インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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三十三話『更識楯無との雑談』

優希SIDE

 

何とか簪を立て直すことに成功した俺と本音…本当…苦労したんだよな… 

 

あの織斑先生に頼まないと行けなかったし…

 

この前から俺のことを警戒して注視している織斑先生だ。下手に言葉を滑らせれば追求は免れなかっただろう。

 

だからことの顛末だけ話すと意外にもすんなりと了承してくれた。

 

ただの気まぐれか…それとも他の意図があったのか…正直分からないことだらけだが…今は一歩前へ進める道程を作れただけでも良とした。

 

『簪、本音と一緒に先に食堂行っててくれ俺は少しやることあるから』

 

「え?やることあるなら手伝うけど…」

 

『いや…本当に直ぐ終わることだから…』

 

と簪に優しく言うと2人は整備室から出ていき足音も遠ざかっていくのを耳で確認すると俺は口を開けた。

 

『そろそろ出てきたらどうですか?更識さん?』

 

とハンガーに向かって喋るとハンガーの陰から更識さんが出てくる。

 

「上手く気配を殺してたはずなのに…どうして分かったのかしら?」

 

と口元を扇子で隠しながら俺が何故気付いたのかを訪ねてくる更識さん。

 

『所々殺気が見え隠れしていましたから…』

 

俺と簪が話し合ってるとき感情的になって出してしまったのだろう…

 

『まあ察するに倉持技研に対する恨みですか?それとも俺に対しての嫉妬?』

 

簪の姉なのだ…簪を無いがろにした。倉持技研を怨んでいても可笑しくない

 

後は楽しく話してる俺に嫉妬したか…何だけど…

 

「両方よ…」

 

と隠さずに殺気を俺にぶつけてくる。

 

『…全く…ただの生徒会長が出せるものじゃないぞ…それは』

 

殺気を受け、率直な答えを述べる俺に更識さんも思うことがあるのかそういった顔付きで俺に向かって話し出す。

 

「そういうあなたも、殺気を受けて平然としてる時点で可笑しいわよ」

 

…更識さんの言葉…確かに一理ある…

 

俺は動じなかったのは…まあ…場慣れしすぎてるからな

 

それとこの人のことは俺は調べていた

 

更識楯無…本名、更識刀奈…日本の裏を担う暗殺部隊の現頭領…第十七代目楯無に若くして襲名した、秀才

 

その秀才から簪のコンプレックスになった要因…そして彼女の専用機も1人で作り上げた…まあ、これは恐らくロシアのでっち上げだろうが…

 

そんなこと、ぺらぺらとしゃべれば却って警戒されるから言わんが…

 

『…別に気にすることでもないだろう…お互い触れられたくないことだってあるわけだからさ』

 

ここは互いにこれ以上の検索を予想と考え、引き下がるように促す。

 

「…わかったわ…けど…もし簪ちゃんを裏切るようなまねをすれば…あなたを殺すわ」

 

と最後に先程以上の殺気を飛ばして威圧

 

しかし、この程度で動揺するほど柔では無いわけで…

 

『逆に返り討ちにあって喉元を食いちぎれられないことだな』

 

と下手に手を出させないために更識さんより比べものにならないレベルの殺気を飛ばす。

 

すると更識さんの表情は一変し俺の殺気を受けて体が竦み、恐怖から後ろへ数歩下がる。

 

『後、簪のことは見捨てないよ…それじゃあ、簪が心配して帰ってこられたらそちらも困るでしょうし、これで失礼します』

 

と俺は更識さんに一礼した後俺はその場を後にした。

 

 

「私が…殺気に竦んだ…だ、だめ…得体も知れない彼を…簪ちゃんの隣に…居させるわけには…」

 

と恐怖で体を震わせながらも、俺のことを更に危険視したことを俺はこの時知るよしもなかった。

 

 


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