戦場で無心になってカタナを振るう。
一体全体、何がどうしてこんなことになったのか。
何故こんな場所でこんなことをしているのか。
俺にはさて、分からない。
ただ一つ分かること、それは。
「テッセン、テッセン、テッセン、サクラエンド、テッセンテッセンテッセン」
俺に出来ることは、ただ目の前の
それから。
「レギアス! マリア! 生きてるか?!」
「応っ! お主こそ、くたばってないだろうな」
「冗談、この程度で俺が死ぬか」
「はっ、いい加減くたばっちまいな、死にぞこないども!」
「黙れババア! キャストになってまで生きながらえてるテメェが一番死にぞこないだろうが!」
「アンタ、殺されたいようだね」
「はっ、ここから生き延びて帰れたら、いくらでも遊んでやるよ!」
仲間を守ること。
そのために必要なのは、敵が仲間を殺すよりも早く、敵を屠ること。
「テッセンテッセンテッセン」
高速抜刀移動にもいい加減目が慣れてくる。
ゲーム中なら必ず派生前に向きが変わるとかいう面倒な仕様もあったが、そこはそれ、現実なら簡単に改良してやれる。
「サクラエンドォォ!」
放たれた高速の二連抜刀が、右腕がモーニングスターと化したダーカー、サイクロネーダのコアを的確に斬り裂き、サイクロネーダが仰け反りながらその姿を霧散させていく。
さらに二度、三度と気色悪い深海魚のようなダーカー、ダカッチャをカタナで斬り伏せながら体中のフォトンをかき集め。
「テッセン、テッセン、テッセン、テッセン」
突進しながらすれ違い様の斬りつけ、派生からの抜刀薙ぎ。
繰り返すたびに少しずつ、少しずつ黒の群れが地上から姿を消していく。
それでも終わらない、消えるたびにまた現れるダーカーの数にうんざりしながら。
「フドウクチナシ」
仲間へと襲いかからんとしていたダーカーを衝撃波で
「ハトウリンドウ」
フォトンをたっぷりと流したカタナを抜刀すれば衝撃波でダーカーが霧散する。
消す、消す、消す。ただひたすらに、無心に、ただただ消し続ける。
その先に居る存在を見据え。
その先に在る者を見つめ。
「シュンカ…………シュンラン!」
フォトンの力で足場を固め、虚空を蹴り飛ばしながらの突き。そこから始まる派生の連撃。
切り開く、ただ切り開く。
分厚い黒の壁を切り開き、その先へ、その先へと歩みを進める。
払い、突き、薙ぎ、袈裟に斬る。
己が身を一振りの刀をし、ただ敵を屠り続ける。
その先に、希望があると信じて。
「我が切り開くは明日のために」
「テッセン、テッセン、テッセン、テッセン、テッセン! テッセンテッセンテッセンテッセン!」
狂ったようにグレンテッセンを放ち続けた。
ゲーム時代から俺はテッセンマンだった、アンガ相手にテッセンだけし続けて、耐性付けられてもひたすら上からテッセンで殴りまくる、立派な害悪である。
現実と化したこの世界だと、PA切り替えにボタン操作とかいらない、己が意思一つでできるので、もう少しPAの組み合わせやコンボも考えてみたいとは思っている、その内。
ただ、まあ。
「テッセン、テッセン、テッセン! テッセンテッセンテッセエエエエエン!」
これ一つでほぼだいたいの状況が処理できるから、結局使わない気もするが。
* * *
戦いは最終局面を迎える。
あれだけいたはずのダーカーたちも大半は片づけられた。
英雄、全員がそう呼ばれた者たちなのだ、当然と言えば当然なのだろう。
『は…………ハハハハハ! 良くぞ、打ち破った、アークスたちよ』
自身の目前まで迫った
『良きかな、良きかな』
男がぶん、と片腕を持ちあげれば周囲に残っていたダーカーたちが全て紅い光に包まれて消えていく。
ダーカーの空間転移能力、宇宙全土どこからでもダーカーが現れる最大の要因。
だがそれは後回しだった。
ただ目の前の男のことだけを考える。
知っている、自身は、知っている。
目の前の男の名を。
ダークファルス【
全宇宙の敵たるダーカーの親玉、ダークファルスが一体。
「グレン…………」
何の躊躇も、問答も無く、その懐に踏み込む。
「テッセン!」
放たれた抜刀が男の体を浅く切り裂く。
『ぬう…………』
けれど大して効いた様子も無い。分かっている、この程度の攻撃、大してダメージにもならないのだろう。
だから、こそ。
「
スイッチを入れる。
「
抜刀、納刀、抜刀。
超高速の二連抜刀が刹那の間に、ダークファルスの胸を切り裂く。
『ぐう…………ふんっ!』
一瞬苦痛に表情を動かすが、すぐに反撃の拳を放ち。
「
すり抜けるようにして拳が
ちん、ちん、と金属が擦れる音が響く。
まとめて放たれた三連続のサクラエンドに、さしものダークファルスも後退し。
『ぐ…………ぬ…………うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
