もしもカズマがプリヤの世界に行ったら。   作:こしあんA

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あけましておめでとうございます!
本当は午前零時に投稿して驚かせてやろうとしたんですけど終わらなくて2時に寝て目が覚めたら12時でした。


バゼットとこのすばの検察官のセナさんって声優同じなんですよね。だからバゼットは男運がないのか。
因みに題名は誤字ではありませんからね。


7話 被弾のカズマ

俺は自惚れていたのだろう。現実とは常に非情だったのだ。俺はそれを忘れていた。日本に転生してからというもの俺の理想は揃っていた。だから俺は忘れてしまっていたんだ。

 

女性にスティールを使うとほぼ必ず下着を取ってしまうことを。

 

「あの、すいません。これ返しま…」

『す』と言おうとした時バゼットは顔を真っ赤にし、どう見ても即死級の威力を持った右ストレートが目の前まで迫っていた。

 

「『回避』」

 

必ず発動する訳ではないが自動的に発動する回避スキルのおかげで体が勝手に右斜め前へと前転し一命を取り遂げた。

 

「あ、あなただけは絶対に殺します!」

赤面し涙を浮かべたバゼットさんは、それはそれはお怒りだった。

 

 

 

俺は身の危険を感じオートスキルでは無いはずの逃走スキルが勝手に発動していた。

 

 

 

 

「待ちなさい!さっきから何故あなたは正々堂々と戦おうとしないのですか!」

 

と言いながらバゼットは一心不乱に引っこ抜いた木や石ころを野球選手顔負けの投擲をしてきた。

俺は逃走スキルと回避スキルを駆使し必死に逃げ回った。

 

「卑怯なのはどっちだ!ライフル弾すら受け切りやがって。怪物かテメェ!」

 

「ほう、人を化け物扱いとは卑怯者の割にいい度胸です、ね!」

バゼットの怪力でのフルスウィングにより射出された石は轟音と共に俺の背中にと被弾した。

 

「ゲホッ、ゲホッ。いってぇ。」

「さあ、これでラストです。絶対に殺します!」

 

まずい。これはまずい。

 

「『スティール』」

 

頼むこれが最後のチャンスだ。お願いしますエリス様どうか俺に幸運を!

もしこれでブラでも取れたら笑い話にすらならない。

 

俺の手にはカードが握られていた。

 

「ラッキー!『インストール』」

俺はカードのクラスすら確認せずインストールし光に包まれ闇を照らした。

次第に光が薄れていき、さっきとは真逆で闇に溶け込むような黒い布に黒い肌。

アサシン、か。

こいつとは本当に縁があるな。

イリヤ達を傷つけられた。だが逆にバーサーカーとの戦い、日本軍との戦いでは本当にお世話になった。

あと他にも何かあった気がするが忘れた。まあ忘れるくらいだから大した事では無いのだろう。多分

 

妄想幻像(ザバーニーヤ)

五体に分身し四方八方へと散り気配遮断スキル、潜伏スキル、敵感知スキルを発動する。

バゼットは防御態勢に入った。

 

一斉に毒の塗られたナイフを投擲。

それはバゼットの皮膚を掠るだけであった。だがそれで良い。毒を蓄積さえできれば。

 

「位置はだいたい掴みました。」

バゼットが防御態勢に入ったのは俺たちの位置を掴むためだったらしい。

飛んできた五本の内一本が飛んできた方へと走って行った。だがそこには誰もいない。

何故なら攻撃したら即離脱という一撃離脱を徹底することに決めた。

 

「なっ!確かに物音はしなかった。音を出さないように移動したとしてもそう遠くにはいけないはず。それならもうとっくに発見できるはずなのに。」

 

投擲されたナイフの軌道のとうり一直線に走ったバゼットは木にぶつかった。つまりもう奴はいないという事。

因みにバゼットが追っている俺の分身がどこにいるかというとその木の上にいます。

本当になんで上を見ないのか。

まあ発見させるつもりも無いけどな。

 

バゼットが一人を追っている隙に他の四人がナイフを投擲。

やはり掠るだけである。

 

それを繰り返しているうちにバゼットもそれに慣れていき一人、また一人と消され、残り3人となってしまった。

こうなっては一撃離脱も難しい。このまま徐々に追い詰められていくくらいなら最後の抵抗でもしてやる。

分身二人に突撃命令を出し3人がかりでバゼットを相手する。

 

一人はナイフを持ち突き刺しにかかる。だが簡単に躱される。

だがもう一人が木から飛び降り、落ちていくに連れ倍増する威力と全体重を乗せた踵落としがバゼットの脳天めがけ振り下ろされる。

 

