ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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一年生編クライマックスです。
拙い文章ですがよろしくお願いします


第5話 勇気の魔法 その4 “fromまきりんぱな”

束「はぁ〜・・・」

穂乃果の母「束くん、お店番している時は溜息つかないでちょうだい?お客さんへの印象悪いから」

束「あ、すいません」

昨日のバスケット対決で凛に逃げられてしまった束。いままでμ’s勧誘にことごとく失敗している為、この先どうすればいいかで悩んでいた。

束(まさかあそこで凛ちゃんが逃げ出すとは想定外だったな・・・なんか顔赤かったし熱でもあったのか?・・・それよりメンバーどうするか・・・思い切って希ちゃんとか誘ってみるか?)

穂乃果の母「束くん!」

束「へ?あ、はい!」

穂乃果の母「大丈夫?まだ調子良くないんじゃないの?なんかうわの空だし・・・。今日はもう上がっていいからゆっくり休みなさい」

束「でも・・・」

穂乃果の母「休みなさい。今日はそんなに忙しくもないし、あなたの身体の方が大切だわ」

束「・・・わかりました」

 

 

 

音ノ木坂学院

花陽は自分の席でμ’sのメンバー募集のチラシを見ていた。昔からアイドルに憧れていていつかアイドルになりたいと思っていた。それでも自分に自信が持てず踏み出せなかった。しかしそんな自分に手を差し伸べてくれた人、応援してくれる人に出会った事で彼女の中で何かが変わり始めていた。

凛「おっはよー!かよちん!何見てるの?」

花陽「きゃあ!・・・凛ちゃん、おはよう」

後ろから凛が花陽に話しかける。花陽も驚くがすぐに相手が凛だとわかり笑顔で挨拶を返す。凛は花陽の持っていたチラシを目にするが昨日の事を思い出してしまったのか顔が赤くなりその場で俯いてしまう。

凛「そ、それは・・・。かよちん、μ’sに入ってアイドルになるの・・・?」

花陽「え⁉︎え・・・と・・・まだ決めた訳じゃないんだ・・・けど・・・」

気持ちはとうに決まっている筈なのだがいざ聞かれると伝える事が出来ず、こちらも俯いてしまう。お互いに恥ずかしさで沈黙してしまう。

真姫「何してるのよ?二人で見つめあっちゃって・・・」

後から教室に来た真姫がに声を掛ける。

花陽「あ、西木野さん、おはよう。昨日はありがとう」

真姫「別にいいわよお礼なんて・・・。それよりどうするの?今日行くの?」

花陽「えーと・・・その・・・あの・・・」

モジモジしている花陽を見て真姫が溜息をつく。

真姫「はぁ・・・まだ恥ずかしがってるの?言ったでしょ。自信を持って行けば大丈夫だって。・・・まぁ、どうしてもって言うんなら一緒に行ってあげてもいいけど・・・」

真姫が顔を背けながら花陽に言う。そこでやり取りをずっと見ていた凛が・・・

凛「西木野さん!何の話をしてるの!かよちんは今凛と話してたんだよ!」

途中で話に割って入り、尚且つ花陽と親しげに話す真姫に対し凛は不快感を露わにする。

真姫「な、何よ!私はこの子がアイドルになりたいって言うからアドバイスをしてあげてたのよ!」

凛「やっぱりかよちんはアイドルになりたかったんだね!だったら先輩達の所に行こう!凛が一緒に行ってあげる!」

そう言って凛は花陽の手を掴んで連れて行こうとする。もはや自分がさっきまで恥ずかしがっていた事も忘れている。

真姫「待ちなさい!無理矢理連れて行っても意味が無いわ!この子が自分からやりたいって言わないと!」

凛「かよちんは昔からずっと迷っちゃうから決める時はパッと決めてあげた方が・・・」

そこで凛は昨日、束に言われた事を思い出す。

束『友だちを引っ張ってあげる事も大事だけどさ?それだけじゃあ駄目なんだよ。引っ張られて踏み出した一歩は自分の意思で踏み出した一歩じゃないから・・・』

凛(もしかして・・・お兄さんの言ってた事って・・・)

