Fate/Resurrection フェイト/リザレクション   作:ジャンマル

2 / 14
聖杯に選ばれしもの

「はいはい! 暗い話は終わり! 学園が俺たちを待ってるぞ!」

「そうだね」

 

 二人は気を使ってくれたんだろう。だけど、気を使う必要なんてなかった。だって――だって――

 

「ねえ、話があるの」

「?」

「私……選ばれたみたい」

「マスター……に?」

「うん……」

 そう。私には令呪が宿る前兆があった。その証拠に、手の甲にあざ出ている。すぐに消えるだろうが、絶対無敵の命令権。三回までなら英雄の行動すら制限させる最強の武器となる。

 そもそも聖杯戦争とは何か。

 聖杯に選ばれし7人のマスターが、それぞれ

 セイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、アサシン、ライダー、そしてバーサーカーの7騎を従え争い合う。それが聖杯戦争だ。そして、令呪はその7騎。英霊。通称サーヴァントと呼ばれる英雄たちを従えることが出来るマスター権だ。そしてそのマスター権は絶対無敵の命令権だ。

 そんな命令権を私は手に入れる……つまり、聖杯に選ばれたんだ。そう、父さんと同じように。

 私の父親、衛宮士郎も聖杯戦争に参加し、無事生還している。まあ、色々あったみたいだけど…

 まだ見ぬ夢の果て。航海の先へ行くための試練。父さんはそう言ってたっけ……

だけど、いまだにその意味がつかめない。わからない。航海の先って? 何なんだろう……

 

弥生「私。参加する。聖杯戦争に」

「……行くんだな。言峰協会に」

「ええ」

 

 そして私はその日、学校を休んだ、そして一人向かった。言峰協会に。そう、マスター登録するために――

 

「やあ、弥生」

「綺礼おじさん」

「ここに来たということは、そう言うことだな」

「……うん」

「先日ここに衛宮士郎、君の父親が来た」

「え……?」

「君がマスターになったらよろしく、とな」

 父さんが、ここに……来てたんだ。日本に。でも、そんな事じゃない。大事なのはこれからだ。

「ではここで召喚するがいい。君のサーヴァントを」

「うん……凛さん、おじさんの形見、使うね」

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

祖には我が大師シュバインオーグ。

降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

 

―――――Anfang(セット)。

――――――――――――

――――――――――――

――――――――――――

――――――――告げる。

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

 

※されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。

※汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

 

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。