ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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第5話 勇気の魔法 その3 “fromまきりんぱな”

花陽のこれからの事で対立した束と凛。言い争っても拉致があかないので、勝負で決める事になった。その勝負とは・・・

束「最初に言っておく!俺はかーなーり!強い!」

凛「凛だってスポーツなら自信あるよ!絶対負けないにゃー!」

音ノ木坂学院から少し離れた所にある公園。そこには一箇所だけバスケットのゴールが設置されている。勝負はこのバスケットゴールを使用した1on1で行う事になった。

凛が勝てば束は花陽に関する事から一切手を引く。負ければ凛がμ’sに加入する。という約束だ。

・・・最も、束はこの勝負の結果だけで凛をμ’sに誘うつもりも無いのだが。

束「じゃ、俺から行くぜ?かつて『東洋の魔法使い』と呼ばれた俺の実力を見せてやる!」

凛「それはバレーだにゃ!」

束は(魔法で)用意したバスケットボールをドリブルしながらゆっくりと走り出し、ゴール下にいる凛に向かっていった。

 

 

 

一方その頃、花陽は真姫の家の前にいた。

花陽「お、大きいなぁ・・・」

豪邸と呼ぶにふさわしいその外観に圧倒されつつも花陽はインターフォンを鳴らす。すぐに若い女性の声が聞こえる。

「はい?どちら様でしょうか?」

花陽「えっと・・・西木野さんのクラスメイトで小泉花陽といいます。西木野さんの生徒手帳を拾ったので届けに来ました。西木野さんは帰っていますか?」

「あら、そうなの?真姫はまだ帰ってきてないの。もし良かったら上がって待っていて貰えるかしら?」

花陽「は、はい!お邪魔します・・・」

真姫が帰って来るまでの間、リビングで待たせてもらう事になった花陽。初めて来る場所に緊張しているからかソファーに座りソワソワしていると真姫の母親がお茶とお菓子を用意してくれた。

真姫の母「でも嬉しいわ。真姫ちゃんのお友達がきてくれるなんて。あの子、高校での話とかしてくれないから」

テーブルにお茶を置きながらそう言う真姫の母。その時遠くでドアの開く音がした。

真姫の母「あら、帰って来たみたいね。おかえりなさい真姫ちゃん。お友達が来てるわよ」

真姫「友達?・・・!あなた・・・」

玄関で母に迎えられた後リビングに来た真姫は花陽の姿を見ると少し驚いていた。花陽も真姫に対し小さく会釈を返した。

 

 

 

 

一方その頃、束と凛のバスケット1on1対決では・・・

束「くっ!速い!」

凛の予想以上の身体能力に束は苦戦していた。正確には別の事に意識を向けていた為、動きにキレがないのが原因なのだがそんな事は御構い無しに凛は攻勢をかけてくる。

凛「取ったにゃ!」

バシィッ!

束「ッ⁉︎しまった⁉︎」

一瞬の隙を突かれ、束はボールを叩き落とされてしまう。

攻守が交代し、凛がドリブルをしながら束がゴール下に着くのを待つ。

凛「ふふーん!やっぱり凛のが強いみたいだね!」

束「・・・・・」

束は黙って凛をジッと見る。

凛「な、何?そんなジロジロ見ないで欲しいにゃ・・・」

先程の勝負中からずっと束が凛の事を見つめるのでそれが気になってしまう凛は段々恥ずかしくなってきてしまい顔がみるみるうちに赤くなっていく。

凛「も、もう!さっきからずーっとコッチ見て何なのー!」

束「・・・・・」

凛を問いかけにも答えず束は只ジッと凛の事を黙って見つめるのであった・・・。

 

 

 

 

西木野家 リビング

テーブルを挟んで向かい合って座る花陽と真姫。最初は何とも言えない微妙な沈黙があったがやがて花陽が切り出す。

花陽「あの・・・西木野さん、コレ・・・西木野さんのだよね?」

花陽は生徒手帳を真姫に渡す。

真姫「コレ・・・何処で・・・」

花陽「μ’sのチラシが置いてあった所に落ちてたの。・・・西木野さん、スクールアイドルに興味あるの?」

真姫「ヴェェ⁉︎な、なんで私が⁉︎」

花陽「μ’sのチラシ、持って行ってたの見たから・・・。それに西木野さん作曲も出来るし、歌も上手だから、アイドルになったら・・・カワイイだろうなぁ・・・って」

真姫「わ、私が・・・カワイイ?・・・あ、あなたはどうなのよ?アイドル、やりたいんじゃないの?」

花陽「そんな!花陽なんかじゃムリですよ!おっちょこちょいで恥ずかしがり屋で・・・声も小さいし・・・」

真姫「あなた、声は良いんだから発声の仕方さえちゃんとすれば、歌だって上手くなって自信がつくと思うわ」

そう言うと真姫はソファーから立ち上がる。

花陽「西木野さん?何処に・・・」

真姫「私の部屋よ。言ったでしょ?発声の仕方をちゃんとすれば良くなるって。ちょっとだけなら練習に付き合ってあげてもいいわ。ほら」

そう言って真姫は花陽の手をとる。

花陽「え?で、でも・・・」

真姫「やらないでジーッとしてても、ドーにもなんないでしょ?まずはやってみてそれから考えても遅くはないわ」

花陽「西木野さん・・・どうしてそこまで・・・」

真姫「・・・私の曲、聴きたいって言ってくれたから・・・」

真姫が花陽に聞こえないくらいの小さな声でポツリと言った。脳裏にはμ’sのファーストライブの時の光景が蘇る。

花陽「え?」

真姫「な、なんでもない!ほら、時間無いんだから急ぐわよ!」

 

 

 

 

公園 バスケットゴール前

凛「うぅ〜、何なのにゃ〜?ずーっとコッチ見て黙ってるにゃ〜?」

束の視線に完全にペースを乱され動きが悪くなる凛。一方束は凛の事を目で追いながらもプレーそのものは出来ており、徐々に点差が開き始める。

束「よっと!」

凛「ああっ⁉︎」

最後は遠方からのスリーポイントシュートが決まり決着がつく。

束「勝負あり、だな。俺に勝とうなんざ・・・二万年早いぜ」

某光の巨人よろしく右手を前に突き出しながら決めポーズを取る束。

凛「だってアレはお兄さんが凛の事をずっと見つめるからだもん!あんなにジッと見られたら・・・恥ずかしいにゃあ・・・」

顔を真っ赤にしながら俯く凛。どうやらそういう事には耐性が無いらしい。

束「?ああ、悪い悪い。つい見とれちゃってな」

・・・実は束がこのバスケット1on1対決を行なった理由は

凛の身体能力を確かめる為であった。反射神経やとっさの判断能力、瞬発力、ステップやターンなどの動き、そして長時間動けるスタミナ。ダンスに必要な技術をどれくらい持っているかを確認する為、束はずっと凛の動きを見ながらプレーをしていたのだった。途中でどういう訳か動きが極端に悪くなったがそれ以前は流石の身体能力という事でその鮮やかな動きに見とれていたのは事実だった。束は改めて、凛をμ’sに誘おうと思ったのだが・・・

凛「ッ⁉︎み、見とれ?え?見とれちゃってって・・・」

凛の赤面が最高潮に達しそして・・・

凛「にゃああああっ!」

そのまま叫びながら走り去ってしまった・・・。

束「あ!おい!待てよ!約束はどーすんだよー!」

束が大声で呼ぶが凛が帰ってくる事は無かった・・・。

 

 

 




さーてこの後どーしよ・・・(ノープラン)

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