インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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四十五話『更識姉妹の共闘』

助けに来てくれたのは優希ではなく、私の姉の更識楯無と専用機の霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)

 

姉さんは叫んだ後持っている霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)の主武装、蒼流旋で私を摑んでいる腕と胴体の合間に突き刺すと

 

先程と同じように奇声を上げ、そして私を摑んでいた鋏の握力が無くなったのを見て、鋏から抜け出すことに成功する。

 

鋏から抜け出した後蟹と一旦距離を取るとすかさず姉さんが私の元にやってくる。

 

「…………」

 

『…………』

 

言葉がでない…

 

本当は姉さんのこと嫌いではないけど…やっぱりあのことがあったから上手く話せないでいる。

 

「…怪我…」

 

『?』

 

「怪我…してないわよね…」

 

『…うん』

 

ぎこちない…私自身そうだけど気まずい空気が辺りを包んでいく。

 

「そう…なら簪ちゃんはここでじっとしていて…この化け物は…私が片づけるから」

 

と…一人で倒すと言い切った姉さんは蒼流旋を構えて前へと踏み込んで蟹に迫っていく。

 

やっぱり姉さんは私のことを…

 

私は姉さんが私のことを必要としていないと思って戦う姉さんを見る。

 

私より動きも良いし攻撃も正確…

 

何を競っても勝てる気がしない…やっぱり姉さんと霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)には勝てるはずが…

 

『あれ?』

 

そういえば…姉さんの霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)って水を扱うんだよね…

 

『あっ…!姉さん!』

 

伝えないと!手遅れになる前に!

 

「え?なに?」

 

私が大声を上げたことで姉さん反応する…そしてあの蟹も先程と同じように触覚から放電していて…

 

教えてる時間が無い…こうなったら

 

「ごめん!」

 

やる前に先に謝っておいて私はリヴァイヴのメインスラスターを噴かせて姉さん目掛けて加速し姉さんに体当たりし姉さんを蟹の射線から外す。

 

そして私も姉さんが居た場所を通り過ぎた後、思った通り蟹は電撃を放って当てようとしていた姉さんはそこには居なかったから空振りに終わった。

 

「で、電撃…」

 

『あ、危な…かった…』

 

姉さんの霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)は水を使うわけだから…あの蟹の電撃浴びたら間違いなく大怪我では済まないような気がする…ハッキリ言って霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)とあの蟹との相性は最悪と見て間違いない。

 

「か、簪ちゃん!?なにあの蟹!?蟹が電撃使ってくるなんて聞いたこと無いわよ!?」

 

といつもの冷静さが何処かへ行って慌てる姉さん

 

まあ蟹が電撃使ってくるなんて思わないよね誰も…

 

『姉さん…取りあえず私も戦う…良いよね?』

 

「…仕方ないわね…」

 

姉さんは渋々了承…本当は嫌なんだろうけど…

 

「簪ちゃんは援護お願い、私が前衛で叩くわ」

 

これには多分、危険な目に合わせまいとという意味合いが含まれているのだろう

 

でも、私は刀での接近戦は馴れていないために、姉さんの発案に頷き葵からガルムに取り替え、準備が完了すると姉さんは前に飛び出す。

 

姉さんが前に出てきたことに反応して蟹も姉さん目掛けて腕を振り落とすけど、姉さんは軽々と避ける。

 

次は別の腕で姉さんに攻撃しようとしているようだけど、そうはさせない

 

私はガルムを姉さんを狙っている腕に銃口を向けて射撃

 

銃弾は見事に蟹の腕に命中し攻撃を仕掛けようとする腕を封じ込めるとすかさずに姉さんが蟹の懐に入り蒼流旋を硬い甲羅と柔らかい肉の合間に突き刺すと蟹は苦しんで声を荒げ暴れる。

 

姉さんは暴れる前に一撃離脱で後ろに下がり、再び距離を取る。

 

「…硬いわね…いっその事ミストルテインの槍で…」

 

『待って!姉さんそれだと姉さんが危険…』

 

ミストルテインの槍は一撃必殺と言って過言ではな攻撃力を誇る姉さんの切り札の一つ

 

ただしそのかわり、防御に使っている水のヴェールを攻撃に転用するため、その時に攻撃でも受けてしまえば…

 

ミストルテインを発動するリスクを考えて即座に反対する。

 

『せめてあの蟹の動きを止められれば…』

 

確実に当てられる状況それに持ち込むことが出来れば…

 

「それなら任せてください!」

 

とそう言ったのは私が出会った女の子

 

その子はいつの間にか一階に降りてきていて蟹へと近づいていく。

 

「あなた!危ないわよ!」

 

