もしもカズマがプリヤの世界に行ったら。   作:こしあんA

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自分で言うのもなんですが力作のはずです。誤字脱字が!


5話 この最大の敵に屈辱を!

 数日後

 セラによって受けた痛みも完全に引きいつも通りの生活を送っていた。ただ。

 

「あらカスマさんお帰りなさい。」

 

 セラに不名誉な名をつけられてしまったのである。

 

「あのそろそろその名で呼ぶのはやめてくれません?」

 

「あら私何か間違えしたか?カスマさん。」

 

「勘弁してください。」

 

 俺はそれはそれは見事な土下座をした。

 

「しばらくその状態でいるといいです。」

 セラは俺の頭へと足を乗せる。

 更にその状態で

「そういえばカスマさん宛の荷物が届いていますよ。」

 

 

 

「さて中身は何かな。」

 知ってるけど。

 中にはサバイバルナイフ、拳銃ホルスター(サバゲ用)と同じく、マガジンポーチ(サバゲ用)が入っていた。

 ちなみにサバゲ用と言ってもちゃんと銃は納められるし、マガジンも収納できる。

 何故こんな買い物をしたかと言うと一度メタロギアごっこをしてみたかったのだ。

 日本軍版のメタロギアである。あとは爺ちゃんの鉢巻、某ブロック栄養食を持てば完璧である。

 俺はコンビニへと向かい某ブロック栄養食プレーン味とチョコ味を大人買いした。コンビニの店員にはドン引きされたが。

 

 家に再度帰宅し、部屋で鉢巻を額に巻き、片手に十四年式拳銃を、そしてもう片方の手にナイフ。これで完璧。

 

 次の日

 俺は学校帰りにスーパーで食材を買い、誰にもみられないように固有結界にしまう。木々から魔力を吸い、テレポートに必要な分の魔力を補い詠唱を唱える。

 

 

 

 

 

 とある紛争地帯

 切嗣は窮地に追い込まれていた。

 

 3日間休まずに戦い続けていた切嗣の身体と弾薬は限界に達していた。

 今回は通常戦闘のため対魔術師戦用のキャリコ、コンテンダーなどは置き、安いが紛争地帯など銃のメンテが楽なアサルトライフルのAKMにべレッタを装備してきたがAKMの弾薬は底をつき、べレッタの弾薬は1マガジン分だけ。さらに、自分を付け狙っていた魔術師のお出ましとまできた。

 

 しかもべレッタは奴の攻撃によりおしゃかになってしまった。残る武装はナイフのみ。

 そのとき、一人の少年が現れた。それは自分の息子だった。

 

 

「父さん何してん…その怪我どうしたんだ!」

 切嗣は負傷していた。命に関わるほどでは無いが、こんなことをした奴の事許せるはずがない。

 俺は固有結界からナイフを取り出し、懐に隠した。

「あっ、なんだこのガキ。とっととお家に帰りな。と言ってもこんなところにまともな家なんてないだろうけどな。」

 男はこの地域の人間だと思っているのだろう。それならそれを利用するしかないな。

「おじさんは何してるの?」

「お兄さんと呼べ。まあいい。教えてやるよ。とーっても悪い事。酷い目に遭いたくないならどっか言ってな。」

 しっし、と手を払いこちらには目もくれず切嗣へと歩いていく。

 

 ふ、ちょろい。

 

 俺は足音を出さず接近し、やつの脊髄をナイフの柄で叩く。素人の俺がこんな事をすると下手したら死ぬが運良く意識を刈り取ることに成功。

 

 その後気絶させた男からテレポートに必要な魔力を奪い、そこら辺にいた虫を口に入れておいた。

 

「カズマどうしてここ…グッ」

 切嗣は負傷した箇所を苦しそうに押さえた。

「無茶すんなって『ヒール』」

 気休め程度だがやらないよりかはマシだろう。

 その後水で濡らしたタオルで切嗣の身体を洗う。

 

「ありがとうカズマ。所でなんであの時キャリコを使わなかったんだい?非殺傷弾のゴム弾も渡しといたはずだけど。」

 

「壊しました。」

 

「よろしいならば戦争だ。」

 

「んだとごら!というかなんでキャリコなんだよ!せめてP90とかくれよ。」

 

「何言ってるんだ!キャリコこそ至高。ハンドガンでフルオート。さらに装填弾数50発なんだぞ!」

 

 そのかわり5発以上連射しようものなら壊れるし、リロードしにくいし、アンバランスだし。

 まあ言わないけど。

 

