インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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九十六話『GW一日目/烈火の将と風の癒しての帰還』

 

簪SIDE

 

優希が打鉄弐式を取りに向かって大凡1時間ぐらいが経過した。

 

既に夕日は沈みかけていて時間を見ても五時と頷ける時間になっていた。

 

そんななか、私達はというと家主のいない八神家で寛いでいる。

 

ザフィーラさんはまだ浜辺で子供達に格闘技を教えてるしね

 

「ねえねえ、かんちゃん…もうすぐシグナムさんが帰ってくるんじゃない?」

 

そういって本音は優希が行っていたことを思いだし、私に語りかけると優希の行ったとおり、帰ってくるだろうと思ったその時、玄関の方から扉を開ける音が聞こえてきて恐らく、シグナムさんが帰ってきたのだと私は思った。

 

「今日も疲れたな…むっ?誰だお前達は?」

 

リビングに入ってきたのははやてさんとは違う、えっと確か地上所属の制服だったかな?それを着た桃色の髪をした女性が入ってくるなり、私達に気づいてそう話しかけてくる。

 

『えっと、更識簪といいます…その…優希の友達で…』

 

「優希の?なるほど…確かに優希から聞いたことがあるな…しかし何故、家に…」

 

「シグナム、昨日姉貴からメール来ただろ?昨日からしばらく優希の友達二人が泊まるからって」

 

取りあえずと自己紹介をする私に、シグナムさんは私の名前に聞き覚えがあったのかそういえばという顔で私達を見ていて、それに付け足すように後ろからやって来た赤い髪のリインさんぐらいの子供がシグナムさんに説明をする。

 

「そうか…すまない…優希の家族のシグナムだ、それと隣にいるのはアギトだ」

 

「アギトだ、優希からなんか聞いてると思うけどよろしくな」

 

そう元気よくアギトさんが挨拶を返してきて私達はよろしくお願いしますと軽く挨拶をしてお辞儀をする。

 

それから二人は帰ってきて一度部屋に向かっていき、戻ってくると私服姿でリビングに戻ってくる。

 

「あ、そういえば…簪…でいいか?優希のことなんだけど」

 

戻ってきたか二人が椅子に腰をかけると、アギトさんが少し落ち着かない感じに優希の事を聞いてくる。

 

『優希のこと?えっと優希の何が知りたいんですか?』

 

「ああ、あいつ、この頃状況報告しかしてないから、プライベートまでは教えてくれなくてな」

 

ああ、そうか…優希のことを心配して聞いてきてるのか

 

それなら言っても大丈夫だよね

 

そうして私は、優希のIS学園で起きたことを説明した。

 

クラス代表戦や打鉄弐式のこと…その他色々のことを説明して、説明し終えたときには1時間ほど経過していた。

 

『優希とは大体こんな感じです』

 

「そ、そうか…」

 

あれ?なんか引かれてる?

 

(なあなあ、シグナム…もうこれ…ドラマなんかで見るイチャイチャカップルだぞ…)

 

(…優希はしっかりと責任を取らないと駄目だな)

 

 

そんな念話があるなんて知らずに私は首を傾げていると玄関の方から扉が開く音が聞こえてくる。

 

「ただいま~」

 

この声は優希だ

 

声が聞こえてきて直ぐに優希がリビングに入ってくる。

 

「ただいま、シグナム達も久しぶり」 

 

「おう!久しぶりだな、優希」

 

リビングに入って早々、シグナムさん達が帰ってきているのを見て話しかけて、それをアギトさんが返す。

 

「さてと、簪…すずか姉から改修された打鉄弐式、受け取ってきたぞ」

 

取りあえずの久々の顔合わせの挨拶を終えると私の方に向いて打鉄弐式の待機状態の指輪を手渡してくる。

 

『打鉄弐式…』

 

前より性能はアップして要るのであろう。

 

何となくそんな感じがする。

 

「ほう、それが更識のISか…」

 

「待機状態はデバイスと何ら変わらねえな」

 

そこに、打鉄弐式の待機状態の指輪を興味津々に見詰めているアギトさんとシグナムさん。

 

「待機状態はデバイスとそんなに変わらないよ、起動すれば…パワードスーツなだけだけどな」

 

二人にデバイスとそんなに変わらないと主張する優希…しかしISとデバイス、似ているところはあるけど違いもあるということだろう…優希の言葉にはそれを思わせる言葉も含まれていた。

 

「さて、今日は母さんが少し遅いみたいだから、俺が晩ご飯作るか」

 

『私も手伝う』

 

帰ってきて早々夕飯の支度を済ませようとする優希を見て私も手伝おうと八神家の台所に足を運ぶ。

 

「さてと、今回はみんな帰ってくるわけだから少しお祝いムードでやっていこうかな」

 

そういって優希は冷蔵庫から食料を取り出し調理を開始する。

 

 

……

 

「簪、そこにある醤油取って」

 

『あ、うん』

 

料理をし始めて三十分ほど順調に作業は進んでいた。

 

「ただいま~あ、優希、今日は優希が作っとるんか?」

 

そこに、はやてさん達が帰ってきて、リビングに入ってくる中一人だけ見知らない顔の人がいた。

 

「あなたが簪ちゃんね…噂は優希から聞いているわ…シャマルよ、よろしく」

 

『あ、よろしくお願いします』

 

金髪でほんわかしか雰囲気に優しいお姉さんを思わせるこの人がシャマルさん…優希の行ったとおりだ。

 

「そろそろ、ごはんできるから…少し待ってて」

 

「うん、了解や…楽しみにしてるで」

 

優希とはやてさんがそんな会話をして、それから10分もしないうちに料理は完成してテーブルに並べられた。

 

八神家面々と本音は席に着く中、私も席に付こうと足を運ぼうとしたがふと、優希が気になり、視線を向けるとなにやら小さいお茶碗に料理を装い、テーブルから少し離れた、年期のある本の前に置いた。

 

『……優希?』

 

一体何を意味しているのだろうか……少し疑問に思いながらも直ぐに優希も椅子に座ったので続けて私も席座った。

 

 

そして、はやてさんの掛け声で、夕飯を食べ始める私達、優希やはやてさん、八神家のみんなは全員集まったのが久々だから会話には花が咲いていて…何となく羨ましい気持ちになってしまう。

 

「そうだ、なあ優希、お前…簪と楯無…だったか?二人の戦う場所、かんがえついたのか?」

 

そうヴィータさんが気になって優希に訪ねると苦い顔を浮かべる優希はその重い口を開けて喋った。

 

「いや、それがな…演習所は査察で使えないし…ヴィータは教導隊の施設を使えたりしないか?」

 

「無理に決まってるだろ?」

 

「…ですよね…」

 

ああ、やっぱり場所がなくて遁詰まりしてたんだ

 

「これじゃあ、かんちゃんとたっちゃんさんの戦いできないよう~やーくん」

 

本音も不安そうに優希に話しかけ、それを聞いて少し頭を抱えているとアギトさんが何か思いついたのか優希に提案を持ちかける。

 

「なあ、優希とにかく思いっきり戦える場所があれば良いんだろ?…ならさルールーの所とかどうなんだ?」

 

ルールー?

 

「ルーテシアのところ?…カルナージか…確かにあそこなら…行けるかもな…取りあえず聞いてみるか」

 

そういって、優希は晩ご飯を終えた後、そうしようと決めて、また気を取り直して晩ご飯を堪能し始めるのであった。

 

 


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