ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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久しぶりの更新です。今回から暫くの間Aqours編となります。本来は5年後の設定らしいですが今作では同じ時間軸で進めていきたいと思います。


第10話 welcome to ようこそ マリンパーク その1

トラックに乗せられて遥々静岡県沼津市に来てしまった束。暫く途方に暮れていたがジーッとしててもドーにもならないので歩き出す。

束「こっから東京まで帰れるかな・・・」

束は持ってた財布の中を見る。中には100円玉が一枚光っていた。

束「・・・・・へっきし!」

長い時間冷凍庫に入っていた為身体が冷え切っていた束。近くのコンビニで百円の缶コーヒーを買う事に・・・。

 

 

 

束「さて、これで完全に無一文になった訳だが・・・」

束は辺りの町を見渡す。ここ内浦は海辺の町である為か海産物を取り扱う店や水族館などが多くあった。

束「変わらないねぇ、此処は」

実は束は此処に来るのは初めてではなく、過去に母親の都合で日本中を飛び回っていた頃に一年だけ住んでいた事があった。尤もそれももう約7年前の話なのだが。

束「一応、行ってみるか・・・」

束は7年前の記憶を頼りにかつて自分が住んでいた家に向かう事にした。

 

 

 

 

束はかつて住んでいた家に到着する。しかしその家の入り口には『皆道』の表札は無く、代わりに新しく入居してきた人であろう『桜内』の表札がかかっていた。

束「ですよねー」

大体予想出来た展開にため息をつく束。

束「こうなると・・・」

束は顔をあげてかつての自宅の隣にある旅館に目を向ける。

束「おっつけ昔馴染みを頼るしか・・・」

束は意を決して旅館の戸を叩いた。

 

 

 

 

「はーい」

旅館の入り口から黒いロングヘアの女性が出てくる。

束「えーと、お久しぶりです。志満さん」

志満「あなた・・・もしかして束君?」

志満と呼ばれた黒髪の女性に頭を下げる束。

志満「ホントに久しぶりね〜!大きくなって・・・今高校生くらいかしら?」

束「恥ずかしながら今年で21になります」

志満「まあ、もう社会人なのね。月日が経つのは早いわ〜。今は何のお仕事してるの?お母さんは元気?」

束「え、えぇーと・・・」

旅館の入り口付近で志満が話し込んでいると奥から茶色のショートカットの女性が出てくる。

「志満姉?誰と話してんの?」

束「あ、美渡さん。お久しぶりです」

美渡「ん?・・・誰?」

ショートカットの女性、美渡にも頭を下げる束だが美渡の方はまだピンと来てないらしく首を傾げる。

束「束ですよ!こどもの頃よくキ○肉バスターやキ○肉ドライバーの実験台にされてた束です!」

美渡「あー!思い出した!束かー!久しぶり!」

志満「今なんかサラッととんでもない事言ってなかった?」

 

 

 

 

 

玄関でいつまでも立ち話もしていられないので中に入る三人。そのまま奥にある居間に案内される束。

志満「それで今日は内浦に遊びに来たの?」

束「いやぁ・・・車に閉じ込められてここまで来たっていうか・・・」

美渡「・・・はあ?」

ここにたどり着くまでの経緯を説明する束。

志満「そうだったの・・・大変だったわね」

美渡「っていうか冷凍庫に閉じ込められたら普通タダじゃ済まないと思うけど・・・」

束「東京に帰りたいんですけどお金が無くて・・・この辺じゃ昔の知り合いに頼る他ないんですよ」

志満「なるほどね。そういう事ならいいわよ」

束「やった!」

志満「ただし・・・」

束「へ?」

志満「今ウチの旅館の従業員の方が一人ケガをしていて休んでるの。その人がケガが治って復帰するまであと数日かかるらしいからその間だけ代わりに入ってくれたらアルバイト代って事で旅費を負担するっていうのはどうかしら?」

束「うぇえっ⁉︎」

美渡「流石は志満姉、抜け目ない」

志満「人手が足りなくて困ってたのよ。入ってくれると助かるわぁ〜」

束「・・・し、職場に相談してみます・・・」

その後、電話を借りて穂むらに連絡し事の経緯を説明、無事?許可が下りてしばらくは十千万旅館の臨時従業員として働く事になる束だった・・・。

 

 

 

 

