インフィニット・ストラトス~シロイキセキ~   作:樹影

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40:交差する戦線

 

 

 

「……あれ?」

「なにか気付いたか、箒」

「いや、いま……」

 

 箒が自身の疑問を説明しようとしたところ、それが彼女の口とは別の所から発せられた。モニターの向こう側からだ。

 

『しかし、気のせいでしょうか? オルコット選手のビットがAICで止められた後も動いていたように見えたのですが……?』

「そう、それだ」

 

 実況に頷いてみれば、一夏は成程と得心する。と、その疑問の答えもモニター側からやってくる。

 

『ん~、いいところ気付いたわね~。それじゃあAICの特製と絡めて説明しましょうか』

 

 言って、楯無の声が冷水に軽く浸したかのように引き締まっていく。

 

『―――推測も交えるけど、AICというのは性質としては例えるなら蜘蛛の巣に近いものね。見えない網のように張り巡らされた力場に触れた相手を停止させる文字通りの結界。

 けど、逆に言えば力場の影響を受けずに済んだ末端部分……手足の指や口なんかは他の部分が止まっていても動かすことはできるでしょうね。その証拠に停止結界に止められた凰ちゃんも喋ることはできていたでしょう?』

「とはいえ、念入りにAICを働かせればそれすらも止めることはできるだろうな。もっとも、そこまでガチガチに縛ろうとするとなるとそれだけの集中力や時間も必要だろうから、戦闘中にそこまでする機会はそう多くはないだろうが」

「なるほど……」

 

 楯無の説明を補足するように続ける一夏に、箒は感心して頷くばかりだ。

 と、更に解説は続く。

 

『けど、全身をくまなく影響下に置いたとしても、動き続ける部分はあるわ。それはどうあっても力場に触れない部分』

 

 つまりは。

 

「―――内部機関だ」

 

 例えば生き物の場合、AICに絡めとられても心臓や肺は問題なく機能する。それと同じように、IS本体や武装ならば装甲が著しく損壊して内部が露出していない限り中身は動き続けるのだ。

 

『先ほどの場合だとビットそのものは止められちゃったけど、レーザーの射出機構そのものはそのまま動き続けていたからラウラちゃんをそのまま攻撃することができたのね』

「更に言うならAICはPIC技術の流用でしかない以上、物体の慣性にしか作用しない。つまり質量に因らない攻撃である光学兵装に対しては効果がない」

 

 つまりAICのみを見るならセシリアはまさに天敵と言えるだろう。だがだからと言って一方的に彼女がラウラに有利かというとそうでもない。

 確かにレーザーを止めることはできないがビットそのものは止められる以上、回避自体は容易だ。そしてそれはセシリア本体にも言えることであり、更に言えば遠距離戦に特化しているセシリアと比べラウラはオールラウンダーだ。

 全体的な機体性能で見れば、ブルーティアーズの方が不利という見方もできる。

 

『さて、一方で凰ちゃんはというとこちらはストレートにAICと相性が悪いわね』

「鈴の機体は格闘型……しかもメインの武装である衝撃砲はセシリアと同じ非実体型ではあるものの使っている技術はAICと同じくPIC由来。純然たる運動エネルギーを射出する以上、それをゼロにするAICの前には無力と言っていい」

 

 だが、とここで実況と肉声の二つが重なる。示し合わせたかのような唱和に、それを知りようがない楯無が口火を切る。

 

『ここで重要なのは衝撃砲の性質ではなく特徴ね。それは砲弾と砲身が不可視のものであるということ。

 ―――そしてなによりも、砲身の稼働限界角度が存在しないということ。つまり着弾するまで、彼女の撃った弾がどこへ向けて撃ちだされたものなのか把握することは難しいってことよ』

 

 その説明に、箒は驚愕と共に先の攻防のもう一つの違和感に気付くとともに納得を得た。

 

「そうか……だからあの時、シャルは無防備に鈴の攻撃を喰らってしまったのか」

 

 あの時、鈴音本人はラウラへと斬りかかっていた。

 当然、視線のみならず体全体も……そして背後で展開していた背部ユニット自体も眼前の彼女へと全て向けられていたのだ。しかしその中で、不可視の砲身だけが別の方向へ向いていたということだ。

 

「ラウラの眼なら衝撃砲の砲弾も砲身も見ることはおそらく可能だ。不可視とはいえ物理的に強く干渉するならば陽炎のような空気の揺らぎは発生するだろうしな。

 しかし戦闘機動中にそれを万全に把握することは至難。ましてシャルロットにそれを明確に伝えるとなると更に厳しい」

『それらを踏まえ、先の攻防を整理すると―――まずボーデヴィッヒちゃんと凰ちゃん、デュノアちゃんとオルコットちゃんがそれぞれ激突。恐らくこの時点ですでに凰ちゃんは衝撃砲をデュノアちゃんへとロックしていたと思うわ。

