インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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四十一話『簪の才能』

簪SIDE

 

信じられない…

 

今の私はそう思うしかなかった…

 

今見ているゲームは五感全てを使ったシューティングゲーム…

 

その中で一番の最高難易度の天使は攻略不可能と言わしめるほど難しさを誇っている。

 

理由は簡単。無数のエネルギーの弾丸が四方八方から飛んできて確実に仕留めてくる…避けきれた者を見たことはない…

 

でも…今まさに優希は…

 

『全部…撃ち落としてる…』

 

ゲームで使える武装を駆使して迫り来る弾丸を撃ち落としていき得点を重ねていっている。

 

四方八方からくる弾丸を撃ち落とすなんて…前にも何処かの国家代表がやっても無理だった…つまり、優希は国家代表以上の実力者ということ?

 

『やっぱり、すごいな…優希は…』

 

あれだけの力を持っている…どれだけの努力をしてきたのかわからないけど…私もいつか…優希の隣に居たいな…

 

あれ?

 

私は優希がやっているゲームの画面を見ているとあることに気がつく。

 

『優希…動いてない?』

 

みんなは開始時点で動いて弾丸を回避するのだけど…優希は違う

 

優希は避けることなく動かずに射撃武器で弾丸を撃ち落としていた。

 

これってどういうことなんだろう?

 

私は不思議に思っていると後ろから声を掛けられる。

 

「優希も慣れない射撃を卒にこなしますね」

 

そんな声が聞こえてきたために私は後ろを振り向くとそこには空色の髪の毛をした女の子が画面の中で戦っている優希を見ていた。

 

『あなたは?』

 

誰?と本当にいきなり現れて優希の名前も出てきたことから訪ねると女の子は私に向いてニコリと笑みを浮かべた。

 

「それは秘密というやつですよ、それよりどうして優希が動かないか知りたくないですか?」

 

『優希が動かない理由?』

 

やっぱり何かあるのか…それにこの子はそれを知っている?

 

知りたい…どうして動かないのか…ちゃんとした理由もあるのなら…それを聞いて自分も納得したかった。

 

「確かに優希は撃ち落とすより防いだり、回避することを優先します…FA(フロントアタッカー)ですからね…」

 

FA(フロントアタッカー)って何?

 

いや今は気にすることじゃない…それにしてもこの子優希のことをよく知っているように話しているけど…優希の関係者なのかな?

 

「あれは中衛のSG(センターガード)の基礎とも言える立ち回り…足を止めて視野を広く…誰よりも中遠距離を制する…」

 

『足を止めて視野を広く…』

 

ISだから…動き回る…なんて当たり前だったけど、当たり前だから見えなかった穴…それがこれということなのかな…

 

「でも…まあ…」

 

あの子が苦笑いの笑みを浮かべていて私は首を傾げた。

 

「優希でもSG(センターガード)の真似をしても完全とは言えませんからね」

 

とそう言い切った瞬間好調だった優希がついにペースを乱し被弾すると次々と弾丸の雨が優希に降り注がれていった。

 

 

優希SIDE

 

あ~負けた~

 

難易度天使で俺が取れた得点は35万…

 

ランキングは2位と上位に食い込んだが…俺以上のやつって一体誰だよ…

 

そんなこと思っていたが俺はゲームの映像が映し出される画面に目を向ける。

 

ゲームを終えて簪の元へ帰った後直ぐに簪がやるといってゲーム機に向かっていった。

 

あの目…試したいといわんばかりの目だった…もしかして俺の動きが簪の闘志に火を付けたのか?

 

『さてと…始まるか…』

 

ようやくスタートしてまず天使が弾丸…シューターを生成し始める。

 

この時点では武装を展開しているだけで簪に動く気配はない…

 

まさか…さっきの俺の真似をしようというのか?

 

ぶっちゃけると俺はSG(センターガード)には向いてない…精々FA(フロントアタッカー)GW(カードウイング)の前線で戦うポジションのみ…

 

SG(センターガード)に関しては見よう見まねで練習はしていない。

 

そんなことを考えているとゲームは動き出していた。

 

天使がシューターを発射しだし、簪は俺の予測通り、足を止めて射撃武器で正確に射撃してシューターを撃ち落としていく。

 

『俺より弾丸への反応速度が早い』

 

俺に比べて簪の方が動きがいい、これで色々とハッキリした。

 

『足を止めて、視野を広く…』

 

「誰よりも早く中遠距離を制する…」

 

SG(センターガード)に必要なのは…』

 

 

『「正確な弾丸を選択する判断速度に命中精度!」』

 

……なんでだろう…いま簪と声が重なった気がした。

 

これで簪のバトルスタイルは完全に固まった…ならやっぱり後付けでの射撃武器は必要だな……さてどうするかな…

 

こういうの創作意欲がわいて楽しいんだよな

 

俺は笑みを浮かべて簪と打鉄二式のことを考えた。

 


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