束の言葉の意味を悟り、凛は引っ張っていた花陽の手を離す。

花陽「凛・・・ちゃん?」

凛「・・・ねえ、かよちん。かよちんは・・・スクールアイドルに・・・なりたいの?」

凛は花陽の事を見つめながらゆっくりと尋ねる。花陽は始めは中々言い出せない様子だったが、やがて凛の事を見て答える。

花陽「・・・私、昔からアイドルが大好きでいつか本物のアイドルになれたらいいなって思ってて・・・それは、今でも変わらない。だけどね?もし、もしもだけど・・・」

花陽はそこで一度声が小さくなり話すのが止まってしまうが再び声を出して凛に伝える。

花陽「もし、私がスクールアイドルをやりたいって言ったら・・・凛ちゃんも一緒にスクールアイドルになってくれる?」

凛「凛が・・・スクールアイドルに?」

それは昨日束からも言われた言葉でもあった。

凛「でも、凛はあまり女の子らしくないし・・・スカートとかきっと似合わないよ!」

花陽「花陽はね?凛ちゃんに感謝してるの。明るくて、優しくて元気一杯で、いつも隣にいてくれて花陽の事を助けてくれて・・・一緒にいると元気が貰えて笑顔になれるから・・・」

凛「かよちん・・・」

花陽「アイドルもね、見てると元気が貰えるんだよ。ステージの上で歌ったり、踊っている姿が可愛くてキラキラしてて・・・それを見てるだけで不思議と元気が貰えて笑顔になるの。だから凛ちゃんもきっとそんな可愛くてキラキラして、皆に元気をくれる素敵なアイドルになれると思うんだ」

凛「凛が・・・アイドルに・・・」

花陽「だから・・・凛ちゃんも一緒に!スクールアイドルになってくれますか?凛ちゃんと一緒なら・・・花陽ももっと頑張れると思うから!」

花陽はそう言って手を差し出す。凛は最初は躊躇っていたが花陽の言葉を聞いて心が決まったのかその手を取る。

その様子を黙って見ていた真姫だったが

真姫「ほら、二人共、早く屋上に行きましょ?先輩達帰っちゃうわよ?」

凛「西木野さん?」

真姫「私もついて行ってあげるわ。・・・勘違いしないでよ?私は別にアイドルになりたい訳じゃないんだから」

真姫はそう言って顔を背けると先にスタスタ歩いて行ってしまった。その様子を見た花陽と凛はお互いクスッと笑いながら後を追いかけた。

 

 

 

 

音ノ木坂学院 屋上

束「はぁ〜・・・」

放課後の練習に顔を出した束だが相変わらず溜息ばかりで

元気がない。

海未「束さん、そんなに落ち込まないでください。部員探しは元々は私達の仕事ですし・・・」

束「いや・・・心当たりがあるなんてデカイ口叩いといて・・・面目ねぇ・・・」

ことり「そんなに急ぐ事でもないですから・・・。ゆっくり探していきましょ?」

その時屋上の扉が開く音がして、4人はそちらをみる。

束「花陽ちゃん?凛ちゃんに真姫ちゃんも・・・」

花陽は一度凛達の方を見た後、意を決したのか穂乃果達の前まで来るとハッキリとした声で自分の意思を伝える。

花陽「私、一年の小泉花陽といいます!アイドルにずっと憧れていて・・・声も小さくて恥ずかしがり屋でドジな所もありますが・・・アイドルへの思いだけは誰にも負けません!だから・・・私をμ’sに入れてください!お願いします!」