 その後、互いに牽制程度の攻防を経てデュノアちゃんの注意が完全にオルコットちゃんへ向き、尚且つやや天秤がデュノアちゃんへと傾いたところで横合いからの不意打ち。

 すぐさま凰ちゃんはAICで絡めとられるもののオルコットちゃんのビットが強襲、これも何とか止めるもビットの照準そのものはすでにボーデヴィッヒちゃんに向けられていたため、レーザーの発射は防げず後退。現在に至る、と』

 

 或いはこれがタッグではなく、ラウラ対二人の戦いであったならば。そしてセシリアと鈴音の連携が拙いままであったならば。―――おそらく、ラウラが二人を圧倒することも容易であったかもしれない。

 鈴音に対してはAICの結界を張り続けるのみでよく、またセシリアのビットも生かしきることはできなかったであろう。

 しかし現実において、タッグマッチというカタチによって鈴音の砲撃には標的の選択というフェイントの要素が加わり、そしてセシリアとの息を合わせることで互いの不足を埋めつつ長所を伸ばすことに成功している。

 紛れもなくチームとして強敵であり、そしてラウラとシャルロットにとってはこれ以上なく天敵だった

 

 まるで示し合わせたかのような此方と彼方の解説幕に、これまた同時に箒と一夏の声が聞こえていない薫子が感嘆と納得の声を上げる。そこから尋ね返したのは、薫子の方が早かった。

 

『………そうして聞くと、まずはオルコット選手と凰選手が先制点を取った形と見ていいんでしょうか?』

『そうね……ただ、まだこれは一当てした程度。本番はまだまだこれからよ』

 

 先の評論も結局のところラウラを基準として考えたもの。ラウラ自身もそれらは把握しているだろうし、なによりシャルロットの実力を考慮したものでない。

 先ほどはしてやられた形になったが、戦意が挫けていないことは画面越しでも目を見ればわかる。セシリアたちもまた、それらをすべて把握しているはずだ。

 とどのつまり、この先は未知数であるということだ。

 と、一夏の目がすぅっと細まっていく。刃を研ぎ澄ましていくかのような眼差しの変化に、箒の背がわずかに粟立つ。

 

「とはいえ、これまでの試合と先の攻防で互いの手札は概ね見えてきた。ここから先はいかにそれを相手へ嵌めていくか、或いは―――」

 

 

 

***

 

 

 

『―――或いは、伏せ札があるならそろそろお目見えも近いかしらねぇ』

 

 

 外野のそんな言葉に、シャルロットは頬を引きつらせた笑みを浮かべ、ラウラは半眼になる。

 

「……だってさ」

「生憎だが、私の方はネタ切れだな。秘密兵器の一つでもあれば格好がついたのだが……」

「まあ、普通はそういうの中々ないよねぇ」

 

 と言っても、とシャルロットは眼前の敵手へと視線を鋭くする。不敵な笑みを浮かべたままの青と赤に対し、負けじと彼女もニヤリと口の端を釣り上げて見せる。

 

「―――あっちはどうかわからないけどね」

「まあ、『ない』と期待するよりも『ある』と考えて動いたほうが良いだろうな」

 

 言いつつ、ラウラは両腕のレーザーブレードをゆらりと構える。シャルロットもサブマシンガンとショットガンの銃口を改めてガシャリと前に向ける。

 二人は視線を前に向けて互いには一切躱さず、短く一言で作戦会議を終わらせた。

 

「パターンを変えるぞ」

「了解」

 

 直後、二人が口火を切る形で吶喊する。しかも、

 

『おぉーっと!? デュノア選手とボーデヴィッヒ選手、今度はそれぞれ逆の相手へと猛烈に迫っていく―――っ!!』

 

 その言葉通り、シャルロットが鈴音へ、ラウラがセシリアへと武威を翳して飛翔する。

 

 

 

***

 

 

 

 迫るラウラに対しビットを引き連れて上昇しつつライフルで牽制の射撃を行うセシリアを尻目に、シャルロットと鈴音は地表近くでぶつかり合う。

 シャルロットの銃口がマズルフラッシュを煌かせると、鈴音の眼前で二刀が高速回転を始める。刃のカーテンが極小の鉛玉を悉く弾き、盛大な火花がバチバチと散り続ける。

 鈴音から見れば、眼前で爆竹が弾けているかのような錯覚を覚える光景だ。火花にチカチカと照らされながら、彼女はニヤリと笑う。

 

「へぇ、今度はアンタが相手なんだ?」

「不服かい?」

 

 そんなセリフを返しながら、シャルは弾雨と共に肉薄していく。目の前で花の咲く間隔が短くなりながらも、鈴音は余裕の混じった表情を崩さない。

 

