ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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第6話 ヤザワ作戦 その2 “fromにこ襲来”

束「決められた〜♪自分のstory〜♪抗うたび〜♪築くhistory〜♪」

鼻歌を歌いながら商品の陳列をする束。外はずっと雨が降り続いておりどうやら完全に梅雨入りしたようである。

穂乃果「ただいま」

束「支え合う〜♪仲間の笑顔が力・・・あ、おかえり」

穂乃果が学校から帰宅するがその顔はムスッといており何やら不満そうである。

束「何かあったのか?」

穂乃果「だって雨で練習出来ないんだもん」

穂乃果は不機嫌そうに居間に上がるとおやつを食べ始める。

束「イライラを食欲にぶつけると後で悲惨な事になるぞ?」

穂乃果「いいの!部室だって貰えないし!」

束「え⁉︎何で⁉︎」

穂乃果「生徒会長が言うにはこの学校には既に『アイドル研究部』っていうのが存在してるから活動内容が似ている部を複数作る事は出来ないって」

束「・・・そー言うのって普通前もって言わないか?部員がいないから認められない。部員が揃っても既に似たような部があるから認められない・・・これじゃただの嫌がらせじゃねぇか!」

穂乃果「やっぱりお兄ちゃんもそう思う⁉︎」

束「思う!」

穂乃果「じゃあ生徒会室に!」

束「殴り込む!」

穂乃果の母「やめなさい!」

バシィッ!

外に飛び出そうとした二人を奥から出てきた穂乃果の母が頭を叩いて止めた。

穂乃果の母「束君まで一緒になってどうするの!あなたは生徒じゃないでしょ!」

束「・・・そーでした」

 

 

 

その夜、束は自室のベッドで解決策を考えていた。現状の問題としては『アイドル研究部』が存在する為、重複するμ’sは部として認可されない事である。

束「アイドル研究部が無くなれば・・・いや、ダメだ。そんなやり方はしちゃいけない・・・しかし・・・」

いくら考えても良い解決策が見つからない。

束「あぁーダメだ!やっぱりどっちか1つじゃなきゃダメなのか⁉︎ん・・・1つ?・・・1つに・・・そうか、その手があった!」

 

 

 

 

翌日、束は穂乃果に自身の考えを話す。

穂乃果「μ’sがアイドル研究部に合流する?」

束「ああ、元からあるアイドル研究部と活動内容が似通っているならアイドル研究部にμ’sが加わる事も出来る筈だ。問題はアイドル研究部に所属する部員たちの説得だが・・・」

穂乃果「わかった。それは穂乃果たちで何とかしてみるよ!ありがとう!お兄ちゃん!」

穂乃果は笑顔で学校に向かっていった。

 

 

 

 

放課後、穂むらでの勤務を終えた束が音ノ木坂学院に来る。この日もあいにくの空模様で練習は出来ないだろうが

放課後なら入れる許可証の効力を最大限利用させてもらう。穂乃果たちと合流する為、2年の教室に向かおうとすると後ろから声を掛けられる。

絵里「あら?束さん?珍しいですね。校内を歩き回っているなんて」

束「その声は・・・絵里ちゃん?久しぶりだな!」

絵里「私は何度か見かけてますけどね。でも確かにこうやって話すのはブラックスター以来ですし」

絵里は少し考えるそぶりを見せた後、束に尋ねる。

絵里「束さん。もしよろしければ・・・ちょっとお時間を頂けますか?」

束「・・・?」

 

 

 

