インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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四十四話『簪の初陣』

私達の前に現れた巨大な蟹。

 

それは何もためらいもなく腕の一本を振り上げる。

 

『危ない!』

 

振り上げた腕を見て危険を察した私はすかさずに女の子と一緒に下がると蟹は振り上げた腕を振り落とされその威力は地面が陥没するほど…

 

もし、受けてしまえば一撃で死んでしまう…私は死の恐怖に身を震わせる。

 

「キシャアァァァァァッ!!」

 

避けられたことに怒っているのか蟹は奇声を上げて口から何かを吐こうとして私は少し後退ると身構えた。

 

身構えていて吐き出したのは大量の水、しかしその水を私達に浴びさせるわけでは無くて私達の手前に吐き出している。

 

「どうしてこっちに撃たなかったのでしょうか」

 

女の子も同じ疑問を感じていた…けど、嫌な予感がするな…

 

でも何される前にリヴァイヴを起動して…

 

そう思って優希から渡されたリヴァイヴのドックタグを手に持ったが既に巨大な蟹は、行動を開始していた。

 

大きい触覚…その二つの間で放電が起き始めていて私は直ぐさま足元を見た。

 

足元には先程蟹が吐いた水…もう疑う余地は無い!

 

『不味い!』

 

急いでここから離れなければと体を動かそうとする前に蟹が足の脚力を使ってジャンプ。

 

そして蟹はジャンプしている滞空中に触覚で発生した電撃を私達目掛けて振り落とす。

 

電撃を振り落とされて私達の居る場所は土煙が立ちこめるがその土煙から飛び出すのは優希のラファール・リヴァイヴYYを身に纏い女の子を抱えて間一髪、飛翔…ぎりぎり感電死せずに済んだ。

 

取りあえず、二階に着陸し女の子を下ろす私

 

何故か緊急だったのにISスーツが装着されていることには今は触れないでおこう

 

その女の子は私を見てううん、ISを見てるのかな?それを見てポカーンと呆然としていた。

 

『大丈夫、いきなり飛んだけど』

 

緊急とはいえいきなり飛んだんだから酔ってるかもしれないな…

 

「大丈夫です」

 

と問題ないと答えると私はあの蟹が居る下のフロアをみる。

 

蟹も私達逃がさないと目がこちらに向いている。

 

昔の私なら怖じ気づいて逃げるところなんだけど…

 

『今の私は…戦える!』

 

優希に貸してもらったこのリヴァイヴを使えばきっと勝てる!

 

そう心の中で意気込み拡張領域(バススロット)からガルムを取り出し銃口を蟹に向ける。

 

優希のリヴァイヴの武装は近接の葵と遠距離のガルムこの二つしか無い。

 

優希はたった二つの武装で戦ってきた。

 

やっぱりそれは物凄く凄いことで私には到底リヴァイヴの性能を出し切るなんて無理だと思う…

 

だけど、戦う力があるなら精一杯戦わなくちゃ!

 

そう思って私はガルムの引き金を引いて弾丸を発射させる。

 

狙いは正確、このまま当たる。

 

そう思って居た私だが戦いは甘くはない。

 

蟹に当たった弾丸は悉く背中の甲羅に弾かれる。

 

『固い!だったら!』

 

ガルムを拡張領域(バススロット)に収納し、そのかわり、葵を取り出すとあの蟹目掛けて飛び降りる。

 

『固くたって全部が固いわけじゃない!』

 

甲羅や硬そうな所は駄目だ…だったら!

 

『ここなら…どう!』

 

うまく蟹の背中に着地して私は葵を蟹の胴体と腕の合間に突き刺すと蟹は苦しみ出す

 

『効いてる!』

 

やっぱりこの隙間は甲羅に覆われてなかったから蟹の肉に剣先が刺さった。

 

ならもう一度と思った矢先、私の左側から別の腕が迫ってきて直ぐに対処できなかった私はなすすべ無く背中から落とされる。

 

蟹の腕で吹き飛ばされシールドエネルギーを削られたけど衝撃はPICのお陰で問題ない。

 

直ぐに崩した体制を整えようとするけど蟹の方が早くて私が動き出す前に蟹は動きを封じるために私を鋏で摑んで動きを封じられる。

 

掴まれた握力でシールドを抜いてリヴァイヴの絶対防御が発動してるけどこのままだと…強制解除されてそのまま…

 

その後のことを考えて私はぞっとして何とかしようと模索するけど身動きが取れないから…

 

『っ…!』

 

駄目だ…私…折角優希からリヴァイヴを渡されたのに…何もできなかった…

 

自分の無力さを痛感しながら諦めようとしたとき上から風を切るような音が聞こえた。

 

一体何がと私は上を向くと、見知った機体と人物がこっちに目掛けて降下しているのがわかる。

 

どうして此処に…と私はその人がやって来たことに何かを投げ掛けられる不安と助けに来てくれたことの安心感を感じながら、その人は叫び声を上げた。

 

「簪ちゃんに…何してるのよ!!!!」

 

…そんな大声で叫ばないでよ…姉さん…


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