「いいえ、って答えてほしい?」

 

 言いつつ自分から踏み込んで距離を縮め、自らの間合いに入った瞬間に両腕を広げるように二刀を横二閃に振るう。鋭い同時二撃は、しかしシャルロットの持っていた両手の武装だけを切り裂くにとどまる。

 それも彼女が自分から捨てたものをだ。当の本人は残骸を文字通り捨て置いて、即座に新しい武装を握りしめる。IS用大型ナイフとやや短めのライフルだ。

 ライフルの方は格闘戦も考慮しているのか、銃身下部に覆うような装甲が厚く追加されている。

 

 ステップで後退した一歩分を、装備の顕現直後に一瞬で詰める。大刀の間合いよりもさらに内側へと斬り込もうとするシャルロットに、鈴音が鼻白む。

 

「っと、やけに積極的じゃない!?」

「まあ、ね!!」

 

 押し戻そうとしてくる巨大な刃をナイフとライフルの装甲でうまく受け流し、跳ね上げたライフルを鈴音の鼻先に突きつける。

 強制的に覗き込まされる形になった銃口に舌打ちをしつつ、鈴音は柄頭の片方でそれを下からかち上げ、直後にライフルが火を吹いた。

 と、かち上げた大刀はその大きさと逆刃に振り上げた体勢から攻撃に転ずるのは不可能な状態だ。逆側の大刀は振るおうとしてもナイフにうまく抑え込まれ、封殺されている。

 一瞬の硬直―――そう思いきや、真上に向いたライフルがガシュンと音を立てる。追加された装甲が割れるようにして展開したのは、

 

「チェーンソー!?」

 

 鈴音の叫び通り、銃身に沿う形で延びるように現れたのは楕円状の本体に沿って刃の鎖を高速で走らせる凶器だ。シャルロットはにっこり笑いながらそれを勢いよく振り下ろす。

 鈴音は背筋が冷たくざわめくのを自覚しながら遮二無二スラスターを吹かせて後退した。たなびくツインテールの間を高速で回転する刃が落ちていくのを見送って、胸を撫で下ろしながら視線に険を宿らせてシャルロットを睨む。

 対し、当のシャルロットは残念そうに眉を歪めた。

 

「ちぇ、惜しかったな」

「アンタ、いきなりエッグいの出してくるわね!?」

 

 まったくかわいい顔して本当に油断のならない相手だと、鈴音はひそかに戦慄を覚える。そんな彼女をよそにシャルロットは両手の武装を換装する。

 新たに現れたのは二丁バズーカ。それらは脇で挟むようにしっかりと保持され、それだけでは終わらない。追加で肩に設置されたのは多連装のミサイルポッドだ。

 瞬時に展開された大火力の大盛りに鈴音の表情が瞬時に引きつり、しかしシャルロットは一切の躊躇をしなかった。

 

「吹っ飛べ!!」

 

 直後、鈴音を中心に巨大な爆発の連鎖が巻き起こる。生じた大量の黒煙に、それを生み出したシャルロット自身も瞬く間に呑み込まれていく。

 

 

 

***

 

 

 

「ちぃっ」

 

 ラウラが舌打ちと共に身を横へずらす。直後にすれ違うのは光の弾丸だ。

 

「あらあら、はしたないですわよ」

 

 そんな彼女を睥睨しながら微笑んでいるのは、更に高い位置からライフルを構えるセシリアだ。その言葉の直後、羽を広げるかのようにビットが展開され、ラウラへとバラバラの軌道で襲い掛かってくる。

 その様は俯瞰してみればまるで群れで獲物を狩りにかかる有翼の猟犬たちのように見える。

 

「チィッ!!」

 

 二度目の舌打ちは更に鋭く、ラウラは腕の振りと共にAICを起動させた。張り巡らされた不可視の蜘蛛の糸に絡めとられたのは二基。しかし残りの二基はそれを回り込むように左右に分かれ、挟み込むようにラウラへその砲を向けた。

 ラウラはとっさに後ろへ倒れ込むように重力任せに高度を下げる。その直後に彼女の頭と胸のあった部分を光の弾丸が通過し、するとAICによって縫い留められていたはずの二基が再び宙を滑りだした。

 再び四頭となった機械の猟犬に向かって、ラウラは大型のレールカノンを向ける。

 

「Feuer!」

 

 豪、と磁性を帯びた砲弾が放たれ、しかしビットらはそれを悠々と散開して避けていく。と、ラウラはすぐさまリロードしつつ砲口をセシリアへと向けなおし、

 

「Feuer!!」

 

 続けざまの砲撃で、セシリアを貫かんとする。

 

「あら、残念ですわね?」

 