「それより食事の時間だ、切嗣。」

 

 俺はさっき買った食材と携帯コンロにフライパンを取り出す。

 

「いや、僕には携帯食料があるし…」

 

「うっせ!どうせジャンクフードだろ。」

 

 俺は切嗣の持っているジャンクフードと隠し持っていたタバコを没収した。

「ま、待ってくれ!タバコは、タバコだけはやめてくれ! それとハンバーガー!」

 

 懲りない切嗣に俺はいい事を思いついた。

 

「切嗣最近太ったんじゃないか?それとタバコはやめとけ。あ、そうそうそう言えばイリヤがこの前『タバコ吸ってる人って最低。これからタバコ吸ってる人見かけたら軽蔑しよう』とか言ってたな。それに母さんにも嫌われるぞ。」

 気がつくと切嗣は顔が真っ青に変色し、『もう一緒に胡桃の芽も探しに行けないね』とか『ふざけるな!馬鹿野郎!』と言っていた。

 

「助けてくれカズマ!あの『ピュリフィケーション』とやらで肺の中を浄化してくれ。頼む!じゃないと。イリヤ!アイリ!…ああ、やめてくれ。そんな目で見ないでくれ!」

 

 やばいやりすぎた。

 

 俺はすぐさま『ピュリヒィケーション』を使用し、肺を浄化する。

 その後、回鍋肉(肉無し)を作り、ブロック栄養食を渡し、日本へと帰国した。

 

 

 今日も今日とてメタロギアごっこをしていると、いつのまにか土曜の部活の時間となっていた。

 流石に部屋に武器を置くのはまずいので、俺は十四年式拳銃、サバイバルナイフ、ホルスター、マガジンポーチと鉢巻を部活用のバックに適当にしまいこんだ。

 後々考えてみると固有結界にしまった方が早かったかもしれないがこの時はそんな考えが頭の中からすっぽ抜けていた。

 

 俺は朝飯も口にせず自転車を猛スピードで漕ぎ学校へと向かった。

 

 

「間に合え!」

 

 俺は武道場へ華麗な全力ヘッドスライディングをかました。

 

「五分の遅刻だな。」

 

「すいません。」

 

 しかし、現実は無情である。俺の努力は虚しく、遅刻という結果に終わったのであった。

 その後部活の時間、空腹との凄まじい死闘に打ち勝ち部活を終えた。

 

 

 

 

 俺は魔術協会に属する魔術師殺しの異名を持つエリート。と思いたい。

 訳あって極東の日本に来ている。

 そう、ここに派遣された理由は監視だ。と言っても聖堂教会の監視役がいるがな。

 

 監視相手は凛とルヴィアとか言う奴らしい。だがそんなのは関係ねぇ!今必要なのは金だ!見てるだけで日本円にして500万円も貰える。しかも食費代、交通費、宿代分など協会が出してくれると言う椀飯振舞い。

 俺は100万円を貰い日本へと旅立った。

 

 

 

 おかしい。100万はあったはずの金が半分になっている。なんでだ。俺の予定では倍になっているはずなのに。

 

「なんで俺の選ぶ馬は毎回負けるんだ!」

 

 俺はこの件の失敗を反省し、ちゃっちゃと終わらせる事にした。

 金を節約すれば残りの金は全部俺のもの!そしてこれを元手に金を倍、いや十倍にしてやる。今度こそはうまくいくはず!

 

 この国には郷に入れば郷に従えという言葉があるらしい。俺はそれに従い、早速ジャパニーズカルチャーのあんぱん見張りというものを試し早1ヶ月。

 朝昼晩あんぱんを食べ続けた俺は糖尿病になってしまった。しかも、見張り中に老いぼれ執事に襲われたり、頭上から高い拳に拳骨くらったり。もう日本怖い。早くイギリスに帰りたい。

 

 しかしまだか神は俺を見捨ててはいなかったのだ!

 3人の女子小学生は非常に魔術研究に使えそうだ。しかも上玉じゃねえか。さらに一人はどうやらカードのお陰で存在しているらしいし。

 他にも高校生くらいの男も魔術研究に使えそうだ。まあせいぜいほかの魔術師に高値で売るか。

 

 ふふふ、ふははは!天は俺に味方してくれている。これで借金生活ともおさらばだ。

 そうだ。あの男は一番弱そうだしあいつを捕まえて人質にすれば3人中二人は手に入りそうだしそれをまた人質にすれば!