「まだまだ全然軽いです。」

両腕をクロスさせ受け切った。

だが俺と最初に攻撃をした分身がバゼットの腹部と背中を突き刺す。だが浅い。さらにその間に踵落としをした分身は消されていた。

 

俺と最後の分身は撤退しようとするが腹部を攻撃した分身は両腕で抱きしめられ体が鯱鉾(シャチホコ)のようにありえない方向に曲がっていた。

 

それを見てはっきりわかった。掴まれたら死ぬ。

だがこれはチャンスだ。今バゼットは動けない。

脚を強化し全力疾走。

その勢いを利用し膝蹴りを背中に食らわせる。

これが俺が与えられる最大の一撃であろう。

だがその一撃は全然効いていなかった。ちょっと仰け反っただけである。

 

だがさっきの攻撃により収穫もあった。

首筋に印のようなものがあった。黒と同じものである。

 

 

 

痛い、めっちゃ痛い。まるでダクネスを殴った時のようだ。

 

「あなたには驚かされ続けましたがそれももう終わりです。大人しくしていれば痛い思いをせずに楽になりますよ。」

 

「やーだね!」

 

「そうですか。」

速い。だがそれは想定済み。腕を強化し受け止める。威力を殺す為でもあるが後ろへと勢いよく飛ぶ。そのおかげで死なずに済んだ。その代わり盛大に吹き飛んだ。

イリヤ達の所に。

 

「「お兄ちゃん!」」

「ゲボバッ!」

 

イリヤ達の所に飛ばされる所までは良かった。そう計算どうりだったのだ。

だが飛んだ先に待っていたのは木であった。

そのせいで木に強く背中を打った。幸いにも英霊化していたおかげなのか予想していたよりは大丈夫だった。

その代わり英霊化が解けカードが体から出ていき、元の武装した状態へと戻される。

 

「悪いな…イリヤ、クロ。お兄ちゃん負けちゃった。時間稼ぎ程度にしかならなかった。情けないお兄ちゃんでごめんな。後は頼んだ。暫くは一歩も動けねぇ。」

 

「あなただけは絶対に許さない!」

クロは先程までの苦痛に耐え凌ぎ、その瞳には燃えたぎる闘志が宿っていた。

同じくイリヤも瞳に闘志を宿していた。

 

そう、兄を傷付けたこの女を許せるはずが無いと。

 

クロは干将・莫耶を投影。

イリヤは星型の魔術障壁をバゼットの座標へと展開する。

バゼットは一直線に走りそのギリギリ後ろには魔術障壁が展開されて行く。

クロはバゼットの平行に追尾する。

 

「面倒です。まずはあなたをねじ伏せます。」

ホルスターから十四年式拳銃を即座に抜き早撃ちをする。

銃身から2発の弾丸がバゼットへと命中。それと同時に煙が発生した。特殊弾である。

前に発砲した銃弾は通常弾だったのに何故今特殊弾なのかと突っ込みたいが、思わぬ誤算によりバゼットの視界を封じることには成功した。

 

「なっ、煙幕⁉︎」

「今だ!イリヤ、クロやっちまえ!」

と某水戸のご隠居さんのような台詞を吐く。

その台詞と同時に2人は反撃の一手にでる。

 

この煙幕が晴れるまでに勝敗が決するであろう。

 

 

 

 

飛来物は五つ。水平方向のものは魔力弾上空のものは剣。この程度なら。

 

 

 

 

上空に散らばっていた四つの剣は次第に引き合いバゼットの進路を塞いでいた。

回転した剣が巻き起こした風によりバゼットから半径3メートルが晴れ斜め右下に1人の影が視界にほんのちょっぴり映る。

それは白と黒の剣。干将・莫耶を携えたクロであった。

 

バゼットは自分へと飛翔する剣を全て無視し、クロに右ストレートを放つ。

それによって俺と同様吹き飛ぶが、右ストレートを食らうと同時に斬りかかる。そして四つの剣がバゼットの体を切り裂く。だがそれと同時に全ての剣は虚しく砕けていった。

 

だがクロはこれで良かったのだ。クロの目的は倒す事ではなく注意を惹きつけること。クロは自分に願うのでは無くイリヤに託した。

イリヤならやってくれる。そう信じた故の捨て身の特攻である。

 

妹が死する覚悟で突撃して行った。なのに俺は何も出来ず座っている。

 

 

完全に攻撃を終えたバゼットは背後から近づいてくるイリヤが居た。バゼットはその存在に気付き振り返ろうとした。

 

「…体が動かない⁉︎」

「やっと効きだしたか。」

そう、英霊化した時に蓄積させた神経毒である。

 

そして、イリヤの手がバゼットの首筋に届いた。

そしてそこから赤い紋章が現れた。

 

突然の事に驚いたのかバゼットは距離をとった。

なんでもう動けるの?

