ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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まきりんぱな回ですが安定の脱線模様でございます


第5話 勇気の魔法 その1 “fromまきりんぱな”

『魔の13階段』事件から数日、学院内もすっかり落ち着き平穏な日常に戻っていた。穂乃果達もいつも通り屋上で練習に励んでいた。そこには何故か部外者であり、女子校には入れないはずの束の姿もあった。

実は以前から穂乃果達は学院内での練習に束の力を借りる事が出来ないか相談しており、結果的にことりが学院の理事長を務める自分の母親に『お願い』した事で、放課後限定で学院内の出入りが許可されたのだ。

ただ運悪く、束が事情を聞いて許可証を受け取ったのが前述のあの事件の直後だった為、それから束はほぼ毎日女生徒達の厳しい視線に晒されながらの登校を余儀なくされるのであった・・・。

束「穂乃果、ステップする位置ズレてる」

穂乃果「え?そう?」

束「ことりちゃんはセンター入れ替わりのタイミングで少し2人から離れちゃってるな」

ことり「はい、次は意識してやってみますね」

束「海未ちゃん、ラブアローシュートはさすがに無いんじゃないかなぁ?」

海未「なんで私だけダンスのアドバイスじゃ無いんですか!というかなんでラブアローシュート知ってるんですか⁉︎」

こんな感じで屋上での練習を毎日続けているが、まだ問題は山積みな訳で・・・

穂乃果「部員を集めなきゃ!」

束「唐突だな・・・」

ことり「正確には、部員を最低でもあと2人以上集めないと部として正式に認可されないんです」

束「会長はスクールアイドルの活動を許可してくれたんだろ?」

海未「アイドルとしての活動を許可しただけであって、アイドル部としては認められてないんです。部活として認められなければ予算も貰えません」

ことり「衣装とかも材料でお金が掛かるし、お小遣いだけじゃちょっと厳しいかなぁ・・・」

束「随分と意地悪いよなぁその生徒会長。一度くらいはツラ拝んで見たいぜ」

・・・この男はまだ絵里が生徒会長だと気づいていないのである・・・。

穂乃果「とにかく今は部員集め!またライブの時みたいにチラシ配ったり声掛けて誘ってみたりしてみよ?」

束「ライブの時・・・か」

海未「束さん?どうかしましたか?」

束「ん?あ、いや何でもないよ。ちょっと心当たりがあってね」

ことり「ホントですか⁉︎」

束「あー、まぁどうなるか分かんないから・・・期待しないで待ってて」

穂乃果「えー⁉︎」

 

 

 

音ノ木坂学院 音楽室

練習後、束は穂乃果達と別れた後、音楽室に来ていた。予想通り真姫がピアノを演奏していた。束は音楽室に入る。

束「よっ、相変わらずいい演奏だね」

いきなり現れた束に対し、真姫は驚きを隠せず・・・

真姫「ヴェェッ⁉︎な、何してるのよ!ココ女子校よ⁉︎は、早く出てって!お、大きな声出すわよ⁉︎」

束「あーっ⁉︎待って!待って!ストップ!ストーップ!貰ってる!理事長から許可貰ってる!ほら!許可証!見て!見て!今叫ばれたら色々困る!」

お互いパニックになりその場で慌てふためく二人。その後何とか事情を説明し分かって貰えた・・・。

 

 

 

真姫「・・・で、私に何の用です?」

何とか落ち着きを取り戻した真姫が不機嫌そうに尋ねる。

束「えーと・・・まずはこの前のライブ、曲を提供してくれてありがとうって事。おかげで助かったよ」

真姫「べ、別に・・・あれくらいの曲、作るの訳ないし」

真姫はそっぽを向きながら答える。

束「ライブ会場にも来てくれたんだろ?どうだった?穂乃果達のライブ?」

真姫「来てくれたんだろ?ってあなたも居・・・ああ、意識無かったんだっけ・・・」

真姫はそれまで座っていたピアノの座椅子から立ち上がり窓の方へ向かう。

真姫「私が作曲したんですもの。あれくらいはやって貰わないと。・・・ただ・・・」

束「ただ?」

真姫「とても楽しそう・・・だった。私も同じ歌を歌っていた筈なのに・・・私の歌より、明るくてキラキラしてる様に・・かな感じた」

窓の方を向いている為、束からはその表情は読み取れない。

束「穂乃果から聞いたが・・・真姫ちゃんはアイドルの曲は軽い感じがして好きじゃないみたいだが・・・楽しそうって事は軽く感じたって事かな?」

真姫「・・・ううん、上手く言い表せないけど・・・軽くは感じなかったわ。ただ、笑顔で歌って踊っている姿が楽しそうだった」

束「なら、俺達のライブは大成功だな」

真姫「え?」

束「見ているお客さんに楽しそうだと思って貰えた。それはアイドルとしては大成功だろ?そしてそんな楽しそうだと思って貰える曲を作ってくれたのは・・・君だ」

真姫「わ、私はそんな・・・」

束「何一つ欠けてもあのライブは成り立たなかった。穂乃果が前に言ってた事がよく分かったよ。アイツ言ってたぜ、君の曲がいいんだって、だからもし良かったら・・・」

真姫「・・・おだてたって何も出ないわよ。曲を作るのはこれっきり。後は他の人を探してちょうだい」

そう言うと真姫は音楽室を足早に出て行ってしまった。

束「やっぱダメかぁ・・・」

 

