ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い 作:真仁
秋葉原駅近くにある喫茶店。束は少女と共に一息ついていた。
束「ウゥ〜まだ耳がキーンてする・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
束「いや・・・俺もあんなにビックリするとは思ってなかったからさ・・・」
「まさか自分の通っている音ノ木坂学院にスクールアイドルが出来る何で夢にも思ってませんでしたから!どんな曲を披露してくれるのかなぁ・・・楽しみです♪」
束(スマン穂乃果よ、ハードルが更に上がりそうだ・・・)
「あ、そう言えばまだお名前を教えてませんでしたね。
私、小泉花陽っていいます。音ノ木坂学院の一年生です」
束「そう言えばそうだったな。俺は皆道 束だ。まぁ気軽に束って呼んでくれ」
その後しばらく2人は先程購入したスクールアイドル関連の本について話し合った。束がわからない部分を花陽が詳しく教えてくれるのだが花陽も段々熱が入ってきて・・・
花陽「・・・という訳でA-RISEのパフォーマンスは現在のスクールアイドルの中でも最も高いレベルに位置すると言っても過言ではなく・・・!」
束「お、おぉう・・・」
スクールアイドルについて今までのおとなしい様子から打って変わり熱く語る。その熱量に束も思わず圧倒されてしまう。
花陽「・・・あ!ご、ごめんなさい!私アイドルの事になるとすぐに周りが見えなくなってしまって・・・」
束「あ、あぁ。とりあえずアイドルが大好きって事は・・・伝わった」
花陽「アイドルってみんな凄く可愛くて綺麗で・・・輝いていて・・・花陽は憧れちゃうんです。私もあんな風になれたらなぁ・・・って」
束「自分でスクールアイドル始めようとは思わなかったのか?花陽ちゃん可愛いし、アイドルの知識も豊富だし・・・向いてると思うけど?」
花陽「そ、そんな!花陽なんかじゃ無理ですよ!昔から人前に立つと緊張しちゃうし・・・その・・・食べるのが大好きで・・・ふ、太ってるし・・・」
消え入りそうな声でうつむきながらそう話す。
束「そのルックスで太ってるとかいったら世の女性たちが一斉に怒りだしそうだけど・・・」
そんな事を話しながら束は雑誌を纏めて袋に詰めこむ。
束「さて、そろそろ出ますか?」
花陽「は、はい!」
2人はお店を出る。すると後ろから声が聞こえてくる。
「かよちーん!」
花陽「あ、凛ちゃん!」
凛と呼ばれたショートカットで活発そうな雰囲気の少女は2人のところに駆け寄ってくる。
凛「かよちんこんな所で何してるにゃ?今日は本屋に寄っていくんじゃなかったの?」
束「・・・にゃ?」
特徴的な語尾に束も思わず繰り返してしまう。凛も束の存在に気がつき
凛「ん?おじさん誰だにゃー?かよちんの知り合い?」
束「おじっ・・・おいおい俺はこれでもまだ20歳だぜ?おじさんは無いんじゃないか?」
花陽「この人は束さんっていって、本屋に行ったときに知り合って・・・花陽の欲しかった本を譲ってくれたの」
凛「そうなの?かよちんの知り合いなら凛も自己紹介しないとね!音ノ木坂学院一年、星空 凛!かよちんとは小さい頃からの友達なのにゃー!よろしくね、おじさん!」
束「だからおじさんはやめろって!」
凛「え〜?じゃあお兄さん?」
束「あぁ、まだそっちのがいい・・・」
凛「分かったにゃ!よろしくね!お兄さん!」
自己紹介が終わった所で花陽がふと遠くの方に目を向ける。
花陽「なんか・・・人集りが出来てますね?大きな音も聞こえるような・・・」
束「・・・ちょっと行ってくる」
束はそう言って人集りの方へ駆け出す。
花陽「あ、束さん!」
り「お兄さーん!待つにゃー!」
慌てて2人も後を追いかける。
一方先に人集りについた束。人集りの先では何やら曲が大音量で流されており、束は近くの人に話を聞く。
