ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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沼津の夏祭りに参加してきた為、更新止まってました。
aqoursが近くで見れたり未熟dreamerの花火もあって良かったです。
今回からはまた出来るだけ1日一本目指して頑張りたいと思います


第6話 ヤザワ作戦 その4 “fromにこ襲来”

放課後 音ノ木坂学院

真犯人を探し出す為、束は誰もいなくなった学校の中に入っていた。

束「しかし・・・よくよく考えたら俺の予想通りだと真犯人探し出してもにこちゃんに見せらんないじゃん・・・」

束はウンウン唸りながら、施錠されている窓を魔法で開けて中に入る。そしてアイドル研究部の部室を目指して歩き出す。しかしその様子を遠くから見つめる者がいる事には気づかなかった・・・。

 

 

 

 

同じ頃、静まり返った学院に入り込む影がもう一つあった。矢澤にこである。

にこ「私とした事が部室にアレを忘れるなんて!」

何やら忘れ物をしたらしく、慌てた様子で部室に戻る。鍵を開け中に入ると本棚にあった切り裂かれた本をどかし、その奥にしまってあった本を引っ張り出す。

にこ「これには傷はついてないみたいね・・・」

安心した様子で本を取ったにこはすぐに部屋を出ようとする。その時、机の上に置いてあったCDボックスが突然ガタガタ!っと動き出す。

にこ「ひっ⁉︎な、何よ⁉︎」

次の瞬間、箱の蓋がバン!と弾け飛び、中からディスクが飛び出したかと思うとにこ目掛けて勢いよく飛んできた。

にこ「きゃあ⁉︎」

にこは咄嗟に屈んでかわす。外れたディスクは壁に深々と突き刺さっていた。

にこ「CDが飛んできた⁉︎なんで・・・それにこの傷・・・まさか!」

突き刺さったディスクによって出来た傷は部室の至る所にあったものと同じものであった。ディスクがひとりでに飛び回り、周りのものを切り裂く。そんな非日常的な光景ににこは混乱しつつも、逃げなければ自分も切り裂かれてしまうという危機感は働き、その場から逃げようとする。

すると箱の中から残りのディスク全てが飛び出し、一斉ににこに襲いかかる。にこは慌てて部屋から出ようと扉に行こうとするがそれより早くディスクが迫る。

にこ(誰か・・・助けて!)

飛んでくる無数のディスクを前ににこはそう願いながら目をつぶる。

束「させるかよ!」

扉を蹴破り、束が部屋の中に突入、間一髪にこを抱えてその場に転がる事でディスクを回避する。

束「大丈夫か⁉︎にこちゃん!」

束は抱えたにこの安否を確認する。幸い、ケガや傷はなかった。

にこ「つ、束・・・?」

そう言ってにこは気を失ってしまった。

束「ケガはないようだな・・・まぁバレるよりはこっちのが都合はいいけど・・・ッ⁉︎」

そこにディスクが一枚飛んできて束の右頬を掠める。ディスクが掠めた所からはジワリと血が滲んでいる。

束「ちっ!」

束はにこを抱えたまま飛んでくる無数のディスクを間一髪でかわす。ギリギリでかわしている為、身体には掠めた際の切り傷がどんどん増えていく。

束「このままじゃ埒があかない・・・まずはここから出ないと・・・」

束は魔法で窓を開けてそこから外へ飛び出した。このままでは戦えない為、にこを近くの物陰にそっと降ろす。ちらっと後ろを見ると既に無数のディスクが飛んできていた。

束「くそ、早いな・・・」

束はディスクの注意をにこから逸らす為、ディスクの中に突っ込んでいく。当然ディスクはフリスビーのような軌道を描きながら飛び回りながら束を何度も切りつける。

束「舐めるなよ!軌道さえ読めればそんなモンかわせるんだよ!」

束は飛んでくるディスクの軌道を読み、屈んでかわす。後ろからも二枚、同様の軌道で迫ってくるがそれもその場でジャンプしてかわす。

束(さて・・・問題はどうやって止めるか、だが・・・)

今の所はなんとか回避しているものの、こちらは有効な決定打が与えられない状況である。本来ならば解呪法で止めればいいのだが今回は対象が複数存在する為、魔力消費量の関係で一回しか使えない解呪法で止める事が出来ないのである。

束「やっぱ纏めて掴むしかないのか・・・?だが下手に持ったらコッチの手が無くなっちまいそうだ」

ディスクはただ飛んでくるだけではなくそれ自体が高速で回転しており高い切断力を持っていた。

束「ッ⁉︎ヤバイ!」

対処法を考えていた束に向かい再びディスクが飛んでくる。しかし今度は今までと違い十数枚のディスク全てが一斉に攻撃を仕掛けてきた。いくら軌道で読めるとはいっても一度に回避できる量には限界がある。四方八方から時間差をかけて攻撃を仕掛けるディスクを束は完全に避ける事が出来ず、遂に一枚のディスクが束の左足に突き刺さる。