二回はちゃんとぶすりと刺したはずなのに。

 

「一体何をしたのです。」

 

イリヤは沈黙を続ける。

 

「答えないのなら!」

まずい。

 

立ち上がらなくては、そう思っているのに体が言うことを聞かない。

「転移!」

 

 

転移魔術それはキャスター戦の時に目撃し、習得した。

エミヤとの戦い以降一度も使ってないからすっかり忘れてた。

全魔力を注ぎ詠唱無しで発動しバゼットとイリヤの間に転移し、三八式歩兵銃の銃床で防ぐ。

 

イリヤは無事に済んだが俺はバランスを取れない状態からの防御の為簡単に尻餅をついてしまった。

 

「本当にあなたと言う人は無力化しても害をなすとは。」

人をゴキブリかダニのような言い方をし、俺の顔面めがけて拳が振り下ろされる。それと同時に俺も三八式歩兵銃の照準をバゼットに向ける。

 

「チェックメイトよバゼット。」

一触即発の事態はその声により終わりを告げた。

 

「「「「凛(さん)」」」」

「よがっだ、いぎでだんだ。」

「そりゃこっちや台詞よ。おまけにルヴィアも無事よ」

 

おまけなのか。

 

「一体何を…」

「それはイリヤが今感じている痛み。『死痛の隷属』主人の受けた痛みを奴隷にも共有させ主人が死ねば奴隷もまた命を落とす。古い呪いよ。」

「呪術…協会の魔術師ともあろう者が!」

えっ、呪術だめなの?俺のイメージだとガンガン呪いやってると思った。

だって魔術師と言えば黒い釜にヤバいもの入れてグツグツ煮込んで完成したものを相手に使ってるイメージなんですけど。

 

 

「痛みと死の共有ですか。」

「そう、つまりこれでもうフラガは使えない。」

その後なんか説明してたが因果の葛藤やらなんやらが発動するらしい。

分からん。

 

だがそんな事しなくても最もコストが安い対処方法を思いついた。そうスティールである。

あっ、だめだ下着取っちまう。バゼット強すぎだろ。

 

「50点ですね。」

俺の英語の点とそこまで変わんねぇな。

「これでフラガは封じられたのかもしれません。しかしそれだけです。そんなもの死なない程度に殴ればいい。その気になれば自分の痛覚など無視できる。」

 

これだから脳筋は

 

「なら追加点をお願いするわ。」

と言い紙を取り出した。

まるでタコの足のように広がった黒い模様。

なんかこれパイレーツで見たことあるんだけど。

 

「これはこの街の地脈地図。以前地脈の正常化を行ってね。その経過観察を撮ったもの。ようはレントゲンね。分かるかしら左下の方。」

 

正方形ですね。

 

「地脈の収縮点に…正方形の場?まさか!」

 

自分だけで勝手に解釈するのやめていただけます?

 

「前任者なら分かるわよね?正確には正方形ではなく立方体。」

 

知ってた。俺もそうなんじゃないかと思ってたよ。

 

「虚数域からの魔力吸収。」

 

虚数域ってなんだよ。

というかこの流れ嫌な予感がする。

 

「8枚目のカードよ。」

ですよね。8枚目って何かな?前にエミヤの過去を見た時他に出てない奴と言えばアサシンの佐々木小次郎かな?

 

ああ、秘剣燕返しどう攻略するかな。

うん、現実逃避はもう止めよう。絶対ギルガメッシュだ。

10年分貯めた魔力があれば30分くらいなら生き延びられそうなんだけどな。

 

その後も話は進み地脈が云々、地脈を弄れるのは凛だけ。

その結果一時休戦となった。

凛の交渉により奪われた6枚のうち3枚を取り戻せた。

それに守れたのは3枚だけじゃないしな。

 

 

「さて、これで一件落着ね。」

「この屋敷以外はですけどね。」

腹部を損傷、頭部からはかなりの出血。本当に良く生きてたな。

 

一件落着か。だが俺はそんな事思ってはいない。出来ることなら俺の持てる全ての弾丸、手榴弾を全てバゼットに浴びせてやりたいくらいだ。

そこでいいことを思いついた。

 

「なあ、ルヴィア話がある。」

「何ですの?」

俺はルヴィアと大事な、そしてとても真面目な話し合いをイリヤ達に聞こえない音量で話し合った。

 

 