 しかし、こちらもあっさりと躱されてしまう。ひらりと回避され、その余裕に溢れた様子に思わず奥歯が鳴る。

 だが同時に、頭の中では冷静に一連の攻防を分析していた。

 

(ビットと本人は同時に動けないという話だったが……おそらくそれ自体はまだ解消されたわけではないはずだ。動きの中に所々不自然なものがあるのがその証拠。

 だがビットから自機、そしてその逆への変遷が驚く程に滑らかだな。悔しいが、私の装備では中・長距離でそれを妨げるほどの密度で攻撃を仕掛けることは難しいな)

 

 ラウラのレールカノンは単純な火力は非常に高いが、その反面取り回しや継続的な攻撃には劣るものがある。決定打にはなりえても、手数を増やせないために非常に読みやすいのだ。

 そしてそれはセシリアほどの熟達した射撃技能を持つ相手ならば容易い所業であり、つまり距離を置いた戦闘ではラウラはセシリアに勝つのは難しいということだ。ならば距離を詰めればいいという単純な話なのだが。

 

「そら、わたくしの猟犬と戯れなさいな」

「っ、ご免被りたいんだがなっ!!」

 

 言いながら、向かってきた三基のビットから逃れるようにスラスターを吹かす。それを追ってきて、視線の先で一纏めになったそれらを即座にAICで拘束した。

 物言わぬ猟犬は、意思に反する静止に対しても寡黙にあり続けている。その次の瞬間、

 

「ぐぁっ!?」

 

 背に感じた衝撃と熱に大きく呻き、振り向くのもそこそこに即座にその場からズレるように身を捩らせる。

 すると、下側から射撃しながら迫っていた一基と拘束が解かれた三基……斜めに彼女を挟み撃ちにする形で浮かぶビットたちの光弾が、ラウラの体があった所を交差するように通り抜けていく。

 その軌跡を見届けるまでもなくラウラは即座に態勢を整え、瞬時にセシリアへと疾駆する。間合いを詰めよらんとしたラウラの神速は、しかし体当たりしてくるかのようなビットの突撃に阻まれる。

 空中でたたらを踏まされるように出鼻をくじかれたラウラに、今までとは比べ物にならないほどの威力のレーザーが降り注ぐ。セシリアのライフルによる斉射だ。

 最初の一発目が左足の装甲を削ぎ、二発目が右わき腹を喰らいにかかった。

 

「づぅっ!?」

『オルコット選手、見事なビットさばきでボーデヴィッヒ選手を手玉に取ったかと思いきや、一瞬のスキをついての狙撃で痛打を浴びせかかる―――ッ!!』

 

 現状を簡潔かつ臨場感に満ちた物言いで纏めた実況を聞き流しながら、ラウラはスラスターの出力を一時的に切る。

 幾度目かの自由落下で辛うじて三発目以降はやり過ごせた。しかし、そこから再びスラスターを吹かして体勢を立て直すも、間合いは先ほど以上に離れている。

 ここまでほぼ一方的に向こうにペースを握られている……その事実にこそ、ラウラは苦渋を禁じ得ない。と、セシリアから「ふむ」という唸るような呟きが漏れた。

 

「思ったとおり、極端に方向の違う箇所に同時にAICを働かせることはできないようですわね。射程距離もあまり長くはないようですし」

「………正解だ」

 

 ラウラは声音も低く不満げに肯定する。

 指摘の通り、ラウラのAICは対象の拘束に相応の集中力を要する。故に同じような方向から同時に来る複数の個体ならばともかく、タイミングをずらして別の方向からくる対象に追加で拘束することはまず不可能だった。

 また、楯無の解説でも言っていた通りAICは見えない蜘蛛の巣を一瞬にして張り巡らせるようなものであり、イメージとしては射出するというよりも設置するといった風が正しい。そのため、離れすぎている相手を拘束することもできないのだ。

 その弱点を分析・解明し、尚且つ効果的につくことができたのはセシリアだからこそであるだろう。

 それは単騎で同時に複数の方向から攻撃できるというビットあってこそというのもあるが、そのビットを最大限に使いこなしているのは紛れもなく彼女自身の実力だ。

 

 ただ単に多方向からの砲台としてだけの運用であったならば、ラウラはここまで苦戦を強いられることはなかっただろう。

 だがセシリアは時にビットを敢えてAICに捉えさせ、時にビットそのものを質量兵器のように突撃させた。

 それは己の優位に縋るのではなく、相手の優位すらも利用して盤面を動かす指し手の如き俯瞰の戦術眼。単純な一兵卒としての武勇ではなく、神の視点のように広く戦局を捉える将の在り方。

 

 ―――ブルーティアーズを駆るセシリア・オルコットの本領が、ここに開花の兆しを見せ始めていた。

 