姉さんもあの子の身を案じて警告するけど、あの子は大丈夫と一蹴り、そして蟹の前では無く蟹と少し離れた、水溜まりの前に止まる。

 

『何をする気なの』

 

彼女は一体と何をするかわからない…自然と視線があの子に向いてしまい見ているとあの子の右手から電撃が放電されているのがわかった。

 

「これで…!」

 

そういってあの子は放電している手を水溜まりが出来ている床に付けると先程蟹がやった同じく、ぬれた床を伝って電気が広がっていき蟹の片足は水に触れていたことにより電撃は蟹の体を襲い、痺れて動きを封じ込めた。

 

『あの力…一体』

 

手から電撃を発生させていた…そんなことできるなんて可笑しいと蟹に向いていた視線をあの子に戻すと…

 

 

「し、痺れ…て…る~」

 

体から小さい電撃が何度が発生してるけど…恐らく…さっき床に手をつけてたから…自分も感電したのかな…

 

「何はともあれこれで動きは封じられたわ!一気に決める!ミストルテインの槍、発動!」

 

姉さんはあの子のことは後回しにして動きを封じたことにより、ミストルテインの槍を発動、それによって姉さんが持つ蒼流旋に霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)のアクア・クリスタルから放出されている水のヴェールが蒼流旋に纏う

 

「これでぇ!」

 

水を纏った蒼流旋を突き出しながら蟹に目掛けて突撃してミストルテインの槍を繰り出すととてつもない威力の一撃で蟹は吹き飛ばされて土煙が舞い、それが収まるとぐったりとした蟹の姿が見えた。

 

『やったの…?』

 

何処かフラグのように聞こえるけど、次の瞬間、蟹の足元に魔法陣らしき物が出現し蟹は一瞬にして姿を消した。

 

「…消えた」

 

姉さんも突然のことで驚きを隠せないようでしばらく固まっていたが、私の元にやってきた。

 

「取りあえず…何とかなったわね…色々聞きたいことがあるけど……まだ終わりじゃなさそうね…」

 

あの蟹を倒したのに未だに異変は続いたまま…

 

「取りあえず、ここから離れましょう」

 

此処にいては危険と判断して姉さんが先導にこの場から離れようとしたとき…

 

「っ!簪ちゃん!伏せて!」

 

姉さんがこっちを見て目を大きくして直ぐにこちらに駆けだして叫んだ。

 

私はそんなことに直ぐに反応できず、姉さんが見ている方向に向くと、空中に高速回転している何か…そいつが私に向けて何かを無数に飛ばしてきた。

 

飛ばしてきたもの長細く尖っている…もしかして針?

 

そんなことを考えている間にも針は迫ってくる。

 

「簪ちゃん!」

 

避けられないそう思ったその時、駆けつけていた姉さんが私と針の合間に入り私を覆い被すように立って…

 

 

 

針をその身に受けて私から守った。

 

「うっ…くっ!」

 

『お姉ちゃん!』

 

つい昔の呼び名に戻ったけど今は気にすることじゃない。

 

ISのシールドエネルギーが有るけど何本かはそれを貫通して絶対防御すらも貫通してお姉ちゃんの体に刺さりそこから血が出る。

 

針の攻撃が止まり、今一度、お姉ちゃんの容態を見ると背中には何本も針が刺さり、着ているISスーツは血で染まっている。

 

『お姉ちゃん…!お姉ちゃん!』

 

必死になってお姉ちゃんの名前を叫ぶ私…もう既に気が動転して頭が回らない。

 

「かん…ざし…ちゃん…逃げて…」

 

お姉ちゃんは苦しそうに私に逃げろと伝えるけど…逃げれそうに無い。

 

お姉ちゃんがボロボロにやられたことにより、足が恐怖で震えて動けない…

 

そしてその化け物は私達の息の根を止めようと回転しながらこちらに迫ってくる。

 

迫り来る時を私はお姉ちゃんを必死に抱きしめて、迫ってくる怖さから目を瞑る。

 

そういえば…優希にリヴァイヴ…返さないと…

 

それに私が死んだら本音や優希も悲しむよね…

 

 

……

 

………

 

『生きたい』

 

生きたい…生きたいよ!

 

こんなところで死にたくない!

 

優希といっぱい遊んで…食べて…買い物に出かけて…これからもずっと優希と一緒にいたいのに…こんなところで終わるの?

 

助けて…都合が良いかもしれない…けど…だけど……優希…助けて…!

 

『優希!!!!!』

 

私のこれでもかという気持ちを乗せた声は辺りへと広がっていく。

 

それでも迫り来る化け物は迫り来ていている音が聞こえていて…涙が頬伝いもう諦めかけたその時…

 

 

「そんなに大声出さなくても…聞こえてるよ」

 

(願い)は届いた


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