Fate/Resurrection フェイト/リザレクション 作:ジャンマル
「さあ、これが君のサーヴァントだ」
「……サーヴァントアーチャー。召喚に応じて参上した。君が私のマスターか?」
「うん。そうだよ」
「……まさか、君とはな」
「え?」
「いや、なんでもない」
「何でもないなら零体になってるなってる! その状態じゃ外もまともに出れないわ」
「ふむ。そうだな。ではお言葉に甘えるとしよう」
アーチャー……最強のセイバーを召喚したかったけど、アーチャーも中々に強力なクラスだ。最有の三騎。アーチャー、ランサー、セイバー。その中のアーチャーが引けたのだ。悔やみがあっても後悔はない。ああ。そっか。失礼だよね、アーチャーに。
「ねえアーチャー」
「なんだ?」
零体になりながら心の中に話しかけてくるアーチャー。私はそれを受け入れ、返事を返す。
「アーチャーは何処の英霊なの?」
「すまない。記憶の一部が欠損しているようだ――」
「んなわけないでしょ、阿呆」
「なっ、この声は――」
お、お母さん!? なんでここに――ああ、そうか。今日はその日だったね。今日はちょうどお母さんが日本に来ている日だった。でも、相変わらずお父さんはいない。どこにいたんだろう――あの人は。
「まーたあんたが召喚されたの……」
「む、失礼だな君は」
「別に何とも思わないけどねー」
「あの、凛さん。知ってるんですか?」
「知ってるも何も15年前の私のパートナーよ」
「えー!?!?」
「ふふ、驚いた?」
お母さんがいることのが驚きだよ……まあ、でもそこはどうでもいいか。アーチャーはお母さんのパートナーだった――か。どんな英霊なんだろう? 楽しみと同時に不安もあった。もしかして置いてけぼりにされるんじゃないかという不安。もしかしてマスター失格なんじゃないかという不安。いろいろな不安が重なって、重なって――というか私の願いはどうなるの? お母さんとお父さんの失踪の真実を知りたいっていう願いでしょ? まあ。別にいいんだけどさ……
「あんたどうせ私たちが急にいなくなった理由聖杯に聞くつもりだったでしょ」
「……」
いいところ突かれる……でも、それでもお父さんの失踪理由についてはお母さんも知らないらしい。世界のために俺のできることをする――そういって家を空けたらしい。なんて身勝手な父親……でも、それでこそお父さんて感じもした。
―協会裏―
「よかったの?」
「何がだ?」
「あんた……英霊としての道を選んだわけでしょ?」
「まあ、それがあいつの進んだ道だからな」
「せいぜい、弥生の前では紳士にふるまいなさい」
「もちろん」
――この時二人は確信に触れていた。故に――その後の消息は今度こそ本当に不明なのである。