「まるで単身で一部隊を相手にしてる気分だな」

 

 嘯きながらもラウラは次の瞬間には嵐のように襲い掛かってくるだろう脅威を前に、つかの間の静けさの中で必死に思考を巡らせていく。

 セシリアもまた、そんなラウラの思考を予測しながらビットへ己の手足のように意思を伝わらせる。

 目に見えている激突以上の苛烈さで、二人の思考はどこまでも加速していく。

 

 

 

***

 

 

 

 澱のようにわだかまる爆煙からオレンジの装甲が背中から飛び出してくる。二丁のバズーカを未だに煙に包まれた敵手に向け続けながら、小さく息を吐く。

 

「いくらなんでも間合いが近すぎたかな……けど、あのタイミングじゃ避けようないは―――」

 

 ず、とつづけた瞬間、自身の肩口に設置された空のミサイルポッドに何かが勢い良く突き刺さった。その衝撃に身を仰け反らせ、耳元で鳴り響いた破砕音に鼓膜を痛打されながら、しかしシャルロットは溢れ出る困惑を抑えることができない。

 

(な、に?)

 

 瞳を横へずらせば、そこには片刃の大刀が刀身半ばから生えている光景が大写しで飛び込んできた。しかも柄頭には鎖が繋がれ、光を遮り続けている煙の中へと続いている。

 シャルロットの視線が鎖をたどったその時、鎖と刃が文字通りの紫電を散らし始めた。

 

「う、あぁああああああああああああ―――っ!?」

 

 皮膚の下から剣山を擦るような激痛と痺れに、シャルロットは叫びながら即座にミサイルポッドを切り離す。息を荒くするその顔の横に、幾つものウィンドウが浮かび上がってはエラーメッセージを赤と黄で毒々しく彩っている。

 じわりと粘つく汗が額に浮かんできたのを自覚しながら睨んだ先では、鎖付きの大刀が勢いよく引き戻されて行くところであった。

 

「あら、ちょっと手ごたえ軽かったわね」

 

 そんなあっけらかんとした声の直後に、晴れつつあった煙が一気に消し飛ばされる。鎖に繋がれた大刀が盛大に振り回されることによって内側から吹き散らされたのだ。

 鎖はよく見れば、鈴音のお右腕の装甲から延びているものだった。彼女はそれを握り、ブンブンと風を切る音を響かせ続けながら己の頭上で旋回させている。

 纏わりつく黒煙を自ら払った鈴音の姿に、シャルロットは思わず舌打ちを鳴らしそうになった舌を寸でで抑え、苦し紛れに口の端を持ち上げた笑みを作った。

 

「―――、いくら何でも無傷はひどすぎないかな?」

 

 言葉通り、甲龍の装甲は目立つ傷もなくその威容をキラリと玉のように輝かせていた。鈴音は大刀を振り回しながら、逆の手で背面ユニットを親指で指す。

 

「別に大したことじゃないわよ。原理はラウラのと一緒よ」

「ラウラの……って、まさか!?」

 

 鈴音の言葉に、シャルロットは驚愕に目を見開いた。

 彼女の纏う甲龍……これの固有武装もまた、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンと同じくPICの技術を由来としたものではなかったか。

 

「衝撃砲を使って、身を守ったっていうの……!?」

「ご名答。もっとも、ラウラの方と比べれば力業にもほどがあるって話だけれどね」

 

 そう、鈴音は至近での砲撃の瞬間、自身の真正面に衝撃砲を出力と性質を調整した上で発射し、自身を守る壁として利用したのだ。

 どれだけの威力があり、破片などの質量を伴っていても砲撃も爆発も所詮はベクトル……運動エネルギーにすぎない。ならばより強いエネルギーによってかき消されるのは道理だ。

 仮に薄皮一枚ほどの距離であろうとも、それは変わらない。

 ―――その理屈はわかる。しかし告げられた事実に、シャルロットは身に走った戦慄を面に出さないことに必死であった。

 

(あの一瞬でそんな真似やって無傷とか……出鱈目にもほどがあるよ)

 

 確かに、衝撃砲で壁を作ることができれば攻撃を防ぐことはできる。だが、それは本来机上の空論、盾と同じ材質だからといって矛で盾と全く同じ役割をすることができないのと同じだ。

 本来ならば良くて互いの攻撃が互いに炸裂して相打ち、下手をすれば自分の攻撃で自分自身が押し潰されていただろう。

 それをほぼ不意打ちに近い状態から成し遂げた。

 尋常ではない実力を尋常ではないセンスで以って十全以上に発揮しなければ到底実現しえない業に他ならない。

 

 内心で舌を巻いていたシャルロットに対し、鈴音もまた上っ面を取り繕うのに必死であった。

 

(まいったわねー……シャルのやつ、想像以上に巧いでやんの)

