ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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ここまで意外と出番の無かった(入れられなかった)先輩がようやく出せました。タイトルは言いたかっただけです。陽電子砲もシールドも出ませんがよろしくです。


第6話 ヤザワ作戦 その1 “fromにこ襲来”

一年生の加入から1週間ほど過ぎたある日。束は放課後の練習に参加しない日だったので夕飯の買い物にスーパーに来ていた。基本的には穂乃果の母がいつも作ってくれるのだが忙しい時などは束が代わって作る事も多い。

束「今日は卵と豚肉が安いのか・・・親子丼ならぬ他人丼でもいいかな」

束は手慣れた様子で買い物を済ませレジに向かう。その途中、何やら人が集まるコーナーがあるので覗いてみる。

束「苺か・・・旬の時期が終わったんで値下がりしてるのか・・・そーいや穂乃果が好きって言ってたっけ」

特売で安くなっていた為か集まった人が次々とパックを手にとっていき、パックの山はみるみる内に無くなっていく。

束「あと一個・・・まぁ最近練習頑張ってるし、買っていってやるか」

束は最後の一パックを手に取る。すると・・・

「ああっ⁉︎」

突然聞こえた声に驚き、束の手が止まる。声の方へ振り向くとツインテールの少女がこちらを見ている。急いで来たのだろうか、息を切らしている。

束「えーと・・・持ってく?」

束は持っていた苺のパックを少女に差し出す。

「う・・・い、要らないわよ!別に苺なんて好きじゃないし!そっちが先に取ったんだから持っていけばいいじゃない!」

そう言って少女はそっぽを向くが、チラチラ苺をみている。

束「持っていきなよ。走ってきたって事はどうしてもコレが欲しかったんだろ?」

「走ってないし!別に妹達に買っていってあげようなんて思ってないんだから!」

束「なるほどね・・・」

事情が大体わかった束は少女に苺を譲ろうとするが少女も一歩も引かない。

束「いや、でも・・・」

「いいから持っていって!」

束「しかしだな・・・」

「しつこい!」

束「OK。わかった、こうしよう。ここにコインが一枚あるだろ?コレを上に投げて手の甲でキャッチして、表が出たら君が、裏が出たら俺が持っていく事にしよう。それなら平等だし文句は無いよな?」

「・・・ま、まぁ・・・それなら・・・しょうがないわね・・・インチキとかは無しよ?」

束「怪しいと思うなら君が投げればいいさ」

そう言って束は少女にコインを渡す。その時、束の手が一瞬光りその光がコインに流れ込んだ。

「じゃ、いくわよ」

少女がコインを上に投げ、落ちてきたコインを少女が手の甲でキャッチする。その結果は・・・

束「あちゃー、表か。仕方ない、この苺は諦めるよ」

そう言って束は苺のパックを少女に渡すと足早にその場を去る。

「あ!ちょっと!」

少女が呼び止めようとするが束の姿は人混みの中に消えた。

 

 

 

レジで会計を済ませ、スーパーを出た束。

束「苺はまた今度だな。さて、代わりに何買ってってやろうかな・・・」

そんな事を考えながら歩いていると後ろから先程の少女が追いかけてきた。

「見つけた!待ちなさーい!」

束「ん?君は・・・また君?」

「はぁ・・・はぁ・・・やっと見つけたわ・・・ハイコレ、忘れ物よ」

少女はそう言って先程の苺のパックを束に渡す。

束「それはさっき君が手に入れたじゃんか?」

「でも先に手にしてたのはあなたでしょ?これはやっぱりあなたが貰うべきよ」

束「律儀だねぇ・・・まだ幼いのにしっかりしてるっていうか・・・」

「・・・言っとくけど、私今年で18だから」

束「18⁉︎穂乃果の一個上⁉︎ウソだろ⁉︎」

「なんか文句ある?どうせ私は小さいわよ!」

束「ま、まぁ・・・需要はあるさ・・・多分」

「それどうゆう意味よ!」

すっかり苺の事など忘れて話し込む二人。気がつけば時刻は午後7時を回っていた。

束「っともうこんな時間か。日が伸びてきたから気づかなかったぜ」

「そうね。そろそろ帰らないと・・・」

束「可愛い妹が苺楽しみにして待ってるからな」

「ど、どうして妹がいるってわかったのよ⁉︎」

束「自分でさっき言ってたじゃん・・・。とにかく苺は持っていってやんな。大丈夫、ウチの『妹』は我慢できるからさ」

「う・・・わかったわ。ありがとうね。変なお兄さん」

束「変なお兄さんはやめてくれよ。俺には束って名前があるんだぜ?小さいお姉さん?」

「私にだって にこ って名前があるんだから、小さいお姉さんはやめなさいよ」

束「あいよ。じゃあな、にこちゃん」

にこ「じゃあね、束」

そうして別れの挨拶を済ませると束は帰っていった。

にこ「なんか・・・不思議な感じの男だったわね・・・前にどっかであったかしら・・・?」

 

