ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い 作:真仁
今回はアニメのシャイ煮回を下地にした話となっております。第2のオリキャラも出てきます。
千歌「いぃやっほう〜!」
曜「眩しい〜!」
雲ひとつない快晴の空の下、水着を着た千歌と曜が海に向かって走っていく。
善子「元気ねぇ、あの二人」
果南「まぁこの天気じゃあね。海に飛び込みたくなる気持ちもわかるよ」
鞠莉「果南はいつでも飛び込んでるけどね〜?」
ルビィ「でも・・・せっかく水着も着てきたしルビィも海で遊びたいな」
梨子「いいの・・・かな?」
梨子の視線の先には先日皆で準備をした海の家があり、そこには開店の準備をしている束の姿が。
束「ん?コッチの事なら気にしなくていいぜ?日中は暑くて練習出来ないから涼しくなる朝夕にやるんだろ?日中は海で思い切り遊んでくればいいさ。・・・それに」
束が視線を向けた先には隣にあるもう一軒の海の家が。年季の入った束達の店とは違い新しく外観や食事も流行りのものを取り入れたオシャレなモノばかりで既に席は全て埋まっている。
束「この様子じゃあ忙しくなりそうもないしな」
果南「そうだね・・・。じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
ダイヤ「ブッブー!ですわ!」
突然ダイヤの声が聞こえる。驚く束達だったが辺りを見回してもダイヤの姿が見えない。
果南「え?ダイヤ?何処・・・?」
花丸「見当たらないずら」
束「声はするのに姿は見えない・・・ほんにあなたは屁のような」
ダイヤ「誰が屁ですか!ここですわ!」
声の聞こえる方に目を向けると海の家の屋根の上に立つダイヤの姿が。
ダイヤ「このまま引き下がるなんて我慢なりませんわ!聞けば去年も隣に売り上げで負けたそうではありませんか。そこで!私達でこの海の家にお客を呼ぶのです!今年こそは絶対に売り上げで隣に勝ちますわよ!」
束「あれ?なんか変なスイッチ入っちゃった感じ?」
果南「ダイヤは昔っから負けず嫌いだからねぇ・・・」
ダイヤ「まずは海の家に出す料理です!曜さん!果南さん!束さん!」
曜「ほい!美味しいヨキソバ!ヨーソロー!」
果南「はい、松浦家の食卓・・・ってウチで普段食べてるご飯なんて出して売れるのかな?」
束「当店自慢のバイオ水です」
ダイヤ「なんですかその怪しい水は⁉︎」
束「こちらがハザード味、飲むと「かゆ、うま」しか言えなくなります」
善子「なんか感染するの⁉︎」
束「そしてこちらが超電子味、悪を遮る壁になって下さい」
梨子「壁・・・!」
千歌「梨子ちゃん反応しないで」
ダイヤ「全然ダメですわ!そんなメニューじゃお客を呼び込むにはまだ足りません!」
果南「だったらどうするの?」
鞠莉「じゃあ私がシャイ煮を・・・」
束「原価いくらくらい?」
鞠莉「えーと10万と・・・」
束「不許可であーる!」
ルビィ「じゃあどうしたら・・・」
束「ヨキソバと松浦家の食卓は出していいだろ。後はジュースやかき氷もあるしメニューには困らないだろ」
ダイヤ「しかしそれだけではお客が・・・」
束「なら呼び込みを頑張ってもらうでもいいんじゃない?幸いスクールアイドルが9人もいるしな」
千歌「よーし!じゃあ呼び込み頑張ろうー!」
梨子「おー!・・・あ、束さんバイオ水1つ、超電子味で」
千歌「梨子ちゃん?」
カチッ!カチッ!