 

 先の攻防までで、シャルロットが使い分けた武装の数は幾つだったか。

 弾幕に牽制、中距離銃撃に近接格闘、オーソドックスからキワモノまで、多種多様という言葉の意味をこれほど体現しているのも珍しいだろう。

 だが、問題はそこではない。彼女はその上でそれら全てを最適な状況と最適なタイミングで取捨選択し、且つ使いこなしているのだ。

 ただ色んな武装を用意するだけならば馬鹿でもできる。

 どのような戦況でどのように武器を使うかならば多少目端が利くなら判断できる。

 様々な武器を一定の水準以上に扱うくらいならば訓練次第で不可能ではないだろう。

 だが、戦闘というリハーサルのない場面で秒単位で変わる状況に対し膨大な数の武器の中から瞬時に最適な武装を選択し続け、更には武器の持ち替えに際し即座に意識を切り替えて使いこなす。

 しかも彼女は受け身でその状況に合わせるのみならず、積極的に動いて状況を操作することもできるのだ。

 単純な剣技や射撃術などの腕自慢などとは比較にならない巧緻に長けた戦闘技術。

 まさしく戦闘巧者と呼ぶに相応しい。

 

(ったく。器用万能とか、なんて面倒くさいのが相手になっちゃってるんだか)

 

 今の不意打ちで多少の痛打は与えられただろうが、それがどれほどのアドバンテージになっているかは未知数だ。

 むしろ半端に手負いにしたことが裏目に出るということもあり得るかもしれない。

 これはそれがありえる相手だと、鈴音は確信に近いレベルで断定していた。

 

 互いに内心を読ませぬ不敵な笑みを浮かべ、その裏で相手への戦慄を必死に抑えている二人は、再びの激突の直前、全く同じ言葉を声に出さず吐き捨てた。

 

((このバケモノめ………!!))

 

 心が読めるなら、お前が言うなと笑いながら罵り合っただろう文句を互いに知らぬまま、鉄火の炸裂が再開した。

 

 

 

***

 

 

 

 この時点で、戦場はほぼ上下に二分されていた。

 上空でのセシリアとラウラ、低空での鈴音とシャルロット。

 戦況もまた分かれており、セシリアのビットとライフルの射撃に翻弄されつつも反撃の隙をうかがうラウラと、衝撃砲を主として進撃する鈴音を多種多様な武装で迎え撃つシャルロットといった具合に盤面が固定されつつあった。

 攻め手として優勢に見えるのはセシリアと鈴音の方だ。

 セシリアはAICに対する光学兵装とビットの特性によるアドバンテージを見事に活かし、鈴音はシャルロットの繰り出す物量を見事に押し退けている。

 それを示すかのように、ラウラは徐々に高度が下がり始め、シャルロットはじりじりと押され続けている。

 だが、セシリアと鈴音に油断はない。自分も国家代表候補生なら相手も同じ。ならば起死回生の手などいくらでも用意してあっておかしくないし、いつこちらの喉笛を食い千切りにかかってもおかしくないのだ。

 だから二人は決して相手から注意を逸らすことはなく、その一挙手一投足すら逃さんとその全神経を向けていた。

 

 故に。

 それに真っ先に気付いたのは、外からそれを見ていた者たちだ。

 

「あら」

 

 楯無は小さく感嘆の声を漏らし、

 

「ほぉ」

 

 一夏は僅かに唸り、

 

「あれ?」

 

 箒はふと感じた違和感に首を傾げ、

 

「あ、これって……」

 

 目元を赤く腫らしたままの簪は僅かに目を丸くする。

 

 セシリアと鈴音は勝利の二文字が徐々に輪郭を得てきている手応えを感じながらも、逸りそうになる自身を抑えていた。真実、それを手にするならば堅実に事を運ばねばならないと言い聞かせて。

 だがそれももうすぐだと実感を得ながら、それぞれがより強く攻勢に出ていく。

 それに対して、それぞれの敵手は逃れるように身を引かせていく。するとセシリアと鈴音は自然とそれを追う形となっていく。

 前のめりになっていく両者に対し、ラウラとシャルロットは臆したかのような逃げ腰だ。

 

「くっ……!」

「逃がしませんわ!」

 

 牽制の砲撃を放ちながら仕切り直しのためだろうか距離を開けようとするラウラに、セシリアが四基のビットを渦を巻くようなバラバラの軌道で迫らせていく。

 

「うぅ……!」

「そろそろ終わりかしら!?」

 

 構えていたアサルトライフルを両断され、呻くように下がるシャルロットへと鈴音が更に踏み込んでいく。

 そうして攻め手の二人は互いの相手をそれぞれ追い詰めて―――

 

「―――な!?」

「て、えぇっ!?」

 

