ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

50 / 53
機種変更時のゴタゴタでログインが出来ず、長期間更新止まっておりましたがなんとか帰って来れました・・・
不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします


第10話 welcome to ようこそ マリンパーク その3

束「行くぞ、堕天使!魔法の力、見せてやる」

「ま、魔法?・・・良い歳した大人がそんな事言って恥ずかしくないの?」

束「ほっとけ!堕天使に言われたかねぇわ!」

「な⁉︎よ、ヨハネはホントに堕天使なんだから!う、嘘じゃないんだからね!」

そんな事を言い合っている間にも空からは無数の雹の塊が降ってくる。

真夏にも関わらず空から降ってくる雹の塊をかわしながら目の前の少女に詰め寄る束。対する少女は訳もわからず困惑する。

ヨハネ「なんなのよ一体〜!なんで夏に雹が降ってくるのよ〜!」

束「お前がやったんだろ!」

ヨハネ「ヨハネが?まさか・・・本当にこの堕天使ヨハネに魔力がやどって!」

ゴッ!

ヨハネ「ヨハッ⁉︎」

言ってる途中で少女の頭に雹の塊が激突、そのまま目を回して倒れてしまう。

束「・・・ええぇぇぇっ⁉︎」

少女が倒れた後も雹は止む事なく降り続く。

束「意識が無くなっても止まらない・・・、まさかこの子のせいじゃないのか?」

徐々に降り注ぐ雹の数が増え、いくつかが校舎の窓に当たる。塊が小さかった為割れはしなかったもののこのままでは窓ガラスが割れて被害が出るのも時間の問題だろう。

束「くそ!まずは向こうをどうにかしないと・・・」

束は魔法でエアガンを呼び出すと降ってくる雹に銃口を向ける。

束「射撃はあまり得意じゃねえが・・・」

バン!

打ち出したBB弾は正確に雹に命中し、空中で砕け散る。

束「・・・よし、いける!」

数が多い為エアガンをもう一丁呼び出し2丁拳銃で構える。

束「これ以上被害を出すわけには!」

左右の手で構えたエアガンで正確に雹を撃ち落としていく束。しかし降り注ぐ雹は一向に止む気配を見せない。

束「くそ!もう弾が・・・!やっぱ元を止めないとダメか!」

束は仰向けで倒れている少女の向こうの魔方陣を見る。

束「アレが本当に魔方陣なら一部を消してしまえば効果は切れる筈・・・」

しかし束は今校舎に降り注ぐ雹を撃ち落とすのに精一杯でそんな余裕はとても無い。束が考え出した答えは・・・

束「おい!起きろ!堕天使!」

銃を撃ちながら少しずつ少女の方へ近づき両手が塞がってるので足で頭の辺りを突っつきながら起こす。

「・・・ん?あれ?私なんで地面で寝て・・・」

束「寝ぼけてるとこ悪いけど早く起きてくれぇっ!」

「・・・ってあなたは魔法なんとかの痛い大人!」

束「今つっこんでる暇ないから後で覚えとけ⁉︎とにかく助けてくれ!もう限界だ!」

エアガンの弾も尽きかけ、ずっと撃ちっぱなしの為、腕も動かなくなってきていた。

「手伝えって・・・何すれば良いのよ⁉︎」

束「あの魔方陣を消してくれ!多分アレのせいだ!」

「魔方陣?・・・やっぱりヨハネにホントに魔力が!」

束「いいからはよ行かんかい!」

「わ、わかったわよ!」

少女は魔方陣の所に行くと地面を足で擦って魔方陣を消そうとするが・・・

「消えない?なんで⁉︎」

いくら土の上を擦っても魔方陣を書くのに使ったラインパウダーは消えるどころか掠れる事も無かった。

束「まだか!もう持たねえぞ!」

「そんな事言ったって消えないもの〜!」

ゴッ!

束「あ」

「キュ〜・・・」

そんな事を言っている内に二発目の雹が少女の頭に直撃、再びその場に倒れてしまった。

束「二回も当たるなんてなんつー運の悪さ・・・って言ってる場合じゃない!」

銃の弾も切れてしまい、束は次の手を考える。

束(この効果が魔方陣のものだとしても線が消えないなんて事はまずあり得ない筈・・・だとすると消えない原因はまた別か?)

