ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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ようやく書けました。今回は伏線があったり・・・なかったり?


第9話 10人のμ’s その3

つかさ「うぅ・・・」

部室に置いてあったベンチに横になっていたつかさが目を覚ます。

ことり「あ、気がついたんですね!良かった〜」

つかさ「ここは・・・?シロッコは?やってしまったのか・・・?」

真姫「何寝ぼけてんのよ・・・」

凛「それにしても女の子の着替えみて目回しちゃうなんて先輩なんだか男の子みたいだね?あ、もしかして名前も同じだし、束お兄さんが魔法で化けてたりして!」

つかさ「な、な、な、何をば、ば、ば、バカなななな」

真姫「アホらしい・・・。魔法なんてこの世に存在する訳ないでしょ?アニメじゃないんだから」

凛「アニメじゃない・・・じゃあサイレントヴォイス?」

つかさ「そういう意味じゃねぇよ!」

花陽「つかさ先輩が最初に言い出したんですけどね・・・」

凛「真姫ちゃんは夢がないにゃ〜」

既に着替えも終え、つかさも回復した為そんな会話をしながら部室を出るメンバー達。夏に入り日も伸びて来たとはいえ相当遅い時間まで残っていたらしく夕陽も沈みかけていた。

絵里「もうこんな時間なのね・・・。早く帰りましょう」

全員で学校を出ると校門の前に一台の黒い車が止まっていた。そしてその中から黒服を来た男性が3人、降りて来た。

ことり「えっと、どちら様でしょうか?」

「我々はこういうものです」

黒服の一人が名刺を渡す。

絵里「346プロダクション、スカウトマン・・・諸星?」

諸星「はい、そっちの二人は右から、南と安室です」

名前を呼ばれて少し顔が濃い目の男性と茶色の癖っ毛の男性が頭を下げる。

希「アポロン総統は?」

つかさ「そのネタわかる奴いるかなー?ってかよく知ってるね希ちゃん」

希「ウチは一人暮らしやからね。暇過ぎてスパロボ全シリーズクリアしちゃったんよ」

諸星「あの、話を進めてもいいですか?」

絵里「はい、こっちのアホ共は気にしないでください」

希「ひどい⁉︎」

花陽「346プロといえばかなり有名なアイドル事務所ですよ!」

にこ「そのスカウトマンが来たって事は・・・まさか!」

穂乃果「μ’sが・・・芸能界デビュー⁉︎」

凛「凄いにゃー!」

後ろで勝手にワイワイ盛り上がる穂乃果達。

諸星「私達がスカウトに来たのはあなた方ではありません」

穂乃果「え・・・・?」

諸星はつかさの前に来る。

諸星「あなたですね?数ヶ月前にこの近辺のゲームセンターのダンスゲームでスコアを更新したのは?」

諸星はそう言うと車からノートパソコンを出して開く。そしてジャケットの裏側から赤いメガネを取り出すと・・・

諸星「デュワッ!」

掛け声を言いながらかける。

真姫「その掛け声何なの?」

諸星「ルーティーンのようなものです。気にしないでください」

凛「変身みたいでカッコイイにゃ!」

希「様式美やね」

真姫「イミワカンナイ・・・」

諸星はパソコンを操作するとある動画を出す。それはつかさがダンスゲームをしている所を観客の一人が撮影したものだった。

諸星「中々足取りが掴めず苦労したのですがこの近辺での目撃が多いと聞いて張り込んでいたんです」

つかさ「それは・・・つまり・・・」

諸星「はい。あなたを346プロダクションの新人アイドル候補としてスカウトしたいのです」

暫しの沈黙が流れる。

凛「こ、困るにゃ!先輩にはμ’sに入ってもらって一緒にスクールアイドルをやってもらいたいにゃ!」

諸星「それに関しては大丈夫です」

凛「え?」

諸星「つかささんがアイドルデビューをした際に346プロダクションの方でこちらの学院のPRもサポートさせて頂きます」

絵里「それはつまり・・・学院の宣伝をあなた方芸能事務所の方がするって事ですか?」

諸星「はい。アイドルとして人気が出れば普段通っている学校などにも注目をするファンも少なからずいるものです。ましてや廃校を阻止する為のアイドル活動ともなれば多くの人の関心を誘うでしょう」

