

まだ俺には戦士を憑依させた時の感覚は残っている。

俺は振り返り、抜刀をして奴の体を半分に切り裂く。

 

「はぁ?」

 

敵は間抜けな声と同時に倒れこんだ。

「真っ二つにされても動くのか。流石は英霊といったところか。」

 

俺はサバイバルナイフを抜き何度も突き刺す。

 

「ガァッ、や、やめ…グォッ、おねが…い…しま……もうやめ…」

「英霊、ともあろう、ものが、命乞いをするわけ、ないよな!」

その間も俺は奴と楽しい会話をしながらサバイバルナイフを突き刺す。だがそれもやがて飽き、ソードブレーカーの特徴的なギザギザをも利用し何度もグリグリと抉る。

 

30秒もしない内にそいつは粒子となって消えていった。

 

つまらない。

 

 

「キャァー!」

 

甲高い女性特有の悲鳴。

だがイリヤ達ではない。もっと大人びた、そう凛やルヴィアくらいだと思われる。

やっと人に会える。妹達ではないとはいえ凛かルヴィアに会えるかもしれない。なぜバゼットを含めなかったかと言うとバゼットが悲鳴をあげる事などそうそう無いからだ。

そう希望を持ち歩き始める。

 

だがその期待もすぐ打ち砕けた。悲鳴を上げた者の正体は白髪のロングヘアーの知らない女だった。

彼女は迫り来る骸骨達を凛達が使っていたガンドらしきもので交戦している。助けるのも面倒だが彼女から何か情報を聞き取れるかもしれない。

刀を持ち抜刀はせずさっきと同様に鞘の先で頭部を破壊する。だがそれでは体力の無駄遣いだ。残りの骸骨は約10体これなら

 

「『スティール』」

 

それを10回繰り返すだけ。

そして頭を奪われた骸骨は全て動かなくなる。

 

「大丈夫か。あと一つ聞く。ここはどこだ?」

 

俺は聞きたいことだけを淡々と話し掛ける。

 

「あんた誰よ、レイシフトの時あんた居なかったわよね?」

「いいから質問に答えろ。それとも今の疑問文が答えか?」

 

助けてやったのに上から目線のこいつに苛つきを覚え十四年式拳銃を抜きマガジンを交換し薬室に弾を1発装填する。

 

「特異点Fよ。」

 

「もっと具体的に言え。今ここでは何が起きてるんだ。」

 

「カルデア内部で爆発が起きて気が付いたらここに居たの。それ以外のことは知らないわ。」

 

それだけかよ。魔力を無駄に使った。早くイリヤ達を探さないとな。

 

とその時敵感知に反応があった。

 

「所長から離れてください!」

「『回避』」

 

十字の形をした盾を持った桃色の髪の女に不意打ちを食らうところだった。もし回避スキルが発動していなかったらあの盾で潰されていたであろう。

俺は十四年式拳銃の銃口をそいつに向け、警戒する。

 

「マシュなのよね?待ってこの人は助けてくれたのだからその盾は下ろしてあげなさい。」

白髪の言葉により奴は盾を下ろす。

やはり人助けはするものだな。

「マシュ置いてかないでくれよ。」

 

そこに青目で黒髪の男がこちらに駆けつけてきた。

 

「すいません先輩。先行し過ぎました。」

 

やはりこの声聞いた事がある。

 

「はぁ、はぁ、マシュってこんなに体力あったのか。で、この人は?」

「所長に銃口を向けていました。でもどうやら所長を助けたらしいです。でもこの人はカルデアにはいなかったはず。もしかしたらサーヴァントかもしれませ…」

「それ十四年式拳銃かい!見せて見せて!」

 

どうやらこいつは軍オタらしい。

俺はマガジンを抜き薬室から弾を取り出しそいつに渡す。

 

「うわぁ、本物だ!まさか生きている間に日本兵の武器を拝めるどころか触れる事ができるなんて。他には、他には何があるの?その額に巻いてる鉢巻も日本兵のでしょ!見せて触らせて!」