束「あれ?・・・くそ、火が点かねえ・・・」
厨房のコンロの火が点かず苦戦する束。何度も点火用のダイヤルを回すがコンロはうんともすんとも言わない。
束「しょうがねぇな。えぇっと・・・ライターはっと・・・」
鞠莉「この前みたいに魔法でバァーって点ければいいデース」
束「バーカ、そう簡単に人前で使えるもんじゃないの。バレたらダメなんだから・・・・・・・・・・・・ちょっと待てお前何で知ってんだ?」
鞠莉「窓からバッチリ見えてました」
束「・・・この事皆に?」
鞠莉「言いふらす!」
束「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼︎」
ダッシュでその場から逃げ出す鞠莉とそれを追いかける束。
ダイヤ「真面目に仕事をしなさぁぁぁぁい!」
ルビィ「え・・・えっと・・・あの・・・」
花丸「オラ・・・じゃなかった、私達お仕事中で・・・」
男1「いいじゃんいいじゃん、仕事なんてやめて俺たちと一緒に遊ぼうぜ?」
男2「オラ見せもんじゃねぇぞ!散れ散れ!」
呼び込みの最中柄の悪いチャラ男達に絡まれてしまった二人。怯えるルビィを庇うように前に出て気丈に振る舞う花丸だがその手は震えている。
男1「ほらさっさと来いって!」
このままでは拉致があかないと思ったのか男達は無理矢理二人の手を掴み引っ張ろうとする。
ルビィ「ひいっ・・・」
花丸「ルビィちゃんには手を出さないで!」
男2「じゃあお前でいいや。オラ来い」
ルビィ「花丸ちゃん!」
ドスッ!
ルビィ「・・・へ?」
鈍い音がした後、男の1人の動きが止まる。その隙に花丸は手を振りほどいて逃げ出す。
ルビィ「花丸ちゃん!大丈夫⁉︎」
花丸「う、うん・・・でも何が・・・」
二人が見てみると男の頭に金属のヘラが刺さっていた。
男2「な、なんでヘラが・・・?」
束「安心しな、そこまで深く刺さっちゃいねぇ」
声が聞こえた方に全員が振り向くとそこにはさっきまで海の家で焼きそばを焼いてた筈の束の姿が。
男2「コイツ!よくも俺のダチ公を!」
束「先に手ェ出したのはそっちだろうが。悪りぃがその子達はウチの海の家の大事な店員でね」
男2「知ったことかよ!」
男は拳を振り上げ束に飛びかかる。
花丸「危ない!」
束「俺に触れるとヤケドするぜ!・・・デュアッ!」
束は慌てる事なく持っていたもう一つのヘラを男に向かって投げつける。
男2「おっと!」
しかし男は投げつけられたヘラを難なくかわす。
男2「そんなもん持ってるからそんな事だろうと思ったぜ!」
束「そうか?・・・デェアッ!」
束が右手をクルッと振ると回転したヘラがブーメランのように戻って来て男の後頭部に直撃する。
男2「ガッ⁉︎・・・んな、アホな・・・」
束「へっ、ウチの店員に手ェ出そうなんて・・・二万年早いぜ」
花丸「束さん!」
束「怪我はないみたいだな」
ルビィ「あの、どうしてここに?料理作ってる筈じゃ・・・」
束「ま、まぁちょっとな・・・。とにかく怪我が無くて良かったよ」
花丸「はい、ありがとうございます」
ゴツンッ!
束「イダッ⁉︎」
ダイヤ「束さん!こんな所で油売ってないで早く戻ってください!」
束「なんだよ、可愛い妹がへんな男に絡まれてから助けてやったってのに」
ダイヤ「そうなのですか?」
ルビィ「う、うん・・・」
ダイヤ「それは・・・ありがとうございます。うちのルビィが迷惑をかけましたわ・・・」
束「なーに、いいって事よ」
客1「おいあの店員ヘラ投げてたぜ・・・」
客2「危なっかしいわ・・・向こうの店行きましょう」
ダイヤ「・・・・・」
束「・・・・・」
ダイヤ「あなたのせいで客足が遠のいたじゃありませんかぁぁぁっ!」
ゴツンッ!