ことり「でも・・・そしたらμ’sの活動は・・・」

諸星「少なくとも、ただの高校生の集まりよりもこちらの方が大きな宣伝効果は得られると思いますよ?もし、廃校阻止を真剣に考えているなら・・・どちらが懸命な判断かはわかると思いますが?」

花陽「そ、それは・・・」

諸星「勘違いのないように言っておきますが別にあなた方の活動を邪魔するつもりはありません。あなた方はあなた方で活動を継続して頂いて構いません。むしろ廃校の不安もなくなりなんの憂いもなく思い切り活動に打ち込めるのではないでしょうか?」

希「・・・理にはかなってるね」

にこ「ちょっと希!あんたそれでいいの⁉︎」

希「決めるのはウチらじゃないよ、にこっち。決めるのはつかさちゃんや」

つかさ「・・・・・」

つかさはずっと黙っていたがやがて顔をあげる。

つかさ「せっかくのお話ですけど・・・申し訳ありません」

つかさはそう言って頭を下げる。

つかさ「確かにあなた方のサポートがあれば廃校阻止も出来るかもしれません。でも・・・それじゃダメなんです」

諸星「ダメ・・・とは?」

つかさ「廃校阻止は私の願いじゃないからです。それはこの子達の願い、この子たち自身で叶える夢だからです」

穂乃果「つかさちゃん・・・」

つかさ「だから私は後押しするだけ・・・。ダンスが難しいなら教えてあげて、歌が上手く歌えないならコツを伝えて、みんなが少しでも叶えたい夢に近づけるようにしていきたいんです」

諸星「彼女達とも一緒にアイドルをする気はないと?」

つかさ「一緒に並んで歩くだけが繋がりではないと思いますよ?迷って踏み出せない時には後ろから押してあげて、悩んでどうすればいいかわからない時には前に立って手を差し伸べる。そういう繋がりもあると思います」

花陽「・・・・・」

絵里「・・・・・」

つかさ「だから私は、アイドルにはなりません!スクールアイドルにも、勿論ちゃんとしたアイドルにも!」

穂乃果「つかさぢゃぁぁぁん!」

穂乃果が号泣しながらつかさに抱きついてくる。

つかさ「うわ!バカ!離れろ!涙やら鼻水やらでグッチャグチャじゃんか!」

穂乃果「そこまで考えてくれてたなんて・・・知らなかったんだもぉぉぉん!」

凛「凛もだにゃあああ!もうμ’sに入ってなんで言わないにゃあああ!」

つかさ「こっちもかー!」

海未「ぼのが・・・ばやぐばなれでぐだざい・・・涙でびしょ濡れじゃないでずが・・・」

つかさ「いや、あんたもね⁉︎」

諸星「やれやれ・・・どうやらこれ以上言っても、決意は変わらないでしょうね・・・」

諸星は踵を返して車の方へ戻っていく。

安室「・・・もういいのか?」

諸星「ああ、何故だか彼女達を見たら誘う気が失せてしまった」

南「何?まさかゴルゴムの・・・!」

安室「はいはい。・・・確かに、あの子達からは何か不思議な感覚を感じるな。確かな繋がり・・・心の光とでも言うのかな?」

諸星「何かを見透かしたようなその言い回し、感受性の高さは相変わらずだな」

安室「人をエスパーみたいに言うなよ。俺は普通の人間さ」

南「そんな事言ってる場合か?ただでさえスクールアイドルなんてのが出てきてアイドル業界のこれからを不安視する声だってあるんだぞ?ウチの新プロジェクトの新人達だってどうなるか・・・」