 

 

その夜、穂むらでは・・・

穂乃果「えぇ〜⁉︎なんで苺買うのやめちゃったの⁉︎」

束「仕方ないだろ。夕飯には関係無いんだし、また今度見てやるよ」

穂乃果「ヤダヤダ!穂乃果は苺が食べたい!」

束「子どもか!駄々をこねるな!いい歳して!・・・全く、にこちゃんの爪の垢でも煎じて飲ましてやりたいぜ・・・」

穂乃果「何か言った⁉︎」

束「何でもねーよ!」

 

 

 

翌朝

束「穂乃果ァ!ウェイクアップ!今日も1日キバっていくぜ!」

穂乃果「・・・なんで今日は朝からそんなハイテンションなの・・・?」

いつものメニューである早朝のトレーニングの為、穂乃果と二人で神社に向かう束。するとことりが既に来ていたが何やら様子がおかしい。

束「おはよう、ことりちゃん。どうかした?なんか向こうをジッと見てるけど・・・」

ことり「あ、穂乃果ちゃんのお兄さん、おはようございます。それが・・・何か誰かがずっと見てる気がして・・・」

ことりの指差す方向を見るが特に変わった所はない。

穂乃果「じゃあ穂乃果、ちょっと見てくるね!」

そう言って穂乃果はことりの指差した場所に向かって走っていく。そして曲がり角を曲がった途端、

穂乃果「うわぁっ⁉︎」

穂乃果の声がしたのでことりと束が走っていくとおでこの所がぶたれた様に赤くなって倒れていた穂乃果を発見する。

束「穂乃果!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

ことりに穂乃果を任せて束は辺りを捜索する。しかし怪しい人影は見つけられなかった。

束「一体誰が・・・」

魔力憑き騒動も最近起こっていなかったのでその可能性も視野に入れ、辺りをもう少し探してみる事にした束。

すると近くの茂みで見覚えのある人影を見つける。

束「待て!・・・あれ?にこちゃん?」

にこ「つ、束⁉︎き、奇遇ね・・・こんな所で会うなんて」

そう言うにこは手に持っていたサングラスとマスクを慌てて鞄に隠した。

束「にこちゃん、この辺で怪しい奴見なかったか?怪しい現象でもいいけど・・・」

にこ「さ、さあ?にこ、今来たばかりだからわかんな〜い」

束「そ、そうか・・・もし、何か変わった事があったら教えてくれるか?それじゃ」

何やら甘い感じの声色で話すにこに多少の違和感を覚えつつも束はにこと別れた。

にこ「な、なんで束がここに・・・?」

 

 

 

 

 

その日の放課後、仮部室(束の部屋)

海未「それで、その怪しい人物にμ’sを解散しろ。と言われたのですか?」

穂乃果「うん。サングラスとマスクをしてたから顔はわかんなかったけど、声は女の子だったよ」

穂乃果の額には絆創膏が貼られていた。

花陽「一体誰がそんな事を・・・」

真姫「もしかしたら他校のスクールアイドルとかじゃないの?私達の人気が出てきたから嫉妬してるとか」

凛「えー!人気者になるのは嬉しいけど、おでこ叩かれるのは嫌だにゃー!」

ことり「穂乃果ちゃんのお兄さんはどう思います?」

束「うん、そうだな・・・とりあえず・・・」

穂乃果「とりあえず?」

束「・・・この部屋に7人は狭すぎるだろぉぉぉっ!」

穂乃果「うわぁっ⁉︎いきなり大声出さないでよ〜。だってしょうがないでしょ?部員を5人以上集めないと部として認めて貰えなくて、部室も貰えないんだから」

束「穂乃果、今この場にμ’sのメンバーは何人いる?」

穂乃果「μ’sのメンバー?えぇと、穂乃果でしょ?海未ちゃんでしょ?ことりちゃんに、花陽ちゃんに、凛ちゃんに、真姫ちゃんで・・・6人!」

束「部として認めて貰う為の人数は?」

穂乃果「5人!・・・あ」

束「早急に部としての申請を取るように」

穂乃果「・・・はい」

 

 

 

 


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