 

「これだけは絶対見せないし、貸さないからな。そして早く返せ。ところでお前誰だよ。」

「ああ、ごめんごめん。つい興奮しちゃって、俺は藤丸立香、この子はマシュでマシュは俺のサーヴァントだ。」

 

成る程そういうプレイか。

というのは冗談だ。エミヤの記憶でちゃんと知っている。

 

「俺は衛宮和真だ。じゃあな。」

「ちょ、ちょっと待って。この状況で一人で行くのは危険だ。それにどこにいくんだよ!」

「妹達を、離れ離れになった妹達を探しにいくんだよ。」

『ちょっ、ちょっと待ってくれ。』

 

電話越しのような声が聞こえてくる。

『今妹「達」と言ったよね。何人いるんだい?』

「妹2人、その友達1人、そして後は3人。計6人だ。」

『そうか、残念だがこの特異点には人間の反応は君達を除いていないんだ。』

 

嘘だろ。じゃあ俺は1人だけ違う並行世界に来ちまったって事かよ。

これからいったい俺はどうすればいいんだ。

 

「レイシフトとか言ったか。それを使えば並行世界に行けるか?」

『無理だ。だがもしその子達に関係しているものがあればなんとかなる…かもしれない。ただそれでも成功率は低い。』

関係あるもの…か。ある。俺がイリヤ達にプレゼントしたもの。

 

「ある。じゃあ早速俺を送ってくれ!」

『残念だけど特異点を解決しないと回収出来ないんだ。』

 

なんだよそれ。ふざけんなよ。俺に何の関係があるんだよ。

 

だが背に腹は変えられない。

 

「分かった協力する。で、何をすれば良いんだ。」

『この冬木を正常化させる事。まず情報交換と行こう。カズマくんはここで何と出会った。マシュちゃん達も教えてくれ。』

 

俺は何があったかを説明した。骸骨を倒した事、アサシンを倒した事。画面男と白髪は『有り得ない』を連発していた。

 

マシュ達は何者かに狙撃を受けたらしい。おそらくアーチャーの英霊だろうという事になった。

途中白髪のあいつが画面越しの奴に文句言ってたが気にしないようにしよう。

 

『成る程。これは聖杯戦争だね。本来…』

 

聖杯戦争とは7人のマスターと7人のサーヴァントがペアを組み殺しあうバロルロワイヤル。だが人の反応はない。英霊が暴走した事によって起きた特異点だとか。だから元の聖杯を手に入れる必要がある。

 

「ところで画面のあんたと白髪のお前誰?」

「白髪じゃないわよ!銀髪!私はオルガマリーよ」

 

撃たれて死にそうな名前してるな。

 

『僕はロマニ・アーキマン。Dr.ロマンと呼ばれているよ。』

「で、ロマンどこに行けば良いんだ。」

『聖杯戦争だから全サーヴァントを倒せば良いんじゃないかい。』

「それ無事に終わるのか?」

 

もう二度とバーサーカーとは戦いたく無いんだが。でもそれ以外イリヤ達と出会える方法は無い。いやでもエミヤの記憶だとセイバー生きてたし1人くらいなら残してもいいのでは。

 

『勿論その状態で戦ったら間違いなく全滅だろうね。だから英霊を召喚するんだよ。』

 

え、なにそれいきなりヌルゲーになったな。マシュさんはサーヴァントだから英霊召喚は出来ないとしても立香とオルガマリーは召喚出来るし当たりの英霊を召喚すれば楽勝だ。俺も召喚出来ればさらに

良い。

 

「僕はもうマシュと契約してるから無理じゃないの?」

「……私は適正が無いわよ。」

「ムリゲー。おいロマンこれであと6人も英霊倒せんのかよ。」

あと6人。ゲイボルグとかどうすんだよ。最低でも1人死人が出るぞ。エクスカリバーとかどう対処するんだ。バーサーカーなんて考えたくも無い。

 