諸星「無理矢理引き入れてもそれで潰れてしまっては元も子もないだろう?それに、あのプロデューサーの見込んだ新人達なら大丈夫だろうさ」

諸星は車に乗り込む前につかさを囲むμ’sの姿を見る。

諸星「みんなで叶える物語・・・か」

安室「何か言いましたか?」

諸星「いや、なんでもない」

こうして諸星達は車に乗り込み去っていった。

 

 

 

希「にしてもどうするつもりなん?」

つかさ「へ?何が?」

絵里「途中から完全に皆道 束として喋ってましたよ。今の姿は・・・」

つかさ「あ・・・あぁぁぁっ⁉︎」

希「ふふっ、これからはちょくちょく、その姿で来ないといけないね?つかさちゃん?」

つかさ「はぁ・・・やっちまった・・・。絵里ちゃん、希ちゃん、悪いけど・・・」

絵里「はいはい、なんとか口裏は合わせますよ」

希「ウチは焼肉が食べたいなぁ〜」

つかさ「奢るよ奢りますよ・・・」

 

 

 

 

こうしてつかさの引き抜き騒動もとりあえずの終わりを迎え、μ’sのメンバーも別れて帰路についた。

穂乃果も海未やことりと一緒に帰ろうとするとそこに束が。

束「よう、おかえり」

穂乃果「あ、お兄ちゃん、なんでここに?」

束「ま、まぁちょっと用事でな?そんな事より海未ちゃんどうしたんだ?顔が真っ赤だぞ?」

結局終始様子のおかしかった海未を怪しむ束。

穂乃果「お、お兄ちゃんには関係ないよ⁉︎ね!ことりちゃん!」

ことり「は、はい!何にも!一切関係ないんです!」

慌てて海未を庇うように立ちはだかる二人。

束「な、なんだよ二人して・・・さっきからみんなおかしいぞ?」

穂乃果「全然おかしくなんかないよ⁉︎海未ちゃんのパンツが風で飛ばされて無くなった訳じゃないし!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「あ・・・・」

束「なるほどね・・・」

穂乃果がうっかり口を滑らせてしまった事で全てを理解した束。対する海未はその場に座り込んで泣き出してしまう

束「ちょ、海未ちゃん!落ち着けって!」

穂乃果「お兄ちゃんが海未ちゃんを泣かした!」

束「俺のせい⁉︎むしろおまえのせいだろコレ⁉︎あぁ!もう!とにかく落ち着いて海未ちゃん!別にどうって事ないから!」

海未「うぅぅ・・・殿方にこんな事を知られてしまうなんて・・・私・・・もうお嫁に行けません・・・」

束「そんときゃ俺が責任とるから!」

ことり「お兄さんと海未ちゃんが・・・フフフ・・・」

束「自分の世界に入ってないでコッチ手伝え!ピンク脳!」

穂乃果「ホントにどこいっちゃんたんだろ?海未ちゃんの青いパンツ」

海未「色まで言わないでください!」

束「ん?青いパンツ・・・?確か・・・」

束は魔力憑きの掃除機から許可証と一緒に取り出した下着をポケットから出す。

穂乃果「あー!海未ちゃんの!」

束「ヴェェッ⁉︎」

ことり「お兄さん・・・とうとう一線を超えちゃったんですね・・・」

束「ち、ちょっと待って!俺は拾っただけで盗った訳じゃ・・・!」

その時、束は後ろからの凍りつくような殺気を感じ、ゆっくりと振り返る。そこには笑顔の海未が。

海未「さっき言いましたね?責任を取るって・・・」

束「は、はい・・・」

海未「安心してください。警察にはいきません・・・この場でトドメを刺します」

この瞬間、束はもうどう足掻いても逃げられない事を悟ってしまった。そしてため息をつきながら小さな声で呟く。

束「・・・決めるぜ、覚悟・・・」

海未「よろしい、ならば・・・」

海未は持っていた鞄を大きく振り上げる。

海未「はあぁぁぁっ!」

バゴォォォォンッ‼︎

束「じぃぃぃぃどっ⁉︎」

直後に音ノ木坂に大きな衝撃音と悲鳴が木霊するのであった・・・・・。

 

 

 

 


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