インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
優希SIDE
翌日、俺は簪より先に寮から出て待ち合わせ場所に指定した駅前で待っていた。
同じ部屋なのに出るタイミングが別々なのか…まあ簪にも色々と準備があるのだろう。
今の俺の服は紺色のズボンに白いシャツその上に黒きコートを羽織っている。
駅で待つこと大凡10分ほど…約束の9時の2、3分前…俺はIS学園の方から来る簪の姿を捉える。
「優希、お待たせ」
約束の時間に間に合うように少し走ってきたのか少しだけ息を荒くして呼吸を整える。
そして、簪の姿も白のワンピースに簪の髪と同じ水色のカーディガンを羽織っていてとても清楚な感じが醸し出されている。
『………』
いつもは見ない新鮮な簪に見惚れるが直ぐに正気に戻る。
いつまでも見惚れていては駄目だと自分に活を入れてから俺は簪に話しかける。
『おう、服装似合ってるな』
「似合ってる!?…ありがとう」
と誉めただけなのに頬赤くして照れる…あれ?なんでそんなに赤くなるの?
『とりあえずそろそろ行くか』
「うん!」
と俺達はそういって電車乗り場へと向かった。
一方、ここから少し離れた場所では…
「あ~簪ちゃん可愛いわ~今からでもお持ち帰りしたい」
と簪を眺めて萌えている水色の少女が居たとか…
そして電車に乗った俺達は席に座り電車はレゾナンスの最寄り駅方向にへと進んでいく。
『そういえば…まず始めに何処に行くんだ』
「あ、うん、えっと…まずは服を見たいかな~」
やっぱり簪も女の子なんだし当然だな…
「その後は…その…ア○メイトにいったり…ゲームセンターで優希と楽しみたいな~って」
今日の日程を述べる簪…その告げている顔は楽しそうで何よりと頬緩ませる。
また一方優希のいる車両から1つ前の車両にて…
「ほ、ほう~あの子が噂の簪ちゃんやね…ちょっとわしわししてみたいな~」
「はやてちゃん…こんなことのために、サーチャーを飛ばさなくてもいい気がするのですが…」
「何を言うかリイン…息子の成長を見届けるんも母親の責務や」
「優希にバレたらただでは済みませんよ…きっと…」
そうして電車はレゾナンスの最寄り駅へと辿り着き電車から降りた俺達はショッピングモールのレゾナンスへと辿り着く。
まだ早い時間だというのに休みの日ということもあってか人の往来はそれなりとある。
「結構居るな…よし行こうぜ簪」
「うん、優希」
そうして俺達は人混みの中でまず始めに向かう先の服屋へと向かう。
しかし俺はこのとき重大なことに気がついていなかった…そう…この世界は女尊男卑だということ…つまりは…
『…女物…一杯だな…』
服屋に辿り着いたはいいがまわりは女性しか居ない…しかもこの店男女両方の衣服があると看板にあったが男性の服などこの店の片隅にしか置いて居らず九割近くは女性者の服ばかりだ。
「優希?やっぱり居づらい?」
と心配してか簪は俺に大丈夫か訪ねてきて俺は大丈夫と答えた。
『多少は馴れてるから…』
昔、シャマルの買い物に付き合ったときも服選びに長々としていた記憶もあるから一応耐性はついているつもりだ。
「これと…これもいいな~ねえ優希はどっちが良いと思う?」
と簪は二つの服を俺に見せる。
一つは白を強調する服、もう一つは黒を強調する服…
『どっちも似合うと思うけど…』
「けど、お金がかかるから」
どうやらどっちも買いたいけど決められなくて俺に相談したのか…
『それなら俺が出すよ…』
こういうとき、優しく女の子の買いたい物を買ってあげることがいいとか…昨日、ロンギヌスから教えられたけど…意外だったな…ロンギヌスがそんなこと知ってるなんて…
「え?いいの?」
『別に良いよ…それじゃあ直ぐに決算しに行こう』
そういって俺達は簪の買う服2着を持ってレジへと向かった。
……
「よし!私がロンギヌスに教えたとおり!女の子に優しく買いたい物を買ってあげて好感度アップ作戦成功や!」
「はやてちゃん…そんなことロンギヌスに教えたですか」
と陰から見守る2人が居たことは知るよしもなかった…