インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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六十四話『打鉄弐式起動』

 

優希SIDE

 

打鉄弐式の開発に本格的に取りかかってから十日が経過した。

 

初日は中核となる場所のパーツを取り替えた。

 

これにより、起動させるだけでぱんぱんになるであろう記憶媒体に伝達スピードが遅い、伝達部分等を取り替え、それから各部の駆動部を取り替えたりとやることは大量だった。

 

その他にも打鉄弐式を動かすOSの作成、スラスターの調整なんかも完了したが……武装に関しては完全に後回しという結果になった。

 

いまは動かすことを第1にしたため、それに夢現があるから完全にないわけじゃないしな……俺がリヴァイヴ乗ったときとは違ってな

 

武装の話は置いておいて……取りあえず、打鉄弐式の改修は一時的だが終わった、まだ改修の余地は有り余っているが何分クラス代表戦も既に四日後に迫っている

 

そして今日、打鉄弐式の初試運転とファーストシフトを行うことになっていた。

 

今、俺が居るのも第4アリーナで既にリヴァイヴを纏っている。

 

それと、観客席の方でも今回の件に関わりのある本音や鷹月さん達、後セシリアと鈴も見に来ていた。

 

後は打鉄弐式を纏った簪が来るのを待つだけ…っと…来たみたいだな

 

カタパルトから出撃する機影、それは俺の前に降り立つ。

 

降り立った期待は俺にとっては見慣れた人物と機体…簪と漸く動かせる段階まで完成した打鉄弐式

 

『取りあえず、ちゃんと動いたな』

 

カタパルトから出てきただけでもちゃんと動いていることの証明になったため俺は笑みを浮かべてそのことを喜んだ。

 

「うん、優希と支えてくれたみんなのお陰」

 

簪も自分が手塩をかけた打鉄弐式画動いていることに感動して笑みを浮かべた。

 

しかし感傷に浸るのもこれくらいにしてここからが本番だ。

 

『取りあえず、ファーストシフトは完了だな…次は何処か異常がないか見る、アリーナ内を飛び回ってくれ』

 

「うん!」

 

そういって簪は打鉄弐式のスラスターを吹かせてアリーナ中を飛び回る。

 

加速、旋回、急停止…動きに関しては見る限り問題点は無さそうだ、いや従来の第三世代の専用機以上に機体性能が良いように見える。

 

一通り飛び回ると俺の目の前に戻ってきて、俺は次の段階へと進めるため、拡張領域(バススロット)から葵を取り出す。

 

「優希?」

 

『取りあえず基本動作はここまで……』

 

疑問に思う簪を他所に俺は葵を軽く素振りで振るうと構えた。

 

『少し軽く打ち合おう、動くだけじゃ物足りないだろ?』

 

「…うん、わかった!」

 

俺と打ち合えることがうれしいのか少し笑みを浮かべながら打鉄弐式の拡張領域(バススロット)から夢現を取り出して構えた。

 

「それじゃあ…行くよ!」

 

『ああ!来い!』

 

簪の動きを見るのが目的だから簪の攻撃を誘うと直後簪は俺に目掛けて飛び込んでくる。

 

まず上段から斜めに振り落としそれを俺は中段で構えて葵で軌道を剃らして外すと続けて夢現を切り返して下段から振り上げてきてそれも夢現の軌道に合わせるように葵で打ち合う。

 

『いい、切り返しだな!薙刀術習ってるのか?』

 

「うん、やっぱりさっきの動きで分かるよね」

 

『まあな…よし、今度はこっちからも行くぞ!』

 

それから数分間お互い打ち合って打鉄弐式の性能確認を大体完了し一度距離を取って葵をおろして構えを解く。

 

『よし!機体に不備は見られないな…お疲れ、それじゃあ取りあえず…』

 

「ま、待って!また1つ試したいことがあるの!」

 

 

簪SIDE

 

優希に付き合ってもらって打鉄弐式の性能チェックを一通り終わったんだけど…まだ1つだけ試していない打鉄弐式の力があった。

 

これは優希は知らない…というより打鉄弐式の性能チェックの直前に私も本音から言われたから具体的にしか聞いていない。

 

だけど…聞く限り、優希のあれのことだと思う…やり方も本音から聞いている、だから後は試すだけ

 

「なんか。まだあったっけ……別に気にすることでもないか……よし、なら来い!」

 

優希は思い当たることがなかったみたいだけど、あるならと葵を構えて防ぐ体制を取った。

 

『それじゃあ…行くよ』

 

やり方はイメージしてそれを、打鉄弐式が私のイメージを夢現に伝達!

 

すると夢現は一昨日の優希がやったように柄の先がスライドして元に戻ると、夢現の先端の高周波ブレードが更に激しく振動する。

 

「っ!それはカートリッジシステム!?」

 

あの部品…そういう名前だったんだ

 

優希も夢現にカートリッジシステムが組み込まれてることに驚いてる…けど、驚いてると怪我するかもしれないよ?

 

『行くよ!』

 

「っ!」

 

私は打鉄弐式のスラスターを点火させて優希に一気に近付くと夢現を横に一閃に切り裂き、優希も葵で防ごうとするけど、葵は刀身が夢現のブレードに当たったところから真っ二つに折れた。

 

「っ!」

 

『凄い……』

 

さっきと振るうスピードも全く同じだったのにカートリッジシステムを使っただけで威力が段違いに変わってる。

 

そう威力に感傷しているとピキッと嫌な音が聞こえて、聞こえたところを見ると夢現画至るところに罅が入っていて次の瞬間バラバラに砕け散った。

 

『……え?』

 

一体何がおきたの?そんな疑問が私の頭を埋め尽くす中、優希がゆっくりとこっちに来て、砕けた夢現の中から無事だったカートリッジシステムの部品を拾い上げる。

 

「なんでカートリッジシステムがここに………取りあえず言わないといけないことと聞きたいことがあるな……だけどまずは夢現の破片回収しよう」

 

『…うん』

 

どうしよう…唯一完成してた夢現を壊してしまった…これからどうすれば……

 

 


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