 ―――その瞬間、互いの戦場が重なった。

 そしてそれだけでは終わらない。

 ラウラとシャルロット、二つの戦場の重なる起点となった二人はその瞬間、ステップを踏むかのように軽やかに身を回す。すると、何が起きるか。

 

『な、な、な……なんとォ―――ッ!! ボーデヴィッヒ選手とデュノア選手が、一瞬の交錯を利用して互いの立ち位置を入れ替え、戦う相手をスウィッチしたァ―――ッ!!』

 

 素の驚きを多分に含んだ解説の大音声が、その全てを物語った。

 ビットの群れで追い立てていたセシリアへシャルロットが距離を詰めていき、シャルロットへ攻め込んでいた鈴音にラウラが立ちふさがる。

 突如として対戦相手の交代。それに対する思考の停止は、セシリアも鈴音もほんの刹那のものであった。

 

「このっ……!」

 

 セシリアは相手が誰であろうと変わらないと言わんばかりにビットへ命令を走らせる。シャルロットを中心に飛翔する砲台は天球図を連想させる。

 己を上下前後左右から狙い、今にも砲口を向けてくるだろう鋼の猟犬に対し、シャルロットはセシリアへの吶喊を緩めないままバレルロールじみた回転を始めた。

 そしてその両手に新たに呼び出されたのは、先ほどよりも大口径のショットガンだ。ショットガンとしてはかなり珍しい大きなリボルバー型の弾倉が特徴的なソレが、少女の手で振り回されながら火と鉄の雄叫びを上げる。

 

「たぁああああっ!!」

 

 まき散らされる散弾の嵐。それはほぼ面の攻撃となって彼女に群がりつつあったビットに襲い掛かり、青い装甲の表面を火花と共に削っていく。その傷は決して浅いものばかりではない。

 また、それ以上に散弾のもたらす衝撃がビットの照準をブレさせ、その機動そのものを阻害していく。そしてそれはシャルロットがセシリアへ肉薄するのに十分すぎる好機だ。

 

「このっ……!」

 

 ビットによる迎撃から即座に切り替え、ライフルを構えるセシリア。だが、彼女が引き金を引くまでよりもシャルロットの動きの方がはるかに疾かった。

 シャルロットは右のショットガンをナイフへと持ち替え、さらに加速する。

 

「もらったよ!」

 

 鋭く上げられた声は勝利宣言か。疾風(ラファール)という名のごとく、彼女は素早く鋭くセシリアの懐へ切り込んでいく。

 そして―――。

 

 

 

***

 

 

 

「なあ、今のって最初から狙ってたのか?」

 

 モニターを見ながらの箒の疑問に、一夏はむぅ、と唸る。

 

「どこまで意識していたかはわからんが……全く考えていなかったわけではないだろうな。

 でなきゃあそこまでスムーズに入れ替わることはできないだろう」

 

 言いつつ、一夏は内心で脱帽していた。

 シャルロットとラウラのこの入れ替えは、自分たちの劣勢そのものを利用したものだからだ。

 

 セシリアはラウラに対し、光学兵装のみならず格段に向上したビットの操作技術による多面同時攻撃で完全に翻弄していた。

 鈴音はシャルロットの豊富な武装による物量を真正面から叩き落し続けていた。

 これらはつまり、どちらもそのまま押し切れば勝てると、それぞれがそう判断できる状態であったということだ。

 その上で、相手取るラウラとシャルロットが候補生という実力者であるのも大きい。これによりセシリアも鈴音も、『自身が有利ではあるが油断はできない』という心理状態になる。

 そうなると二人は自身の相手へと集中することによる視野狭窄へと陥ることになる。

 相手の連携を崩すのがタッグマッチの定石だというなら、なるほど見事な崩し方だ。そも連携する必要性を与えないなど、思いついて出来ることではない。

 

 とはいえ流石にシャルロットもラウラも最初からこんな形になるとは考えていなかっただろう。少なくともシャルロットは鈴音とぶつかればどうなるかは未知数だったはずだ。

 だが、それは同時に現場での対応力……戦闘においてどれだけアドリブを利かせられるかの証明でもある。

 想定外すら利用して、己の思い描いていた結果へと導く。

 それは優れた思考能力と判断力に、戦場を睥睨するかのような広い視野を兼ね備えて初めて可能となることだ。

 

「とはいえ、これは結局は奇策。詐術に博打を上乗せしたようなものだ」

 

 故に、同じ手はまず使えない。

 あとはこのアドバンテージを一体どれだけ生かすことができるかということになる。

 

 ―――しかしこの数秒後、一夏のみならずこの試合を見ていた全ての人間が驚愕に染まることになる。

 それは。

 

 

 

***

 

 

 

「こ、の!」

 