束「ぐっ⁉︎」

刺さったディスクはそのまま高速回転して束の足を切り落とそうとするがその前に手で無理矢理引き抜いて事なきを得た。その際、引き抜いた両手も切りつけられ、血で真っ赤に染まる。

束「さすがに・・・ちょっとヤバイかな?」

足と手の傷が割りと深く、出血量から見てもあまり長い時間はかけられない。ディスクの群れは束を取り囲むように周囲を飛び回っている。恐らく一斉に攻撃を仕掛け、切り刻むつもりなのだろう。

束「さて・・・どう戦う?」

束が戦い方を思案していると突然声が響く。

「あの赤い帯のディスクを狙うんや!」

束「ッ⁉︎この声は・・・まさか⁉︎」

声の聞こえた方向に束が向くと、そこには既に下校した筈の希が立っていた。

束「希ちゃん⁉︎なんでここに・・・」

希「ウチの事よりも先にあの赤い帯のCDを!あれに一番パワーを感じる!」

希はディスクの群れの奥に浮いている赤い帯がデザインとしてプリントされた古いディスクを指差した。

希「多分・・アレを止めれば、他のCDも止まる!」

束「・・わかるのか?」

希「信じて!」

束は希の眼をジッと見る。そして、

束「・・・わかった。俺は・・・君を信じる!」

赤い帯のディスクめがけて、束は走り出す。するとディスクの動きがまるで赤い帯のディスクを守るような陣形に変化する。これで確信を持った束、ちらっと横を見ると、何やら交通安全と書かれた旗のようなものが校舎の壁に立てかけたまま置き忘れてあった。

希「アレって確か・・・今日の朝、生徒会がボランティアで手伝った・・・」

実はこの日の朝は生徒会が中心となり、交通安全運動の一環としてこの旗を掲げて登校してくる生徒に交通安全を呼びかける〜などの活動をしており、その時の旗がしまい忘れてあったのだった。

束「使えるな、コレ」

束は魔法を使い、旗を二本、手繰り寄せるとそれを両手に持った。瞬間、二本の旗が淡く光る。向こうのディスク同様、魔力を流し込み旗の強度を上げたのだ。

二本の旗を両手に持って構える束。

束「ここからは・・・俺のステージだ!」

飛んでくるディスクを両手の旗を振るい、はたき落としながら前に進む束。赤い帯のディスクは後方に下がって離れようとする。

束「逃すか・・・よ!」

束は両手に持っていた旗の一本をディスクに向かって投げつける。飛んだ旗は持ち手の棒が赤いディスクの中心の穴に見事入り込み、そのまま地面に突き刺さる。

束「そこだぁぁぁっ!」

残りの一本を使い他のディスクの攻撃を捌きながら赤いディスクに接近する束。目の前まで来ると、持っていた旗を捨て、両手でディスクを掴もうとする。ディスクは抵抗して高速回転し束の両手を切りつける。束の両手から出た血が回転の勢いで飛び散る。しかし束はそれでも離さず、解呪法を発動させる。やがて淡い光に包まれた後、ディスクは回転をやめてその場に落ちる。飛び回っていた他のディスクもその場に落ちて完全に動かなくなった。

希「束君!」

希が束の所に駆け寄る。束は解呪法の反動による疲労と出血多量で、その場に座り込んでしまう。

束「さすがに・・・キツイな・・・」

希「束君!血が・・・!」

希が不安そうな顔で束を見る。状況を打開する為とはいえ無茶な事をさせてしまった事への自責の念を感じているのだろうか。

束「心配すんな・・・前なんか感電死しそうになったんだ・・・それに比べりゃ大した事ない」

束は笑ってそう答える。しかしすぐに真面目な顔に戻り希に尋ねる。

束「希ちゃん、知ってたのか?俺の秘密・・・」

希「全部知ってた訳じゃないよ?・・・でも何か秘密を抱えているのは占いでわかってたから・・・」

束「占い怖ぇなぁ・・・。なぁ、この事は穂乃果達には」

希「大丈夫、言うつもりもあらへんよ」

束「・・・助かる」

束はそう言って起き上がろうとするが出血多量のせいか力が入らずその場に崩れてしまう。

希「無理しちゃアカンよ!・・・もうちょっとだけ、こうしていてあげるから・・・」

束「こ、コレは・・・ちょっと恥ずかしいんですが・・・」

崩れ落ちた束を希が受け止めるがその時の姿勢がちょうど希に膝枕をされる形になってしまい、恥ずかしさから束は顔が赤くなってしまう。だが身体も満足に動かせないので観念してそのまましばらく、身を委ねるのであった・・・。


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