『カルデアのマスターは何体でも契約可能だよ。適正とカルデアの電力を変換した魔力があればね。でも流石に1日に連続で契約は体に負担が掛かるからもう立香くんはもう駄目だよ。』

 

電力で魔力に変換できるのか。強過ぎ。

だが立香はもう契約不可。

「俺にカルデアの魔力を俺に供給出来るか?」

『何の意図があるか分からないけどもし君がサーヴァントだったら可能だよ。』

 

はい詰んだ。どうすんだよこれ。

 

『一か八か君が英霊召喚をして欲しい。』

 

狡賢い手段でやっと英霊と渡り合える一般人になにを求めてんだよ。いや冷静になって考えてみると俺逸般人だわ。

 

『ここじゃなんだ。取り敢えず場所を変えよう。』

 

ロマンの言葉により俺達は歩き始めた。

 

「ねぇ、ねぇもう一回。もう一回だけ見せて。なんなら他の武器でもいいから。」

 

こいつうぜぇ。

俺は仕方なく武器を渡した。

 

「ナニコレ」

「日本刀だ。ほら日本軍も使ってただろ?これで我慢しておけ。因みに間違っても刀身には触れるなよ。」

 

刀くらい渡しておけば骸骨にむざむざやられることは無いだろう。

 

「嫌だ。もっと十四年式拳銃見せて、触らせて、握らせて!」

 

立香はその場で寝そべり子供のように駄々を捏ねる。さっきからグダグダと無駄な抵抗を。

今度からこいつの名前はぐだ男と呼ぼう。

 

立香が駄々を捏ね転がる度に白い制服は汚れていく。カルデアの清掃員は大変そうだな。

 

 

「置いてくぞぐだ男。」

「ぐだ男って俺のこと⁉︎…待って置いてかないで!」

 

本当に気楽で良いよな。

 

 

 

 

 

 

行く宛も無くただ闇雲に歩いた結果大橋近くまで来た。

 

『じゃあまずは魔法陣を描いてくれ。』

「「どうやって?」」

俺とぐだ男が同時に尋ねる。

「私がやるわよ。」

「召喚は出来ないくせに魔法陣は描けるんだな。」

 

その次の瞬間俺の真横をガンドらしきものが通り抜けた。

 

「次余計なこと言ったら風穴開けるわよ。」

「上等だテメェ。今すぐスティールでお前の身ぐるみ剥いでやろうかこの白髪!」

「誰が白髪よ!」

 

俺と白髪は五分に渡る不毛な戦いを繰り広げた。と言っても取っ組み合いをしていたがとうとう切れた俺がスティールでパンツ剥いで泣かせただけだけど。

 

3人にはクズだ。カスだと言われた。マシュには初めて言われた気がしなかったのが不思議だ。

 

「グスッ、ヒッグ、びぇええん。」

 

未だ白髪は泣き止まず子供のように泣き喚く。

 

「所長いい加減泣き止んでください。クズマも早く謝ってください。」

「誰がクズマだ!」

「いいから早く謝ってください。」

さっきよりトーンの下がったマシュの声に恐怖を覚え俺が極め続けた究極の土下座により事なきを得た。

 

 

 

「じゃあ始めるわよ。」

段々と魔法陣が完成していった。その作成の様子に俺は目を奪われた。

 

「ふぅ、後は詠唱と私の宝石と血を使えば完成よ。」

流石に座りっぱなしは疲れたのか体を伸ばし体をほぐしていた。

 

俺は一呼吸する。

さっきまで地面に集中し視野が狭くなっていたが、視野が広がる。

その視界には異物が目に映った。

 

「なあ、特異点には人の石像なんてあるのか?」

 

そう、辺りには無数の石像が置かれていた。

 




社会のテストで第二次世界大戦だけ出ないかな。
そしたら高得点取れる気がする。

ドライって書きましたがイリヤ達の出番はまだですね。すいません
ちなみにfgoを付け足すのは八月中に既に決めていました。

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