インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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八十六話『簪と秘密の部屋』

 

 

一番怪しい場所に優希が居るのではないかとそう思った私達は宿舎一階の休憩フロアへと辿り着いた。

 

休憩フロアには到着した私達以外誰もいないし誰かが近づいてくる様子も見られない。

 

「はぁ…はぁ…かんちゃんちょっと…休憩~」

 

走ったことでダウンする本音、そんなことを気にすることなく、はやてさんが触れていた壁に触れる。

 

「ふえ?どうしたの?かんちゃん?」

 

『本音、今から言うこと信じられないかも知れないけど…はやてさんと優希は普通の人とはかけ離れた力があるの』

 

「ほえ?やーくんが強いのはもうわかってることだよ~」

 

やっぱり少し勘違いしている本音、まあ、仕方がないかもしれない。

 

『優希はね、ISなしで氷を自由自在に使えたり、ビーム砲を撃ったり、もう一般人では出来ないことを出来るの…』

 

…これって言ったらいけない話なんだけど良いよね、今から優希と腹を割るつもりだから。

 

「いやいや、やーくんでも流石に…」

 

流石の本音も信じない……じゃあ論より証拠だろう。

 

『確か、この壁……魔力がどうのって言ってたっけ……』

 

はやてさんと優希が話し合っていた内容を頭の中で思い浮かべる。

 

魔力……についてはもしかしたら優希が言っていた特殊な力のことを指し示しているのかも知れない……それに優希は私に強化の特訓を始めて付けてくれたときに、どうしてそんなに馴れているのかと訪ねたときに直ぐに特殊な力を使うのと全く同じという答えを返してくれた。

 

私にも特殊な力を使える。条件は整っていると言っていた……つまり、今の私なら!

 

そういって私は打鉄弐式のエネルギー収束と同じような感覚で壁に触れている手に集中するとはやてさんの時と同じように壁がエレベーターの扉へと姿を変える。

 

「ふえぇぇぇ!?」

 

『やった…行くよ本音』

 

突然扉が現れて、驚く本音だがそんなことを気にすることなく私は本音の手を摑んでエレベーターへと駆け込みエレベーターは下へと動いていく。

 

1分ほどかなり下までエレベーターは降りていき、止まって扉が開くとうっすらと明かりで照らされている空間、ぽつんとSFにあるような転送装置が設置されているだけの部屋。

 

『これが』

 

辺りを注意せずに転送装置へと歩いて行く私、そして転送装置の横に居るパネル起動すると画面とキーボードが空中投射される。

 

『えっと…』

 

「なんて書いてるの?」

 

投射された画面をじっくり見てこれは英語に似た文字で書かれていることに気づき、書かれている文字をしっかりと読む。

 

『これかな』

 

そういってパネルを操作すると転送装置が起動して、装置の上に丸い魔法陣が展開しだす。

 

『行くよ、本音』

 

「あっ待ってかんちゃん!」

 

起動したのを確認すると私は急いで転送装置の展開した魔法陣の上に乗り、遅れて本音も一緒に私の隣へやってくる。

 

すると私達の体が徐々に光に包まれていき、経験したこともない現象に少し戸惑う気持ちもあるけど少し目を閉じて、後は流れるままに体を任せるのであった。

 

 

NOSIDE

 

バニングス社、演習場の整備室、そこではオーバーホールしている優希のリヴァイヴと簪の打鉄弐式の姿があった。

 

「さてと、これが優希くんが設計した打鉄弐式の改修プランなんだけど……見る限り物凄いよね」

 

先日から優希が打鉄弐式の改修を考えた改修プランの書かれたデータを見ていた。

 

「オーバーホールは明日だから私は打鉄弐式の睦月と如月に手を加えよう」

 

そういってすずかは打鉄弐式のパワーアップに着手するのであった。

 

 


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