 

 

 

その夜、束の部屋

穂乃果「あ、おかえり、お兄ちゃん。遅かったね?」

海未「お邪魔してます。束さん」

ことり「おかえりなさい♪マカロン食べますか?」

束「・・・・・」

自室に帰ってきた束は暫く黙ってしまう。

穂乃果「?どうしたの?お兄ちゃん?」

束「・・・いや、お前ら何平然と人の部屋でくつろいでんだよ⁉︎」

穂乃果「だって、私達部室無いし・・・」

ことり「教室で話せる事や出来る事も限界があるし・・・」

海未「部として認めて貰い、部室が確保出来るまでの間はここを仮部室としようと言う事に」

束「と言う事に・・・じゃねぇよ!穂乃果の部屋でやればいいだろ!」

穂乃果「いや〜、穂乃果の部屋、狭くて踊れないし・・・」

束「しかも踊る気かココで⁉︎」

穂乃果「ダメ?」

束「ダメだよ!当たり前だろ!」

海未「仕方ありません・・・ことり!」

海未の合図を受けてことりが立ち上がりゆっくり束に近づき目の前に来る。そして束の両手を握り・・・

ことり「穂乃果ちゃんのお兄さん・・・お願いっ!」

束の眼前で瞳を潤ませながらながら懇願する。その少し憂いを帯びた表情が束の良心回路に負荷を掛ける。

束「こ、ことりちゃん・・・それ、ズルイって・・・」

ことり「お願いっ!」

束「い、いや・・・」

ことり「お願いっ!」

束「だぁーっ!分かったよ!ただしダンスは無しだ!」

ついに折れる束。

穂乃果「よっしゃー!穂乃果達の完全勝利!」

束「お前何もしてないだろ!」

一刻も早く部員を集めなければ、と決意を新たにする束だった・・・。

 

 

 

 

数日後、束はある人物と待ち合わせをしていた。その相手とは・・・

花陽「すみません!遅くなりました!」

秋葉原の駅前で束が待っていると花陽が息を切らしながら走ってくる。

束「時間通り来てるんだから急がなくて良かったのに」

花陽「お、お待たせしたら・・・悪いと思って・・・」

立ち止まり、息を整える花陽。束はバックに入れていたお茶を渡す。

束「これ飲んで落ち着きな?」

花陽「あ、ありがとうございます・・・」

その後、束は花陽にファーストライブについて聞いてみる。アイドルに関しては知識の深い花陽。色々と専門的な用語を使い懇切丁寧に教えてくれた。しかし束は・・・

束「あー、そういう事ね。完全に理解した」

・・・分かってなかった。

このままでは拉致があかない為、束は思い切って本題を振ってみる。

束「花陽ちゃん、μ’sに入らないか?」

花陽「えっ⁉︎わ、私が・・・μ’sに・・・?」

束「花陽ちゃんの力が必要なんだ」

花陽「で、でも・・・私、恥ずかしがり屋でおっちょこちょいで・・・とてもアイドルなんて・・・」

束「分かっていれば対策もとれる。それに・・・それは花陽ちゃんの最大の武器になる」

束の目が怪しく光る。

花陽「ぶ、武器・・・ですか?」

束「いいか花陽ちゃん?まず君は自分の事を恥ずかしがり屋と言ってたね?しかし男の方からみれば自分を見て女の子が恥ずかしそうにしているだけで「あれ?もしかしてこの子俺に気があるんじゃね?」なんていう馬鹿げた錯覚に陥るんだ。この子は自分にとって特別な存在と思わせるそれだけでファンが重要視されるアイドル界においてはこの上ない武器になるんだ。次におっちょこちょいって言ってたね?素晴らしいじゃないか!いいか?男は“カッコイイ”と言われるが何か失敗をすれば途端にカッコ悪くなる。しかし女の子は“可愛い”だ。それは何かを成功しようが失敗しようが変わらない!何か成功しても可愛い!失敗しても可愛い!可愛いは絶対正義なんだよ!抵抗不可なんだよ!ドジっ子萌えなんて言葉も生まれる訳だよ。言いたい事はまだある!そもそも萌えと言うのは・・・」

花陽「ダ・・・ダ・・・ダレカタスケテェェェッ⁉︎」

 

 

 

 

 




ここまで脱線するといっそアニメ見ないほうがいい・・・かも?

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