その全身から紅い気を放つ。それが視認できるほど大量のダーカー因子が体内より溢れているのだと理解すると同時に。
その姿が変化する…………人の、男の姿から、黒の鎧のような表皮を纏った人形の化け物へと変化する。
ファルス・ヒューナル。
その背に背負う
『滅び、朽ち、圧潰せよ』
ダーカー因子を纏い、赤く変色した大剣を叩きつける。
同時に、弾け飛んだダーカー因子が爆発を起こし。
カウンター気味に放つ抜刀、一つ二つと傷を増やしていく。
だが最早この形態になったダークファルスはその程度では止まらない。
ぶんぶんと振り回される大剣。すり抜けるとは言え、心臓に悪い。
だが同時に後続が追いつき、英雄たちが参戦し始める。
直後、『カタナコンバット』が収束していくのを感じた。
もう『
けれど関係無い。
攻撃の度にダークファルスに傷が増えていく。
少しずつ、少しずつではあるがダメージを負わせていく。
だが自身は無事でも他はそうではない。
飛ぶ斬撃、飛び蹴り、衝撃波。ファルス・ヒューナルの遠距離攻撃手段は豊富だ。
しかもそのどれもが一撃必殺の威力を秘めている。
故に、少しずつ後衛で戦っている仲間たちが戦闘不能に追いやられていくのを理解する。
「く…………そ…………たれがああああ!」
返す、返す、返す。一つでも多く、相手の攻撃をカウンターに取り、無効化していく。
それでも少しずつ仲間は傷つき、倒れていく。
攻勢だったはずの状況はいつの間にか防戦一方に追い込まれていた。
ジリ貧の展開、だがそれも『カタナコンバット』がもう一度使えるようになるまでの間。
リキャストタイムは90秒。
だがそのたった一分半が、絶望的にも見えた。
そうして。
『応えよ深淵』
紅い残光を纏った大剣を振り上げ。
『我が力に!』
振り下ろす。
「全員、下がれええええええ!!!」
そうして。
爆発、轟音。
弾けた赤が接近していたアークスも遠くから射撃、法撃していたアークスたちも。
全て飲み込み。
そうして。
そうして。
そうして。
「
ただの気合いで、耐え。
「
――――グレンテッセン
『ははははははは、効かぬ、効かぬぞ、もっと、もっと込めよ、力を、想いを、さもなければ』
ファルスヒューナルが剣を戻し、拳を振り上げ。
『死ぬぞ?』
振り下ろす。
重傷の体に拳が迫る。
当たれば自身も倒れる、それは分かっていた。
体が重い、先ほどの全力の一撃の後だからか、思うように動けないためカウンターも無理だ。
だから、だから、だから。
それは致命の一撃となって自身を貫く。
「気力を抉りだせ、死力を尽くせ…………これが最後の
フォトンを漲らせる。死に近づいた体が、死に抗おうと普段以上のフォトンを吐き出し続ける。
原理的にはファイタークラスの『リミットブレイク』というスキルが近いかもしれない。
「サクラエンドォォォォ!!!」
抜刀、抜刀、抜刀。
フォトンが漲る。
そしてそれが、同時に自身の命を削りながら沸きだしていることも、理解している。
だから、だから、だから。
正真正銘、これが最後。
最早勝っても命は無いだろうし。
負ければ殺される。
自身の命運は決まった。
そこに悔いが無いかと言われれば即答は出来ないが。
「だから!!」
そうして、最後の力を振り絞り。
「グレン――――――――テッセン!!!」
抜刀。
鞘から抜き放った刃がダークファルスに致命的なダメージを負わせたのを、手ごたえで理解し、笑う。
「どんなもんだ…………ダーカー」
『見事…………見事也』
最後の一撃に仰け反ったファルスヒューナルが、呵々と笑う。
同時に、自身の命の灯が消えていくのを実感する。
『だからこそ、惜しい』
目が見えなくなった。
『これで終わりと思えば、本当に惜しいぞ、人間』
全身の感覚が消えうせ、体に力が入らず崩れ落ちる。
『ここからが、楽しき闘争であろう』
どこか残念そうにも聞こえるその声に。
『本当に…………惜しいな』
ダークファルスが
――――落としきれなかった!
その事実を理解せど、すでに体は動かず。
消えていく、命が、フォトンが。
消えていく、心が、想いが。
消えていく、存在が、魂が。
消えて、消えて、消えて。
――――後は頼んだぞ、レギアス、マリア、アルマ。
呟きは声にならず。
そうして意識が消え去った。
俺は、テッセンマンが書きたい!!!
テッセンの一念アンガをも通す
意味:アンガに耐性つけられてもグレンテッセンを続けるような害悪テッセンマンに私はなりたい。
最近のブームはサクラエンド零式だけどな!
因みにこの小説のオリ主はBr以外やらないよ、というかむしろ、カタナ以外一切使わないよ!!!
害悪テッセンマンに、私はなりたい!!!
来いよアンガ! 強弓なんて捨ててかかっていくぜ!!!