Fate/Resurrection フェイト/リザレクション   作:ジャンマル

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キャスター

 サーヴァント。英雄を聖杯により受肉化させた英霊。それに選ばれるのは知名度や実績のある英雄だけではない――知名度がなくとも実績があれば聖杯に選ばれる。そんなものだ。それ故に、キャスターの目的は自分の名を知らしめること。

 本来聖杯戦争は秘密裏に行われるもの。目撃者は抹消しなければいけない。だが――キャスターは何を血迷ったか、誘拐犯としてニュース沙汰にもなっている。当然、魔術協会もこれを許容しない。魔術協会より放たれたエージェントがいたのだが――やはり英霊。魔術師では歯が立たない。そこで、魔術協会よりの伝言として言峰協会より弥生に電話がかかってきた。

「弥生か?」

「ええ」

「魔術協会が今直々に君たちにキャスターの討伐を命令した。できるか?」

「出来ます」

「よろしい。では、健闘を祈る」

 弥生たちは情報を集めきるのと同時に言峰から情報を受け取っていた。

「行くよ、両」

「おう」

 いよいよ――開戦の時は近い。

 

「なあ、キャスター」

「なんですか? マスター」

「お前の宝具は「世紀の大脱出」(フーディーニ)でいいんだよな?」

「いかにも」

「それさ……宝具ばれたら真名もばれるじゃん」

「いかにも!」

「おいおい……」

「ですがマスター。私の宝具はいかなる呪縛・宝具から大脱出を図れるものでございますよ」

「そりゃあそうだが……」

 ハリー・フーディーニ。脱出王と呼ばれた彼は、脱出マジックの新世代を築いた男である。当然、当時のマスコミは彼を売り込みたかったし、彼の売り込みがうまかったのもある。それゆえ、彼は一躍スターとなった。

「でもなんでキャスターなんだ?」

「奇術師がキャスターで呼ばれるのは不思議ですかな?」

「まあ、そりゃあ……」

「マスターこそ一般市民ではないですか」

「魔術回路ってのはしっかりとあるんだろ?」

「ですな」

 市ヶ谷和樹。本当にごくごく普通の一般人である彼が聖杯に選ばれた理由。それには理由があった。それは、此度の聖杯戦争の「本当の目的」に最も近い位置に彼がいたからである。

 聖杯戦争の魔術世界の脱却。一般人に聖杯が魔術回路を埋め込むことにより魔術師として参加を促す。それは真・聖杯が願望を、人間の夢を求めるがためである。願望器――もはやそれは魔術の世界においておくのはもったいない。そう聖杯が判断したのか――はたまた、裏で操るものがいるのか。その謎は現在魔術協会が調査中である。

 

「ねえ、両。聖杯が望むのって何だろうね」

「なんだよ、急に」

「聖杯は願望器なのよね?」

「そうだな」

「なら、聖杯自身にも望みはあるんじゃない?」

「むう、難しい質問を……」

「それが引っ掛かってるのよね……今回の件とかかわってそうで」

「何故そう思う?」

「直感ね」

「おいおい……」

 両はこういっているが、弥生の直感はよく当たるのである――


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