インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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六十六話『簪VS鈴 仲間同士の戦い』

NOSIDE

 

「鈴と戦うのか」

 

モニターに映る対戦表を、みて優希はぽつりとそう呟くと隣に居る簪は無言で頷く。

 

鈴と簪互いに織斑一夏を打倒するため協定を組んだどうし…

 

しかし、織斑一夏に戦えるのは勝ったどちらか、負けたものは勝った者に託すしかない。

 

簪が鈴か…どちらに織斑一夏と戦えるチケットを手にするのは…

 

「優希…私勝つよ…だから…見ていてよね」

 

そう簪は鈴に勝つと優希に意志を示し、その姿を見ていてくれと頼む。

 

「分かってるよ、それじゃあ俺は観客席で見てるよ」

 

簪も出撃準備に取りかかるだろうと優希は準備室から退出し簪も少ししてから準備室から出てカタパルトデッキへと向かっていった。

 

《まだ一ヶ月しかしてないけど……色んなことがあったな……》

 

カタパルトデッキへと向かう通路、簪はこれまでの経緯を思い浮かべる。

 

《最初は姉さんに言われて打鉄弐式の開発に躍起になって……誰にも頼らずに頑張ってた》

 

《だけど、今はもう違う、本音がいる、セシリアがいる、鈴が居る……他にも支えてくれたみんなが居る……そしてなにより優希がいる》

 

そして今はみんなに囲まれ支えてくれたことで今の自分が居ると心の中で実感し簪は、その中でも一番心に残ってる優希のことを思う。

 

《優希…あの日私を助けてくれた、私のヒーロー……強くて優しくて……誰よりも頼りになって…打鉄弐式の開発にも優希の力が無かったら絶対に此処まではたどり着けなかった》

 

簪の心は既に優希への好意でいっぱいだった。

 

《だから、優希に私の姿を見て欲しい…まだ私には優希と隣に居ることは出来ないけど、いつかきっと…!》 

 

隣で歩みたいから、そう簪は決意すると右手の中指にはめてあるクリスタルの指輪、待機状態の打鉄弐式を突き出す

 

「いこう!打鉄弐式!」

 

そう、簪が叫ぶと答えるように打鉄弐式が起動して機体が展開し装着した。

 

「更識簪、打鉄弐式…いきます!」

 

そうして簪はカタパルトデッキからアリーナ内へと飛びだっていった。

 

 

少し時間は遡り、観客席へと向かった優希は元から取ってある席の元へ向かうと本音達がアリーナ内がよく見えるところを確保していた。

 

「本音、お待たせ!」

 

「あ、やーくん、はい、やーくんの席取っといたよ~」

 

「悪いな今度ジュースでも奢る……さてと…いきなりの対戦カードだな」

 

「そうなんだよね、更識さんと凰さんが当たるなんて……私達どっちを応援すれば良いんだろう」

 

本来なら優希が本音達と近くに居るだけでも本音達が批判される所だが、それは無い

 

なぜなら此処にいる観客は全員、本音や鈴達の協力により優希の誤解を知っている人達、そのためこの中には優希を批判する者は誰もいなかった。

 

そして本音が取っていてくれた席に優希は後日、お礼に奢るといった後、座り、改めて対戦表のことを口にすると清香がどっちも応援したいという気持ちがあったためお互い戦うふたりのどちらを応援すべきか悩んでいた。

 

「……両方応援しましょう……どちらか片方というのも、嫌なものでしょうから」

 

「そっか、それじゃあ凰さん!頑張れ!!」

 

「更識さん!ファイト!!」

 

「かんちゃんもリンリンも頑張れ~」

 

悩む清香に優希は、両方応援するという方法を提案し、その提案に乗った本音達は両者とも応援する。

 

「さて、見せてもらうぞ、簪」

 

そう思いながら優希はアリーナ内を見つめて試合が動くのを待ちわびた。

 

 

「まさか、いきなりあんたと当たることになるなんてね……」 

 

「それはこっちも同じ…でもそういう確率はしっかりとあった」

 

アリーナ内では試合開始の合図が出ていないため簪も鈴も軽い話し合いをして初戦で当たったことについて話し合っていた。

 

「鈴、私、勝つから」

 

「ふっ!そうはいかないわ、簪!勝つのは私よ!」

 

お互い勝つと意気込んだ直後、試合開始のブザーが鳴り響き、始まったことに観客は歓声を上げ、開始直後鈴は双天牙月を取り出して構えた。

 

《さてと、簪の主力武装である夢現は壊れて出てくることは無いけど…優希が新しい武装を取り寄せたのよね…それがどんなものなのか…本人と優希しか知らない…ここは警戒すべきね》

 

《鈴が踏み込んでこない…私の武装を警戒してる?今私が使えるのは新武装と優希がギリギリ間に合わせた山嵐のみ…山嵐はただミサイルを飛ばすだけだから牽制用にしか使えない、だったら…鈴の意表を突くのが一番良い!》

 

お互い開始直後に頭で相手の動きを分析して、先に動き出したのは簪だった。

 

簪は打鉄弐式のスラスターを噴かせて鈴に接近する

 

《間合いを詰めてきた!ってことは武装は近接系の武器ね!ならこっちが有利!》

 

一度は優希と打鉄弐式の初稼働をしているところをしっかりと見ているため近接戦ではこちらが有利と思った鈴は簪との間合いを見て、自分の射程内に簪が入りきると双天牙月を上段から一気に振り落とした。

 

《いまだ!》

 

双天牙月が振り落とされている中簪は仕掛けてきたのを見て漸く拡張領域(バススロット)から新しい武装を取り出し、出された武装を見て鈴は目大きくして驚く。

 

《ハンドガン!?》

 

簪の新たな武装、それは刀や槍のような近接武器ではなく、中距離のハンドガンが2丁。

 

簪は片方のハンドガンのサイト辺りで双天牙月を抑えて、軌道を剃らすと直撃を剃らされて隙を作ってしまった鈴にもう片方のハンドガンを至近距離で鈴に突きつけ射撃する。

 

「くっ!この!」

 

ハンドガンのエネルギー弾が数発当たるも直ぐに鈴が双天牙月で反撃し簪を避けさせて距離を取らせる。

 

「まさか、槍や刀とかじゃなくて銃なんてね」

 

「うん、右手の銃が如月、左手の銃が睦月だよ」

 

ハンドガンであったことを今でも驚いている鈴に簪はハンドガンの名称を言う。

 

「なるほどね、結構良い名前じゃない」

 

「うん、この睦月と如月の使い方、優希にみっちり鍛えられたから…ごめんだけど鈴、私が勝つから!」

 

「…そういうのは勝ってから言いなさいよ!」

 

二つに名付けられた名前を褒める鈴だが簪は早くも勝利宣言をすると少し笑って、鈴はその言葉に対して言い返して簪に迫る。

 

鈴と簪との戦い、それはまだ始まったばかり……


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