その頃、穂乃果達はアイドル研究部の部室に来ていた。しかし入り口のドアには鍵がかけられており、中にも人がいる気配はない。

海未「誰もいないみたいですね・・・」

花陽「副会長から聞いた話ですと部員は今は1人だけらしいですけど・・・」

穂乃果「じゃあその人が来るまでここで待ってよっか?」

その様子を隠れて見ている者がいた。このアイドル研究部の唯一の部員兼部長の矢澤にこである。

にこ「なんであいつらがここにいるのよ・・・」

しばらく廊下の陰に隠れながら様子を見ていたにこだったが・・・

海未「ッ!誰ですか!そこにいるのは!」

にこ「やばっ!バレた!」

海未に気配で感付かれてしまい、にこはその場から逃げ出す。

穂乃果「あー!あの人だよ!穂乃果のおでこにデコピンしたの!」

凛「追っかけるにゃー!」

凛が真っ先に追跡を始める。元々メンバー随一の身体能力を持つ凛である。たちまちにこは追いつかれてしまう。

にこ「このままじゃ・・・ッ!あれは・・・」

にこの目に映ったのは学校内で飼育されているアルパカの小屋。にこは角を曲がると同時に咄嗟にそこへ飛び込む。

凛「あれ?いなくなったにゃ〜?」

追いかけてきた凛はにこが突然姿を消したので辺りを見回す。その後、にこを探しに小屋から離れていった。

にこ「な、なんとか誤魔化せたみたいね・・・」

「〜♪」

にこ「へ?」

そこに小屋にいた白いアルパカがにこの方に近づいてくる。

にこ「ち、ちょっと待って!勝手に入ったのは謝るから・・・」

そう言って後ろに後ずさるにこ。するとドン!と何かにぶつかる。恐る恐る振り返るとそこにはもう一匹の茶色のアルパカがおり・・・

にこ「ひ・・・いやぁぁぁっ!」

にこを探しに凛の後から追いかけてきた穂乃果達がアルパカ小屋に来た所で小屋の中からにこの悲鳴が聞こえるのであった・・・。

 

 

 

 

一方、束は絵里に連れられて生徒会室に来ていた。

束「生徒会室?・・・なんで?」

絵里「私の仕事場みたいなものだし、それにこの時間ならもう役員の生徒は皆帰ってるはずよ」

束「へぇ、絵里ちゃんは生徒会に入ってるのか」

絵里「一応、生徒会長をやらせて貰ってるわ」

束「そりゃすげぇや。・・・え?生徒会長?」

絵里「ええ」

束「・・・生徒会長だとぉぉぉっ⁉︎」

絵里「な、何よいきなり大きな声出して・・・そんなに私が生徒会長だといけないのかしら?」

絵里がジト目で束を見る。

束「あ、えっと・・・その・・・なんだ。う〜んと・・・」

いつか物申そうと思っていた相手が意外な人物であった為どうすればいいいいかわからず凄くもどかしい感じになってしまう束。

絵里「なんか凄い顔になってるわよ?・・・まぁとりあえず入りましょうか」

絵里が生徒会室の扉を開けようとするとそれより一瞬早く、内側から扉が開けられる。

中から出てきたのは・・・

絵里「希?」

希「あれ?えりち?帰るんじゃなかったの?」

生徒会の仕事を終えて帰ろうとする希であった。希は絵里の後ろにいた見覚えのある顔に気づく。

希「おや?誰かと思ったらいつかのお兄さんやん」

束「君は確か・・・あぁ!最大級のパワフルボディの!」

希「誰がレベル99や」

絵里「え?二人とも・・・知り合い?」

初対面にしては妙に砕けたやり取りをする為、絵里が尋ねる。希は束と以前会った事がある事を話した。

希「まぁ、ウチは神社での練習中もずっと見てたけどね」

束「だったら声くらいかけてくれたっていいのにさ」

希「んー、ウチから特に言う事も無かったし。それよりえりちはなんで生徒会室に戻ってきたん?」

絵里「え、えぇ。ちょっと、彼と話がしたくて・・・」

希「ふーん?それじゃ、邪魔者は退散するとしようかな?それじゃお二人さん、ごゆっくり〜♪」

絵里「もう!希ったら!」

茶化すような仕草をして希は帰っていった。その時、去り際に束の耳元でコッソリ囁いた。

希「えりちの事、頼むで?お兄さん」

束「?・・・ああ、わかった?」

その後、気を取り直し、二人は生徒会室の中に入るのだった。

 

 

 

 

にこがアルパカ小屋で穂乃果達に捕獲?され、一同はアイドル研究部の部室へ。そこにはスクールアイドルだけでなく様々なアイドルのグッズ、雑誌などの資料が集められていた。