束は魔方陣のすぐ隣にあるライン引きを見る。

束「消えない原因は・・・粉の方か?」

しかし魔方陣のある場所は少し離れている上に雹の雨は更に激しさを増してきておりこちらも放っておけば被害は大きくなる一方である。

束「どうすればいい・・・?くそ!せめて少しの間だけでも雹を止められれば・・・あの雲をふっ飛ばしでもしない限り無理か・・・」

何気なく呟いた一言にハッとする。

束「雲をふっ飛ばす・・・危険だけど、やってみるしか!」

束は転送魔法で自分の部屋に保管していたモノを呼び寄せる。

束「頼むぜ、ラブライブレード・・・もとい!スパークルケイン!」

制御が効かない為保管しておいたスパークルケインを呼び出し構える束。ケインの先端を雹の降ってくる暗雲に向ける。

束「この前と同じように・・・行け!」

ケインの先端から再び火柱が上空高く目掛けて突き上がり暗雲を貫く。しかし、やはり制御が効かず以前よりも威力が上がりすぎた為か

発射の際の反動に耐え切れず束は後ろに吹っ飛ぶ。

束「だぁぁぁぁっ⁉︎」

まるで自動車に跳ねられたかのように勢いよく宙を舞った束はそのまま校舎の壁に思い切り叩きつけられる。

束「があっ⁉︎」

叩きつけられた後地面に落下した束はゆっくりと起き上がる。当たりどころが悪かったのか頭部から血が滴り落ちる。意識が朦朧としながらも立ち上がり魔方陣の方に歩いて行こうとする。

束「今の内に・・・は、早くしないと・・・」

暗雲を突き破る程の火柱のおかげで一時的にではあるが雲にはポッカリと穴が空き雹も止んだ。しかしすぐに雲がまた集まりだして穴を塞いでいく。束も急いで魔方陣に向かおうとするが頭を強く打ったせいで足取りもおぼつかない。

束「くそ・・・、せめて解呪法が触れずに使えれば・・・」

そう呟いた途端、手にしていたケインが光りだしたかと思うと勝手に手元を離れ魔方陣目掛けて飛んでいく。そのまま魔方陣の描かれた地面に刺さると、魔方陣と横のライン引きから光が流れ出しケインに吸い込まれていった。光が全て吸い込まれると魔方陣の輝きもなくなり再び空は雲ひとつない晴天となった。

束「・・・なんとまぁ・・・便利だ事・・・」

そう言い残して束はその場に倒れた。

 

 

 

 

 

束「・・・うぅ?」

気絶した束が目を覚ますと白い天井が目に入る。辺りを見回して状況を確認すると自分はベッドの上に横たわっており、周りの備品の雰囲気から察するにどうやらここは学校の保健室らしい。

束「そっか、俺倒れたんだっけ」

「気がつきましたか」

身体を起こした束が声が聞こえてきた方を振り向くと黒い長髪の女生徒が立っていた。

束「えぇっと・・・君は?」

ダイヤ「私はこの浦の星女学院の生徒会長をしております黒澤ダイヤと申します。あなたは校庭で頭から血を流して倒れていたのを発見されてとりあえずここまで運ばれてきたのです」

