インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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五十三話『簪の決意』

戦いが終わって簪と本当の意味で五年前ぶりに再会を果たした俺達

 

そして裏路地から出た後母さん達がいる場所に戻り、そこで二手に別れた。

 

…戻ったとき何故か母さんと更識さんが息が荒かったけど…気にすることではないか。

 

そして電車に乗ってIS学園へと戻って来た俺達はゆっくりなペースで寮へと向かっていく。

 

『何だろう今日一日でどっと疲れたような気がする……』

 

本来なら楽しく終わる予定がいきなりの襲撃……簪達にも色々とバレてしまったのもあるだろう……

 

それに結局何で母さん達がいたんだろうか…その理由聞けてないんだよな……明日聞いてみるか

 

「…………」

 

「…………」

 

……無言の姉妹…

 

二手に別れてからというもの一向に話し合わない簪と更識さん…

 

昔何かあったのは明確なんだろうけど…何か話そうよ…場の空気が…

 

「それじゃあ…私はあっちだから」

 

と更識さんは何か学園に用があるのか学園へと続く道を指さして向かおうとする。

 

『あの大丈夫ですか?良ければ付いていっても…』

 

「いいわよ、そんなことしたら…誰かさんが拗ねちゃいそうだし」

 

俺は更識さんの体のことを心配して声を掛けると更識さんは首を横に振って断り、更識さんの言葉を聞いた簪は少し頬を赤くする。

 

『あの更識さん、今回のことは…』

 

「わかってるわよ、内密にでしょ?」

 

今回のことに釘を刺すと更識さんもわかりきっていることからすぐに了承した。

 

そして朧ながらもゆっくりとした足取りで学園へと向かっていく更識さん、そんな背中を簪が見ていると、何か言いたいことがあるのか迷ってる表情を見せた。

 

『…簪、思い切って言ってみるものもあるぞ』

 

「っ!優希…ありがとう…姉さん!」

 

俺はそれを見て簪の後ろを押し、簪は俺にありがとうと述べると歩いて行っている更識さんを呼び止めるために名前を叫んだ。

 

「うえっ!?」

 

叫ばれたことから予想していなかった更識さんはヘンな声を上げて体制を崩して前のめりに転けた。

 

って冷静に見てる場合じゃねえ!

 

「姉さん!?」

 

『更識さん!?大丈夫!?』

 

「だ、大丈夫よ…それで何の用かしら…」

 

俺と簪は心配して急いで更識さんのもとへ駆け寄り声を掛けると更識さんはゆっくりしながらおでこを右手で抑えながら痛かったのか涙目で起き上がる

 

「う、うん…姉さん今月の末…クラス代表戦…もし私が優勝したら…姉さんと戦いたいの生徒会長だからとか関係なく姉妹として…」

 

『簪…』

 

簪の目は本気だ、きっと悩んだ末にそういう答えを導き出したんだ…

 

対する更識さんも真剣な表情…少し考えた後考えが纏まったのかゆっくりと口を開ける。

 

「いいわ、相手になってあげる、けどそのためにも打鉄弐式を完成させる必要があるわよ」

 

「やるよ、必ず完成させて優勝する、今の私は一人じゃないから」

 

受けて立つ姿勢をとる更識さんに、簪も堂々とした振る舞いでそれを答える。

 

『なら俺も最大限、やれることをやることにするよ』

 

その簪の姿勢に答えるように改めて協力をすると述べて、そして更識さんはその日が来ることを思って笑みを浮かべながらゆっくりと学園の方へと向かっていった。

 

 

……

………

 

 

「ひっく…ぐっず…」

 

「お、落ち着いてくださいまし…こういうときはどうすれば…」

 

…え?なにこれ…

 

ありのままの状況を説明する。

 

漸く、寮に戻ってきた俺達は寮内に入って自分達の部屋に戻ろうと廊下を歩いていたんだけど、途中で蹲って泣いている鈴に偶然通りかかりどうすればいいか分からずあたふたしているセシリアがいた。

 

取りあえず、無視は出来ないので…

 

「えっと…大丈夫か?」

 

いや、まあ鈴は大丈夫ではないだろうけど一応は声を掛けておかないとな

 

「優希さん!丁度良かったですわ、凰さんが泣いておられましたのでどうすればいいか…」

 

俺の声に気づいたセシリアが藁にすがる気持ちで頼ってくる。

 

此処にいてもあれだし…

 

『取りあえず……俺達の部屋に入ろう、そこで話を聞くからさ』

 

まずは落ち着くことを第一にして俺達はセシリアと鈴と共に部屋の中へと入っていくのであった。

 

 


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