 ラウラと対峙する羽目になった鈴音は背中を悪寒に粟立てさせながら、自身に制動を掛けつつ鎖と繋がった大剣を叩きつけるように投げつける。

 ジャラジャラと音を立てながら黒い装甲の矮躯へと走る刃は、しかし彼女に届く寸前でピタリと止まる。言わずもがな、停止結界だ。

 あと一歩遅ければ自身がそれに捕まっていたことに戦慄を覚えると同時に安堵して、しかしその一瞬の気の緩みが決定的な隙となる。

 

 発砲音というよりは圧縮した空気が抜けるような音の連なりが響くと同時に、静止した大刀の向こうから鈴音へと迫るものがあった。

 

「な、あっ!?」

 

 驚愕と共に戸惑う鈴音に、それらは瞬く間に巻き付いていく。彼女の四肢や首に巻きついたのは、六条のワイヤーブレードだ。

 圧迫感に呻きながらも、首のワイヤーに思わず手を掛ける鈴音に、大刀の影からラウラの凛とした声が届く。

 

「捉えたぞ」

 

 直後、支えを失ったかのように大刀が真下に落下していく。そうして鈴音の視界に現れたラウラは、まっすぐに彼女を見据えていた。

 そして六つのワイヤーで繋がったまま、レールカノンの照準を鈴音に合わせた。

 

「―――っ」

 

 思わず息を飲む鈴音。

 このタイミングならば、鈴音が背面ユニットから衝撃砲を放つよりも先にレールカノンが彼女を撃ち落とすだろう。

 つまり、王手であると言って差し支えない。しかしラウラは油断なく、そして素早く詰みの一手を放つ―――

 

「Feu―――」

 

 ―――その刹那、背後から轟音が響き渡り、装甲と肌とをビリビリと震わせた。

 それは落雷のような砲撃音と、鈍いものと甲高いものが入り混じった多重の破砕音に、

 

「うぁあああああああああああっ!!」

 

 己の相棒の、魂千切るような悲鳴の合奏だ。

 ラウラはその瞬間、己の勝利すら完全に抜け落ちて、反射的に振り向いた。

 その目に映ったのは、

 

「シャル―――っ!!」

 

 右上半身を中心に、纏った装甲の多くを砕かれて落ちようとしていく、シャルロットの姿だった。

 

 

 

 







 というわけで、決着は次回へ。
 今回も独解釈&自設定山盛りです。
 というか、書いてたら予定以上にセシリアと鈴が優勢になってた。
 あっれー?

 AICとレーザーに対する相性は結構前から考えてたものです。
 あと、停止結界だと末端部や機械の内部が動くっていうのは独自の解釈ですが、さほど間違ってない気がします。
 アニメでもそんな感じだった気がしますし、内側の動きも止められるんだったら、それこそ殺人兵器扱いで規制されてそうですしね。

 また、AICが極端に方向の違う二面以上に同時に張れないというのもそうですね。
 実際、それなりに集中力がいるようですし、あながちあんまり間違っていないんじゃないかと。ただ、ある程度まとまっている相手だったら一気に複数止めることはできるって感じですね。

 セシリアのビット運用は、なんか書いてて出てきたものですが、冷静に考えると操っている間は自由に動けないとしても別々の方向から一つの意志の下に自在に攻撃を仕掛けられるって、すごい反則レベルですよね。
 原作だとあんまり目立たないけど。
 結構なスピードも出てるでしょうから、全速でぶつけようとするだけでも結構な脅威になるのでは。

 鈴の使った鎖はキャノンボール・ファスト編で名前が出た装備。
 そこに大剣を連結するっていうのはオリジナルのギミックですが、できてもおかしくないかなと。
 見た目も格好いいですしね。(小説だから見えないけど)

 そして終盤の互いの相手の交換……は割と使い古されたやり方な気もしますね。
 ただ、相手を追い込んでその相手に慣れたところにこれやられたら結構きついんじゃないかなと。
 もっとも、効果的にやるにはそれなり以上に気が合ってないとだめでしょうが。
 しかしそれでアドバンテージ取ったと思ったらまさかの展開。……からの次回へ続く。
 続きの方はまたお待たせしてしまうでしょうが、のんびり待っていただければ幸いかと。

 さて、今回はこの辺で。
 彼女たちの戦いは次回で決着の予定。
 前々からここで出すと決めていたオリジナル武装も解禁する予定で、どのような勝敗へと至るのか。
 期待していただければ嬉しいです。

 それでは、また。



【追伸】
 今更ですが、年末年始の艦これイベでゴトランドとジョンストン発掘。
 前者はその前のイベでも出てこなかったので、なまらうれしい。
 それとつい先日、ようやく武蔵建造成功。やったどー!
 早く改二まで育てたい。戦闘詳報とか、そのために残しておいてあるし。

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