Fate/Resurrection フェイト/リザレクション 作:ジャンマル
キャスターの魔術工房にいよいよ乗り込む。特定したのはやはりライダーのスキルが大きいだろう。そして――
「そこまでよ!!」
「あ、あなたは?」
(なに……? 魔力を感じるのに……この嫌な感じは……)
「マスター、後ろ!!」
「!」
炎系の攻撃魔術。でも、この魔力量――少し少ないような気がする。
「くっ、やはりこんなものか――」
「どういうこと?」
「考えるのはあとだ。一気に方をつけるか?」
「慌てないで。ライダー、一回消えて」
「なんだと……?」
「大丈夫」
「……」
すう。一瞬で零体になる仕組みはいつ見ても少し不気味だ。だけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。こいつの、この男の素性を知る必要がある気がした。
「ねえ、あなた。正規の魔術師じゃないわね?」
「どういうことだ? 弥生」
「少し黙って」
そういって両を黙らせ集中する。この男の正体を突き止めるために。
「正規……? なんのこと?」
「魔力の波長が体とバラバラよ。つまり、魔術を扱うことに慣れてない一般市民である可能性がある――」
「魔術の初心者かもしれませんよ?」
「それはあり得ない。基礎を学んでいない状態で魔術行使をしようとすれば多少なりとも身体的デメリットが生まれるはずよ」
「……」
「いかにも。マスターは一般人である」
「な、キャスター!!」
(マスター。ここはすべて話した方が得策だ)
(……わかった)
「こそこそ何を話しているの?」
「いや、何でもない」
怪しい。そうは思いつつも話を進めることにした。何故彼らが聖杯に選ばれたのか――彼らの願望は何なのか――そんな些細なことでいい。今回の一件の動機がわかればいいのだから。
「その様子からすると話し合い……しかないようですね」
「ええ。話し合いの後にあなたを魔術協会に突き出すか決めます」
「弥生!? 何言って――」
「両。少なくとも彼を魔術協会に渡せばただじゃすまないわ」
「へえ、あなたのサーヴァントはそんなに睨んでるのに僕の身を案じてくれるんですか」
「それは話し合いの後に決めるといったはずよ?」
「……」
さて。本題に入る。まずは彼が何者なのか。どういった経緯で参加することになったのか。それを聞かなければいけないだろう。だけど、本当に慎重に行う必要がある。魔術の世界に精通していない彼だ、おそらく身が危ないと感じたら貴重な令呪を使ってでも私たちを殺しにかかるだろう。まあ、さっきの攻撃からしてキャスターは攻撃性に欠けるのだろうけど……
「あなた、名前は?」
「市ヶ谷和樹」
「出身は?」
「北海道」
「何故、冬木に?」
「聖杯に選ばれたから」
やはり何かがおかしい。一般市民が聖杯に選ばれた理由は? 何故そこまでして聖杯戦争を公にしようとするの?
「とりあえず警戒は解きましょう。ライダー」
「……不本意だが」
そういってライダーは外の見張りに行くことになった。さて――ライダーは気が短い。なるべく早めに終わらせよう。