  俺ってば冴えてる!

 そうだ。折角だし悪役っぽい台詞でも考えておこう。

 

 そんなことを考えていると協会からの報告があった。

 バゼット・フラガ・ミッツとかいう化け物が来るから協力する様にとの事らしい。

 ここは先輩ヅラして顎で使って楽して終わらせるか。

 

 

 空港前。

「よお、待ってたぜ。」

 

 こういう時は第一印象が肝心だ。ここで舐められたら俺が楽できなくなる。

 

「貴方が『魔術師殺し』ですか、さほど強く無さそうですね。」

「あっ、テメェ立場わかってねぇようだな。どっちが上か証明してやろうじゃねえか、脳筋女!」

 

 空を切る音が真横からする。恐る恐る横に振り向くとそこには殺人拳が存在していた。

 

「次言ったら命はありませんよ。」

 

「す、すいませんでした!」

 俺は見事な土下座を敢行し事なきを得た。

 

 

 

 

 

 どうしよう。今俺のバッグにはセーフティーは掛かっているとはいえ銃が入っている。はっきり言ってこれは流石にやばいだろ。

 念のため的感知を使用し、索敵をした。

 すると1つだけ反応があった。やはり使っておいて正解だった。

 

 しばらくしてもまだその反応が消えることはなかった。付けられている。

 でも誰に?

 もしかしてカードを回収しに来た協会の者?でもそれはないだろ。

 いや、凛とルヴィアに渡されたルビーとサファイアはかなり強力な魔術礼装。持ち逃げされたら困るという理由で監視役を付ける。そして自分で言うのもなんだが1番弱そうな俺を人質にすると。考えられる。

 

 家には向かわず、そこら辺の林へと向かい自転車を置く。

 

「出て来たらどうだ。」

 

「まじ?いつからバレてた?」

 

 出て来たのは黒髪白人。ワイシャツに黒いズボン。完全にサラリーマンぽい男が木の裏から現れた。

 奴はグローブ(野球のじゃないよ)を手に嵌めるとルーン文字らしきものが光りだす。さらに、タロットカードによく似た何かを胸ポケットから出し、辺り一面を覆う。

「即席の結界…か?」

 

「さて、どうだろうな。」

 

「敵意を持った相手。でいいんだよな?」

 

 俺は朝焦ってバックの中に押し込んだサバイバルナイフ、十四年式拳銃それとマガジンポーチにホルスターを取り出し、バッグを投げ捨て、十四年式拳銃を構え、セーフティーを外す。

 

「おいおい、日本は銃所持禁止だろ?お前どんな教育受けてんの?」

 

 何も言わず発砲。だがそれを奴はグローブで受け止める。

 

「銃で返事とか。さてはお前本当はアメリカンだろ?」

 

 強化魔術を先程から発動しようとするが何度試しても発動出来ない。さっきの発砲時も狙撃スキルを使用したはずなのだが、それすら発動した感じはしなかった。

 

 何故?

 

 そんなことを考えていると奴は既にこちらに接近しており拳の射程圏内に入っていた。

 咄嗟に後ろへと飛び回避行動を取るが結局奴の拳は俺に直撃し吹き飛びその拍子に十四年式拳銃を手放してしまう。

 たがおかしい。直撃したとはいえ威力は軽減したはず。なのに俺は吹き飛ばされた。恐らくあの光ったグローブに威力を上げる効果が付与されているのだろう。

 

「ゲホッ、ゲホッ…なんで魔術が使えないんだよ。」

 

「さあ、何でだろうな?」

 

 絶対こいつの仕業だ。

 俺の予想だが、あのタロットカードらしき物が魔術、そしてスキルまでもが無効。

 いや、無効の場合奴のグローブに付与された魔術も消されてしまう。つまり発動を封じる。

 ん?と思うかもしれないが遊○王をやっている者なら違いが分かるであろう。

 遊○王の場合『無効』は既に発動していたとしても無効。だが『発動を封じる』の場合は既に発動し、その効果が切れるまでは適用されず再び発動しようとした時に発動を封じれる。

 つまりまのグローブは効力が切れるまでは発動し続ける。と言うことだ。

 

 

 右フックからの左フック。そして回し蹴り。

 俺は奴の右フックをナイフを駆使し、軌道を逸らすが追撃の左フックを食らい怯んだところに奴の回し蹴りが顔面にヒットし、仰向けに倒れてしまう。

 