ことり「す、すごい・・・」

花陽「こ、これは数量限定で発売された幻の・・・!こんな所でお目にかかれるなんて・・・!」

アイドルマニアの花陽は先程から部室内にあるグッズに興奮しっぱなしであり、それがこの部屋にある物が、いかに貴重な物かを物語っている。

にこ「・・・で?何の用?」

にこが不機嫌そうに切り出す。

穂乃果「えっと、私達μ’sっていうスクールアイドルをやってるんですけど・・・」

にこ「知ってるわよ。っていうか自分達のステージ見に来てた人間の顔も覚えてないってどういう事?それでよくアイドルなんて名乗れるわね」

穂乃果「あれ?いました?」

にこ「いたわよ!」

真姫「気付かなかったわ」

にこ「いやアンタは気付きなさいよ!扉の前でコッチ見てたでしょうが!」

真姫「そっちが見るから見るんだってば」

にこ「ほらやっぱり見てるじゃない!ってこのやり取りももう2回目よ!」

海未「・・・話、進めて良いですか?」

とりあえず全員席に座り、話し合いの形をとる。

穂乃果「・・・それで、私達μ’sをアイドル研究部に合流させてもらいたいんです」

にこ「お断りよ」

海未「籍を置かせて頂くだけでいいんです。活動の邪魔になるような事は致しません」

にこ「なんと言われようと同じ、お断りよ。アンタ達はアイドル活動を甘く見てるわ。そんなのと一緒になるなんてまっぴらごめんだわ」

真姫「そんな言い方・・・!」

穂乃果「私達、アイドル活動を甘く見てるつもりなんて・・・」

にこ「いいえ甘く見てるわ。アンタ達にはアイドルとして重要な物が足りてないわ」

ことり「重要な・・・物?」

にこ「それは・・・キャラ作りよ!」

穂乃果「キ、キャラ・・・?」

にこ「そうよ!アンタ達にはキャラ作りが全く出来てない!そんなんじゃお客さんを喜ばせることなんて出来ないわ!まずはちゃんとしたキャラ作りをしなさい!」

キャラ作りが出来ていないと指摘されるも意味がわからず一同は困惑してしまう。

海未「キャラ作りと言われましても・・・どうすればいいのでしょうか?」

凛「あれにゃ!赤はリーダーで青はサブリーダーとか・・・」

海未「戦隊じゃないんですから・・・」

穂乃果「だとしたら食いしん坊の穂乃果は・・・イエロー⁉︎」

海未「真に受けないで下さい!穂乃果!」

花陽「何か決め台詞とか考えてみたらどうでしょうか?」

真姫「決め台詞って・・・例えばどういうのよ?」

穂乃果「皆のハートを撃ち抜くぞー!ラブアローシュート!・・・とか?」

海未「何故あなたがそれを⁉︎」

穂乃果「お兄ちゃんが言ってた」

海未「あの男・・・」

海未の背後に黒いオーラが現れ、その場にいた全員がその殺気の篭った目を見て凍りつく。

にこ「と、とにかく!キャラ作りもまともに出来ないような連中をこの部室に入れる気はないわ!」

穂乃果「じゃあにこ先輩、お手本見せて下さい!」

にこ「に、にこぉ⁉︎・・・わかったわ。よーく見ておきなさいよ・・・」

そう言ってにこは後ろを向く。そして振り返ると

にこ「にっこにっこに〜♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこー♪にこにーって覚えてラブにこっ♪」

「・・・・・」

満面の笑みで自己流のアイドルアピールを披露するが穂乃果達はただ呆気に取られてみてるしかなく・・・。

にこ「どう?アイドル名乗るのならこれくらいはやって貰わないとね」

花陽「なるほど・・・勉強になります!」

凛「ちょっと寒くないかにゃー?」

にこ「なんですって⁉︎」

凛のポロっと出てしまった本音が聞こえてしまい怒るにこ。

にこ「出てってちょうだい!早く出てって!」

にこを怒らせてしまい部室から閉め出されしまう穂乃果達。これでアイドル部合流の道は困難になってしまった。

 

 

 

部室から穂乃果達を追い出し鍵をかけたにこ。

にこ「はあ、はあ、何なのよあいつら!・・・ん?CDボックスが落ちてる・・・」

さっきのドタバタの際に落ちたのだろうか、CDが十数枚ほど纏まったボックスが棚の上部から落ちていた。だいぶ古い物なのか埃まみれである。

にこ「こんなCDのセット持ってたかしら?・・・ま、いっか。とりあえずここに置いときましょうっと」

にこはCDボックスを机の上に置いたまま、部室を出た。

その際、CDボックスが一瞬怪しく光り、カタカタ震えたのには気づかなかった・・・。

 

 

 

 




気がついたらいつもの倍くらい書いてました。
やはりこの辺りは原作知識がうろ覚えじゃキツイですかね・・・

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