「俺はまだこの状況に納得していない。」

「ええ、私もですわ。エーデルフェルト家の者がやられっぱなしでは癪ですわ。」

「そこで話がある。バゼットとの戦いでこの屋敷は倒壊した。それは誰の責任だ?」

ここで俺の言いたい事を察したようだ。

「バゼットですわね。」

「そう、そこで悪事を働いた者にはその対価に見合う然るべき制裁を与えなければならない。自分の尻拭いは自分でやらなきゃな。そこでこの屋敷の修繕費をバゼット個人に請求するのはどうだろう。」

「とても素晴らしいですわ!」

 

俺とルヴィアの利害の一致により、ここに固い結束が結ばれたのであった。

「あなたとは将来良いビジネスパートナーになれそうですわ。」

「奇遇だな俺もそう思ってたところだ。」

 

「フフフ、アッハッハッハッ!」

「オーホッホッホッホッホッホ!」

 

イリヤ達は会話の内容を聞き取る事はできなかった。だがカズマとルヴィアの悪い大人を象徴するような顔と、誰が聞いても悪魔の笑い声と錯覚するような高らかな笑い声を聞き、4人は敵であるはずのバゼット同情し、またこの2人を同時に怒らせてはいけないと悟ったのであった。

 

 

 

 

「さあ、もう帰ろうお兄ちゃん。」

そのイリヤ言葉を聞き帰ろうとする。

「どうしたの兄ちゃん?ほらはやく帰ろ。」

クロも優しく声をかけてくれている。

「体が動きません。」

そう、尻餅をついた状況からちっとも動けないのである。

ルヴィアとの会話の時も俺は座り込んでいた。

 

「はあ?何言ってんのカズマ君?足伸ばしてくつろいでるじゃない」

 

「足がつって動けません。因みに魔力も体力も残りわずかです。」

 

「はいはい、じゃあ起こすわよ。せーの!」

「『ドレインタッチ』」

「みぎゃっ!」

いきなり魔力と体力を吸われ奇声をあげた。

青筋を浮かべた凛は俺の胸倉を掴み軽々と持ち上げた。

 

「このバカ!私に一体何した!」

「体力と魔力を少しだけ貰いました。」

 

その後りんに散々怒られ、その間にイリヤとクロは帰ってしまった。

 

「ただい…」

「今の今まで帰ってこないとはいい度胸ですね。」

はは、この体力でセラの説教を耐え切れる気がしねぇ。

 

「…そんな傷だらけで…イリヤさんもクロさんも泥だらけで帰ってきて。それであなたは朝部活に行ってから今の今まで一度も帰って来ず連絡もよこさないで…」

セラの目頭は赤く腫れ少量の涙を流し、俺を抱擁した。

「これ以上私を心配させないでください。」

せらはきっと今まで心配しながら待ってくれていたのだろう。

「ごめん」

「ごめんじゃありません!もう二度と私を心配させないでくださいね。」

さらに強く俺を強く抱き締め、セラの涙は俺の肩を少しばかり濡らした。

 

 

「はやくお風呂に入って来なさい。ご飯はできてますから。」

 

 

 

 

 

 

俺は風呂で疲れを取り、今日を振り返った。

本当に色々なことがあった。

朝飯抜きで部活。その後あの男との戦い。バゼットとの戦い。本当に壮絶な連戦だった。

まあ、あの男は色んな意味でまだ連戦してるだろうがな。

 

だがブラック栄養食一箱だけでよく凌げたと思う。

そう考えるとろくな飯が無かった日本兵はよく戦ったと思う。あれは今の俺、いや日本人には真似出来ない。

 

俺は20分も風呂に入っていた。

 

 

「はぁ、腹減った。飯だ飯。」

 

「待ってください。その前にせめて絆創膏くらい貼りましょう。」

 

今日初めてのまともな飯から遠退いた。

 

「湿布も貼っときますか?」

 

「ああ、背中強く打ったから貼ってくれ。」

 

「はいはい。ここですか?」

 

「ああ、そこそこ。」

 

その後やっと飯にありつけた。

 

晩飯はシャケ、ご飯、味噌汁。とシンプルだ。

 

俺は最初に味噌汁を飲み体の芯から温めた。

夏だけど。

その後シャケを口に含み白米を掻き込み、いつのまにか食べ終わってしまった。




ゲボバ

いやぁ、つかれた。これノート10ページ使いましたからね。
皆さんは書くときノートに下書きしますか?
あと何の器具を使って執筆してますか?
私はスマホです。
ノート見ながらスマホで執筆大変ですよ。パソコン欲しいな。

コメントが来る度バジリスクタイムを踊りそうになる。

あと執筆中手先が凍えるとき
『天皇陛下万歳!』
と叫びはしませんが万歳すると手先が暖かくなります。

でもコメントが来る度バジリスクタイムを踊る前に
『天皇陛下万歳!』と両手を上げています。

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