花陽はそう言って深く頭を下げる。少しの沈黙の後、花陽がゆっくり顔をあげると、穂乃果が手を差し伸べていた。

穂乃果「大歓迎だよ!よろしくね、花陽ちゃん!」

穂乃果が笑顔で花陽を迎え入れる。

凛「良かったね!かよちん!」

花陽「凛ちゃん!」

凛も花陽の事を自分の事の様に喜び、そしてそのまま花陽の所に行く。

凛「かよちん、凛もやるよ!かよちんが自分で一歩踏み出したんだもん!凛も一緒に頑張るにゃー!」

凛は穂乃果の方に向き直り、加入の意思を伝える。

凛「一年の星空 凛です!これからよろしくお願いします!先輩!」

穂乃果「うん!凛ちゃんだね!こちらこそよろしくね!」

凛「お兄さんの事はまだちょっと恥ずかしいけど、負けないように頑張るにゃ!」

束「へ?俺?」

凛「だって昨日ずーっと凛の事ジロジロ見てたでしょ?」

穂乃果「え、えぇーっ⁉︎」

海未「束さん・・・あなたまさか・・・」

ことり「学生さんとそういう事をするのは・・・大人としてよくないとことりは思うな?」

束「いやいやいや!ちょっと待って⁉︎皆なんか誤解してる!俺が見てたのは凛ちゃんの身のこなしの良さであって決してやましい気持ちで見てた訳じゃ・・・」

凛「そ、そうなの⁉︎」

弁明をする束と真相を知り、自分の勘違いだとわかり一気に恥ずかしさから顔が真っ赤になる凛。少し涙ぐんでいる。

穂乃果「あー!お兄ちゃんが女の子を泣かしたー!」

海未「あなたは最低です」

ことり「これは責任を取らないといけませんね♪」

束「俺か⁉︎俺のせいなのか⁉︎」

普段イジられている事もありここぞとばかりに集中砲火を浴びせる二年生組。しばらく顔を赤くして黙っていた凛だったが・・・

凛「よくも凛の純情をぉぉぉ!もう怒ったにゃあぁぁぁっ!」

勢いよく束に飛びかかる凛。

束「ぐふっ⁉︎ちょ!凛ちゃんやめてー!引っ掻かないでー!」

凛「にゃー!」

そんなやり取りを黙ってみていた真姫。その顔は本人でも知らずのうちに微笑っていた。そこに海未か声を掛ける。

海未「それで?あなたはどうするんですか?」

真姫「えっ⁉︎」

ことり「メンバーはまだまだ募集中だよ?」

真姫「わ、私は・・・」

言葉に詰まる真姫に、凛に馬乗りされたままボロボロになった束が声をかける。

束「真姫ちゃん、何も俺は作曲が出来るってだけで誘った訳じゃないんだぜ?君が歌やピアノが好きだと、音楽が好きだと思ったから誘ったんだ」

真姫「わ、私は別に好きなんかじゃ・・・」

束「真姫ちゃんの家は病院だろ?なら大学は音大じゃなくて医大に行くつもりなんじゃないか?医大の勉強の事はよくわからないけど、大学に行ったら音楽が続けられないかもしれない。だから毎日放課後に音楽室に来ていたんじゃないか?」

真姫「そ、そんな事・・・」

束「少なくとも、音楽が好きだって事は俺にもわかるさ。でなきゃ毎日やろうだなんて思わないだろ?」

束に指摘された真姫は顔を背けてしまう。

束「好きだっていう気持ちを隠す必要なんてないんだよ。少なくともここにいる人達は、受け入れてくれる筈だ」

穂乃果「西木野さん」

穂乃果が真姫の前に来て手を差し出す。

穂乃果「一緒にスクールアイドル、やってみよう?やっぱり私、西木野さんが良いの!」

花陽「西木野さん!」

凛「西木野さん!」

花陽と凛も真姫に手を差し伸べる。少しの間、黙っていた真姫だったが・・・

真姫「はぁ・・・わかったわよ。ま、確かに私じゃないと作曲は出来なさそうだし」

そう言って真姫は穂乃果達の手を取る。

花陽「ありがとう!西木野さん!」

真姫「・・・真姫よ」

花陽「え・・・?」

真姫「名前で・・・呼んで。私も・・・そうするから・・・花陽」

花陽「・・・うん!よろしくね!真姫ちゃん!」

凛「わぁ〜い!真姫ちゃーん!真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!」

真姫「ちょっ、くっつかないでよ!凛!」

一年生の様子を見ながらとりあえずホッとする束。顔中に引っ掻き傷が出来ている。

穂乃果「大丈夫?お兄ちゃん?」

束「まぁ・・・なんとかな」

穂乃果「ありがとうね。穂乃果達の為に、また頑張っちゃったんでしょ?」

束「そんなんじゃねぇって」

そう言いながらも束の顔はとても嬉しそうで、そんな束の顔を見ながら穂乃果もまた同じように嬉しそうに笑うのだった。

 

 

 

 




という訳で一年生編とりあえず終了です。
結局アニメを復習する事なく記憶を頼りに進めたので細かな部分は異なってるとは思いますが・・・
今回の一年生編では地の文での説明が下手だなぁと思い知らされました・・・

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