束「あー、思いっきり頭ぶつけたからねぇ・・・」

ダイヤ「幸い頭のキズは大した事はなかったので手当てをしてここに寝かせていた訳です。・・・それより」

ダイヤの目線が鋭いものに変わる。

ダイヤ「あなた、私の妹に手を出した不審者ですわね?」

束「い、妹?手を出した?」

ダイヤ「惚けても無駄ですわ!ルビィの悲鳴が聞こえてあなたと同じ服装の男が逃げ去っていくのを見ましたわ!」

束「悲鳴って・・・あー!あの時の!」

ダイヤ「さあ、お覚悟ですわ!」

束「待って!ちょっとタンマ!アレ手を出した訳じゃなくて・・・」

ダイヤ「問答無用!」

束「ひゃい!」

「ダイヤ〜?そんなに怒ったらシワが出来るよ〜?」

いつの間にやら部屋に入ってきた金髪の女子がダイヤの後ろからひょこっと顔を出して頬を指で突っつく。

ダイヤ「なっ⁉︎・・・鞠莉さぁぁぁん!」

鞠莉「だから〜怒ったらシワが出来るよ?」

ダイヤ「あなたがちょっかいを出すからでしょう!」

「ダイヤ落ち着いて、鞠莉もからかわないの」

鞠莉と呼ばれた金髪の子の隣にいた女の子が仲介に入る。2人の言い合いをポカン、と見ていた束だったがこの女の子には見覚えがあり・・・

束「もしかして・・・果南ちゃん?」

果南「お、正解〜♪久しぶりだね、束」

ダイヤ「果南さんの知り合いですの?」

果南「うん、って言っても会うのはホントに久しぶりだけど」

鞠莉「そうなの?じゃあ果南の知り合いなら私も挨拶しないとね?・・・Hallo〜?」

束「・・・Who are you?」

鞠莉「Oh!sorry! My name is Mari! nice to meet you!」

束「My name is Tukasa nice to meet you too.By the way・・・」

ダイヤ「普通に英語で会話しないでください!」

果南「そうだよ鞠莉、何言ってるか全然わかんないし」

ダイヤ「果南さん、今のは中学1年レベルの英語なのでわからなくても困るのですが・・・」

果南「そうなの?」

ダイヤ「ああもう!話が進みませんわ!あなた!一体何が狙いでこの学校に忍び込んだんですの!」

束「いや、俺は千歌の忘れ物を届けに・・・」

千歌「呼んだー?」

束「うおっ⁉︎いつの間に!」

千歌「んーと、鞠莉ちゃんと英語で難しい事話してた時から?」

束「だから中1レベルゥ!」

千歌の後に続くように何人か部屋に入ってくる。

梨子「あ、束さん・・・ケガ、大丈夫ですか?」

束「ああ、これくらいどうって事ない」

「ヨーソロー!元気そうで何よりであります!」

束「曜ちゃんも元気そうで何よりだな。変わってないとホッとするよ」

ダイヤ「曜さんとも知り合いなんですの?」

果南「私と千歌と曜は幼馴染だからね。昔はよく一緒に遊んでもらったんだ」

束「ん?・・・そっちの奥の子は・・・」

「ピギィッ⁉︎」

ダイヤ「私の妹のルビィです。あなたが襲った」

梨子「襲った⁉︎」

束「尋ねただけだから!だんだん誇張してんじゃねぇか!」

ダイヤ「どうなんですの?ルビィ?」

ルビィ「あ、えっと・・・その・・・」

束(なんか会ったばかりの頃の花陽ちゃん思い出すなぁ・・・)

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「ピギィ!えっと・・・ルビィは・・・いきなり男の人に話しかけられたから・・・それで、ビックリして・・・」

鞠莉「shout!しちゃったのね」

果南「まぁいきなり目の前で悲鳴あげられたらビックリもするかな」

束「その後に、姉ちゃんが凄い形相でダッシュしてくるんだぜ?そりゃ逃げたくもなるでしょ?」

ダイヤ「う・・・、そ、それはともかく!ルビィ!いくら男性が苦手とはいえそれくらいの事で悲鳴をあげるんじゃありません!」

ルビィ「そ、そんなぁ・・・」

束「もういいって、なんかもうその子泣きそうだし」

ダイヤ「ハァ・・・、それでこの学校に来た理由は?」

梨子「あ、それって多分、コレです」

梨子は持っていたノートを見せる。

千歌「あー!私の歌詞ノート!なんでここに?家に忘れたと思ってたのに!」

束「忘れたから俺が届けに来たんだろ」

曜「コレが無いと活動出来ないもんねぇ・・・」

千歌「・・・ゴメンナサイ」

そこで束はふと一緒にいた少女の事を思い出した。

束「そういや・・・俺の近くに女の子が倒れていなかったか?」

ダイヤ「女の子?善子さんの事ですか?」

束「善子?」

「遅れてごめんずら〜」

話をしていると小柄な女の子が部屋に入ってくる。

ルビィ「花丸ちゃん!」

花丸「あ、そっちの人は気がついたんですね。善子ちゃんの方は?」

ダイヤ「まだですわね」

束「善子?」

ダイヤの目線の先に目をやると少し離れたベッドで少女が気持ちよさそうに寝ていた。

ダイヤ「全く・・・不審者が徘徊してるから教室から出ないようにと言われていたのに外に出るなんて・・・。そんな事をしているから雹が頭に激突するんですわ」

束「しかも二回」

花丸「ホントに運が悪いずら」

束「まあ大した事なさそうで何よりだ。やっぱ堕天使っては身体の作りが俺たち人間とは違うのかねぇ?」

果南「それ、本気で言ってる?」

束「へ?」

花丸「善子ちゃんの堕天使設定間に受ける人、初めて見たずら」

束「設定かよ!」

善子「設定ゆうな!」

ルビィ「あ、起きてたんだ・・・」

曜「善子ちゃんが起きたから、浦の星女学院スクールアイドル、『Aqours』全員集合であります!」

梨子「あ、ホントだ・・・」

束「スクールアイドル・・・Aqours、か」

千歌「束くん、せっかくだから私達Aqoursの活動見ていってよ!」

束「いいのか?」

果南「私は別に構わないよ?」

曜「賛成〜!」

ダイヤ「まあ・・・外部の方にもAqoursを知ってもらういい機会でしょう」

鞠莉「素直じゃないよね〜?ダイヤは」

千歌「東京のスクールアイドルに比べたらまだまだかもしれないけど・・・今私達がやってる事を束くんにも見て欲しいな?」

束「そこまで言われちゃ見ない訳にはいかないな」

曜「それじゃあ屋上に向かって〜・・・全速前進!ヨーソロー!」

梨子「曜ちゃん!待ってよ〜!」

束「・・・まぁ、退屈はしなさそうだな・・・」

束はベッドの脇に置いてあったスパークルケインを手に取るとベッドから出て屋上に向かった。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。