「おら!どうしたよ!」

 奴は俺の上に立ち右拳を振り下ろす。ナイフを両手で支えの刃の部分でそれを防ぐ。

 

「おら!」

 

 俺は刃部分を支えていた方の拳で奴の股間目掛けて放つ。

 奴は堪らず後ろに飛んだ。

 

「て、テメェなんて恐ろしい事を。」

「今だ!」

 俺は1メートル程離れた十四年式拳銃に手を伸ばし掴む。そして十四年式拳銃の銃口を奴に向け話しかける。

 

「なんで俺のことを狙った?」

 

「あっ、そんなの決まってんだろ。お前を人質にして3人のガキを手入れる為だ。あいつらかなりの魔力持ってるし、一人はカードのお陰で存在出来てる。魔術研究にかなり使えるだろ。それにまだ熟してないがかなりの上玉じゃねえか。

 そうだ。お前を人質にし、あいつら捕まえたらお前を拘束してお前の目の前であいつらをたっぷり味わってやるよ。その後あの3人は俺の魔術研究材料に。

 お前も珍しい魔術を使うから高値で売れるだろ。あっ、土下座して俺の靴の裏舐めれば痛い目見なくて済むぞ。」

(ふう、一週間考えた台詞を噛まずに言えたぜ。)

「黙れ!それ以上口を開くんじゃねぇ!」

 俺だけなら靴の裏でもなんでも舐めてやる。多分。だがイリヤとクロは妹だ。それに美遊は士郎に任された。3人は何が何でも守りきる。

 

「立場分かってんのか?お前はあの珍しい魔術を使えない。白兵戦では天と地ほどの差がある。今お前が頼れるのはその弱小火器とナイフ一本だけ。あーあ、折角痛い目見せないようにしてやろうと思ったのにな。」

 奴は俺へと接近。距離にして約5メートル。

 

 これなら。

 俺は4発を発砲。

 やつは怯むことなく前進し、2発はグローブで防ぎら残りの2発は脇腹を掠めていった。

 

 やつは既に俺の懐へと入っていた。

 防ぎきれない。

 奴の渾身の右ストレートは俺の鳩尾に命中する。

 

「ぐっ、」

「まだだ。」

 追い討ちとばかりに蹴りを入れ、地面をボールの様に転がる。

 

 痛い。苦しい。

 胃液が出て来そうだ。

「どうした。降伏するか?」

「冗談だろ?」

 まだ俺は戦える。スキルが無くたって、イリヤ達くらい守って見せる。

 起き上がろうとすると視界の隅にバッグからはみ出た布が目に入った。

 俺はそれを掴み額に巻く。

 

 意味なんて無い。

 何の魔術的効果も無い。

 分かってる。だが手が無意識的に動き、口が勝手に開いていた。

 

「爺ちゃん、見てるか?」

 

 それは囁き程度の音量だった為、奴には聞こえるはず無かった。奴には酸素を得る為の呼吸程度にしか見えなかった。

 

 だがその声は誰かに届いたのだろう。この世には居ない誰かに。

 

 

 

 起き上がり、十四年式拳銃をホルスターに納め、右手にサバイバルナイフを構える。

 

「いい加減くたばっちまえよ!」

 

 やつはそう言いながら右フックを繰り出す。

 サバイバルナイフを逆手持ちし受け流し、持ち方を直し突き刺す。

 

「甘いんだよ!」

 

 だがそれは読まれていた。手の甲で防ぎ膝を脇腹に入る。

 意識が朦朧とする中、不思議と力が湧いて来ていた。

 足に踏ん張りを効かせ、その場に踏みとどまり、左手でホルスターから十四年式拳銃を抜き奴の両膝を撃ち抜く。

 

「ぐっ、クソっ!」

 

 膝を負傷し自身の体重を支えきれず膝をついた奴の横に立ち、逆手持ちに直し柄で脊髄チョップを決める。

 やつは何も言わず倒れ込んだ。どうやら落とすことに成功したらしい。

 先程まではテンションがハイになっていたのかまだやれると思ったが終わり頭が冷めてくるとだんだん視界がぼやけて来た。

 自分でもよくここまで出来たと思う。

 

 

 もう休もう。と脳が命令するが、それに逆らい最後の力を振り絞って

 俺は、

 奴のカードをビリビリに破き捨てた。

 

 

 

 




爺ちゃんの形見にはどんな効果があるんでしょうね?

今回登場した男の人はロクアカのグレンとこのすばのダストを足して二で割った感じですね。

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