インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
「ギブ!ギブ!ほんまギブや!!あっ!顔に優希のてがぁ!!!」
ヘリから突然出てきた、はやてさん…その登場の仕方が少し恥ずかしくて、優希が高速ではやてさんに接近しアイアンクロー……なんというカオスな光景なんだろうか……
セシリアと鈴、後本音はぽかーんと唖然としていて、織斑先生は頭を抑えながら呆れ……山田先生はあわあわと動揺を隠せない。
「そうかそうか、もう少し力を入れてみようか」
ニコニコしながら更に握力を強めようとする優希にそれを必死に藻掻き苦しんでいるはやてさん……
流石に見て見ぬふりはできないだろうから私ははやてさんに助け船をだした。
『優希?もういいんじゃないかな?はやてさんも反省してるだろうし…』
「簪は甘い、母さんは隙あれば面白いことに首突っ込むからな……この前の制裁で懲りてなかったみたいだしな」
結果、効果ならず…するとヘリの中から顔を出すのは紫髪をしたはやてさんと同じ若い女性だ
「優希くん、そろそろ止めてあげたらどうかな……その時間も迫ってる位だし」
その人の理由を聞くと優希は溜め息を付いてはやてさんを摑んでいるアイアンクローを解いた。
「うう~痛い~痕ついたらどないするんや」
「これぐらいで丁度良いだろ?……今回はすずか姉に免じて解いたけど次はもっときついの食らわすからな、母さん」
え?あれよりきついのあるの?
そう思ってた私だけど周りのセシリア達は他のことに気を取られていた。
「「「母さん!?」」」
あ、そういえばはやてさんが優希のお母さんだって知ってるの……この中じゃ、私だけだったんだ。
「簪、本音何してるさっさと行くぞ」
そう優希は出発するというとはやてさんの襟元を摑んで無理やりヘリへと連れ込んでいく。
「ちょっ!?優希待って!今来たばっかやのに、お世話になってる人にもちゃんとご挨拶を……」
「別に良いから……というか、こっちが恥ずかしいだよ」
「そんな恥ずかしがらんてくてもえべぇ!?」
あ、優希に沈められた。
『と、取りあえず私達もいきますね、本音行こう』
「ふえ?あ、うん」
見送りに来たみんなに一言挨拶をして、唖然としていた本音を正気に戻すと私達もヘリの中にへと入っていく。
「八神!」
私達も乗って出発すると思った矢先、織斑先生が優希に向けて名前を呼ぶ。
「…くれぐれもやり過ぎるなよ…」
「……わかりました……ですが、そう判断するのは自分なので保障は出来ませんよ」
と返答する優希…多分私のことを言ってるんだと思う。
織斑先生と優希の会話が終わると見計らって後部ハッチの扉が閉まる。
そして閉まると優希に席に座るように促されて座るとヘリが浮上して動き始めるのであった。
NOSIDE
「行ったか」
優希達が乗せた輸送ヘリが飛び立ち、残った織斑先生と山田先生、二人は遠くなっていくヘリを見つめながらそう呟いたり
「さて、とりあえずは……」
見送った後ちらりと横に居る今も固まっているセシリアと鈴を見て、持っている出席簿の一撃が二人の頭上に振り落とされて、正気に戻す。
「オルコット、凰……いつまで固まっているつもりだ」
「っ~……あれ?優希達は!?」
「もう出発しましたよ」
正気に戻った鈴はいなくなった優希達に気づき、それを山田先生は優しい物腰で教える。
「それより、貴様らも突っ立っている暇があるなら自国への報告書の作成なり、特訓するなり効率よく時間を使え」
「は、はい!」
「わ、わかりました」
気迫のこもる織斑先生の一喝にたじろぐ二人はすぐさまこの場から退散していきヘリポートは織斑先生と山田先生のふたりとなった。
「さてと、我々も職務に戻るとしよう」
「はい、あの……八神くん達は大丈夫なんでしょうか……」
「なに、心配はいらんだろう……先程その確認も取れたからな」
「え?それはどういうことですか?更識さんのことを言っていたのでは……それとも……」
二人になったことで、セシリア達には聞かれたくは無い話を切り出す二人、そしてヘリが飛び立つ前に織斑先生と優希が交わした言葉の意味を訪ねる山田先生に織斑先生は口元をにやつかせた。
「両方だ」
……
………
「こちら、偵察班、目標はヘリに搭乗しバニングス社演習所へと向かい飛び立った」
「了解…目標地点に差し掛かりしだい攻撃を開始する」
「油断するな相手はISが複数機でもものともしなかった男だ…最大の注視して当たれ」
そして軍用ヘリの中…初めてヘリに乗った本音は少しはしゃぎながら外の景色を眺め、他には本音の隣に簪が本音を見て苦笑いして、二人で雑談をするアリサにすずか、そして持っている本を読む優希に…隣には先程沈められたはやてが優希にもたれかかっている。
「優希、その本ってなんなの?」
「ん?これか?古い偉人の冒険譚…それを現代の人が通訳した小説…全部国外の言語だから簪は読むの苦労すると思うよ」
そう苦笑いをする優希、そんな優希の隣に簪は座り横からその小説の中身を見るとずらっと難しい英文が書かれていて一見では何が書いてあるのかわからないで居た。
「そうだ、簪はアリサ姉とすずか姉とは面識なかったよな…丁度良いか…アリサ姉!すずか姉!ちょっとこっち来て」
「ん?何よ優希?」
小説を閉じて簪がアリサとすずかを知らないと思い、優希は二人をこっちに来るように呼び出すとアリサがどうかしたのか聞きながら優希の元へと近づいてくる。
「いや、簪にちゃんと紹介してなかったからさ……アリサ姉もすずか姉も知ってるだろうけど……彼女が更識簪」
「そういえば、そうね……初めまして、アリサ・バニングスよ……そこに居るはやての友達で今から行く演習所は私の会社の所有地でもあるの……よろしくね」
「月村すずかです。簪さんの使ってる睦月と如月は私の会社で作ったものなんだ…IS事業はアリサちゃんと合同でやってるからこれからもよろしくね」
「は、はい!よろしくお願いします」
三人の挨拶を済ませ、取りあえずはもうないかと優希は思ったがここで意外なところから声が聞こえてくる。
「おっと、俺のことを忘れてもらったら困るぜ…優希…」
「あっ!そういえば…簪、今ヘリを運転してるパイロット…彼はヴァイス…俺が知る限りじゃあヘリの操縦に右に出るやつはいないな」
「ヴァイス・グランセニックだ、今後も乗せることがあるかもしれねえからよろしくな嬢ちゃん達」
「は、はい……よろしくお願いします!」
ヘリを運転していることから運転席から左手でジェスチャーしながら挨拶をするヴァイスに簪も直ぐに返答して挨拶をする。
「さてと、これで一通りかな…まだ出立してすぐだから後3時間ぐらいは空の上だな…簪…この間に特訓やっておくか」
「あ、うん……お願い」
一通りの自己紹介を終えて、優希は少し何をするか迷った後、第三段階の特訓をやろうと簪に提案をして、簪はそれに頷き……特訓をやり始めるのであった。