ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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第7話 束の長い一日 その4

束「はぁ・・・なんかどっと疲れた・・・」

結局あの後失意のドン底に落ちた花陽を元気付ける為に近くのご飯屋に行き、黄金米をたらふく食べさせる事でようやく立ち直らせ(代金は全て束持ち)花陽はニコニコしながら帰っていった。

束「とりあえずもう今日は帰ろうかな・・・」

そんな事を考えながら束は秋葉原の裏路地に入り、近くにあった自販機で缶コーヒーを買う。するとそこにメイド服を着た女性が近づき、束にチラシを勧める。

「す、すぐ近くです。良かったらお帰りになりませんか?」

まだ慣れていないのか言い方もたどたどしく声もあまり出ていない。場所が場所なので珍しい事でも無く、こういった事に慣れている束は手慣れた様子で返事を返す。

束「まだ恥ずかしがってるな?それじゃご主人様は捕まえられないぜ?」

そう言いながら束は購入した缶コーヒーを飲みながら振り返るとそこにいたのは・・・

絵里「つ、束さん⁉︎」

ブーッ⁉︎

余りに予想外の相手だった為か束は再び口から盛大に吹き出してしまう。

絵里「きゃあ!あ、危ないじゃないですか!汚したらどうするつもりですか!」

束「どうするつもりですか?じゃねぇよ!何してんだよこんな所で!」

絵里「何って・・・アルバイトですけど・・・」

束「いいのか⁉︎生徒会長がバイトして⁉︎」

絵里「校則でも禁止はされていません。それに生徒会があるので私は休日だけ出させて貰ってるんです」

束「はあ・・・。しかしなんでまた?」

絵里「あなたが言ったんですよ?やりたい事を見つけろって。だからこうして先入観無しで色々な事に挑戦してみようと・・・」

束「あちゃー・・・そっち行っちゃったかぁ、確かに言ったけどさ・・・そーゆー意味じゃないんだよなぁ・・・」

絵里「・・・・・?」

絵里の予想斜め上の行動に頭を抱える束。絵里はキョトンとしていたが・・・。

束「まあいいや。色々知るのは悪い事では無いし・・・。

で?用件は何かな」

絵里「あ、えっと・・・今日はホビーdayのイベントをやってるんです。良かったら来てくれませんか」

そう言ってメイドカフェのチラシを渡す。チラシにはホビーdayの詳細が大きく書かれていた。

束「色々な種類のゲームやホビーを楽しめるってヤツか・・・。しょーがない。知人の頼みじゃ断れんよ」

絵里「ありがとうございます!コッチです!」

絵里が笑顔で感謝を述べ店へと案内を始める。

束「やれやれってヤツだぜ・・・」

 

 

 

 

絵里に案内されカフェに到着した束。絵里は店舗のスタッフに応対を引き継ぐとまた外へ出て行く。

束「あれ?行っちゃうの?」

絵里「まだ入ったばかりですから。外でチラシ配りが多いんです。それじゃご主人様、ごゆっくり♪」

笑顔でそう言って絵里は行ってしまった。

束「可愛げはあるんだから学校でももっと素直に出せばいいのに・・・」

こういった所に入るのは初めての為、知り合いが居なくなり途端に少し不安になる束。入店の手続きを済ませ、店内に入るとホビーdayの名に相応しく、あちらこちらで客とメイドが様々なホビーに興じている。

カードゲームをしている所もあればテレビゲームで対戦している客もいる。ゲームだけじゃなくプラモデルを作ったり作った作品を大勢で見せ合っているコーナーも出来ていた。

束「は〜・・・スッゴイな・・・今のメイドカフェってこーなってんだ・・・」

とりあえず手近な席に座るとメイドが水を持ってくる。

「おかえりなさいませご主人様!やりたいものがあったら是非お声を掛けてくださいね!」

束「あ、はい。どうも・・・」

なんか嫌な予感がしつつおそるおそるメイドの顔を見る束。

ことり「ふぇっ⁉︎な、なんでお兄さんがここに⁉︎」

ブーッ!

