インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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百六話『決闘前日 後編』

 

 

『優希の?』

 

ルーテシアから言われたその言葉に私は少し驚いてルーテシアの顔を見る。

 

気になる知りたい、そういった欲求に駆られる中、ルーテシアは私の意志を組み取るように口を開ける。

 

「優希はね…生まれながらに親に愛されなかった子供だった」

 

愛されなかった…か

 

これは予想通り、はやてさんの養子だったということは親子の間で何かあったと考えるのは適切だった。

 

「優希の父親は秀才の研究者で…ある事件によって…復讐心に取り付かれて…生まれてきた優希はその復讐の道具にさせられていた…」

 

そういえば…優希が昔に言ってたっけ…自分はヒーローというより悪人だって…

 

その意味合いは恐らく、その事から言っていたものだったのだろう。

 

「復讐の道具にさせられていた優希の止めて保護したのが当時まだ9歳だった八神司令」

 

「はやてちゃん、放っておけないって…自分から優希の育児を買ってでたって昔言ってたです」

 

そこに聞き耳していたのか リインさんとそれとセシリアがこっちに近づいてくる。

 

『リインさんにセシリア…』

 

「申し訳ございません。なにやら優希さんのことについて、話していらっしゃったようなので…」

 

ばつ悪そうに言うセシリアに対して私は優希のことが気になるのだから仕方がないのではないかと思い、気にしていないとセシリアに告げる。

 

「優希のことは、リインが生まれる前のことなので当時のことはあまり聞いてないのですが…復讐のために幾つか薬剤で調整されていたと…聞いたこともあるのです」

 

『それってつまり…人体実験?』

 

優希が言いたくないのも頷ける…こんなに重い過去を持ってるなんて…

 

そんなこと軽々しく言えたものではない…

 

セシリアも重々しい話で暗い表情を見せてるし…

 

「その、優希さんの父親は…」

 

「捕まって極悪人収監の留置所送り、でも8年前に衰弱死したって…」

 

「そうですか…」

 

セシリアは優希の父親のことが気になって訪ねると父親は既に死んでいることを聞かされて、何かを悟って目を閉じてそう呟いた。

 

「他に優希に関して聞きたいこととかあるかしら?」

 

ルーテシアはそういって次の質問があるのかを訪ねるとふと、私は気になることを思い出してルーテシアなら知ってるだろうと思い口を開けた。

 

『ダールグリュンさんが優希のことを氷帝って呼ばれてたんですけど、なにか理由があるんですか?』

 

氷帝…それは優希に向けてダールグリュンさんが発した言葉…その意味も聞きたかった私はルーテシアに訪ねるとルーテシアは意外そうな顔を向ける。

 

「意外な名前が出てきたわね…氷帝についてね……簡単に言うと優希の二つ名のことよ」

 

「もう5年ぐらい前になるのですか、総合魔法競技の大会で決勝戦雷帝の子孫、ヴィクトリア・ダールグリュンを打ち破り、優勝…雷帝を倒したということと優希が氷結魔法の使い手ということもあって、氷帝…と呼ばれているのですよ」

 

だから、氷帝…DSAAのアリーナで意味深な表情を浮かべていたのは嘗ての自身の姿を思い浮かべていたからなのかな?

 

「まあ、因果というかなんというか…優希に氷帝…なんていう二つ名が付いたのは凄い偶然なんだけどね…」

 

「あの…まだ何か理由があるのですか?」

 

ルーテシアは少し俯いてまだ氷帝に関して何かあるのか…言いたげな表情を浮かべて、それに気づいたセシリアはルーテシアに追求をする。

 

「さっきもいったとおりなんですが優希は生まれて間もない頃から復讐のために薬で調整されていたんです。それにより優希は嘗てベルカ戦乱時代の氷帝が持っていたという…レアスキルを…手にしているのです」

 

「嘗て氷帝フルシュキヴィルンは全てを見通す魔眼…オーディンの瞳を要していたと歴史書には記されている」

 

『つまり、優希も…そのオーディンの瞳を使えるってことですか?』

 

そんなものがあるなんて…正直に信じられない、けど二人の顔から嘘はついてないのはよくわかる。

 

「優希自身、オーディンの瞳は継続すると魔力消費がバカにならないってあまり使わないんだけどね」

 

とルーテシアが補足を入れて、多様は出来ないことを説明するとそれなら確かにと私もセシリアも納得して頷く。

 

なんか本当に優希のこと全く知らなかったんだね…私達は…

 

そう私達は自分の無知にうちしがれる中、私の顔に冷たい水が掛かる

 

『きゃっ!?ほ、本音!?』

 

「かんちゃん~水か気持ちいいよ~」

 

そういって水をかけたのは本音で着ていた服は近くの木の下において下着姿で完全に水に浸かっていた。

 

「かんちゃんも入ったら~」

 

とパシャパシャと足で水飛沫を上げてはしゃぐ本音の姿を見て、さっきまでの気持ちなど吹き飛んでいくように思えた。

 

「本音さん?幾らなんでも下着で水浴びをするのはいささ…っ!?」

 

「なーに堅いこと言ってるのよ、こういうときは楽しまないとそんじゃない」

 

鈴ももう既に下着姿で水に浸かってたんだ。

 

そして反論するセシリアに水をかける、鈴この行為によってセシリアがどう動くのなんて容易に想像できた。

 

「そうですか…そういうことですか!?いいですわ!?鈴さん今からそっちに行きますわ!動かないでくださいまし!」

 

そういってセシリアも着ていた服を脱いで下着姿で一直線に鈴の元へ向かっていく。

 

そして隣にいたルーテシアもまたニヤニヤした笑みを浮かべて自分の服に手をかける。

 

「楽しそうだから私も混ざりに行こう♪」

 

そういってルーテシアも服を脱ぐと…下着…ではなくこの事態を想定していたのか水着を着ていて水の中に入っていく。

 

「ほらほらかんちゃんも~」

 

そして再び私を誘ってくる本音

 

そうだよね…此処には決闘で着たわけだからこんなところで落ち込んでいたら駄目だよね

 

『よ、よし!』

 

自分に言い聞かせるように活を入れて、服を脱いでいき下着姿になると私は本音達がいる場所に向かっていき、決闘前日の一日を満喫するのであった。

 

 


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