ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い 作:真仁
いつの間にか束の後ろにいた巫女服の少女は境内の掃除をしていたらしくその手には箒が握られていた。束は暫くの間ジッとこの少女を見つめていた。この少女から不思議な雰囲気を感じた事もあるがそれ以上に・・・
束「・・・デカイ」
健全な男性としては巫女服の上からでもハッキリわかるくらいの胸元の膨らみにどうしても目がいってしまう訳で。
「・・・なーんかやらしい事考えない?」
こちらを見たまま動かない束に少女が眉を潜めながら声を掛ける。
束「いや?やらしい事なんて考えてないさ。ただ立派な物をお持ちだなぁと思っただけだよ。例えるなら・・・最大級のパワフルボディ?」
「なんやそれ。ウチは99もあらへんよ?まぁ確かに90以上はあるけど」
全く動じる事無くおどけて答える束の様子に少女も笑顔に戻り同じようなノリで答えてみせる。
束「お、言うねぇ?・・・って、そうじゃなかった。お姉さん、さっきの言葉はどういう意味だ?」
「お参りの事?そのままの意味だよ。まず、お兄さんは真ん中に立っているけどそこは神様の通り道だから参拝者は立っちゃ行けない所なんよ」
束「へぇ・・・」
「次にお参りの仕方やけど、基本は二拝二拍手一拝。お兄さんはさっき二拍手一拝しかしていなかったから最初の二拝が抜けとったね」
束「あぁ、確かに」
「まぁ2つとも若い人には多い間違いなんやけどね。ちゃーんとお参りをすればその分神様の御利益もちゃーんと貰えるんよ?」
束「なるほどね。教えてくれてありがとう、えっと・・・」
「ウチの名前は東條 希、音ノ木坂学院の3年生でここへはお掃除とかのお手伝いで来ているんよ」
束「音ノ木坂の生徒さんか。どおりで若い訳だ。おまけに美人ときた」
希「ふふ・・・お兄さん、お世辞が上手やね。ところで、さっきのお参りの事やけど・・・お兄さんはどうして音ノ木坂学院の事をお願いしてたん?家族が通ってるとか?」
束「ああ、妹・・・みたいな子が1人ね。学校の事が好きで廃校を何とかしようと今頑張ってるから神頼みでもなんでも力になってやりたいって思ってね」
希「なるほど・・・。お兄さん若いのに立派なんやね」
束「そんなんじゃないさ」
そんな話をしていると束の目に朝日の光が入ってくる。気がつけば段々と日が昇ってきて光を遮っていた周りの建物よりも高くなっていた。束はスマホの時計を見る。
束「もうこんな時間か。そろそろ帰った方がいいかな」
希「ウチも学校に行く支度せななぁ」
束「長話に付き合わせて悪かったね。掃除の邪魔をしてしまって」
希「全然気にしてへんよ。いつもはずっと1人で掃除してるから今日はお話し出来て嬉しかったから早起きした時にはまた来て欲しいな?」
束「んー・・・考えとくよ」
そうして束は希と別れて家への帰路に着いた。その後その後ろ姿を見送った希だったが
希「あ、お兄さんの名前を聞くの忘れた・・・。こっちは名前教えてあげたのにズルイねぇ」
そう言いながら希はタロットカードの束を取り出すとその中から一枚カードを引く。
希「おぉ?コレは面白いカードが出たなぁ」
希が引いたカードは【魔術師】のカードだった。
希「カードの意味は・・・可能性、チャンス、後は・・・始まり、かぁ。ふふふ、一体これから何が『始まる』んやろうね?」
こんな感じでゆるい作品ですがよろしくです