調理場

美渡「おー流石和菓子職人、手際が良いねぇ」

束「職人じゃなくて従業員ですよ。ってかなんで俺が料理まで・・・」

美渡「まぁいいじゃん?料理長も筋がいいって言ってたし」

束(・・・そのうち旅館の業務全てやらされるんじゃねぇのか?」

束「あ、そういえば千歌は?まだ姿を見てないけど・・・」

美渡「千歌ならあんたが来る直前に出かけたよ。朝から部活だとさ」

束「千歌が部活・・・もうそんな歳なのかぁ・・・」

美渡「何爺臭い事言ってんのさ」

「ただいまー!」

そんな会話をしていると玄関の方から大きな声が聞こえた。

美渡「お、噂をすれば。千歌ー!懐かしいお客さんが来てるよ!」

「懐かしいお客さん?」

調理場に声の主が姿を現わす。穂乃果と同い年くらいのオレンジ色の髪の少女だ。

束「おー、見違えたねぇ」

千歌「え・・・?」

調理場で作業をしている束を見て千歌と呼ばれていた少女は誰かわからず固まる。

美渡「私と同じ反応だね」

束「まぁ7年も会ってなきゃわかんねぇか。ほれ」

束は右手を前に出すと千歌の前で握った拳を開く。すると中からミカンが1つ現れる。

千歌「その手品・・・もしかして、束君?」

束「もしかしなくても束だよ」

目の前の男性の正体がわかり、途端に千歌は笑顔になり抱きつく。

千歌「ホントに束君だー!でもなんで?どうして?またコッチに戻って来たの?」

束「お、落ち着けって。理由は後でゆっくり話してやるから。とりあえず先にこの料理だけやっちまわないと」

千歌「あ、じゃあ私も手伝う!」

美渡「いつもは嫌々手伝ってるのにねぇ〜」

千歌「いつもと違うからいいの!ね?いいでしょ?」

束「そんじゃ、ご指導の程よろしくお願いします。先輩」

千歌「えへへ、任せて!」

 

 

 

その後、仕事がひと段落した束は千歌に事情を話した。

千歌「じゃあまたすぐに東京に戻っちゃうんだ・・・」

束「すぐにって言っても多分一週間くらいはコッチに居ることになるけどな」

千歌「そっか!じゃあこの一週間で昔みたいに色々な事一緒にやりたいなぁ。いっぱいあるんだ、話したい事!」

束「そりゃ楽しみだ。あ、そうだ。ところで志満さん、俺の寝る部屋ってどこですか?」

束に聞かれても志満は黙ってただニコニコしている。

束「ちょ、あの?おーい志満姐さーん?」

志満「ゴメンね?束君の部屋はね・・・」

 

 

 

千歌「なんで⁉︎」

千歌の部屋に千歌のベッドとは別に布団が1つ敷いてあった・・・。

束「異議ありぃぃっ!」

千歌「そーだよ!なんで千歌の部屋に敷いてあるの⁉︎志満姉や美渡姉の部屋でもいいじゃん!」

志満「だって・・・何かされたら困るし・・・」

束「何もしないよ⁉︎それなら千歌だって困るでしょう!」

千歌「そうだよ!これじゃ布団の分、千歌の部屋が狭くなっちゃうじゃん!」

束「そっち⁉︎困る事ってそっち⁉︎」

千歌「布団敷く度にいちいちテーブルとか動かさなきゃいけないんだよ⁉︎旅館の手伝いしてるみたいでヤダよ〜!」

美渡「布団を使うのは束なんだから束にやらせればいいじゃん?」

千歌「あ、そっか」

束「いやいやいやいや!納得しないで!」

志満「とにかく、今はお部屋も空きがないし、今日はここで我慢して?」

束「むぅう・・・」

仕方なく、束は千歌の部屋で寝る事に。

 

 

 

その後、千歌の部屋で寝る仕度をする束に千歌が話しかける。

千歌「明日は果南ちゃんや曜ちゃんにも会いに行こうよ!二人ともきっと喜ぶよ!」

束「あの二人か。懐かしいなぁ。・・・そういえば今日は朝から部活だったらしいな。何の部活やってるんだ?」

仕度を終えた束がテーブルに置いてあるお茶を飲みながら尋ねる。

千歌「千歌ね、スクールアイドルやってるの!」

ブフォッ!

口にしたお茶を吹き出す束。

千歌「うわあっ⁉︎」

束「ゲホッ!ゲホッ!・・・そ、そうか。スクールアイドルやってるのか・・・」

千歌「うん!ネットでたまたま見た動画が凄く綺麗で可愛くてキラキラしてて!私もこんな風になれたらなぁって思ったの!」

束「へぇ・・・」

何とか息を整え、千歌の話を聞きながらテーブルに乗ってる饅頭にも手を伸ばす束。

千歌「知ってるかな?μ’sって言うの!」

束「ッ⁉︎」

案の定、今度は饅頭を喉に詰まらす束だった・・・。

 

 

 

 




次回から他キャラも登場です。
実は書いてる途中でALL STARSが発表されたのでどうしようか悩んで止まってましたがとりあえず自分なりの解釈で進めていこうと思います

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