Fate/Resurrection フェイト/リザレクション 作:ジャンマル
「はいはい! 暗い話は終わり! 学園が俺たちを待ってるぞ!」
「そうだね」
二人は気を使ってくれたんだろう。だけど、気を使う必要なんてなかった。だって――だって――
「ねえ、話があるの」
「?」
「私……選ばれたみたい」
「マスター……に?」
「うん……」
そう。私には令呪が宿る前兆があった。その証拠に、手の甲にあざ出ている。すぐに消えるだろうが、絶対無敵の命令権。三回までなら英雄の行動すら制限させる最強の武器となる。
そもそも聖杯戦争とは何か。
聖杯に選ばれし7人のマスターが、それぞれ
セイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、アサシン、ライダー、そしてバーサーカーの7騎を従え争い合う。それが聖杯戦争だ。そして、令呪はその7騎。英霊。通称サーヴァントと呼ばれる英雄たちを従えることが出来るマスター権だ。そしてそのマスター権は絶対無敵の命令権だ。
そんな命令権を私は手に入れる……つまり、聖杯に選ばれたんだ。そう、父さんと同じように。
私の父親、衛宮士郎も聖杯戦争に参加し、無事生還している。まあ、色々あったみたいだけど…
まだ見ぬ夢の果て。航海の先へ行くための試練。父さんはそう言ってたっけ……
だけど、いまだにその意味がつかめない。わからない。航海の先って? 何なんだろう……
弥生「私。参加する。聖杯戦争に」
「……行くんだな。言峰協会に」
「ええ」
そして私はその日、学校を休んだ、そして一人向かった。言峰協会に。そう、マスター登録するために――
「やあ、弥生」
「綺礼おじさん」
「ここに来たということは、そう言うことだな」
「……うん」
「先日ここに衛宮士郎、君の父親が来た」
「え……?」
「君がマスターになったらよろしく、とな」
父さんが、ここに……来てたんだ。日本に。でも、そんな事じゃない。大事なのはこれからだ。
「ではここで召喚するがいい。君のサーヴァントを」
「うん……凛さん、おじさんの形見、使うね」
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)。
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――――――――告げる。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
※されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。
※汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」