インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
優希SIDE
休憩エリアでジュースを飲みながらまだ有る時間で何処に行くか考えていると首から下げているロンギヌスから慌ただしい念話が届く。
(マスター!警告!結界の展開を感知、間もなく結界内に飲まれます!)
『なっ!?』
何故地球で結界なんか!?そう慌ただしく考えていると結界は迫っていき俺は結界内に飲み込まれた。
『くそ!ロンギヌス!』
(駄目です、ジャミングされました外部への通信、周辺の探知は不可能です)
くそ!先手を打たれたかこれじゃあ援軍も呼べないし、事の次第も話せない。
どう動くかそう思考している俺にある人は声を掛けてきた。
「ゆ、優希…急に人が…居なくなってる」
『簪!?』
どうして簪が結界内に居るんだ!?
いや、それよりも事態は最悪か…俺だけならよかったけど戦う力を持たない簪まで…
どうする…事態は刻々と進んでいる…
これからどう動くか考える俺はまだ完全ではないがある程度決めて、俺は簪の手を引っ張る。
「え?」
『隠れるぞ!こっちだ』
とりあえずは簪を敵から隠して安全を確保する、それからこの結界内を捜索して結界を維持している奴をぶっ倒すか話し合いで解決する。
そう思って簪を引き連れて向かった先は隠れやすそうな服屋の試着室。
隠れるにはベターな感じがするけど服屋は服なんでしゃがめば服が視界を遮って隠れやすいから身を隠すにはうってつけだろう。
『取りあえず此処にいろ…後』
俺は身を守る術のない簪に待機状態でドックタグになっているリヴァイヴを渡す。
『リヴァイヴを持っていてくれ…いざとなれば身を守るぐらいの力は持っておかないとな…それと俺用に調整されてるから扱いづらいかもしれないけど…それは我慢してくれ』
これなら何も出来ずに殺されることはないだろう…でもやっぱり心配だな…
「え?で、でも優希は…」
『大丈夫心配するな…それじゃあ俺は辺りを調べるから絶対にここから離れるなよ』
そういって俺は服屋から出て結界内の捜索を開始した。
簪SIDE
ど、どうしよう…
いきなり辺りの色が変わったと思ったら優希以外の周りの人達が突然消えちゃって…何が何だかわからない…
優希もいつもの冷静さが無くて私を服屋に隠してから何処かに行っちゃった。
優希は大丈夫といってたけど…
私は優希のことを思いながら先程渡されたリヴァイヴのドックタグを握りしめる。
ISのリヴァイヴを置いて…大丈夫なんて…どうして言えたのだろうか…
確かに優希は強い…けどISがないと…
唯一の武器を私に託して…優希は何処に行ったの?
ついさっき、出ていったところなのに…優希会いたい…
『会いたいよ…』
弱々しい声を呟く私…優希、早く戻ってきてよ…
『っ!』
足音が聞こえる…
足音の間隔が短い…走ってる?もしかして優希?
ううん、誰でも良い、一人でいるよりかはマシだ
『まだ…間に合うよね』
足音は着実に遠のいているけど後を追えばきっと人が居る。
私は優希との約束を破って服屋から出て足音を追いかけた。
追いかけて数分ぐらい、その足音の人物は直ぐに見つかった。
一階のエスカレーターがある広間、そこに息を荒くして体を休めている女の子が一人。
『いた!あ、あの!』
私は走りながら体を休めている女の子に声を掛けて私に気付いてもらう。
気づいた女の子は驚いた表情のあと安堵感に満ちた表情を見せ、その合間に私は二階からエスカレーターで、一階に降りて女の子の元へ辿り着いた。
『はぁ…はぁ…漸く…見つけた…』
私も人が居てくれたことで安心していると、女の子も嬉しそうに返事を返してくる。
「よ、よかったよ~いきなり人が消えちゃうし、化け物に追いかけ回られるし…どうなってるのって…思ってたんです」
と女の子はふんわりとした性格で年も私より年下かな?それに茶髪で黒い瞳……この近くの学生なのかな?
それにさっきの女の子から妙な言葉が…
『化け物?』
こんなところで化け物がいるなんて…一体どうなってるの?
「はい、いきなり突然魔法陣みたいなものから出てきて、私を襲ってきたんです…」
とその光景が頭の中で再生されているのか小刻みに振るえているのがわかる。
『取りあえず、服屋にいこう、そこにいればもう一人…辺りを見に行った友達が戻ってくるはずだから』
優希との約束破っちゃったな…戻ってきてたら心配してるかも…
「そうなんですか!?だったら早速」
いこうと女の子が言おうとしていたんだけどその言葉を遮るかのように人の足音とは思えない足音が聞こえてくる。
間隔が殆ど無い…その上、足音と共に地響きもしてる。ハッキリ言って人間の足音とは思えない
その足音は徐々に近づいてきて次の瞬間二階から巨大な物体な飛び降りてくる。
私達の目の前に飛び出てきたそれは体長は私達を遥かに超えて五メートルはあり、ごつごつとした固そうな赤紫色の甲羅に目で視認できる二本の触覚、その上気持ち悪い目…
そしてなにより…挟まれれば最後と思わせる鋏が四つ生えている…
…最後の鋏はともかく明らかにこれは…
「巨体な…蟹!?」
女の子が言っていた化け物それは鋏を四つも持つ巨大な蟹のことであった。