束「あの・・・なんかあったんすか?」
男性「なんか店先に置いてあったオーディオプレイヤーが壊れたらしくてね・・・。音が小さくならないらしいんだよ」
束は人と人の間の隙間から音のする方向を見るが確かに古いオーディオプレイヤーからは大音量で曲が流されており
止める事も出来ず店員も困惑している様子だった。
束「古いオーディオプレイヤー・・・まさか・・・」
凛「お兄さーん!」
聞き覚えのある声に束が振り向くとそこにはこちらに向かい走ってくる凛と花陽の姿が。
束「バカ!なんで来た!」
花陽「ピャアッ⁉︎ご、ごめんなさい!」
凛「ちょっと!なんでいきなりかよちんを怒るの!いくらかよちんの知り合いでもかよちんをいじめるなら凛が許さないにゃ!」
束「マズイ事になる前に早く遠くに逃げ・・・」
その瞬間オーディオが一瞬震えたかと思うと今までの比ではないくらいの大音量で音を出し始めた。
束「ぐっ⁉︎」
花陽「きゃあぁぁぁっ⁉︎」
凛「にゃぁぁぁっ⁉︎」
あまりの音の大きさにオーディオのすぐ近くにいた人集りの人々は耐えきれず倒れてしまった。後から来て後ろにいた束達も辛うじて意識はあるがまともに立っていられずその場に崩れる。
凛「あ、頭が割れそうにゃぁぁぁっ!」
花陽「ダレカタスケテェェェッ!」
束「く・・・そッ・・・」
音は頭を突き刺すようにガンガン響き思考を容赦なく遮り魔法を使う事も出来ない。それでも束は必死にアレを止める方向を考える。
束「せめて・・・近くに行ければ・・・止められるのに!」
束は悔しさに顔を歪ませる。この距離で辛うじて意識を保てるのだ。このままこれ以上近づけば前にいた人々の二の舞いになる事は確実だ。
凛「お兄さん・・・アレ、止められる・・・の?」
束「あぁ・・・近くに行って触る事が出来りゃあな・・・だが・・・この音のせいで・・・近づく事も出来ない・・・」
それを聞いた花陽が何か思いついたかのように鞄の中から何かを取り出す。
花陽「束さん・・・コレ・・・を!」
花陽が束に渡したのはイヤホンと小型のミュージックプレイヤーだった。
花陽「私がいつもアイドルの曲を聴く時に使ってるイヤホンとプレイヤー・・・耳栓の代わりくらいには・・・なりますか?」
束「花陽ちゃん・・・最高だよ・・・さすがアイドルオタクだ・・・!」
花陽からイヤホンとプレイヤーを受け取るとすぐさま耳にセットしてプレイヤーを起動する。
束(最近のイヤホンは音楽を聴く時に周りの騒音をシャットアウトするため同じ波長の正反対の音を出して騒音を打ち消すって聞いた事がある・・・。この音全ては無理だろうが少しくらいなら!)
イヤホンから花陽がいつも聴いているであろうアイドルの曲が流れてくる。イヤホンと曲の効果により束の感じる騒音が小さくなる。
束「よし・・・これくらいなら・・・行ける!」
プレイヤーの液晶画面には『Private Wars』の文字が表示されていた。
束「個人的な闘い・・・か。まぁ今の俺にはピッタリか」
束は苦笑しながらオーディオに向かい歩を進める。近づくごとに徐々に音量が大きくなり束の表情も歪んでいく。
束「ぐっ・・・うぅ・・・」
オーディオの目の前まで来た時、今までで一番大きな音がオーディオから発せられそれをまともに受けてしまった束はその場に崩れ落ちる。
花陽「束さん!」
凛「お兄さん!」
ガシィッ!崩れ落ちながらも束は両手でオーディオを掴む。
束「負けて・・・た ま る かぁぁぁっ!」
束の両手から光が、発せられやがてオーディオはバチィッ!という火花を発してその音を止めた。
束「と・・・まっ・・・たぜ・・・」
そう言い残して束はその場に倒れる。薄れゆく意識の中で聞こえたのはイヤホンから聞こえたアイドルの歌声と自分に必死で声をかける2人の少女の声だった・・・。
勢いでバーッ!と書いてたらなんか熱い展開になってしまった・・・
タグ改めた方がいいかも・・・