案の定というかなんというか、本日3回目となる吹き出しをかます束。

束「それはコッチのセリフだぜ・・・ことりちゃん・・・。何してんの?」

ことり「えっと・・・その・・・ごめんなさぁぁぁい!」

その場から逃げ出して奥の方に隠れてしまうことり。

束「あ!おいコラ逃げんなよ!娘!」

束の呼びかけてもことりはチラチラこちらを覗いてくるだけで出てこない。

束「なんか・・・もういいや・・・」

諦めた束は気を取り直して何かに参加しようと店内を物色する。するとテレビゲームが目に入る。

束「これなら出来そうだな・・・」

内容は横スクロール型のアクションゲームであり、家で穂乃果や雪穂と一緒にやった事があるタイプだった。

メイド「あ、やりますか?どうぞこちらへ!」

メイドに案内されて画面の前の席に座りスタートボタンを押す。

『マイティアクションX!』

タイトルコールが流れてゲームが始まる。ピンク色の火の玉に手足が生えたようなキャラクター、マイティが現れ、次々と敵を倒しながらステージをクリアしていく。

メイド「ご主人様上手ですね!」

束「これ位大した事ないさ。それに、天才ゲーマー『M』には敵わない」

メイド「天才ゲーマー『M』?」

束「昔この辺のゲーセンに出没した文字通りゲームの天才さ。余りにうますぎるんで出禁になった所もあるとか・・・ないとか」

メイド「そんな人がいるんですねぇ・・・。あ、でもこのゲーム、ウチのメイドにも一人うまい娘がいるんですよ。もし良かったら対戦してみませんか?いい勝負になりそうです」

束「へぇ・・・是非お手合わせ願いたいもんだ」

メイド「わかりました。ミナリンスキーさーん!」

ことり「えー⁉︎」

おそらくこの店での名前なのだろうミナリンスキーと呼ばれたことりが恥ずかしそうに前に出てくる。

束「やっぱりね・・・。昔から手先は器用だったからねぇ〜?」

ことり「うぅ・・・お兄さんイジワルです・・・」

しぶしぶ席に座りコントローラーを握ることり。その時、一瞬風が吹き・・・ことりが不敵に笑う。

ことり「ゲームなら・・・負けませんよ?」

束「おっと、なんか入っちゃったパターン?心が踊るねぇ?」

束は軽口を叩きながらコントローラーをガチャガチャ弄る。やがて互いの準備が整い、ゲームが始まる。画面が上下に二分割されそれぞれことりはピンクの、束は黒いマイティを操作する。

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!X!』

ことり「行きますよ!」

束「かかってこい!」

二人は手慣れた様子でステージの敵や障害物をクリアしていく。

束「これでもくらえ!」

束のマイティがステージにあるボタンを叩くと、ことり側のステージの上から岩が降ってくる。対戦時限定の妨害トラップである。

ことり「ッ⁉︎」

ことりはとっさに近くにあったチョコレート型ブロックを破壊し中にあったメダルのようなものを取る。

『鋼鉄化!』

ことりのマイティが銀色になり降ってくる岩を弾く。

束「エナジーアイテムの場所まで完璧に把握してるって訳ね・・・」

ことりはお返しとばかりにスイッチを叩く。

束のステージの後ろから眼のついた黄色いバイクが追っかけてきて束のマイティに激突、そのまま画面の外へ吹っ飛ばしてしまう。

ことり「あっけないですね?これでゲームオーバー・・・」

しかしことりは束の様子が変な事に気付く。

束「クックックッ・・・そうだ、ゲームオーバーだ・・・だが・・」

その瞬間、紫色の土管が現れその中から吹っ飛ばされた筈の黒いマイティが現れる。

ことり「なっ・・・⁉︎」

束「私は・・・不滅だぁぁぁっ!」

ことり「そんな・・・対戦プレイでコンティニューなんて出来ない筈・・・まさか!」

束「そうだ、始まる前に少し手を加えさせて貰ったぜ?このゲームにはゲームが苦手な人間への救済措置として隠しコマンドがあるんだ」

メイド「隠しコマンド?」

束「そう。それをタイトル画面で入力するとマイティの色が変わり黒色になる。そうするとスペックは最低になるが代わりに99回のコンティニュー権が追加されるのだぁぁぁっ!」

どっかの社長のようなハイテンションになる束。

ことり「本来なら残機無しでどこまでいけるかを競う対戦プレイで残機99とは・・・そこまでして勝ちたいんですか!」

束「勝ちたいさ!それともこんな条件差じゃ流石の君でも勝てないのかなぁ?ミナリンスキー・・いや、天才ゲーマー『M』ゥゥゥッ!」

メイド「ミナリンスキーさんが・・・天才ゲーマー『M』⁉︎」

束「かつて君に舐めさせられた苦汁の数々!今ここで晴らす!」

ことり「・・・いいでしょう。受けてたちます!」

二人は席に着き直し、ゲームを再開する。

ことり「ノーコンティニューで・・・クリアします!」

束「コンティニューしてでも・・・クリアする!」

 

 

 




劇場版エグゼイド見てきたテンションのまま書いたらこーなってしまった・・・
後悔はしてません

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