束「理不尽ッ⁉︎」
曜「おかえりー、あれ?どうしたのその頭?善子ちゃんのマネ?」
束「団子じゃねぇわ、ほっとけ」
果南「お客さんこないねー」
束「つーかさ?お前らスクールアイドルなんだからここでパァーッとミニライブでもやった方が客集まるんじゃね?」
曜「ここで?でも衣装とか持ってきてないし・・・」
束「水着で十分だろ。水着姿の女の子が可愛く歌って踊りゃ男なんて単純な生き物だからイチコロだぜ」
果南「そうかなぁ・・・?」
曜「一応千歌ちゃんやダイヤさんにも聞いてみよっか」
少女説明中・・・
束「どうでもいいけど表現古くね?作者・・・」
ダイヤ「ミニライブですか・・・」
千歌「私はやりたいな!」
善子「ステージはどうすればのよ?ただ砂浜の上で踊っても目立たないでしょ」
束「ふっふっふ、抜かりはないぜ。こんなこともあろうかとイベント用の簡易ステージを十千万旅館の物置から引っ張り出しておいた」
千歌「へー、そんなのあったんだ」
曜「千歌ちゃんが知らないのはどうなのかな・・・」
花丸「でも・・・」
会話を遮って花丸が指差す。
花丸「なんかもうステージ組み始めてるずら」
束「へ?」
見ると業者の人間がライトや音響のしっかりとしたステージを既に組み始めている。
果南「あのー、これって一体・・・?」
業者「あぁ隣の海の家の経営者がバンドを呼んでここでミニライブやるからその設営さ」
束「何〜ッ⁉︎」
千歌「こんな大きいステージ置かれたら!」
花丸「コッチのお店のスペースが殆ど無くなってしまうずら!」
ダイヤ「それだけではありませんわ、ステージというからには客席も必須・・・それを加えたらお店の前は客席で埋まってしまってこちらの店の入り口まで塞がってしまいます」
束「これは明らかな営業妨害だろ!」
「客が居ない店なんてどーでもいいでしょ?」
束「誰だ?」
「私はこちらの海の家の経営を任されたクロッシィです」
鞠莉「クロッシィ?」
果南「知ってるの?鞠莉?」
鞠莉「外食チェーン店を多く展開している会社で、最近はホテルチェーン業界にも進出を画策してるって専らの噂デース」
ルビィ「それってつまり・・・」
ダイヤ「鞠莉さんの家にとっては商売敵って事ですわね」
束「ふーん、まぁいいや。それでクロックさんよ」
クロッシィ「クロッシィです。時計ではありませんので」
束「クロッシィさんよ、こちとらこれじゃ営業出来ないんだけどな」
クロッシィ「先程も言ったでしょう。客が入っていない店に遠慮する必要はが何処にありますか?お客はみんなコチラの店を利用してますよ」
曜「それは・・・」
クロッシィ「店舗を利用してくださるお客様に精一杯のおもてなしをするのがうちの会社のポリシーでしてね。このライブステージもその一環といった所です」
梨子「言ってる事はわかるけど・・・」
善子「納得出来ないわ!」
クロッシィ「困りましたね・・・。ではどうでしょう?このステージを賭けて勝負というのは?」
束「勝負?」
クロッシィ「ええ、勝負で私達が負けたらこのステージをあなた方が使っても構いません」
千歌「えぇ⁉︎ホント⁉︎」
ダイヤ「千歌さん、喜ぶのはまだ早いですわ。・・・コチラが負けた場合は?」
クロッシィ「そうですね・・・.、まずあの邪魔なボロ小屋を片付けてもらってそして・・・」
クロッシィはゆっくりと右手を上げて一人の少女を指差す。
鞠莉「ホワッツ?」
クロッシィ「小原家のご令嬢を頂きましょうか?」